☆朝夕の娯楽★天声人語&素粒子。41的に引用中★

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218文責・名無しさん
天声人語-2005年11月09日(水曜日)付
 5年前、滞在中の東京から本国のペルーへ突然ファクスで辞表を送りつけたフジモリ元大統領が、今
度はペルーの隣のチリに現れ、拘束された。逮捕命令を出しているペルーは身柄の引き渡しを要求した。
意表を突く、相変わらずの出没ぶりだ。

 なぜチリを目指したのか。チリ側が引き渡しに応じない可能性が大きいとフジモリ氏がみた、との説
がある。チリとペルーは、領海線の解釈を巡って外交関係が悪化しているという。

 隣国同士にありがちな争いにみえるが、両国の間には、19世紀に「太平洋戦争」と呼ばれる戦いが
あった。争いの原因は、当時の戦争の主役ともいえる火薬の原料の硝石だった。1879年、国境付近
の硝石の産地などを巡って戦い、チリが勝った。

 しかし、国境を巡る問題は長く尾を引いた。フジモリ氏は、ずっとしこりになっていたチリとの国境
問題を大統領在任中に決着させ、国家元首として初めてチリを訪問している。

 そんなチリ政府との良好な関係が、今回のフジモリ氏の行動の背景にはあったのかもしれない。しか
し、チリ政府にとって、取り扱いを決めるのは、そう容易なことではあるまい。

 「私は、ここ、両親が生を享(う)けた土地にただ一人でいた。突然、光が私を照らした。長い、し
かし決定的な何秒間であった。当面、日本にとどまらなければならない!」。フジモリ氏は、5年前に
東京のホテルでしたという「決意」を、『大統領への道』(中央公論新社)に書いている。地球を股に
かけた出没を、どんな決着が待っているのだろうか。
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比較用:
産経http://www.sankei.co.jp/news/051109/morning/column.htm