【脱税】テレビ朝日の体質を実名社員が告発【セクハラ】

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55【週刊文春 2006.7.13号】 >1 >25-31 >48-49 >54
実名告発
テレビ朝日 「カネと女」(2)

役員が隠蔽を命じた幹部社員「セクハラ事件」

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6月28日、私はテレビ朝日の株主総会で『TVのチカラ』の巨額不明金疑惑を追求した。しか
し、経営陣は相変わらず曖昧な答弁に終始する―私がもはやこの会社に自浄能力はない
と痛感したのは4年前、役員が隠蔽を命じたあるセクハラ事件がきっかけだった。
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 6月28日、私はテレビ朝日の定時株主総会で質問に立ち、8カ月に及ぶ異例の国税調査
を踏まえ、『TVのチカラ』のKプロデューサーの巨額不明金疑惑を追及した。
 前号で詳述したように、試算によればKが制作費2億4千万円以上を流用していること、
それを見過ごしたのは商法上の善管注意義務の怠慢であること、それら全てが株主代表
訴訟の対象になりうること―しかし広瀬道貞会長、君和田正夫社長ら経営陣は、私のほとん
どの質問に対し、「現在調査中です」という曖昧な答弁に終始した。
 思い起こせば、私が社員として過ごした37年間、テレビ朝日は不祥事に対する責任が
あまりにも希薄だった。経営陣に不都合な事が起きれば、世間の目に触れないよう、時間を
かけて真実を闇に葬る。
 私が実際に見た、その恥ずべき“隠蔽”の一例をここで明らかにしておこう。
 ここに2通の告発状がある。告発されているのはいずれもテレビ朝日のCS放送(たとえば
主な番組はCNN)を担う日本ケーブルテレビジョン(JCTV)のK社長(当時、現在62)。彼が
約1年半にわたって社内で繰りひろげた、密室内でのセクハラ行為の実態を訴えたものであ
る。
 差出人は心身共にボロボロになった結果、やむなく退社に追い込まれた被害者A子さん
(当時24)と、彼女の上司であったJCTVのN課長である。
 K社長は当時、テレビ朝日社員の身分で関連会社であるJCTVの社長に出向。彼の管理監
督責任は当然、テレビ朝日本社にあった。ちなみにテレビ朝日には約30の関連会社があり、
その経営陣の大半は本社の幹部社員の“天下り”である。
5655:2006/07/12(水) 18:26:25 ID:CdJRC1Oo
被害女性が告発したセクハラの中身

 告発状は2通とも本人の自筆によるもので、N課長のものは署名のあとに実印まで押され
ていた。以下、告発状の一部を紹介する。まずは被害者A子さん。茶色の便箋にボールペン
で横書き、日付は平成14年4月16日になっている。
<この様な手紙を書く事については、大変迷いましたが、第2、第3の犠牲者を出したくないと
いう願いをこめて、ペンを取らせていただきます>
<社長が「会社で悩みはないか。何かあったら何でも言え」というので人間関係がうまくいって
ないことなどを話すと「それならプライベートを充実させろ。男に抱かれてる時は全て忘れられ
るだろう。どうなんだ?彼氏とは」と言いました。社長は私のプライベートの事を聞きたくて仕
方ないという感じでした。社長室に入ってドアが閉まってしまえば、私にとって密室の地獄で
した。「彼氏はいるのか、結婚はしないのか、どんな話をするんだ、週に何回デートするんだ」
だけでは済みません。「会ったら、だいたいセックスするんだろ?」とまで聞かれました。それ
で悩みなんて忘れろ、というのです。何て無神経。私はますます悩みました。私が会社の事
で悩んでいるというと「そうか、じゃあ今度ゆっくり話そう、夜、酒でも飲みながら」と。何とか理
由をつけて、一度も行くことはありませんでしたが、断ったあとには「何度誘っても、いつも君
はダメなんだな、僕のことが嫌いなのか?」と聞いてきます。私は追いつめられました>
<「君ってかわいい顔しているな〜」と、いやらしい視線でジロジロ。「ホントに抱きしめてやり
たい。ああ、いいなぁ、君みたいな若い彼女がほしい」と言っていました。ゾッとしました。また
ある時、社長室に入って書類を渡そうと近づくと「ン?なんだ?ンー」とキスをせがむように口
をとがらせてきました>
<会話といえば下ネタばかり・・・・・・。もう、こんな社長の下では働けない。そう思いました。
当時は相談できる相手もなく、ノイローゼになるかと思い、体を壊してしまいました>
 次に、自分の部下に連日のようにセクハラ行為を重ねるK社長に憤りを感じたN課長はこう
綴っている。
5755:2006/07/12(水) 18:28:44 ID:yWcbx03P
<彼女は「何回も労基署に駆け込もうかと考えたけれど、証拠がないので会社を相手に裁判
はできない。毎日が嫌ですごく悩んでカウンセラーに行くしかないと思った。結局、会社を辞
めれば、すべて解決すると思った」と言ってました>
<社長はとにかく下ネタの話をしたそうです(中略)。「俺は若いころ毎日風俗に通った。
ストレス解消にはセックスが一番」とか(中略)、「君は恋人が居るんだろ?ストレス解消には
セックスが一番いいんだ。特にこういう体位でやるといいぞ」と言いながら、それを真似て彼女
に見せたと言うから驚きました。朝は「昨日は(セックスを)やったのか」と聞かれ、夜は頻繁
に「飲みに行こう」と誘われたそうです>
<JCTVには自浄機能が全く働かないという事実を見てしまったことが決心させるに至りまし
た。
社員の大半がこの噂を知り(女性社員はほとんど知っている)、しかも社外の人間にまでセク
ハラをしている。もし、このことが表に出て、マスコミ等に知られたら、JCTVだけではなく、
テレビ朝日にもご迷惑がかかるのは必至です(後略)>

