☆朝夕の娯楽★天声人語&素粒子。27年テーゼ★☆

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885文責・名無しさん
■《天声人語》

 ご飯に焼き魚、のり、みそ汁の食事だと自給率は85%、ハンバーガー、フライドポテト、
コーラでは自給率が20%になる。農林水産省が試算した。自給率を高めるために、もっと
ご飯を食べましょう、というわけだ。

 カロリーに換算すると、日本の食料自給率は40%である。40年前には70%を超えていた。
ご飯中心から欧米型の食事に変わってきたこと、外食が増えたことなどが原因にあげられる。
占領政策を進めた米国が、自国の農産物を売りつけるために日本人の食生活を変えた。
そんな説もあるほどだ。

 フード・マイレージという言葉がある。食品の量と輸送距離とを掛け合わせた数字だ。食料
調達にどれだけエネルギーを使っているかの指標になる。輸入食料についての試算では
9千億トン・キロメートルで、自給率100%を超える米国の3倍にのぼった。農産物輸入額で
みると、日本は世界全体の1割を占める。世界中から食材をかき集めているのが現状だ。

 街から牛丼が消え、外食産業では鶏肉の仕入れに苦心する。そんな風景が広がると、
不安の方も広がる。最近の農水省調査では、国民の9割が食料供給に不安を感じている。

 自給率が低いことにも利点がないわけではない。食卓を直撃する国際情勢に敏感に
ならざるをえない。他国と仲良くしようとの意識も強まる。何より戦乱や紛争のない平和が、
食べていくためにも大事であることを実感できる。

 ただ、とうふや納豆の原料になる食用大豆の自給率が25%と聞くと、もう少し国内産が
増えてほしいとの思いも禁じえない。