中日新聞・東京新聞こそ電波!! その13

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665文責・名無しさん
中日新聞2004年4月20日朝刊
短期集中連載記事「ニッポンの空気 イラク人質事件から」

・(上)自己責任
 「遊泳禁止の札が立っているところに泳ぎにいったようなものだ」。与党のある
閣僚経験議員はイラクで人質になったボランティア高遠菜穂子さん(34)ら三人の
行動をこうたとえて批判。「命は助けなければならないが、相当大きな税金が使われて
いる。これからは自分で自分の行動に責任を持つべきだ」と強調した。
 無事解放され、帰国した三人が姿を見せた十八日夜の羽田空港。解放時の笑顔は消え、
精神状態などから予定された記者会見もキャンセルされた。日本に向かう機中で書いた
という感謝と反省の気持ちをつづった三人のメッセージだけが公表された。
 事件発覚以来、政府の退避勧告を無視してイラクに入った三人の「自己責任」を
問う声が政府側などから挙がった。武装グループが解放条件とした「自衛隊撤退」を
政府に求めた家族の発言も自己責任の声に押し込められ、「政治的発言」と非難された。
 三人や家族に相次いだ心無い中傷ひぼうは論外だが、この自己責任の四文字は、事件の
当事者たちに重くのしかかった。「自己責任」とはなんなのか。
666文責・名無しさん:04/04/20 11:32 ID:Ror4gfHI

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 ロシア南部ダゲスタン共和国で十一日、武装グループに誘拐されたオランダ人活動家が
救出された。フランス発祥の国際緊急医療援助団体「国境なき医師団」に所属する
活動家の拘束は一年八カ月間に及んだ。
 「ボランティアの誘拐はこれまでイラクなどで十件近くに上る。全て解放されて
いるが、基本的には個人がリスクを負う」と「医師団日本」の広報ディレクター
馬場真代さんらは話す。
 徹底した事前調査、退避ルートの確保、定時連絡、外出規制、無線での暗号使用、
現地の行政機構や支配勢力などの事前了解…。幾重にも安全ネットを張りめぐらすのが
「医師団」の活動のルールだ。
 「医師団」の憲章には「自らの任務の危険性を認識し、国境なき医師団が提供しうる
範囲を超えて補償を求める権利を持たない」との規定がある。任務で命を落としても、
契約以上の補償を求めないとの原則だ。
 現在、イラクで最も危険とされる地域にタクシー一台で入り込み、人質となった三人。
現時点の情報では、三人が厳しい安全ルールを課していた様子はうかがえない。
667文責・名無しさん:04/04/20 11:33 ID:Ror4gfHI

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 月刊誌「世界」の岡本厚編集長は、自己責任論についてこんな見方をする。「危険を
知りながら入国した三人に自己責任は存在する。しかし、その責任の範囲はどこまでか。
当事者が取れる最大範囲は自らの死。それ以上のこと、犯人グループの要求する内容に
まで責任を負わされるいわれはない」
 「犯人と交渉するかどうか、政策を変更するかどうか、今回の場合、自衛隊を撤退
させるか否かは政府の責任で行われるべきであり、人質の自己責任論は『見殺しでも
仕方ない』という判断を偽装するだけのものだ」と語る。
 政府は同じような事件の発生を警戒し、自己責任論を強調、三人の救出にかかった
費用の一部負担も検討している。
 そんな中、フランスのル・モンド紙は十七日付の評論欄に東京支局長の署名記事を
掲載した。「自己主張もせずにネクタイと背広姿に埋もれ、流行を追いかけ、リッチな
夜を楽しむとらえどころのない若者がいる一方で、社会の変化に参画することで貢献する
真面目で快活な若者もいる」

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 イラク邦人人質事件は無事解決した。だが、人質三人や家族が受けたきずは深い。
事件をめぐる日本社会の空気はどこかおかしくないか。その空気を検証した。