【天声人語】2006年01月04日(水曜日)付
今日から仕事始めの人も多いことだろう。ひっそりとした通りにゲタの音が響く三が日も悪く
なかったが、街や職場に活気が戻るのはうれしい。戻ってきてほしくないのは交通渋滞と排ガス
だが、車の動きも本格化する。
昨日、車が絡んだ記事が目にとまった。昨年1年間の全国の交通事故の死者数が、7千人を下
回ったという。1956年、昭和31年以来というから、ほぼ半世紀ぶりだ。
「交通戦争」といわれた70年前後には年々1万数千人が死亡していたから、おおむね半減し
たことになる。罰則の強化や、警察、消防、地域の人たちが力を尽くしてきたことの効果が表れ
てきたのだろうか。しかし減ったとはいえ、昨年は6871人もの命が失われた。その家族や周
囲の人たちの悲嘆は、はかりしれない。負傷者も100万人を大きく上回って、約115万6千
人にのぼっている。
運転者が、「凶器」を操っているという自覚を持って交通ルールを厳しく守るのは当然だ。そ
の上で、人が常に車に襲われかねないような今の道や街を、そうならない形に変えてゆけないも
のだろうか。
例えば、市街地では、歩道の無い道路は原則として人と自転車の専用にする。行き場を失った
車をどうするのかは、地域の意向を尊重しつつ知恵を絞る。そのくらいの発想の転換を試みる時
ではないか。
政府は、年間の死者5千人以下を目標に掲げているという。死者の数値目標とは、やはりかな
しい。「ひとりでも減らし、減らし続ける」を掲げて、人と車との新しい関係を探ってゆきたい。
--------------------
第5段落『行き場を失った車をどうするのかは、地域の意向を尊重しつつ知恵を絞る』って、車
は放置かよ。それは提言とは言わんぜ、天人子。
歩道の無い道路に面した家に住む人は、車を持つな、ってことか。それともどこかに広大な駐車
場を作るのか。大規模な区画整理と道路拡幅工事をするか。
どうであれ、地域の意向に沿った住民合意は得られないと思われます。
思いつきで喋ることは、提案とは言わないよ。