>>605 イラク情勢が緊迫している。これから数カ月は米軍の攻撃がいつ始まってもおかし
くない時期だ。イージス艦がインド洋で活動を始めるのはそのさなかである。
日本は法的にはイラク攻撃への支援はいっさいできない。自衛隊が給油活動をして
いる海域はイラクから約2千キロも離れているし、データを共有しても集団的自衛権
行使にあたる活動は考えられない。防衛庁はそう主張する。
しかし、対テロ戦支援を目的に日本が高性能の艦艇を投入すれば、イラク攻撃に向
かう米軍の負担を減らすことになる。米政府はそこを評価するだろう。
与党内の抵抗を押し切った首相の決定にはそんな判断が読みとれる。経済や日朝問
題が思うに任せないなかで、決断力を誇示する狙いもあったのかもしれない。
攻撃の正当性やアラブ世界への影響をめぐって国際世論は割れている。明確に武力
行使を容認した国連安保理決議があるわけではなく、イラクの大量破壊兵器による脅
威が切迫しているわけでもない。
政府はイラク攻撃について「仮定の話だから」という理由で、国民への態度表明を
避けてきた。それでいて、対米支援の色濃いイージス艦派遣を決めるのは、攻撃を構
える米国の背中を押すようなものだ。
自衛隊の活動はどこまで広がるのか、国民の不安は深い。それをぬぐうだけの説得
力に乏しい派遣である。