産経・正論・諸君=三馬鹿の壁 その4

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303文責・名無しさん
容赦なき戦争 平凡社ライブラリー
ジョン・ダワー (著), John W. Dower (著)

大平洋戦争末期、すでに戦闘能力を失った日本の66都市を、アメリカが核爆弾と焼痍爆弾で無差別爆撃し40万人の非戦闘員を殺戮した行為は、なぜ「人道に対する罪」ではないのか。ナチスのユダヤ人ホロコーストに激しく嘔吐した連合国が、
どうして対日無差別爆撃を正当化しえたのか。本書は、欧米型人道主義がことさら目と口を塞いできた戦争の人種的側面に、真正面から迫った労作である。
「ユダヤ人の大量虐殺を別とすれば、人種主義は、第2次世界大戦を語る場合に主題として取り上げられることはほとんどない」。しかし、ドイツと日本の残虐行為を見る連合国の目は人種的に両者を差別していた。ドイツの残虐行為は「ナチスの犯罪」であり、
ドイツ文化や国民性に根ざすものではなかった。これに対して、アジアの戦場における日本の残虐行為は「単に『日本人』の行為として伝えられていた」。
ジョン・ダワーは、大平洋戦争当時のアメリカの政府高官や軍指導部の発言、新聞・雑誌の論調、さらには映画、ポップカルチャー、時事マンガにいたる膨大な資料を渉猟し、そこに通底する「赤裸々な人種主義的本質」を摘出した。
「日本人は人間ではない。残虐なサルだ。だから1匹残さず殺せ」という意識が、戦争遂行機関、マスメディア、戦場の兵士を貫いていたという。