☆朝の娯楽★☆天声人語。11人いる!★

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663文責・名無しさん
■《天声人語》 01月04日

 ひところ海外の英語圏などで漢字や日本語をあしらったTシャツをよく見かけた。
字形の面白さに着目してのことだろう。着ている当人は意味など気にしないだろうが
「殺」と大書してあったりするとぎくっとする。

 「現代書道二十人展」の会場をのぞいてみた(8日まで東京・上野松坂屋、以後
全国巡回)。柔らかで流れるような美しさもあれば、力強い直線で訴える書もある。
抽象画に近い作品もある。アルファベットではこうはいかないだろう。書道人気の
高まりもわかる。

 会場前で書道の道具を売っていた。毛筆にはいろいろな動物の毛が使われる。
馬、羊、鹿、ウサギ、タヌキのほか猫、猿、熊やイタチ、テン、ネズミ、オオカミなどの毛
も使われるそうだ。それぞれの個性によって使い分けられる。

 羊毛筆はしなやかで墨含みがよく、耐久性にすぐれているとされる。羊毛といっても
正確には中国南部に生息する山羊(やぎ)の一種で、数が限られるらしい。10万円
とある羊毛筆を触ってみると実に柔らかい。ある書家の話では、いい羊毛筆は
とんでもなく高価だという。

 十二支の中で今年のひつじは日本では比較的なじみの薄い動物だが、羊を部首と
するおなじみの漢字はいくつかある。「群」は羊の習性だからわかりやすい。「美」は、
いけにえの羊が大きければ大きいほど神が喜ぶので「すばらしいもの」としたことから
来たそうだ(『しにか』1月号)。羊に魚を組み合わせた「鮮」は両者のにおいから来たらしい。

 羊に人を組み合わせると「佯」、あざむく意、になる。