やっちゃった!今日の朝日のドキュン記事 その36

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辻元事件 裁判員が裁いたら

この欄でこれまで辻元清美事件について折々取り上げたので、それがどう決着するのか、12日
の東京地裁の判決を傍聴にでかけた。
席数の二倍の希望者がいたので抽選になる。運よく当たって104号法廷に入る。なかなか厳粛で
ある。
「被告人、前へ」
懲役二年で執行猶予五年。詐欺罪。裁判長が読み上げた判決は厳しかった。
▽政策秘書制度をないがしろにした▽その給与を他の政策スタッフに使ったからという言い訳は
安易で自己中心的▽罪の意識の覚醒の機会があったのに自覚がなかった▽発覚後の釈明のうそや
口裏合わせも悪質である

名義借り、親族秘書などで給与を浮かすのは政界に例の少なくない悪習である。一人だけ罰する
のは不公平ではないか。いや、そうではないと判決は断じた。辻元被告の罪は罪。そこに罪があ
れば、それを罰するのが司法である。
とりわけ司法が立法府の廉潔性を求めて厳しいのは、三権分立の精神からして正しいことだった
ろう。
737文責・名無しさん:04/02/17 10:04 ID:b4Z3CohK
しかし、三面記事の真ん中のマンギョンボン号のやつはなんとかならんか・・・
この期に及んで、生きる糧だの日本は酷いだのいいやがって・・・
ただ国会議員の二件の先例が実刑だったのと違って執行猶予をつけた。その理由。
▽衆議院議員を辞職し給与を返還した▽22日間の逮捕拘留▽執拗な取材攻勢を受けた▽NPO法、
児童買春・児童ポルノ禁止法など議員立法の実績▽詐取した給与を個人的用途に使っていない▽知
人友人の減刑嘆願(渡部恒三・前衆議院副議長の法廷での証言や3万人の署名簿)
裁判長は「反省の態度を信じて」と結んだ。
さて、もしいま日本にも導入しようとしている裁判員制度があったら、辻元裁判はどうなっていた
か、ふとそんなことを思った。
裁判官三人に裁判員六人。専門家の裁判官だけでは「市民の常識」に反する判決になるやもしれず、
死刑になるような重大犯罪について「裁判員」として市民を参加させたいという趣旨である。辻元
裁判はその要件に当てはまるわけではないのだが、仮に裁判員会議があったら、どんな議論になる
か。
裁判員A「罪は罪かもしれないけれど、どうも不公平感をぬぐえません」
裁判員B「年老いた母親が秘書だとか一度も国会に来たことがない妻が秘書というのもありましたね」
裁判員C「警察が人の名前を勝手に使って裏金をつくっていたのは事実と元旭川中央署長が証言しま
した。官房機密費もやはり疑問ですよ」
裁判員D「私は知り合いの国会議員から聞きました。ある不正資金事件で、もし全部明るみに出たら
某政党幹部がみんな関与して失脚しかねないので、その手前でくい止めるために司法当局と取引した
んだって」
裁判員E「ちょっと待って。証拠として提出されていないことを前提に判断してはいけませんよ」
裁判員F「しかし北海道庁の顧問だった山口二郎北大教授はこの辻元裁判の法廷に出て証言しました
よ。北海道庁でカラ出張やカラ雇用で裏金をつくって、全部で78億円を備品購入や仲間の飲み食いに
使っていた。不適切支出は目をつぶり、不正支出20億円は職員がみんなで返した。それを検察は起訴
せずにすませたんですよ。何かアンバランスだと思いませんか」
たぶんこんな評議になるのではないか。
おそらく政治倫理の問題は、法廷に持ち込まれた事件を厳しく裁けばすむのではない。政治自体、政
治全体の反省と改善への努力がなければ、「市民の常識」の目に映る不公平感をぬぐうことはできな
いだろう。
トルストイの小説「復活」は、そんな法廷ドラマでもある。「国民の任務だからね」と陪審員になった
ネフリュードフ公爵は、殺人事件の女囚カチューシャが自分が犯して捨てた娘だったとわかって罪の意
識に苦しむ。
無実なのにシベリアに流刑になるカチューシャを追って公爵は贖罪の旅に出る。堕落した生活から立ち
直るカチューシャ。真の愛にめざめる公爵。トルストイは専制警察国家ロシアの裁判の不合理と不正を
告発している。
翻ってわが日本の司法はどんなものだろう。振り返りながら東京地裁を出た。