産経抄ファンクラブ第25集

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出生率では8件。カタストロフ願望みたいなの。
[1996年10月23日 東京朝刊]
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 アメリカ東部を襲った大豪雪から九カ月余り、いまニューヨークやワシントン近郊の病院は大
出産ブームでてんてこ舞いだという。自然の摂理のたくらみというか、人間の営みのかなしさと
いうか

 ▼一九六五年のニューヨーク大停電や、九〇年のノースカロライナ州ハリケーン襲来のあと、
一時的なベビーブームが起きたことはよく知られる。現代は“セックスレス時代”などといわれる
が、大雪ではすることがない。ようやく人間的な時間を共有したのだろう

 ▼他人(ひと)事ならず日本社会の方も、平成七年に生まれてきた赤ちゃんの数(出生数)は、
百十八万人余で史上最低だった。“出産ストライキ”をする女性がふえ、晩婚・非婚がますます
進んで少子化に歯止めがかからない

 ▼実はこうした出生率低下が募っていくと、わが国の人口は百年後の二十一世紀末にはいま
の半分の五千五百万人に激減するという試算があるそうだ。“日はまた沈む”、経済大国に浮か
れている日本は足元をすくわれる。若年労働力の減少で日本経済が大打撃を受けることは必
至だろう

 ▼若い男性が結婚できないのは経済力が弱いからで、若い女性が結婚したがらないのは経
済的に自立できるから。若い夫婦が子どもを産みたがらないのは現在の生活のレベルを落とし
たくないから。子どもを産まなくなったのは、地球全体が疲れてきて人間の繁殖力が下がった
からという説もある

 ▼国としての人口政策といっても、いまさら「産めよ増やせよ」の時代ではなく、それにまた人
の生き方・考え方にかかわる問題だから行政が踏みこむことは難しい。トウキョウ大停電やオ
オサカ豪雨の天佑(ゆう)を待つばかりである↑