■認定法改正――難民鎖国を解くときだ
北朝鮮を脱出した亡命希望者たちが中国・瀋陽の日本総領事館に駆け込んだ事件から、1年余りが過ぎた。
事件をきっかけに改めて批判を浴びた難民認定法を改正する作業が国会で進んでいる。
日本が81年に難民条約に入り、認定法をつくってから初めての改正となる。
この20年余りの間に日本が難民として受け入れた外国人の総数は300人余り。
毎年何千人も受け入れている他の先進国に比べ、けた違いに少ない。この「難民鎖国」を正す。問われるのはそこだ。
政府案に対抗して、民主党もより抜本的な改正案を提出した。
事は国際社会のなかでの日本の生き方、イメージにもかかわる。
議論を深め、政府与党には政府案を改めるべきは改め、補うべきは補う勇断を期待したい。
政府案の主な改正点は▽認定の申請期限を入国後60日以内としている現行の「60日ルール」をやめる
▽申請者に対する「仮滞在」制度をつくり、一定の条件を満たせば日本滞在を認める、というものだ。
事情のいかんにかかわらず「60日」が過ぎただけで難民と認めない、という運用がまかり通ってきた。
難民の保護を目的とする条約の精神に反するものとして、国際的にも評判が悪い。撤廃は当然だ。
また、「仮滞在」制度ができれば審査中の申請者は原則として強制送還されないことになる。
不安定な申請者の地位の保障を考えたものだ。これも硬直したいまの制度の改善となろう。