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文責・名無しさん:
平成17年3月22日
三連休のさなかに福岡・佐賀を襲った地震には驚いた。専門家でさえ発生を予想していない地域だったという。
もっとも十年前の阪神大震災も、昨年の新潟県中越地震もそうした“空白域”で起こったのだが。
▼もちろん、各地域の地震発生の危険性を、専門家が推定することが無駄とは思わない。ただ、科学が安全を
百パーセント保証してくれるわけではないのだ。こんな当たり前のことをいうのは、米国産牛肉の輸入再開問題
に対する政府の姿勢にいささか首をかしげるからである。
▼確かに、八〇年代の日米貿易摩擦を引き合いに出して、輸入再開を迫るライス国務長官のやり方はえげつな
い。BSE(牛海綿状脳症)発生国であることを理由に、米国自身が日本産牛肉の輸入を認めていない。やすやす
と応じれば、またも対米追従の批判にさらされることを政府は恐れているのだろう。
▼国民の「食の安全」が大切なことは改めていうまでもない。しかし食品安全委員会の専門家グループが、輸入
再開の前提となる「全頭検査」廃止の方向を打ち出して半年近くにもなる。結論が出るのが、いくらなんでも遅すぎる。
▼平成十三年にBSEが発生したとき、政府の安易な安全宣言がかえって消費者の不安をあおったことは記憶
に新しい。パニックを沈静させる決め手となったのが、世界で日本だけが行っている全頭検査だった。だからとい
って「科学的知見」に圧力はかけられないと、この問題を安全委に丸投げするのはむしろ政治の怠慢ではないのか。
▼焼き肉をほおばって、安全性をアピールすることだけが政治家の仕事ではあるまい。リスクを含めてきちんと
情報開示し、あとは消費者の判断に任せてはどうか。筆者も自己責任で牛丼を食すつもりだ。