編集協力費問題、識者は朝日新聞側の対応を批判
週刊朝日の連載記事を巡り、朝日新聞社が消費者金融大手の武富士から「編集協力費」5000万円を受け取って
いた問題は19日、箱島信一社長ら幹部の処分にまで発展した。初の社長処分という異例の事態となったが、識者
からは朝日新聞社側の対応を批判する声が相次いだ。
「遅まきながら、やっと処分が出たか」。元「週刊文春」編集長で、朝日新聞社発行の女性誌編集長を経て、現在
は月刊「WiLL」編集長の花田紀凱氏は、対応の遅さを皮肉った。
編集協力費についても、「タイアップは読者に明示するのが当然。社会的問題を起こした会社からもらうことが何
より問題だ」と批判し、「これまで『不手際』と説明してきたが、事態の重大さを理解していなかったのではないか」と
疑問を投げかけた。
月刊「創」の篠田博之編集長は「5000万円の編集協力費で、朝日新聞の武富士報道にどんな影響が出たかが
最大の問題なのに、今回の処分は単なる不手際ということで済ませて、肝心の検証を行わなかった」と指摘。「報道
機関として、自社報道を検証する責務があるのに、行わないのは、もっと重大な問題が明らかになる可能性がある
からではないか」と話した。
一方、稲増龍夫・法政大教授(メディア文化論)は、「週刊朝日が、5000万円で論調を変えるとは思えないが、
逆に、武富士にとっても、この企画に何のメリットがあったのか。非常に不可解だ」と語り、「裏で何らかの事情が
あったのではないかと推測してしまう」と続けた。
また、朝日新聞社が19日、再発防止策として発表した協賛金などの提供を受ける場合のガイドラインの〈1〉役員
会の審議を受ける〈2〉役員会は編集の独立性や読者の信頼の確保などを十分に踏まえて審議する〈3〉役員会
の審議を経て承認された場合でも協賛者名を明記する――といった内容についても、稲増教授は「マスコミなら
当然やっているべきことで、作るまでもないことだ」と述べた。
ttp://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050419ic29.htm