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文責・名無しさん:
10月28日オピニオン「三者三論」天皇制どう考える
「男系限定」は憲法に違反 横田耕一氏(流通経済大学法学部教授)
(前略)ただ、いま考えなければいけないことは別にある。そもそも、国民は天皇に何を期待するか、
なぜ天皇制度が必要かということだ。
仮にこれからの天皇にも国民を統合する作用を期待し、国民が誇りに思う権威ある天皇を望む
なら、「万世一系」の男系男子の伝統にこだわる必要があるかもしれない。こうした人々は、
「天皇は国民統合の象徴として民族をまとめる存在になってほしい」と期待する。
しかし、いまの天皇・皇室はそういう意味の存在であることをほとんどやめている。
国民の多くは皇室を単なるスター的存在として見ているし、若者の多くは無関心だ。
男系男子に固執しても、国民を統合できる状況はもはやない。旧皇族の子孫の男性が養子などで
皇族に復帰しても、(略)逆に天皇制の存在意義を問う事態を招いてしまいかねない。
女性天皇が登場した場合でも権威ある天皇は二度と回復できないだろう。(略)
皇室は民間と結婚しており、どんどん血が薄くなってもいる。
こうした状況のもとで、統合を期待する立場からすると、天皇制を将来にわたって残す必要が
あるのかどうかということになる。
ならば、天皇に国民を統合することを期待しなければどうか。この立場からすれば、国民主権などの
憲法の基本原則に反する天皇制度を維持するために、無理して旧皇族の子孫から復帰させ
男系男子に固執したり、いわゆる「伝統的なるもの」を変えて女性・女系天皇を認めたりして
天皇制度にこだわる必要があるのかということになってくる。
有識者会議は天皇制度をどうやって永続させるかを求められた会議だから、天皇制の是非を問うのは
筋違い。しかし、(略)このままでは天皇制度の存続自体が問われる事態に直面するのではないか。
なぜ、天皇制を維持しなければならないのか。もしいま、改憲を考えるなら、こうした問題も
視野に入れるべきだ。(聞き手・松田史朗)