新潟日報

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972文責・名無しさん
一宗教法人の靖国神社への首相参拝は司法からも指弾を浴びている。憲法の政教分離規定に反するという違憲判断が既に二例も示されているのだ。
小泉首相の先送り発言を後押しする形で安倍晋三官房長官は「建設をめぐっては世論が割れているし、外国にいわれてつくるべきものでない」と述べた。納得する人がどれほどいるだろう。
世論は割れてなどいない。共同通信社が十月に行った世論調査では建設賛成が64%に達し、反対の26%を大きく上回った。外国にいわれてうんぬんの理由が的外れなことは、小泉首相から構想を持ち出した経緯を考えれば明らかだ。
割れているのは、むしろ自民党の方だろう。党内には「靖国神社を形骸(けいがい)化する」として新施設に異論が渦巻いている。首相の先送りは結局、党内をまとめる気がないだけのことではないか。
連立を組む与党の公明党は、建設調査費の計上を求めておきながら引き下がった。新施設実現を旗印に結成された超党派の議員連盟は、具体的行動を起こすことさえできなかった。首相に物申せない今の政界はあまりにも異常だ。
外交や憲法上の問題に終止符を打つとともに、誰もがわだかまりなく戦没者を追悼できる環境を整える。そんな日はいつになったらくるのだろうか。

[新潟日報12月29日(木)]