「えひめ丸事件」のときの産経新聞 その3

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230文責・名無しさん
産経新聞および糞ウヨ厨房の本性。

  精神科医の香山リカさんと文芸評論家、福田和也さんの「『愛国』問答」(中公新書ラクレ)を読んだ。同じ出版元から出た香山さんの「ぷちナショナリズム症候群」を受けて、
2人が、アフガニスタンやイラクへの攻撃にみられるアメリカの「世界支配」に対して、日本や日本人はどんなアイデンティティーを持ち得るかを中心に問答を展開している。

  最近顔を出した労働者中心の勉強会でこの本は酷評されていたが、僕はそんなことはないと思う。福田という人は石原莞爾についても書いており、極めて多作だが、
僕はほとんど読んだことがない。右翼と自称しているが、この本での発言を読む限り、思想的なミーハーという印象を受ける。(先日インタビューした評論家の大塚英司氏は
「福田氏は民主主義者だ」と言っていた)

  その福田氏に対し、香山さんは、日本が対米追従せずに生きていく道はないのか、繰り返し繰り返し問い掛ける。しかし、福田氏は博覧強記ぶりを見せるだけで、
ヒントのようなものもなかなか提示しない。もちろん、福田氏にもはっきりした解答があるわけではないだろうが、読んでいて「もう少しマジメにやれよ」と言いたくなる。
  
  対談終了後の文章で香山さんは「わたしはあえて、もう少しだけ『アメリカに賛同するにしても抵抗するにしても、日本は憲法を改正して軍備を整え、
心をひとつにしてナショナリズムの道を歩むしかない。それが現実というものだ』という意見に屈服することなく、種々雑多の人たち、強い人や弱い人、
すぐれた人やダメな人がうごめく『ゆるい社会』をつくる道を模索し続けることにしよう」と書いている。この意思表明は明確で、すがすがしくもある。

 この本で、アメリカに付き従う以外にどんな道があるのかは示されないが、そのことを考えるための入り口はおぼろげながら見える。
それだけでも一読の意味はあると思う。