『産経抄』ファンクラブ 第5集

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◆正論 いまこそ日米同盟が必要なときだ
 米バンダービルト大学教授日米研究協力センター所長 ジェームス・アワー
 憂うべき韓国の反米の動き
 ≪対テロ戦は日米の目的≫
  一九九五年、東京の地下鉄でオウム真理教によるサリン事件が起きた。
 二〇〇一年にはニューヨークとワシントンで、アルカーイダによる一層衝
 撃的なテロ事件が起きた。サリン事件のときは、日米ともこれが日本に対
 する「武力攻撃」(日米安保条約第五条)に当たるかどうか気付かなかった。
 しかし、同時テロ事件では、米国民も日本人も被害にあい、両国はこれが
 「武力攻撃」に当たることに気付いた。
  米国は必ずしも一国でイラクを攻撃するつもりはない。しかしブッシュ
 大統領は国連決議と同じ目的を達成するため、望むところではないが必要
 とあれば攻撃を決断するだろう。問題は、イラクが国連決議に従って大量
 破壊兵器を完全廃棄することだ。
  同時テロ事件以来、米国は好戦的な政権には大量破壊兵器やその輸送手
 段を絶対に持たせてはならないと考えてきた。無法国家がいったん大量破
 壊兵器を持ってしまったら彼らとの対応ははるかにむずかしくなるからだ。
  イラクと北朝鮮は状況が異なるため、対応の仕方も異なってくる。イラ
 クの場合、米国は必要ならば自国の算段に基づいて行動できるが、北朝鮮
 の場合はちがう。米国は、北朝鮮に近接しているために被害を受けやすい
 日本や韓国と同盟関係にあるし、核大国で国連安保理常任理事国の中国を
 無視できない。だから米国はまずイラク問題から解決しなければならない
 のだ。北朝鮮問題を優先させなければならない−という人たちは本当はど
 ちらの問題にも関与したくない人たちだ。
82M(81の続き):03/03/07 03:47 ID:+NPGPwRt
 ≪韓国の守護者は中国か≫
  韓国は米国との同盟関係をひどく傷つけた。いまや韓国駐留の米国地上
 部隊は北朝鮮の人質のようなものだ。韓国の反米が明白になったのは、金
 大中・前韓国大統領が米国主導のアフガニスタンでの対テロ戦争に、危険
 過ぎるといって、わずかな軍隊の派遣さえも拒んだときだった。韓国は最
 近、米国よりも中国を守護者とみているようだ。
  昨年十二月、韓国は反米派を自認する盧武鉉氏を次期大統領に選んだ。
 盧大統領は選挙戦中に、もし北朝鮮と米国の間に戦争が起こるなら韓国は
 中立の立場を維持すると言った。
  多くの韓国民は最近、米国を保護者ではなく朝鮮半島統一の障害物とみ
 ているようだ。韓国政府は、北朝鮮政府が露骨に国際協定に違反している
 にもかかわらず、この問題を国連安保理で処理すべきだという米国に抵抗
 している。こうして北朝鮮に、米国と韓国の間に楔を打ち込む絶好の機会
 を与えている。
  韓国政府の多くの人たちも誤解からか反米感情を持っているらしい。し
 かし、米国は歓迎されない所には軍隊を置かない。米軍の撤退を促す政府
 は、フィリピンがいま気付いているように、それがもたらす結果も甘受し
 なければならない。
83M(82の続き):03/03/07 03:49 ID:+NPGPwRt
 ≪危険理解している日本≫
  一方、日本は良い方向へ向かっている。日本はアフガニスタンで戦う米
 国への後方支援としてインド洋へイージス艦を派遣した。仮にイラク戦争
 が始まっても支援を打ち切るとは思えない。日本はまた米国とともにミサ
 イル防衛の開発に参加するようだ。北朝鮮が日本を狙える百基の弾道ミサ
 イル・ノドンを保有している事実や一九九八年に日本を飛び越えた長距離
 ミサイル・テポドンの再発射が近いという予想が、日本に何が危険かを理
 解させている。
  北朝鮮がミサイルを日本へ向け発射する日は遠くないだろう。米国の北
 朝鮮に対する見かけ上の柔軟路線は、二正面の戦争を避けるための戦術に
 過ぎない。イラクが片付けば米国は北朝鮮への制裁や北のミサイルやミサ
 イル部品の輸出を阻止する協力を同盟国に要請するだろう。
  二十世紀初頭、日本は日英同盟により、それまでにない安全保障を得た。
 今日、日米同盟は五十年以上も続き、日米両国が当初想像した以上にうま
 くいっている。グローバルレベルの対テロ戦争でも同盟の目的は変わらな
 い。つまり、戦争をして勝つのではなく、経済繁栄を求めて日米両国民に
 最高の市場を提供するという両国の国益のため、東アジア、世界の安定を
 促すことだ。
  対テロ戦争には、日米両国の新しい戦術が必要だ。日米両国民はこれま
 で以上の恐怖に直面するかもしれない。困難な努力だが、日本や米国がテ
 ロと積極的に立ち向かうことをやめれば、テロはより恐ろしいものとなる。
 日米両国が屈しなければ、二十一世紀前半五十年は、二十世紀後半五十年
 の成功を上回る可能性が大である。