専務と人事局長によるヒアリング

 告発状にはA子さんの他にも、前任の秘書と放送事務局のアルバイト女性の合計3人が
次々セクハラを受けた事実が記されている。
 K社長の行為はもちろん言語道断である。しかし私が本当に問題にしたいのは、二人が血
の滲む思いで綴ったこの告発文を、テレビ朝日が役員の鶴の一声で握りつぶしてしまたこと
だ。
二人の失望感は想像に難くない。そしてテレビ朝日は問題を知りつつも、K社長を何ら処分す
ることなく、JCTVのトップに据え続けたのだ・・・・・・。
 K社長はテレビ朝日本社から、系列局の長野朝日放送に出向し、本社に帰任後の平成12
年6月にJCTV社長に就任。社長を三期務め、今年6月に同社顧問となっている。
 最初の秘書が会社を辞めたのは平成12年12月、そして次の被害者がA子さんだった。女
性社員を精神的に追いつめ平然とするK社長の横暴を、A子さんとN課長は上司であるJCTV
の局長に訴えたが、「証拠がない」と一蹴された。最後の手段として、テレビ朝日本社へ訴え
出たのだ。
 この2通の告発状は当時、関連会社の業務全般を管轄する本社関連企業部長を務めてい
た私の下に届いた。
5855:2006/07/12(水) 18:30:48 ID:+56pQIUa
 あまりにひどい内容だったので、最初のうちは「嘘かも知れない」「よくある紙爆弾かも知れ
ない」と半信半疑だった。しかし実名の告発文である。グループ会社で起きたこの事件を無視
することはできなかった。
 私はテレビ朝日のH人事局長に2通の告発状をコピーして手渡した。
 H人事局長はK社長とは同期であり、最初は驚きを隠せなかった。だが、事件があまりにも
悪質なので、何人かの人事局員と相談したうえ、調査に乗り出した。二人の顧問弁護士にも
相談し、上層部に報告を上げた。
 以下、H人事局長の調査に関するメモである。
<JCTV、K社長問題の対応の手順 02年・4・22
(中略)
 K社長があくまでセクハラを否定する場合は手紙の存在を明かす。誣告とか名誉毀損と主
張すると予想される。会社は社長の立場にたって支援すると伝えるが、この事実が一点のか
げりのない無根であることが条件であることも伝える。心理的圧迫を加えるかどうかは状況を
見てからの判断にする。判例によれば、セクハラ単独では懲戒解雇はできない。社長など上
級者の社会的逸脱行為は従業員のそれよりも重く処罰を受ける。一般社員に厳重注意を与
えるとしたら、上級者はそれ以上の処分でなくては均衡を欠くことになる(攻略)>
 平成14年4月24日午後4時、アークヒルズのテレビ朝日本社役員室において、この問題の
最高責任者であるテレビ朝日のS専務(現テレビ朝日顧問)とT総務局長、H人事局長によ
る、K社長に対するヒアリングが行われた。
 当初、K社長はシラを切っていた。だが、被害者の女性から手紙が来たことを知らされた途
端、うろたえて渋々、罪を認めたという。
 だが、事態は思わぬ方向へ流れた。
 K社長のヒアリングから数日後、私はS専務から呼び出された。役員室を訪ねると、アメリカ
支局から帰任したばかりの女性の人事局員が同席したいた。

