産経抄ファンクラブ第34集

このエントリーをはてなブックマークに追加
198文責・名無しさん
今年は「世界物理年」だそうだ。アインシュタインが比類ない事跡を残した
「奇跡の年」(一九〇五年)から百年、没後五十年にも当たることを記念し、
国連が制定した。
 ▼「理解できる人は1%」とも評される「相対性理論」。抄子は恨むらくは
99%の方だが、この理論を「どんなにやさしいものかを日本の皆さんに伝
えたい」と博士が来日したのは、大正十一(一九二二)年のことだった。
 ▼今日なら、ハリウッドスターか韓流タレントか。東京女子高等師範(お茶
の水女子大)で歓迎会が催された後、車に乗り込んだ際には女学生が「アイン
シュタイーン」と黄色い歓声をあげ大騒ぎになったとか(講談社『アインシュ
タイン日本で相対論を語る』)。
 ▼一カ月半に及ぶ滞在で、日本文化に触れた博士はこんな言葉を残した。
「近代日本の発展ほど世界を驚かせたものはない。一系の天皇を戴(いただ)
いていることが、今日の日本をあらしめたのである。このような尊い国が世界に
一カ所ぐらいなくてはならない」。
 ▼世界でわが国しかない、二千年をも「万世一系」で繋(つな)いだ「皇統」
が危機を迎え、有識者会議が動き始めた。驚くことに月一回の会合で今秋にも
報告書をまとめるという。そんなことはないだろうが、「十分な審議をお願い
したい」という首相の言葉の裏に政治的意図が潜んでいたら、それは皇室への
冒涜(ぼうとく)ともなる。
 ▼座長は「変えてはならないもの、変えるべきものを見極めたい」と述べた。
時間をかけ、「変えてはならぬもの」を国民と共に熟考したらいい。博士は
日本人に理論だけでなく、あるべき矜持(きょうじ)も残した。「外国の文化の
氾濫(はんらん)で、日本独自の価値あるものを軽く見てもいけないし、固有の
価値を忘れてはいけない」と。