○●○朝日の社説 Ver.4

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911月1日付 朝日新聞・社説
■「千と千尋」の精神で――年の初めに考える
http://www.asahi.com/paper/editorial.html

不穏な年明けである。

米国のイラク攻撃は間もなく現実になるかもしれない。北朝鮮は拉致問題が片づか
ないまま、核開発をめぐって再び自ら恐怖を振りまいている。

パレスチナ紛争はやまず、テロの脅威は世界に広がる。地球を覆う恐怖と憎悪の再
生産。始まったばかりの21世紀は、早くも危機的な様相だ。

世界を震えさせたのが一昨年の9月11日だったとすれば、日本人にとっては1年後
の9月17日も引けを取らぬ衝撃の日であった。5人生存、8人死亡。歴史的な小泉
首相の訪朝に、金正日総書記が用意した「拉致の結末」である。

●9・11 と 9・17

9・11の惨劇が狂信のテロ集団を地球上に強く印象づけたように、9・17は異常で危
険な国家が日本のすぐ隣にあることを再認識させた。冷戦の崩壊から10年余、これ
が悲しい現実である。

(中略)

↓続く…
9291の続き:03/01/01 09:33 ID:yFOiSwQR
↓続き・・・

●気になるナショナリズム
日本にも、米国の熱狂を笑えぬ現実が頭をもたげている。

拉致の被害者たちに寄せる同情や北朝鮮への怒りがあふれたのは自然として、そう
した感情をあおるばかりの報道が毎日繰り返される。雑誌には「北朝鮮の断末魔」「ガ
タガタ抜かすなら締め上げろ」などの見出しが躍る。

日朝交渉を進めた外交官を「国賊」と呼んだり、勇ましく「戦争」を口にしたり、「それな
ら日本だって」と核武装論をぶったりする政治家も現れる。

同胞の悲劇に対してこれほど豊かに同情を寄せることができるのに、虐げられる北朝
鮮民衆への思いは乏しい。ひるがえって日本による植民地時代の蛮行を問う声は「拉
致問題と相殺するな」の一言で封じ込めようとする。日本もまた「敵に似てきている」と
すれば危険なことである。

中国をことさら敵視したり、戦前の歴史を美化しようとしたりの動きも見られる。深まる
日本経済の停滞と歩調を合わせるように、不健康なナショナリズムが目につくのは偶
然ではあるまい。

だが、悲観ばかりすることもなかろう。

日朝とは対照的に、日韓にはかつてない友好ムードが育った。共催したサッカーのW
杯では、韓国チームを応援する日本人の姿が韓国人の気持ちを溶かした。

思い思いに外国チームのユニホームを着て声援を送る日本人も、世界には新鮮に映
った。顔に日の丸を塗って声をからす若者たちのナショナリズムは、軍国日本の熱狂
とは異質のものだった。

(以下、省略)
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