朝日の基地外投稿 第92面

このエントリーをはてなブックマークに追加
464文責・名無しさん
大沼氏は左翼でもまともな方なんで、電波度低めですが・・・・

4月24日朝日新聞大阪本社版朝刊
私の視点 ウィークエンド
◆「自己責任」論 「保守主義の知恵」どこへ
大沼保昭 東京大学教授(国際法)
イラクでの人質事件の報道と論評に接して、日本の現状と将来への強い不安をおぼえた。
不安の一つは、日本の世論が至って単純な「自己責任」論に奔流のように流れていった
ことである。私は自己責任の「本場」米国で3年暮らしたが、今回と同じような事件が
起こった場合、米国の世論が自己責任論一色に染まったとはとうてい思えない。
人質になった5人に危機意識が足りなかったことは確かである。だが、私たちは若い頃、
それほど間違った判断のない人生を送ってきたのだろうか。私にはとうていそう言い
きれる自信はない。特に高遠菜穂子さんは、身銭を切ってイラクの貧しい子たちを助けて
きた方である。彼女を批判した人たちの中には、現代の若者が「公」への関心を失い、
自分の小さな幸せだけを追求することを嘆き、批判してきた向きも多い。彼女が他国の
子たちの運命にまで心を砕き、献身的に働き、現地の人たちからも高く評価されているという事実を無視して、
その軽率な判断のみを「自己責任」という、自分自身が果たしているかどうか怪しい理念から断罪するのは、公平ではない。
人質事件は自衛隊派遣とは無関係だという議論が横行したのも驚くべきことだった。
小泉政権が国際法的に根拠を欠き、政治的にも賢明とは言い難いブッシュ政権のイラク
侵攻を支持して自衛隊を派遣した時、私はそうした行動はアラブ地域で日本が築き上げた
信頼を損ない、日本国民をテロ攻撃にさらす危険性を高める誤った政策であると批判して
きた。今回の人質事件はその危惧が現実化していることを如実に示した。
465文責・名無しさん:04/04/26 20:15 ID:hOOHrU3n
>>464続き

日本の将来への最大の不安は保守主義の知恵の喪失である。事件への多くの政治家と
メディアの対応は、ここ数年私が感じているこの問題性をあぶり出した。
戦後保守政治を支えた大きな要因は、目配りが利き、バランスがとれた保守主義の知恵
だった。社会党や朝日新聞が異を唱えても、現実的な判断も加え、時には「革新派」の
政策を我が物にするしたたかさで日本を運営していく。そうした大人の知恵にこそ、
保守主義の強みと安心感があったのだ。自民党はそういう大人の政党であり、読売新聞も
そういうメディアではなかったのか。
それが最近、そうしたバランス感覚と目配りが影をひそめ、ひたすら勇ましい言説が
声高に唱えられ、主流となっている。今回単純な自己責任論が日本中を席巻したのも、
最大の発行部数を誇る読売新聞がその点のみを強調する論陣を張ったことが、一つの
大きな原因ではないか。
自己責任論それ自体は正しい。NGO(非政府組織)がすべて善玉のような風潮は明らかに誤りであり、
私自身、NGOに見られる独善性を厳しく批判してきた。ただ、政府や
自衛隊にはできず、NGOにしか果たすことのできない重要な社会的任務があることも
忘れてはならない。若者に公共心を持てと言っておきながら、間違いをしでかすと人格
攻撃まで行うような態度は、大人がとるべき態度ではない。
憂鬱な思いで報道や論評を読むことが多かったこの3週間、救いもあった。私が最も
素直にうなずくことができたのは、4月14日付朝日新聞朝刊の船橋洋一氏と、
4月16日付読売新聞東京本社版夕刊の櫻田淳氏の論評だった。後者には、政府と
NGOの相互補完的な役割がまさに保守主義の知恵をもって説かれていた。
メディアが国民に情報を伝え、論評によって国民に判断の材料を与える力はかつて
ないほど高まっている。力のある者は、その力を、細心の注意を払って抑制的に
用いなければならない。かつて「進歩派」のメディアはこの原理を忘れて行動する
ことが多かった。今は「保守派」のメディアを担う方々に、この意味を真剣に考えて
いただきたい。そう強く願う。