【大ブレイク】 宮崎哲弥ファンクラブ通信

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877文責・名無しさん
朝日新聞2006.05.09夕刊
進む保守思想の空疎化 「新たな敵」求めて散乱 現実主義すら失調 宮崎哲弥
色褪せた「反共」の旗印 ry
自立的な指導理念を欠く 
 他方で左派、革新勢力の衰退によって、保守陣営は「つくる会」に代表される
草の根的な運動の足場を獲得した。しかし、自律的な指導理念を欠いたその
運動性は、インターネットという感情の増幅を特質とするメディアの普及と相俟って、
「新しい敵=新しい規定」を求めて散乱していった。
 中国や韓国、ジェンダーフリー教育、マイノリティ運動、女系天皇論、媚中派など、
「敵」を見いだしては、その都度、対象に逆規定されるような思想実践では、やがて
細分化と惰性化とを避け得ないであろう。
 しかも小泉純一郎政権の改革政策によって、戦後体制における既得権益の粗方が
掘り崩され、保守を支えてきた物質的基盤も失われた。
 さりとて、英米の保守主義のように、私有財産の擁護を旨とし、階級形成を全面肯定
することもできない。
 近年のジェンダーフリー・バッシングに伴う性教育に対する一部保守派の攻撃の
様子をみれば、保守派の美点の一つであった現実主義すら失調しているのでは
ないかとすら思える。
 適切な性教育が、性病の蔓延や妊娠中絶の増加を食い止め、性交の初体験年齢を
上げる効果があるとしても、彼らはほとんど聞く耳を持たない。純潔を教えさえすれば
純潔が実現すると信じてるかのような彼らの態度は、平和さえ唱えていれば、それが
実現すると信じた空想的な平和論者の姿勢と瓜二つだ。
 そこに自省の契機も、熟慮のよすがもなく、ただ断片的な反応―それもしばしば
激越に走る―しか看取できないとすれば、それらはもはや保守とも保守主義とも無縁の、
単なる憎悪の表出に過ぎない。