7月13日 国際欄
特派員メモ ソウル
強い内信記者
「何しに来た。出ていってくれ」。韓国メディアから怒鳴られ、記者室から追い出されてしまった。
ジャカルタのホテルに韓国政府代表団が用意した部屋だ。ただ韓国外相の発言を確かめに来ただけなん
だけど……。
先月末の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会議で、私はわざわざ韓国代表団と同じホテルに泊まった
のに、記者側から排除されて、ほとんど無意味だった。
傍らに外交通商省幹部がいるのに、うつむくだけ。記者会見の後で、個別の取材に応じてくれた職員がい
たのが救いだった。
私たちのような外国メディアは「外信」(ウェシン)と呼ばれ、韓国内でも外国の国際会議でも、排除さ
れることが多い。「内信」(ネシン)マスコミの発言力が強く、役所と癒着しすぎるのが原因だ。廬武絃
大統領は昨年以来、自分の記者会見を外信にも開放したが、内信からは今も不満が聞かれる。
理不尽な排除にカッと怒りがわくが、この悪習が日本の植民地時代を引きずっているといわれているだけ
に、ひとごとではない。日本だって、外国メディアへの開放は、まだ十分でないのだから。
でも、役所も内信も、韓国を理解しようと近寄る私たちを、あまり遠ざけないで欲しい。 (市川速水)