やっちゃった!今日の朝日のドキュン記事 その41

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677文責・名無しさん
4/30 朝日 オピニオン欄 私の視点

◆人質事件 「国家と区別 市民を解放」

 東京大学教授(社会学) 上野千鶴子

 「戦争」の歴史のなかで事件が起きた。日本という国を「敵」と見なした
イラクの武装勢力が、市民は「敵」としなかったのだ。高遠菜穂子さん、郡山総一郎さん、
今井紀明さんの日本人3人を拘束した行為は許されるものではない。しかし、
武装勢力が国家と市民を区別して扱ったことは記憶しておきたい。
 高遠さんと今井さんはNGO、郡山さんも民間のカメラマンで、いずれも国家を背負う立場にない。
NGOは読んで字のごとく「非政府」の組織。そこで動く市民は国家の代表ではないし、代弁もしない。
 仮に人質が国家を背負う人だったら事態は別の展開をみせたかもしれない。現に、日本政府の
外交官は殺害されている。
 戦争は国家と国家の争いである。これまで国家に所属する国民は、敵対した国家の国民から自動的に
「敵」と見なされた。イラクの敵となったアメリカの国民は、世界のどこにいても、テロリストの
標的になる危険性にさらされている。
 アメリカという国家は太平洋戦争の最中、日系アメリカ人を、アメリカ市民であるにもかかわらず、
「敵性外国人」として強制収容所に拉致し、拘束した。当時のアメリカは国家と市民を区別しなかった。
 高遠さんらにとって、イラクの市民は敵ではない。解放された後「また行きたい」「イラクの人たちを
嫌いになれない」という発言が出るのも理解できる。市民と市民の関係だからだ。
 なのに、彼らはうなだれて帰国した。韓国の東亜日報は20日付けでこう書いている。
「手錠をしていないだけで、彼らの様子は海外から移送された犯罪人と変わらなかった」。そう、3人は
国家の「囚人(とらわれびと)」として戻ってきた。
678文責・名無しさん:04/04/30 11:41 ID:g4G2aze3
>>677の続き)

 23日付の朝日新聞で日本紛争予防センターの明石康さんは、家族が政府に救出を要求した点について
「政府とは異なる目的で行動しているはずの個人が、危機状況では国家に頼るという日本的構造が残っている」
と批判している。
 そうだろうか。武装勢力が交渉相手としたのは日本政府なのだから、家族が政府に交渉に応じるよう
要求するのは当然だろう。そもそも、3人の生命を危険にさらしたのは、ほかならぬ自衛隊派遣という
政府の行動だ。政府は危険を増幅した責任がある。
 彼らにとどまらない。私たちの危険もまた、政府の行動のせいで、高まっている。テロのグローバル化の
おかげで、国外、国内を問わず、日本人だというだけで、危険がふりかかってくるかもしれない。
 武装勢力は市民を人質に、日本という国家と交渉した。国家は早々に、交渉に応じることを拒否した。
にもかかわらず、武装勢力は市民と国家を区別し、人質を解放した。血で血を洗う戦闘状態のなか、
多くの人々の関与で、これほどまでに理性的な判断が成立したことが、事件でなくてなんだろうか。
 高遠さん、郡山さん、今井さん。どうぞ顔を上げて、胸を張って、堂々と、私たちの前に出てきてほしい。
そこで、あなたたちのためにたくさんの人たちが動いたことに、心から感謝すればよい。
 しかし、決して謝罪などしないでほしい。あなたたちは被害者でこそあれ、何一つ悪いことをしていないのだから。
わたしはあなたたちのような勇気のある市民を持ったことを、誇りに思う。