中日新聞・東京新聞こそ電波!! その13

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711文責・名無しさん
夕刊 文化欄 『私の国家観』【上】 筑紫哲也 VS なかにし礼

イラク人質事件
筑紫氏”「自国民守る」が最優先”
なかにし氏”国益への追従は危険”

 国が揺れている。国民世論が大きく賛否を割る中、実行された自衛隊のイラク派遣。
その後、日本人5人を相次いで拉致し、人命を引き替えに自衛隊の撤退を要求する
抵抗組織側に、日本政府は応じない。国家の大義と国民の命が天秤にかけられる事態は、
「国家」と「国民」の関係を否応なく問いかけてくる。高まりつつある改憲論議も踏まえ、
ジャーナリストの筑紫哲也氏と作家のなかにし礼氏に「私たちにとっての国とは何か」を
語り合ってもらった。
712711:04/04/21 17:17 ID:r9IBp+gR
――イラクでは邦人人質事件が起き、国内ではさまざまな反応がありました。

筑紫:今回のことは国家と国民の関係をあぶり出しにしました。
   国民国家が生まれて以来、最優先されるのは自国民を守ることでした。
   しかし今回の人質事件では自衛隊派遣という国家目的を優先した。
   私が特派員時代、大地震が起きたニカラグアで取材中、悲嘆に暮れた韓国人親子に
   出会った。米国で生まれた子供だけは米国人として保護され、韓国人の
   両親と泣き別れるというのです。多民族複合国家の米国は自国民を保護しなければ
   国民から信用されません。日本ではそこが希薄です。国が守るべき国民が
   人質にされ、救出を訴える家族に対するバッシングにはすごいショックを受けました。
   国家と国民の関係をどう保つかが国のかたちに大きく関係します。

なか:私がテレビで、国家は国民を守る義務があるのだから、日本は日本人を助けるしか
   ないだろうと言うと、「彼らは勝手に行った」などひぼう中傷の電話があった。
   そういう国民に対して本当に悲しいと思う。
   私は1946年の引き揚げです。満州開拓という国策に乗った200万人の人たちが
   戦後一年二カ月にわたち放置され、国ではなく民間の事業で帰ってきた。
   帰国後は引き揚げ者としての意識を強いられてきた。日本人は第二次世界大戦で
   こんな苦い勉強をしたはずなのに、学ぶことが少なかったようです。
   今回、国民がこんな反応でよいのでしょうか。
713711:04/04/21 17:17 ID:r9IBp+gR
筑紫:国民主権なのだから主権者は自分たちであり、国家はそのための便宜なんです。
   イラクには安全な所があるという建前で自衛隊を出した。しかしファルージャの
   出来事がすべてをエスカレートさせた。600人を殺され追い詰められた側が
   外国人を盾にしようという作戦に移行した。人道復興援助という意味では自衛隊も、
   高遠菜穂子さんらのストリートチルドレンを救う活動も同じです。
   やるべき事は国でやるからNGOやNPOはどうでもいいという考え方はおかしいんです。

なか:国民全体を守るということは、結局、個人を守ることでしょう。
   今回、個人に対する鈍感さがあからさまに出てしまい、正直、寂しく感じました。

筑紫:民が主人公である民主主義が血や肉になっていませんでした。
   今回、人質になっていた3人のうち一人は18歳ですが、18になれば個人の意志を
   尊重しても良いと思うし、残り二人も大人です。
   しかしなぜ止められなかったのかと、家族が責められている。テロに対して
   安全な場所はないわけで、たとえば渋谷でテロが起きた場合、行かせた親が
   悪いんでしょうか?もっと個人を認める意識を持たないと、国民は国家に従属する
   戦前のような社会になってしまう。
714711:04/04/21 17:18 ID:r9IBp+gR
なか:敗戦直前、旧満州で関東軍が逃げ出す姿を目の当たりにするまで、われわれは
   大丈夫だと思っていた。中国人の土地を奪い、労働力を搾取して成り立っていた所に
   百数十万の日本人が放置されたんです。自分で生きる手だてはなく、中国人の
   顔色をうかがい温情を受け、幸運にも生き抜いた。それを見て見ぬふりをした
   故国とはこんなに頼りなく遠いところにあるのかと思いました。

筑紫:どこまで国家が国民を守ってくれるかに対し、日本人は鈍感です。
   私は幼児体験から国家は疑っていい存在だと思っています。戦後、社会が崩壊し、
   何かに頼って生きていこうと思っていた時、企業が疑似家族になった。
   しかし終身雇用、年功序列のシステムがここ数年で破綻し、頼る大樹が次々と
   なくなり、国に寄生しようとするパラサイトナショナリズムに向かい始めています。
   その心理が急速に強まる中、今の政権が生まれたのは因果関係があるでしょう。
   この先のことを考えると、そんなに国を頼りにするのは危ないと思います。
   それでも疑うこともなく、国が磐石だと思っている。

なか:この国はついこの前、崩壊したじゃないですか。