【脱税】テレビ朝日の体質を実名社員が告発【セクハラ】

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25【週刊文春 2006.7.6号】 >>1 >>6 >>8 >>9
局に36年間を捧げた社員が実名告発

テレビ朝日「カネ」と「女」
「国税調査8カ月」「セクハラ事件隠蔽工作」を全て明かす

原地 隆 テレビ朝日 元関連企業部長

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ドイツW杯の高視聴率の裏側で、実は社内は開局以来最大の不祥事の発覚に脅えている。
問題を隠蔽し続け、派閥人事に明け暮れる役員たちに、もはや自浄能力は期待できない。
さらばテレビ朝日―大学卒業以来、36年間のすべてをテレビに捧げた男の実名告発。
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 私が何故、愛すべきテレビ朝日を告発するのか―それは、マスコミにわずかでもタブーが
あってはならないと信じるからである。
 公共の電波をあずかるテレビ局はその影響力の大きさからして、世間一般の企業に比べ、
はるかに高い倫理観と責任が必要だ。
 テレビは経営者自らの驕りやご都合主義を叶える道具ではない。何千万人という視聴者
によって支えられる公器である。
 しかし、今までに数え切れないほどの不祥事を起こしながら、根本原因の究明に真摯な
態度で取り組もうとせず、派閥人事に明け暮れるテレビ朝日にはもはや、自浄能力はない。
ならばその実態を明らかにすべきではないか。私は幾度も悩んだすえ、広く世間に訴えて、
マスコミの倫理や社会通念を守ることを優先すべきだという結論に達した。
 私はこの6月、人生の36年間を捧げたテレビ朝日を去ることを決意した。社を去るにあたり、
テレビ朝日の不祥事と、それをひたすら隠蔽しようとする組織の体質を明らかにしたい。

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 原地隆氏(59)は早稲田大学卒業後、1970年NET(現・テレビ朝日)入社。外国映画プロデュ
ーサーを経て、『モーニングショー』『アフタヌーンショー』のチーフディレクターとして活躍。
85年山口組―一和会抗争で突撃取材を敢行し、20パーセントを超える視聴率を叩き出した。
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その後スペシャル番組やスポーツ番組をプロデュースし、関連企業部長を経て、4年前に
関連会社の役員として出向。そして今回の告発を機に、テレビ朝日を早期退職した。
 6月28日に開催された定時株主総会でも、テレビ朝日を揺るがす“巨額不明金疑惑”につ
いて質問し、経営陣の責任を追及するとしている。
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『TVのチカラ』の巨額不明金疑惑

 先日、テレビ朝日はドイツW杯・日本―クロアチア戦を放映し、52.7%(関東地区)の高視聴
率を記録した。看板番組の『報道ステーション』も好調で、屈辱の平均視聴率万年4位から
脱却して、ようやく浮上すると期待されている。ところがこうした好調の裏で、実は社内は
テレビ朝日“開局以来の不祥事”の発覚に戦々恐々としている。
 人気番組『奇跡の扉 TVのチカラ』の担当者、Kプロデューサーの“巨額不明金疑惑”である。
 昨年11月、テレビ朝日に国税の調査が入った。2年に1度の税務調査は通常1週間から
10日程度で終わるが、今回は3月末まで長期間に及ぶものだった。
 このこと自体が異常ともいえるが、その聞き取り調査から、国税がKプロデューサーの金銭
の使途、下請けの制作会社との関係について強い関心を持っていることがわかった。
 編成制作局のチーフプロデューサーのKは、『水曜スペシャル 川口探検隊』シリーズや
『目撃!ドキュン』などヒットを飛ばし、“テレ朝の視聴率男”として有名な男だ。四国にある
テレビ朝日系列のテレビ局オーナー一族の出身で、大学を卒業後いったん毎日放送に入社
したが、その後テレビ朝日に中途入社した。
 川口探検隊では、コブラに金色スプレーをかけて「衝撃!黄金のキングコブラ発見」、実際
に船を沈めて「謎の沈没難破船を海中探索」等々、過剰演出は毎度のことで、数字を取る
ためなら何でもありの典型的なテレビマンだった。
 昨年暮れもKは、『TVのチカラ』で心霊捜査官が「ここに凶悪事件の犯人がいる」と予言した
地域が特定できる映像を流してしまい、地元住民から苦情が殺到し、減給処分を受けた
ばかりである。そんなKを数字が取れる敏腕プロデューサーとして、上層部は評価してきた。
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 ことの発端はKの豪遊だった。Kは以前から芸能人や同僚と麻雀をして「1回で100万円
賭けた」と豪語していたし、「銀座でひと晩100万円使った」と自慢するような男だった。収録
後に制作会社の幹部やタレント、編成制作局の社員を連れて銀座や六本木で豪遊するの
は、日常茶飯事。また、そんな話を社内でおおっぴらにしていても、Kを咎める上司はいな
かった。
 それがテレビ朝日の“常識”だったからだ。
 Kの豪遊に注目した国税が調査したところ、Kが制作費を水増し発注し、その見返りとして
制作会社数社に「接待費」を持たせているという疑惑が浮上した。
 実際、Kが豪遊の費用を制作会社に持たせていたことは間違いない。
 私が3年前に『TVのチカラ』の司会を突然、降板したタレントの板東英二氏本人にその理由
を尋ねたところ、彼はこう答えた。
「Kさんに銀座の高級クラブの接待費と、ゴルフコンペの開催費用を持つように要求され、
冗談じゃないと喧嘩してやめたんです」(編集部注・板東氏は取材拒否)
 下請け制作会社は、要求を断るとKに仕事を切られるので、仕方なく接待費を捻出していた
のが実情だ。過剰な接待費が苦しい経営を圧迫し、ついには倒産してしまった会社もある。