「これ以上やると、クビが危ない」

「事実関係が明らかになった以上、被害者本人に詳しくヒアリングをした上で謝罪しなければ
ならない」
 私がこう主張した次の瞬間、その女性局員はこう反論したのだ。
「本社がヒアリングに関わると後々、面倒です。テレビ朝日の責任にされるおそれがある。止
めましょう」
5955:2006/07/12(水) 18:33:38 ID:kvm1BeXw
 同じ女性として、また、被害者の立場を考えた場合、およそ理解できない言葉である。しか
も彼女は海外支局でニュース報道に携わった経験がある女性社員である(彼女は現在も報
道現場にいる)。S専務も即座に言った。
「そうか、そんなリスクがあるとはこの私も知らなかった。それなら止めよう」
 その女性局員が退席した後、さらに、S専務はこう語った。
「地方局からわざわざ呼び戻して、社長に据えた人間をわずか一期で交代させるとなると、株
主がうるさい。自分はK社長を告発したN課長を知っているが、彼は会社の不満分子だ」
 そして、信じられない言葉が飛び出した。
「週刊誌にでも載ればいいんだがなぁ」
 もし問題が表沙汰になっても、週刊誌に嗅ぎ付けられたから仕方ないと自己保身の言い訳
をするつもりだったのか。上場企業の役員としては、あまりに無責任な発言に私は驚愕した。
 結局、被害者であるA子さんのヒアリングは行われず、S専務はK社長に口頭注意を与えた
だけだった。
 セクハラは犯罪である。己の地位を利用して弱者を弄ぶ、最も卑劣な犯罪行為である。先
だっても、自動車メーカーの海外現地法人の社長が、100億円単位の損害賠償請求を起こさ
れたばかりである。
 しかしK社長は年収3千万円を保障され、反省する素振りも見られなかった。セクハラ行為
がばれた直後には「一体、誰が余計なことを喋ったんだ。必ず犯人を突き止めてやるぞ」と息
まいたそうだ。
 私は上層部の対応に納得が行かなかった。K社長に個人的な怨みは何ひとつ無いが、け
じめが必要だ。
H人事局長に調査を続行するように願い出ると、彼は「これ以上やると、俺もクビが危ない。
わかるだろ」と言った。
 その後しばらくして、私は関連会社に出向となった。そして一年後、H人事局長も地方局に
転出となった。

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 K社長はセクハラ行為について「全くの事実無根。甚だ心外だ。社内報告やヒアリンもな
い」と全否定し、「たとえば『あなたは結婚しないの』と言ったことはあるかもしれないが、その
程度」とだけ認めた。
 H人事局長は原地氏の告発を事実として認め、「S専務がKを庇った結果だった」と証言し
た。
6055:2006/07/12(水) 18:36:11 ID:W8gksQup
 S専務は「セクハラが事実かどうかっていうのは分からない。事実っていうのは、訴える人
がいて、それから本人もそれを認めるっていうことで初めて事実だと思うけど、(本件では)そ
うじゃなかった。本人は全面否定していた」と語った。なぜ被害者にヒアリングしなかったかと
いう質問に対しては「先方のプライバシーの問題でできなかった」と言葉を濁した。
 被害者のA子さんはK社長のセクハラ行為を詳細に証言し、「お話ししたことに嘘はありま
せん。会社やK社長には事実として認めてほしい。当時は悔しかったが、今でも被害者がい
るのかと思うと悲しい」と語った。
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テレビ局は特権階級ではない

 あの時、私はなぜ口をつぐんだか。それは自分の会社の“恥”になると思ったからだ。当時
の私はテレビ朝日を愛するからこそ、その自浄作用に期待したのだ。しかし、私の会社への
期待は裏切られた。しかも、そんな隠蔽体質が、あれから4年経った今、『TVのチカラ』のKプ
ロデューサーの巨額不明金疑惑を呼び起こしているのだ。
 テレビ朝日は公共の電波を使い、多くの特権を与えられた報道機関である。社会的に最も
影響力のあるマスメディアが、弱いものイジメをしたり、不祥事に頬かむりするようでは、その
使命は果たせない。テレビは本来、大衆のものではなかったか。送り手であるテレビ局は、
決して特権階級ではない。
 テレビ朝日にも多くの真面目な社員はいるし、さらにその後ろで何千万人もの視聴者が支
える公器なのだ。しかし、社会的良心が欠落したままの組織では、いずれは、テレビ朝日か
ら視聴者の心は離れていってしまうだろう。
 こうして不正を告発しても、世間からは負け犬と呼ばれるかもしれない。だが、たとえ負け
の遠吠えであっても、百回吠えれば天に届く。私はそう信じている。