やっちゃった!今日の朝日のドキュン記事 その64

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101文責・名無しさん
朝日の記事ではありませんが、ビデオレンタル店等で配られている無料誌「エンターテイメント・ゲイト」ビデオ・DVD版
9月号より、井筒監督の放談をドゾー。

それ ちゃうワ サルに教える映画の話  第三十八回
お手軽「ひばり物語」に絶句!『戦後を描くということ』  井筒和幸

サル 毎年この時期になると、戦後日本をテーマにした番組が増えますね。しかも今年は衆議院解散もあるし、大変な事に
なっていますよ。
監督 でも、所詮はテレビがお手軽にやるもんばっかだからな。確か今年の5月だったけど、美空ひばりのドラマがあったやん。
サル 結構、話題でした。
監督 あれも本当に酷いもんだった。そもそも美空ひばりという人は、波乱の人生を送った、ゆうたら戦後日本を象徴する、
一番目のアイドル、大エンターテナー。しかも、きれいごとだけで済まされる人やないです。それを似ても似つかない上戸彩が
出てきて、あんな細い女、ひばりちゃうわ。
サル 上戸彩がミスキャスト!
監督 何から何までダメダメよ。天才歌手として世に出て行くひばりには、バックに山口組の田岡さんもいたわけ。それで
興行権を巡る地元との戦いで、地元の興行主をバリバリへこまして、傘下に入れてくわけよ。
サル そうなんですか。
監督 それを突き止めたNHKが叩いたんで、紅白歌合戦まで出演できなくなってしまう。それまでは、ずっとトリをとっていた
人ですよ。本来なら、死ぬまで、ずっとトリですよ。そういう大エンターテナーでしょ。
サル そりゃ、そうですね。
監督 だから、普通だったら、黒い交際もスキャンダルも何もかも含めて、「この天才歌手は如何に凄かったか」という描き方を
するのよ。アメリカでもヨーロッパでも、そういう描き方をするんですよ。ところが日本は、肝心なところを全部よけやがる。
サル ナルホド。
監督 描くなら山口組三代目親分も出てこなきゃおかしいやろ。それが出来ないなら、端からやるな、一切触るな、といいたい。
サル でも、監督がテレビドラマを観るなんて、珍しいですね。 (続く)

102文責・名無しさん:2005/09/10(土) 02:10:35 ID:mqOsyAq9
>>101の続き)
監督 オレは美空ひばりを映画にしようと思ったことがあったの。17年以上も前にね。だから、だいぶ調べたのよ。1年くらい
大宅文庫に通って、どんなガセネタも漁って、ゴシップ記事あさって、コピー代が百万円くらいかかったからね。
サル ひぇー、百万円って、本当に調べまくったんですね。
監督 それで黒田征太郎さんに相談に行ったら、本人につないでくださいってね。そしたら黒田さんが「東京ドームの公演が
終わったらええんちゃうかな」って。「実際に本人に言ったら話し早いよ」ってね。裏社会との付き合いも含めて、ともかく
怒涛の昭和をダダーンと描こうと思ったなら、本人の承諾があれば、勇気を持ってできるわけや。あとはマフィアさんさえ
傷つけなければ、黒い交際も白い交際もない。わかっちゃってるわけだから。もうどんな書物にも出てるし、評伝にも
書かれているしね。これはリマルにいけるかなっと思っていたら、ひばりさんが死にはった。
サル そんなことがあったんですか。
監督 ほんで、この前疲れてタクシーに乗ったら、美空ひばり物語をやっとるわけだ。車中、つらつら観て、家についてから
テレビつけて、最後まで観ましたよ。それがダメダメのスカスカよ。マフィアどころか、小林旭と結婚して、離婚したことすら
出てこない。なんか適当に
本人の歌う姿とカットバックしてやってるだけやったよ。
サル それは残念です。
監督 美空ひばりというエンターテナーは、戦後日本を象徴しているんやからね。そのまま描かないと意味がないでしょ。
日本の戦後は、ひばりさんと、力道山しかない。石原裕次郎や吉永小百合とちゃうからな。
サル そうですか?
監督 ほんでまたテレビで石原裕次郎兄弟を描いてたな。臭いドラマで、あんなもんで昭和史を語られたらたまらんよ。
石原裕次郎って、映画スターのクセして実は代表作がないんですよ。なんもないやろ?
サル 『黒部の太陽』という大作がありますよ。
監督 昔のオッサン連中が、「石原裕次郎が演じたのが『黒部の太陽』だったよな、そういうの観たな」っていうだけ。
(続く)
103文責・名無しさん:2005/09/10(土) 03:04:41 ID:tb2yISiu
>>102
そんなこというたら吉永小百合なんて凄いよ。本当に代表作ないからね。一つもない。例えば『キューポラのある街』
という映画は面白かったけど、小百合はデビューしただけ。映画自体は在日朝鮮人らの話で、脇役たちの話なんだよ。
映画は良かったけど、小百合はおっただけ。
サル フーム。
監督 で、本人も言わへん。自分の代表作は『キューポラのある街』ですなんて言わない。『夢千代日記』です、
そんなことしか言わない。それだけかいって話やねん。
サル 『キューポラのある街』は知ってましたけど、その映画は知りませんでした。
監督 つまり、日本の映画スターと言われる人たちには、代表作はなんもないんですよ。
サル でも当時はドル箱だったんじゃないんですか?
監督 オレらは少年の頃観なかったいうけど、オモロかったら観てるがな。ガキも観るに耐えないから観てないだけ。
アメリカから来た『史上最大の作戦』とか、ちっちゃい時だけど観たよ。圧倒的にオモロかったもん。
サル ナルホド。
監督 まぁ、帝国劇場とかでやっている舞台の美空ひばり物語とかはどうでもいいのよ。ただ映像物は、
ちゃんとしないとイカンということです。
サル 監督、再挑戦してください。
監督 本人が死んでしまっているから無理やね。当時の週刊誌を漁っても、結婚生活の実態すら掴めない。
あらゆる週刊誌を読んでも嘘ばかり。「離婚間近か?」みたいなゴシップ記事しかない。
しかも今じゃ、個人情報保護法ができたから、余計つらいね。日本はね「時が経てばいつかやれるだろう」っていう
社会じゃない。実は日本の社会自身が差別を温存して陰湿なんや。だから社会が一回解体されないとダメやね。
サル トホホです。
(終わり)