朝日の基地外投稿 第61面

このエントリーをはてなブックマークに追加
657文責・名無しさん
法廷から
   戻せない時間
 都心にあるJRの駅前。若者がポケットティッシュを配っている。よく見かける日常的な
風景。が、一瞬にして悲劇が始まる。
 80歳の老人が近づき、ティッシュが欲しいと手を出した。配り手は、「会社の指示で、
ネクタイをしていない者には渡せない」と断った。納得しない老人はしゃがみ込み、ティ
ッシュの入った足元の箱に手を伸ばした。
 カッときた若者は、老人の顔を一回蹴った。老人はしりもちをつき、仰向きに倒れて、
コンクリートの地面に頭を打ちつけた。救急車で運ばれたが、脳障害で意識が戻らないま
ま、入院が続いている。若者は現場で逮捕されて、傷害罪で起訴された。
 法廷で、被害者の年老いた妻が証言台に立ち、涙ながらに若者をなじった。健康であっ
た夫を返してほしいと。一方、若者にしてみれば、やっと見つけた仕事だけに、会社の指
示に反して老人に手渡す余裕はなかった。しかも、一瞬の怒りから衝動的に一回だけ蹴っ
てしまったものの、これほどの事態は予想もしていなかった。
 しかし、若者は弁解がましいことを一切言わず、頭を深くたれたまま、反省の言葉を繰
り返すだけであった。二人とも、事件の前に時間を戻したいと感じていたであろう。
 検察官の求刑は厳しかった。無理もない。しかし、この若者にその刑は重すぎる。双方
の心情のはざまで、裁判官は、傷害罪としては重いが、被害者の妻にとっては軽い刑を宣
告した。宣告後、被害者の妻は検察官に「ありがとうございました」と頭を下げた。
 人を裁くことは、痛い。
   (東京地裁判事 山○恵)

--------------------------
この文、裁判に関わる者の心情を表したものだけど、実は判例がないとバランスがとれた
ものか分からない。判例求む!