596 :
文責・名無しさん:
私はこのリッター氏の意見に全く賛成である。なぜ小泉首相は、日本が戦後はじめて海外に派兵するという重大
案件についての国会での議論をあれほどはしょってしまったのか。1月31日のイラク特別委における与野党入り乱れて
殴り合う強行採決場面をテレビで唖然として見ながら、これは60年安保問題での、安保特別委の強行採決とそっくり
じゃないかと思った。
そして、さらにそのわずか数時間後、法案が国会の本会議に一挙に上程され、ろくな討論もなしで(与党のみの数分間の
形式討論)、与党のみで強行採決してしまう風景を見て、これまた60年安保のときとそっくりじゃないかと思った。あのときも、
安保特別委の強行採決で大騒ぎした後、ほんの数時間後の本会議に一挙に上程され、議論なしの強行採決にyって、一挙に
全案件を通してしまったのである。
597 :
文責・名無しさん:04/03/06 20:10 ID:lse2Oxqt
大きなちがいは、安保のときは警官隊を入れての強行採決だったのに対して、イラク派兵のときは、野党がボイコット
し、与党の単独採決だったこと。そしてもう一つ大きなちがいは、安保のときはマスコミがこの暴挙に怒り、大々的な
批判報道をし、翌日から、暴挙に怒った市民が続々と国会に詰めかけ、連日国会を完全包囲する大デモが1ヶ月にわたって
つづいたのに対して、今回は、それを暴挙と批判するマスコミ報道もなければ、講義のデモもあったのかもしれないがその
報道がまるでなかったことである。
はじめに指摘した報道機関の体質転換は、こういうところによくあらわれている。
598 :
文責・名無しさん:04/03/06 20:15 ID:lse2Oxqt
日本の先の戦争をあれほどひどいものにした最大の原因の一つは、私は報道機関にありと思っている。
軍と政府の側が、大本営発表と検閲によって自由な取材、自由な報道を制限したのに対し、報道機関の側は
抵抗も批判もせず、唯々諾々と従った。そのため、戦争がつづいている間、国民は事態が何ひとつわからない
状態に置かれていた。それどころか、途中から報道機関は、真実を伝えるという、最も大切なこ自己の使命を
忘れ、政府と軍部の発表することがウソデタラメの羅列だとわかっていても、それが事実であるかのごとく
伝えてきた。それによって、日本の報道機関という報道機関が、単なる政府の宣伝機関、戦意高揚機関と化して
いった。要するに戦争の片棒かつぎになってしまったということである。
いま、それに近いことが起きつつあるのではないか。
599 :
文責・名無しさん:04/03/06 20:19 ID:lse2Oxqt
(前略)
もともと日本のメディア(特にテレビ)は、たかだかこの程度の骨なし根性なしの報道しかできないのである。
いまごろ防衛庁の幹部たちは、自粛要請なんかする必要がなかったといって笑いあっているにちがいない。日本の
報道機関は放っておいても、昔もいまも自らすすんで戦争の片棒かつぎをするような組織なのである。
以前に紹介したヘレン・トーマス記者(元UPI)の、
「メディアは今、政府に強く影響されている。ジャーナリストが悲しいほど単純になっている」
という言葉が思いだされた。アメリカ以上に、日本のメディアは政府の意向に簡単に左右されるようになっており、
悲しいほど単純な頭をしたジャーナリストであふれかえっている。
600 :
文責・名無しさん:04/03/06 20:24 ID:lse2Oxqt
前にも述べたが、自衛隊の派遣前は、派遣に対する賛否は、相半ばするというより反対のほうが若干多かった。ところが、派遣が現実化して
からは、賛成が反対を上回るようになった。現地から、批判精神ゼロの、ノーテンキな「兵隊サンはみんな元気で毎日ガンバッテます」式の自衛隊
応援団報道がつづいているからである。
各種世論調査を通観してみると、自衛隊派遣に対して、いまだにはっきり反対する人が30〜40%くらいいるというのに、反対者の視点をキチンと
入れて作られた報道はほどんどない。全メディアが政府の広報機関と化している。これでは賛成者がふえる一方になるのは当たり前である。
だが、これで日本のマスコミは報道機関としての役割を果たしているといえるのだろうか。日本のマスコミ報道を見ている限り、いまイラクで本当の
ところ何が起きているのか、まるで見えてこない。
601 :
文責・名無しさん:04/03/06 20:46 ID:lse2Oxqt
以前に書いたように、自衛隊のイラク派遣が現実のものとなる直前まで、各種世論調査では、派遣に賛成する者より、反対する者のほうが(調査によって数字にバラつきはあるが)ずっと
多かった。ところが、最近の調査をみる見ると(中略)、このところ賛否両論の差がほとんどなくなっている。
この意識の変化はわからないでもない。派遣が本格的に決まるまでは、メディアは、心配と不安を強調する報道を行ってきたが、派遣が本格的に決まっていく過程では、小泉首相をはじめ
とする当事者たちが決然たる面持ちで、それがいかに意義ある活動かを繰り返し語り、また、その危険な任務を引き受ける自衛隊員たちがいかに勇気ある人々かをたたえる発言が繰り返された。
そして、現実に自衛隊が出発し、現地で活動をはじめると、その活動が毎日のように報じられ、自衛隊の歴史はじまって以来の大量のナマ現場報道がテレビにあふれた。自他永代は、抽象的論議の
対象から、にわかに顔を持った存在になり、繰り返し登場するヒゲの隊長などは、街の人気ものになってしまうなど、テレビ時代ならではの現象まで起きている。
TVコマーシャルと同じで、「これが正しい行動だ」「これが意義ある行動だ」というメッセージが繰り返し繰り返し強力なメディアを通じて大衆に伝えられると、それが自然に大衆の頭の中に
植えつけられ、その行動は社会的に容認され、賞揚されるようになってしまう。ストレート・ニュースに登場する要路の人々の毅然たる発言の繰り返しによって、ゲッペルス以来の大量宣伝による
大衆洗脳が、いままさに目の前で現実化しつつあるのだ。