森前首相の失言に対するマスコミ報道を思い返すスレ

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237文責:名無しさん
(10-1)
いわゆる森前首相の“失言問題”とは関係ありませんが、
2000年7月7日午後の首相官邸における
森前首相と番記者達のやりとりの全てを以下に分割して貼付けます。

かなり長いのですが面白いので読んでみて下さい。
もしも別のスレで既出だったら申し訳ない。

なお、ソースは2000年7月12日の産経新聞朝刊、
『首相と番記者のやりとり(7日午後)』という記事です。
(読みやすいように適宜改行・空行を入れています)
238237:02/01/22 02:15 ID:srnXy5Va
(10-2)
首相:
番記者、ちょっとこっちへ(喫煙室に招き入れる)。
三谷さん(首相秘書官)も立ち会って。
これはオフレコだからな。書いた社とはつきあわない。

君らとのやり取りでは、
君らが原稿を書いているわけではないことは僕もよく分っているが、
(記事は)報告を受けたキャップかデスクが都合のいいところだけを
つまんで書いているんだろう。

それは新聞によっても違うが、
産経(新聞)は僕の言っていることを全部載せているが、他は全部つまんている。
今日の新聞を開いてみろ。君は何新聞だ。どこもそうだ。
僕は全部、スクラップを取ってあるから、ちゃんとわかっている。

それを読者が見たら、
部分だけ抜き出してあるから、「森はひどいことを言っている」となる。
それは僕も機嫌いい時も悪い時もあるから、
僕が話しやすい雰囲気を作るのも君たちの仕事だろう。
239237:02/01/22 02:16 ID:srnXy5Va
(10-3)
僕も新聞記者を短い間だがやっていたから、それが人間関係というものだろう。
今でもトイレに行くところを聞かれたって、「うるさい」となるだろう。
トイレから出て「ああ気持ちよかった」というときに聞いてくれればいいだろう。

森なら、亀井(静香自民党政調会長)なら、加藤(紘一元自民党幹事長)なら
どうかと性格をつかみ取るのが君らの仕事じゃないか。

例えば、会議に行く時は、しゃべる内容を考えながら歩いている。
そこで「どうですか」と聞かれても、「うるさい、この野郎」となるだろう。
そりゃ、花売り娘とか桃娘だとか何とかなら
そんなに難しいことはないからいいが、TPOを考えてほしい。
面倒な相手のときには、いろいろ考えているんだ。
240237:02/01/22 02:16 ID:srnXy5Va
(10-4)
この間は、だれだっけ、覚えていないが、
国会で玄関に入ってエレベーターに乗るまでの間に、
「加藤さんがどうだ、山崎さん(拓元自民党政調会長)がどうだと」と
一通り説明した後から、「どう思いますか」と聞かれても、
もうエレベーターの前に来ている。
それは立ち止まれる時はいいが、次の予定が決まっていて、
急いでいる時は、立ち止まれないだろう。だから、君たちも勉強が足りない。

質問をもっと短く的確にするようにしてほしい。
加藤がどうしたとか山崎がどうしたとか、党のことは僕だって知っているんだから、
「一連の発言についてどう思うか」と聞いてくれればいい。

歩いている時間がどれだけあるか数えてみろ。
十割のうち八割質問されてしまったら、答えようがないだろう。
質問を二割にしてくれれば、残り八割を答えに使えるじゃないか。
何と言っても君らのマナーが悪いので、答えようかなと思っていても、
答えたくなくなることがある。

この間は「第一次内閣の感想を十秒では話せない」と言ったら
「十分では答えられない」と間違えていたじゃないか。そういうことも起きる。
十分で答えられないなら、政治家を辞めるよ。
241237:02/01/22 02:17 ID:srnXy5Va
(10-5)
ところがそれが字になって、「答えられない」とだけ新聞に載ると、
「何て冷たいやつだ」ということになってしまう。
皆さんの先輩方からも「もう少し丁寧に答えてやってくれ」と言われているから
分かっているが、やり取りの雰囲気として、もう答える時間がないことが、
そのまま字に残ると印象が変わってしまう。

