日本の主要マスコミ15社の労働環境を、働く側の立場から分析する”異色の”本が先週末に出版された。
『これが本当のマスコミだ』(渡邉正裕著)というタイトルが付けられた同書は、実際にその企業へ
勤める社員から「通信部社員には”奥様ボーナス”が渡邉恒雄名義で年間20万支給」(読売新聞社)
「デスクの趣味でS(創価)をやれ、と言われても迷いは許されない」(新潮社)といった細かい情報を収集。
それらを「人間関係」「キャリア」「報酬決定方法」などおもに9つの観点から分析している。
格付けの結果、Aa(超優良企業)にリクルートが選ばれ、次にA(優良企業)として講談社とNHKが続く。
15社中14位はCaa(不良企業)の読売新聞社、最下位のCa(労働不適格企業)として日本経済新聞社が評価
されている。
この本が異色である点は、マスコミの労働環境を評価、さらには批判していることだ。
マスコミは日々あらゆる企業の労働環境について報じているが、当事者であるマスコミ各社についての情報は
横並びで一切報道されていないのが実状である。特に、マスコミ最大のタブーと言われる電通の労働環境に
ついて辛辣な評価が並ぶ同書は、”報復”を恐れる出版社が次々と版元を辞退・拒否したという。
なぜそこまでしてでもマスコミの労働環境を本で伝えたかったのか。著者である渡邉正裕氏を取材した。
---こういうテーマで取材しようと思ったきっかけは?
「昔から規制に守られ新規参入もないマスコミ企業が、いかに時代遅れな存在であるかを報道する必要を
感じていた。マスコミはマスコミ自身のことを当然、書けないから。従って「嘘のマスコミ」しか世間に知られて
いない。だから本書のタイトルを「これが本当のマスコミだ」とした。たとえばソニーや三菱商事で定着して
いる社内転職制度のような「やりたいことをやらせる」という仕組みもマスコミ企業には存在しない。
「最遅端」の人間が世の中の最先端のニュースを伝える仕事をしているというまさにブラックジョークの
世界や、その棚上げ体質を世に知らせたかった」 (
>>2以降へ続く)