○●○朝日の社説 Ver.8

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52109月04日付
■派閥崩壊――小泉&抵抗勢力の共闘

 自民党総裁をめざして小泉首相に挑む顔ぶれが固まってきた。橋本派ながら派閥の
統一候補になれなかった藤井孝男氏、江藤・亀井派の亀井静香氏に続き、高村派の
高村正彦氏も名乗りをあげる。

 前回は小泉氏が圧勝したように、総裁選ではしばしば予想を超えたことが起きる。
今回、その最たるものが参院橋本派の小泉氏再選支持と、橋本派の分裂投票だろう。
派閥の時代が終わりかけていることを、これほど鮮やかに示す出来事はない。

 しかし、それにしても奇妙だ。全国的な各種業界団体の利益を体した議員たちが集まり、
既得権益の維持や拡大に力を振るってきたのが参院橋本派だ。そんな党内きっての
抵抗勢力が首相再選支持とは。

 参院橋本派の現職議員42人のうち約10人が、そうした全国組織の代表として
当選してきた人々だ。公共事業削減の影響を受ける建設業や農業土木産業、首相が
進めたサラリーマンの医療費負担増に反対した医師会系団体など様々である。

 首相が「07年4月に民営化を実現する」と公約した郵政民営化に対する反対派の
牙城(がじょう)も、参院橋本派だ。特定郵便局長のOBらでつくる政治団体
「大樹」は、この派閥に参院議員を送り込んできた。

 郵政民営化の首相公約を「ちょっと言い過ぎだ」と批判したのは、参院橋本派を
率いる青木幹雄氏だった。道路公団改革でいったん決まった一部の建設凍結を撤回
させたのも青木氏だった。竹中経済財政・金融相の更迭を強く求めてもきた。

 それがなぜ小泉氏支持なのか。

 決め手となったのが、最近相次いで報じられた内閣支持率や首相の人気の高さだ。
まずは、来年夏の参院選で首相を「選挙の顔」に使いたいということだろう。
52209月04日付:03/09/04 07:29 ID:8ym0aAIN
>>521
 議席を守れなければ首相に異論を述べることもできない。参院は自民単独で
過半数に達しない状態が続くかもしれず、法案の成否の鍵を握り続けるためにも
まず選挙で勝たねばならない。それが、押し掛けとも見える首相支持の本音に違いない。

 さて、小泉首相だ。青木氏らの支持表明に「心強い」と感謝を表した。「改革に
反対するのはすべて抵抗勢力だ」「自民党が小泉内閣をつぶすか、小泉内閣が
自民党をつぶすかだ」と啖呵(たんか)を切ってきたことを思えば、あれと思わせる。

 こちらも、改革を進めるにはまずは再選が大前提、どんな助けであれ拒むことは
ないということだろうか。

 だが、この共闘が矛盾だらけであることは誰の目にも明らかだ。首相は再選に
向けて郵政民営化などの推進を掲げ続けると言うが、実現させようとすれば、
抵抗勢力との衝突は避けられない。

 言葉は躍るものの、実態はなかなか前に進まない。小泉改革のそうした歩みが
これからも続くのではないか。参院橋本派の再選支持はそんな予感を抱かせる。