『産経抄』ファンクラブ 第18集

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市民の人権を守れ。
犯人の動静を知りたいという好奇心は、人間の健全な環状であり、健康な心理だ。

1997.08.14 
 容疑者や加害者の側の人権ばかりが異常に尊重されるおかしさ。神戸の淳くん事件ではそ
の違和感が大きく浮き彫りにされた。「フォーカス」の写真掲載騒動も、問題提起して意義がな
かったわけではない

 ▼そんな折、連続通り魔として逮捕された二十歳の容疑者が東京・志村署から送検された
が、警察署の玄関から車に移る様子がテレビに出た。新聞の報道写真にもなった。そこで素顔
がそのまま映し出されたのである。これは良いことだった

 ▼良いことというのが書き過ぎだとすれば、適切な措置であったと思う。容疑者がジャンパー
などをすっぽりかぶらされ、必要以上に保護される光景にはうんざりしてきた。たぶん“人権派”
弁護士などの主張や抗議を恐れての措置だったのだろう

 ▼むろん容疑者が少年などの場合は別だが、この通り魔事件では被害者の女性たちに自然
な形で容疑者の「面通し」ができた。警察のたくまざる計らいだったかもしれない。“人権派”の
偽善にひるむ必要はない。犯人の顔が見たいという好奇心は、人間の健全な感情であり、健康
な心理であるからだ

 ▼たとえば英国などは、加害者でなく被害者の側に立ってものを考えることに徹底している。
外電によると英内務省は、レイプで有罪判決を受けた元受刑者の所在や動静などを、警察情
報として近隣の学校に知らせる方針をとったというのである

 ▼それこそ“人権派”が聞いたら目をむいて抗議しそうな対応だが、性犯罪者は出所後もくり
かえし子どもに性的危害を加える恐れがあるそうだ。そうまでしても社会や地域を防衛したい。
市民の人権を守らねばならないという固い決意の表れなのだろう。