やっちゃった!今日の朝日のドキュン記事 その75

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661日本と国連 50年とこれから(1/2)
2006年12月19日 朝日新聞一面
 日本と国連 50年とこれから  
  PKO 薄れる存在感

 国連の潘基文次期事務総長は、訪れた大島賢三国連大使が示した数字に目をこらした。
「米国は22%で52人、日本は19.468%で7人」。国連通常予算の各国の分担率と、
部長級職員の人数を対比させた表だ。分担率1.1%のロシアは、部長級職員が21人もいる。
仏が19人、英、独は18人。それに比べて、日本は2割近い分担率なのに、7人に過ぎない。
潘氏は「日本の分担率が減ると、韓国が増えるのかな」とつぶやいた。

 ■中国が逆転
 クリスマス休暇前で空席が目立つ国連本部。だが、予算を審議する総会第5委員会は
熱のこもった論議を続けている。経済力が反映される各国の分担率計算方式の改定をめぐって
米、欧、日本、途上国が対立している。長期不況を経験した日本は、現方式でも16%まで
下がる見込みだ。
 「公平な負担」は日本自身が求めてきたことだ。だが、常任理事国入りを目指す日本は
「代表なくして課税なし」と、分担率が英仏中ロの4カ国の合計より大きい点を強調してきた。
政府の途上国援助(ODA)がマイナス成長のうえ、分担金も削減が続けば「日本の立場を弱める
ことになりかねない」と大島大使は気をもむ。アナン事務総長は「軍事的、外交的、財政的に
貢献できる国」を常任理事国の資格に挙げている。カンボジア和平で事務総長特別代理を務めた
明石康氏は「日本はすべて満たしているとは言えない」と厳しい。
 明石氏は昨年7月、アフリカ各地の国連平和維持活動(PKO)を視察した。スーダン南部を
訪れた際、国連スーダン派遣団(UNMIS)の一員として説明に立ったのは英語の達者な
中国の若い警察官だった。
(続く)
662日本と国連 50年とこれから(2/2):2006/12/20(水) 01:29:07 ID:b51+VO2c
(続き)
 中国は軍の部隊、警察、停戦監視員の合計467人を派遣しているのに対し、日本政府が
派遣しているのは外務省職員が1人だ。カンボジアPKOでは自衛隊の部隊、警察、停戦監視員、
選挙監視員など「フル参加」した日本に対し、中国は工兵隊など影が薄かった。「それが逆転し、
すっかり差をつけられた」と明石氏は残念がる。
 スーダンだけではない。日中両国とも冷戦後の90年代から国連PKOに参加したが、中国は
中東やアフリカに次々と派遣。国連の11月末の統計では、11ヵ所のPKOに計1659人の
軍人や警官を送って、世界14位の要員提供国になっている。今夏のレバノンで犠牲になった
停戦監視員の1人も中国軍の将校だった。「先進国がPKOの負担を嫌がり、小国にしわ寄せが
いく。中国は自国の役割を果たす」と中国の王光亜国連大使。途上国にアピールする格好の
手段としてPKOを戦略的に重視する姿勢だ。

 ■対米を優先
 一方、日本は東ティモールなどに派遣したものの、後が続かない。現在は、中東ゴラン高原に
派遣している自衛隊31人に過ぎない。要員提供では80位と最低クラスになっている。「PKOの
生みの親」アークハート元事務次長は「日本はPKOに熱心だったはずだが」と首をかしげた。
 日本政府はこの間、イラクへの自衛隊派遣やインド洋での給油など、米国の「対テロ戦」への
協力を優先してきた。そのつけが回り、PKOで日本は「若葉マーク」から卒業できないままだ。
 国連が和平後の国造りを担うようになり、PKOは拡大の一途だ。国連PKO局は世界18ヵ所に
文民も含めて約10万人を展開する。予算も通常予算の三倍近くに膨らんだ。その2割を負担する
日本だが、現場の要員は文民の約20人を合わせても50人程度とみられる。
 スーダン西部のダルフールなど危機は続く。常任理事国入りをはじめ国連外交には途上国の
支持が必須だ。だが、現場での日本の存在は薄れるばかりだ。
(ニューヨーク=水野孝昭)