2月28日 大阪版 声『強制連行と教科書』
歴史の事実をねじ伏せるな
教員 奥山 忍(長崎市 31歳)
今年の大学入試センター試験・世界史で、
「第2次世界大戦中の日本の強制連行」を問う問題が出題された。
それを受けて自民党の「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」は、
歴史教科書から「強制連行」の記述の削除を求める運動に取り組む方針を決めたという。
1894年の日清戦争の前、90年に教育勅語が出され、
国民が戦争に邁進(まいしん)できるような国家主義教育を行う体制が取られた。
日清戦争の10年後には日露戦争、さらにその10年後には第1次世界大戦に参戦。
その間、1910年に韓国併合が行われた。
そして多くの朝鮮半島の人々が強制連行で駆り出された。
戦争に次ぐ戦争の結果、どういうことになったのか。私たちは知っている。
また、強制連行という言葉が拉致問題で政治的に利用されているという指摘もあるそうだ。
しかし、政治的な圧力で歴史の事実をねじ伏せようとしているのは一体誰なのか。
長崎に来てから、被爆者の方に教わった「戦争の最初の犠牲者は『真実』である」
という言葉か脳裏をよぎる。
かつての過ちを繰り返させてはならない。
2月28日 大阪版 声『強制連行と教科書』
学校の教育で語り継ぐ必要
高校生 森永 穣英(広島県 18歳)
自民党の「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」が、
歴史教科書から「強制連行」の記述削除を求める運動に取り組む方針だという記事を見て、
私は愕然(がくぜん)としました。
私は現在受験生で、世界史の科目を受けたのですが、
第2次世界大戦中に日本が行った「強制連行」は中学・高校の歴史で学び、
そして一般知識としても当然知っていました。
その当然として知られ、日本が戦後避けて通れずに責任をとらねばならなかった
「強制連行」の問題を教科書から削除を求めるとはどういうことなのでしょうか。
私は強い憤りを覚えました。
なぜなら、大戦中、日本は朝鮮人を中心に「強制連行」を行い、
多くの人に強制労働をさせたのです。
そういう逃れようのない事実は、紛れもなく本当にあったのです。
事実は事実としてきちんと受け止めるべきではないでしょうか。
「新しい歴史教科書をつくる会」は大学入試センターの問題で責任者の処分を求める理由として、
「国民徴用令に基づく徴用は国家による合法的行為」だとしていますが、
「国家による合法」だというならば、あの戦争の大義、
あの戦争全体を肯定するのも同然なのではないでしょうか。
歴史の事実は事実としてこれからも正しい歴史教育を行い、
次の世代に語り継いでいくべきだと思います。