>>479 日本のコメカレンダーは過去2件。激しくデジャヴだったんだが気のせいだった。
新しい方。
[2002年10月20日 東京朝刊]
「空も土地も木も私にささやく、お帰りなさいと」東京では表情が重たかった曽我ひとみさん(四
三)の、故郷・佐渡での第一声にはやはり胸が熱くなった。東京から新潟までの新幹線の中で
メモにした言葉だという
▼曽我さんも他の四人と同様、複雑な事情を胸にしまって帰ってきたに違いない。しかし、新幹
線が長いトンネルを抜けた後、刈り入れが終わった越後平野の水田や、遠くの山並みを見て気
持ちが開かれた。素直に日本人の心に戻ることができた。そう思えてならないのだ
▼そんな折、早くも来年の「日本の米カレンダー」(サン制作 TEL03・3669・8371)が送ら
れてきた。立正大教授の富山和子さんが毎年作っておられる。鮮やかな稲作の写真をいつも
楽しみにしているのだが、来年の九月は、越後平野のたわわに実った稲穂である
▼そのキャプションで、富山さんはこう書いている。「重く垂れた稲穂を見ると それだけで幸せ
になり天に感謝し土地の豊かさを思う これはもう遺伝子に刻み込まれた日本人の血 民族の
心」。しかし富山さんの言いたいことはそれだけではない
▼もともと、この信濃川氾濫原も洪水に悩まされる土地だった。昭和になって排水ができ、今
のような穀倉地帯に変わったのだという。今、最も忘れてならないのは、山に木を植えて水をた
くわえ、灌漑(かんがい)をしながら米を作ってきたこの国や故郷の歴史であり文化なのだ
▼中教審の教育基本法改正素案が、新たな教育理念として愛国心や郷土愛を盛り込んだ。
軍国主義を教えるのではない。こうした歴史や文化への思いを育もうというのだろう。曽我さんを
熱くしたのも、土地や木や川の向こうに見えた母国の人々の営みではなかったのか。