朝日新聞 富山版 9月12日「声」
「批判受け止め責務全うせよ」
大学教員 小林俊哉 (群馬県安中市 51歳)
総選挙公示を報じる朝日新聞朝刊を広げて驚いた。本誌記者が取材なしで虚偽の報告をし、その内容を含む誤った記事が掲載されたのだという。
もちろんこのようなことは決して許されない。その経過も含め、徹底的な調査と読者への報告が必要なことはいうまでもない。
しかし同時に懸念されるのは、この件をきっかけとした「朝日バッシング」の激化であり、杞憂とは思うが、伝えるべきニュースに対して本誌の筆が鈍りはしないか、という不安である。
朝日新聞はこれまでも、ことあるごとに過剰ともいえる「批判」の対象になってきた。その中には、目に余るような非難もあった。今回のような「事件」は、それに格好の口実を与えるもので、その意味においてもきわめて残念である。
さらに、万が一にもそのような声をおそれて、伝えるべきことがが報道されなくなるようなことがあるならば、読者にとって損失は計り知れない。
朝日新聞に望みたいことは、言うべきことは堂々と言うという姿勢の堅持である。今回の非を検証しつつ、報道の責務を全うして欲しい。