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文責・名無しさん:
■《天声人語》12月12日付
国の針路を左右するような課題を抱え込んだ重たい歳末となった。
そのせいか、今年起きたあのこともこのことも、随分遠いことのように思われる。
住友生命が毎年募集している「創作四字熟語」の優秀・入選作で、この1年を振り返ってみる。
全国から寄せられた約1万点のうち、最多の16%が「タイガースもの」だったという。
長い「虎無沙汰(こぶさた)」の後だけに、道頓堀川では5千人以上が「橋喜乱舞」した。
アジア発の新型肺炎に世界がおびえ、マスクでの「被面阻禍」で「平温無事」を願う姿が目立った。
冷たい「穀菜痛夏(こくさいつうか)」に負けずに作物を育てあげたのに、「愛米何処(どこ)」と嘆かせる犯行が続いた。
オレオレという「我称連呼(合従連衡)」や、宮家をかたる「殿下御免」など、人の心理につけこむ犯罪も後を絶たない。
総選挙でのマニフェストは「政権効薬」なのか、一時の膏薬(こうやく)だったのか。
「憂慮道路」の行方など見ながら判断することになる。財政難から、国は「八方取税」の構えで、「嗜好(しこう)停止」に踏み切った人もあるだろう。
医療費の自己負担増には「三割達者(打者)」を目指すしかないのか。「後世捻(ねん)金」も心配だ。
1年を通して世界をゆるがしたのは、イラクの戦争だった。大規模戦闘終結宣言の後にも多くの命が奪われ「苛苦(いらく)復興」に陥った。
あの開戦の攻撃を、四字熟語もどきに作ってみれば、世界の憂慮の中での、米英による「専制攻撃」ではなかったか。
そして、イラクへの復興支援が「撃主(ぶっしゅ)支援」に偏りはしないかと気にかかる。
厳しい年が、暮れてゆく。(以上)