>>12続き
たばこくさいと非難する女性は、厚化粧のくさみをご自覚だろうか。たばこの煙が健康を害することはあっても、
たばこのにおいで肺がんになることはない。子供のいじめの「くさい」と同じではないか。
タクシーは公共交通機関といっても、あくまで個別選択的な乗り物である。車内でのたばこは運転手さんや
同乗者の同意を得れば不特定多数の人々に迷惑をかけることはありえない。まさに私的空間なのだ。
そこへ禁煙の論理を持ち込むなら、なぜ、禁煙車を7割、喫煙車を3割など喫煙率に応じた選択肢を与えない
のだろう。全車禁煙という一律主義に、スー族は本能的な危険を感じる。
世界で初めて国家的禁煙運動を始めたのは、ヒトラーである。「たばこは赤色人種が白人にかけた呪いである」
と断じた彼は、ドイツ民族の純粋性を守るために徹底した禁煙を求めた(健康帝国ナチス、R・N・プロクター著、
草思社)。同時代の独裁者、ムッソリーニもフランコも禁煙主義であり、彼らに対抗したルーズベルト(紙巻き)、
チャーチル(葉巻)、マッカーサー(パイプ)はいずれもたばこのみだった。
禁煙は、下手をするとナチスのように他者の存在を認めない原理主義に陥ってしまう。
スー族はいま、それを憂えているのだ。