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偏向クソ産経には絶対載らない『正論』:
NLP移転:「誘致で潤うなんてまっぴら」 越智幸子さん
米空母艦載機による夜間発着訓練(NLP)の移転計画に揺れた広島県沖美町。
候補地となった無人島、大黒神島(おおくろかみしま)を一望する同町是長の高台で
夫と暮らす越智幸子さん(74)は58年前、母を原爆で亡くした。
その最期の姿は「人影の石」として、原爆資料館(広島市)に展示されている。
5日に移転計画が白紙に戻り、幸子さんは「ほっとした。町長は戦争を知らない世代。
お金があっても平和に暮らせなければ意味がない」と島を見つめた。
「人影の石」は爆心地に近い旧住友銀行広島支店入り口にあった御影(みかげ)石の階段の一部。
原爆の熱線で人が腰掛けていた部分だけが影のように黒く残った。階段に座っていて被爆死したとされる
越智ミツノさん(当時42歳)の一人娘が幸子さんだ。幸子さんは疎開していて被爆は免れた。
自宅から島まで約4キロ。曇天の日でも居間のガラス戸から島全体を見渡すことが出来る。
訪れる客は「別荘にいるように美しい眺め」とうらやましがるが、西へ約12キロの山口県・岩国基地へ
向かう米軍機が自宅上空を横切ることもある。ごう音が聞こえるたび、戦時中、バリバリと
爆音を響かせて広島に飛来したB29爆撃機の悪夢がよみがえるという。
先月30日、谷本英一町長が突然、NLPの誘致を表明。母の写真を原爆の熱線を受けた階段のかけらに張りつけ、
遺骨代わりにしている幸子さんは「原爆犠牲者の遺族として、積極的に平和を訴えたい」と
夫婦で反対署名に加わり、町役場まで出向いて町長に抗議することまで考えた。
幸子さんは「基地の誘致で町の財政が潤うなんてまっぴら。平凡な生活が一番なのよ」と笑った。
【竹内良和】[毎日新聞2月7日] ( 2003-02-07-03:01 )