国立追悼施設 いつまで放置する気だ
戦没者を追悼するための新たな国立施設の建設が、さらに先送りされることになった。
小泉純一郎首相が自分の在任中には取り組む考えがないことを正式に表明し、来年度予算案への建設調査費の計上を見送ったためである。理解に苦しむ対応といわざるを得ない。
首相は「いろいろな議論があり、今の段階では調査費を付けない方がいい。もう少し時間を置いた方が冷静に議論できるのではないか」と語っている。まるで人ごとのような口ぶりだ。
しかし、考えてもみよう。追悼施設建設が持ち上がった発端は小泉首相の靖国神社参拝だ。中国や韓国との外交問題に発展したことを受け、二〇〇一年秋の日韓首脳会談で当時の金大中大統領に首相の方から新施設の検討を約束した。
当時の福田康夫官房長官の下に私的懇談会が設置されたのも、首相の意向を踏まえてのことだった。懇談会は〇二年暮れに「国立、無宗教の恒久的な施設が必要」とする結論をまとめている。
あれから三年になるが、首相にやる気は見られず、提言はたなざらしになったままだ。その間も首相は靖国参拝を繰り返して中韓両国の反発を買い、首脳会談も開けない事態に陥っている。