いまも社内に陣取る国税

 社内では、水増し発注された金額はこれまでに判明しているだけでも1億3千万円を上回っ
たといわれている。しかし、私が社内で独自につかんだ情報によると、国税はテレビ朝日に
Kが制作会社に持たせた「接待費」をKの「交際費」として認めるように通告し、約1億千万円
の追徴課税を求めている。もちろん申告漏れではなく、悪質なケースとしてだ。それを元に、
法人税、事業税、地方税などの課税から逆算すると、少なくとも約2億4千万円以上の会社
の金が、Kによって、不当に使われたことになる。
 しかし、テレビ朝日は現在も追徴課税を認めず、必死に抵抗している。
 社内の事情聴取でKは現金では受け取っていないと主張しているそうだが、接待費を肩代
わりするように強要していたのであれば、巨額の現金を授受しているんことと変わりはない。
 事態は深刻である。
 ほとんどの社員は知らないが、実は、いったん引き揚げたはずの国税は、連休あけから
再びテレビ朝日の調査に乗り出している。
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 現に5月17日の午後、編成局長と編成業務部長、経理部長の3人が国税の対応に追わ
れ、調査官が陣取るテレビ朝日のA応接室に冷汗たらたらで駆け込む姿を、私は目撃して
いる。
 現在もなお、社内に陣取る国税の本格的な調査は続いている。調査は実は、昨年11月
から8カ月にも及んでいるのである。
 これほど長い時間をかけるには、K個人の問題を超えた何かがあるのではないか。にも
かかわらずテレビ朝日の役員会では、調査再開について報告を行ったが、部下や社内に
漏らさないよう緘口令を敷いている。

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「テレビ朝日は現在、国税の調査の進展を見守るしかない状況で、事態は大詰めにきて
いる。あとは国税の更正通知の決定を待つだけだが、Kの疑惑はほぼ真っ黒です。Kの
饗応にはその上に連なる幹部社員も浴していて、その点も含め、国税は慎重に調査して
いる。また、金額が大きく社会的な影響も大きいので警察当局も非常に注目している」
(全国紙社会部記者)
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 国税調査官から社内の関係者が次々と呼び出しを受け、事情を聴取される中、Kは昨年
暮れから自宅待機を命じられたままで、会社に姿を見せていない。
 しかし、テレビ朝日は対外的には「健康問題のため現場を離れている」としている。社内的
には「国税の調査に協力しているので、業務を外れている」と説明し、疑惑が発覚してから
8カ月も経っているのに何の処分も下していない。
 上層部は、来年4月にKが定年を迎えるまで、時間稼ぎを続けるつもりなのだろうか。処分
すれば、上層部の誰かに波及するとでも思っているのだろうか。
 Kの行状は一部ではすでに報じられ、問題になっている。2月には逮捕説まで流れ、他の
テレビ局やマスコミにもマークされていた。そんな人間に対して、何の処分も下さない会社
とは一体、何なのか。
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 テレビ朝日は報道機関であると同時に、一部上場企業でもある。この疑惑を自ら解明しな
いのは、株主に対する裏切り行為という他はない。Kの制作費流用が事実であれば、株主
にとっては逸失利益となる。本人を懲戒解雇した上で返還請求するべきだろう。この際、
徹底的に真相を究明し、膿を出さねばならない。
 株主総会に先立つ、4カ月前の2月15日、私は君和田正夫社長と30分間話し合いをもった。
企業コンプライアンスについて11項目の質問を手渡し、回答を待った。しかし、残念なことに、
社のトップである彼から何一つ明快な回答は得られなかった。

