『産経抄』ファンクラブ第75集

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353文責・名無しさん
産経抄                                       1月23日
志賀直哉の短編『流行感冒』は大正8年に書かれている。前年から猛威をふるった
「スペイン風邪」が題材である。赤ん坊の娘に感染するのを恐れて、勝手に芝居を
見に行った子守に暇を出そうとする。ところが真っ先に寝込んだのは叱(しか)った
当人だった。
▼当時、正体不明だったインフルエンザがいかに怖がられていたかを示す小品だ。
何しろ日本だけで38万人、世界中で2500万人が亡くなったとされる。長期化して
いた第一次大戦を終わらせる遠因になったという説もあるほどで、世界史を変えた
ことは間違いない。
▼そのインフルエンザが日本の人口問題にもちょっぴり変化をもたらした。話は逆で、
暖冬により昨年秋からほとんど流行していない。その影響などで、昨年の死亡者数
が厚生労働省の予想をかなり下回った。人口はプラス8000人という想定外の増
加に転じた。
▼大臣のとんでもない「失言」で、意気が上がらなく見えた厚労省にとって思わぬ「朗
報」だろう。出生数も増えている。こちらは、景気の回復で正規に雇用される人が増
え、結婚したり、出産を決意したりするカップルが多くなってきたからだという。
▼むろんまだまだ楽観はできない。出産可能な女性は減っていくから、長期的な減少
傾向は変わらないだろう。しかし、インフルエンザ退治は暖冬に頼らなくても可能なは
ずだ。景気の回復には長い時間がかかったが、それを維持することも、上手な舵(か
じ)取りひとつである。
▼要するに「心身」ともに日本が元気になることである。それが分かっただけでも、昨
年の「人口増」の統計が持つ意味はあった。野党もそろそろ厚労相のクビを取ることよ
り、前向きな人口問題の提言や議論をすることに転じたらどうだろう。
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正規雇用が人口増につながることがわかってるなら、勘違い厚労相や強欲経営者を
政権から追放することも、日本の未来につながるんじゃねぇ?