●桂敬一立正大学教授の警告
古賀潤一郎代議士に端を発する政治家の学歴疑惑報道。
元日本新聞協会研究所長で立正大学文学部の桂敬一教授(ジャーナリズム論)は、
大新聞・テレビの報道姿勢について、こう疑問を呈している。(以下、桂教授の話)
(前略)無論、軽率な回答をした古賀氏の責任は免れないが、
一方で小泉首相、安倍幹事長といった政府・与党首脳の学歴疑惑が新聞・テレビで
全く報じられないことに比べると“弱い者いじめ”の感は否めない。
なぜ、新聞・テレビが政権を批判できないのかといえば、
政府から情報が得られないことを恐れているからだ。
具体的には、サマワに派遣された自衛隊に関する報道が挙げられる。
今はどの社も派遣部隊に関するニュースが欲しいが、官邸はそれを知った上で、
政府に都合の良い報道をした社に対しては“スペシャルサービス”をしている。
実際、自衛隊派遣に肯定的な読売新聞やNHK、フジテレビ等に対しては、
先遣隊の佐藤正久隊長のインタビューを優先的に行なわせていた。
こうしたインタビューは防衛庁の許可、さらにいえば福田官房長官のお墨付きがなければできないわけであり、
官邸に批判的な社は締め出されてしまうのが現状だ。
こんな状況が続けば、今は政府に批判的なメディアでも、やがて情報欲しさから政府を持ち上げる報道をせざるを得なくなる。
それこそが官邸の狙いであり、大マスコミはまんまと乗せられてしまっている。
対して、アメリカのメディアは、政権に対してもまったく臆することなく問題があれば批判している。
折しも、アメリカではブッシュ大統領の軍歴疑惑が盛んに取り沙汰されているが、
これは大統領がどんな人物なのか知りたいという米国民の気持ちをメディアがきちんと代弁している結果だ。
その点、日本のマスコミは、自らを体制側のエリートと錯覚しているのか、
ともすれば国民の視点に立たないことが多い。
このままでは、政府による報道管制が強化されるばかりだろう。(後略)
http://www.weeklypost.com/jp/040305jp/news/news_5.html