派閥人事の「腐蝕の連鎖」

 この4年間、テレビ朝日本社では不祥事が続いた。深夜、一人暮らしの女性を狙った連続
強姦容疑で逮捕された営業社員。一晩に何百万という大金を使い、バカラ賭博で捕まった
入社3年目の元早大ラグビー部主将。いずれも役員の強力な後押しがあって入社した社員
だった。犯罪に染めた社員が罰せられるのは当たり前だが、幹部には何のお咎めもない。
 コンプライアンスとか、社員のモラルとか、お題目を唱える前にすべき事は、役員自らが衿
を正すことである。テレビ朝日には年収3000万〜6000万という、世間の相場では考えられ
ない高額な所得を手にしながら、ポストにしがみつこうとする役員が数多い。
 古くは“テレビ朝日の天皇”の異名をとった、元役員X氏の女性問題がいい例だ。彼の一連
過ちが原因で、テレビ朝日はながらくマスコミとしての権威と信用を失墜した時期がある。
 私がまだ新人の頃、『モーニングショー』の家出人捜索コーナーの女性アシスタントが収録
直前に失踪した事件があった。「蒸発コーナー担当の女子アナが蒸発した」と大騒ぎになった
ことが、後になって裏話を聞いてさらに仰天した。番組の責任者だったX氏がその女性アナを
反省会で延々と叱りつけ、個別指導と称して自分のマンションに呼び出し、そこで関係を強要
したというのだ。
 当時、新婚だった彼女は、夫に合わせる顔がないと蒸発してしまったのが騒動の真相だった。
事件が発覚しX氏は制作部から編成部に飛ばされたが、当時の実力者に気に入られていた
ため、編成局でトントン拍子に出世していった。
3025:2006/07/03(月) 19:59:10 ID:IOYN9iYZ
 悪事を働いた人間を許すばかりか、むしろ重用するという会社の内情を目の当たりにして、
複雑な思いに駆られたことが、今でも胸によみがえる。
 X氏はその後もたびたび女性がらみの事件を起こした。女子アナへのセクハラ行為や、パリ
支局開設時の報道部員へのわいせつ行為。『暴れん坊将軍』への出演を条件に、女優に
「おれの烙印を押しておく」と、関係を強要したと報じられたり、社のハイヤーで妊娠した愛人
の見舞いに行く、公私混同ぶりをフォーカスされたこともあった。
 だが、彼は20年以上も生き延びた。人事をはじめとする主要部署に仲間を配置して、派閥
人事を行ってきたからだ。
 テレビ局の内情を十分に知らないまま朝日新聞社から舞い降りてくる歴代社長に対し、
三浦甲子二・元専務(故人・朝日新聞出身)―小田久栄門・元取締役(プロパー)―早河洋
専務(プロパー)と続く派閥ラインは厳然とある。
 その結果、社内には「腐蝕の連鎖」が蔓延し、やがて「良識が見殺しにされる」時代が長く
続いたのだ。
 ちなみに『ニュースステーション』の総責任者が小田氏で同番組のプロデューサーが早河
専務だった。
 テレビ朝日が現在も“早河独裁”と恐れられる派閥支配体制が続いており、朝日新聞出身
の広瀬道貞会長との連携ですべてが決められる。アジアサッカー連盟主催試合の地上波
独占放映権を実に約90億円で購入したが、そのために数ある他の事業を潰した。そうした
独裁に対し、役員といえども異論は挟めない。以前にも増して、物言えぬ空気が支配してい
るのだ。
3125:2006/07/03(月) 20:01:03 ID:DRZ6R9uH
「派閥にぶら下がってさえいれば、何をやっても許される」というものの考え方や「どうせ何を
言ってもムダ」という諦めが、社内に蔓延するのも無理はない。
 現に、営業局の業務部長時代に白紙領収書で会社の金を何百万も着服した人間が、平然
と他を押しのけ、局長そして役員待遇にまで昇格する会社である。まともな社員は何を信じて
生きればよいのだろうか。
 私はこの36年間、ただ他局に打ち克つことだけを信じ、努力してきた。
 だからこのような形で自分の愛する会社を告発することは、断腸の思いだ。また、愛社精神
のある多くの先輩方からご批判をいただくかも知れない。
 それでもなお私が告発しようと決意したもう一つの理由は、4年前の関連企業部長時代に、
私自身が実際にその処理を命じられた、セクハラ事件にある・・・・・・。

(以下次号)