君らも将来のエース記者として、いつまでも番記者をしいてもしょうがない。
番記者のときにどういう記事を書いたか、
どういう情報を取ってきたかで評価されるんでしょう。

だから一生懸命なのはよく分かるが、
こちらのしゃべりやすいような雰囲気を作るのも君らの仕事だろう。
242237:02/01/22 02:21 ID:srnXy5Va
(10-6)
家に帰ってからも(午後)八時や九時に帰ったのならともかく、
(未明の)一時に帰ってきて、その十分後に
「何時に寝ますか」と言われたって「勝手に書け」となるだろう。

君らも考えてみろよ。家に帰ったら、顔も洗いたいし、ふろにも入る。
そんなときに「いつ寝ますか」と言われても困るだろう。

うちの女房は賢いから、おれが早く寝れば君らが早く帰れるんだから、
「若い記者だから、かわいそうだから早く帰してあげれば」と言って、
「何時に寝る」とか言っているが、
実際にはおれは二時前に寝たことなんてない。うちで一番遅いんだから。

それこそ女房が地元に帰っているときに
おれがどうやって「今寝ました」と電話できるんだ。

君らがかわいそうなんて言っちゃだめか。
お気の毒だから、寝たと伝えているだけだ。
またうそをついたといわれちゃうかもしれないが。
どうしてもそういう無駄なことはやめましょうと上司に相談できないんだ。
243237:02/01/22 02:21 ID:srnXy5Va
(10-7)
君は奥さんがいるか。いる人はいるか。
上司に「何年記者やっているんだ」としかられて帰ってきて、
一方的に「子供が病気なのに遅く帰ってきて」とガミガミ言われたら、
君も「ばか野郎、こっちは稼いでいるんだ」となるだろう。
逆に「お疲れ様、子供が熱出して大変だったのよ」と言われたら、
「家事や子育てが大変だったね」となるだろう。
それも人間関係だ。記者も同じだろう。

おい、そこに土下座するのは止めろ
(イスがなく床に座っていた女性記者二人に向かって)。
アラーの神じゃないんだから。あっ、神とか言っては駄目か。
ノーマルに座ってくれ。ひじかけの上でもいいから。

どうして周りの男たちはそういう気が回らないんだ。
おれはこういう細かいところまで気がつくんだ。もともと優しいんだから。
おい、三谷さんも代わってやれ。
244237:02/01/22 02:22 ID:srnXy5Va
(10-8)
君らの先輩からは今でも付き合いがあるから、よく電話もかかってくるし、
おれも電話をすることがある。
しかし、公私の別は彼らもさすがによくわきまえている。
でも電話がかかってきて、うまいなと思ったのは、
「あれやこれやと聞きません。間違っていたらノーだけ言ってください」
と言って、「法務大臣だれそれ」と閣僚名簿を読み始めるんだ。
僕はイエスもノーも言わないが、
「何もおっしゃらないということは当っているんですね」と言う。
確かに当っているんだよ。
そうやって答えざるを得ないような状況にうまく持っていくよ。

この間も(皇太后の)ひん宮(皇室喪儀の前に霊柩が置かれる仮の御殿)に
行った帰りに敬けんな気持ちになっているのに、ああだこうだと聞いてくる。
「今は何もおうかがいしませんが、後ほど質問します」と言ってくれれば、
「かわいいとこがあるじゃないか」となるよ。

別にこびへつらえということではないが、そうやって人間関係をつくって、
まず名前を覚えてもらうことが大切じゃないか。それで、
「おい、森君、こんな話があるよ」と声をかけてもらえるようになるのが
記者だろう。僕はそう教わってきた。時代が違うかもしれないが。

そうすればこちらから流したいことだってあるんだから、
「ああ、あいつは信頼できるから、あいつに教えてやろうか」ということになる。
それは別にいんちきでも何でもない。それが人間関係だろう。
245237:02/01/22 02:23 ID:srnXy5Va
(10-9)
記者団:
しかし、重要なことで簡潔でいいから総理のコメントがほしいことがある。

首相:
何か重要なことで聞きたいことがあったら、
事前に秘書官に「次のこれを聞きますよ」と調整しておくのも手だろう。
僕からとやかく言うことではないが、いろいろ考えるのは君らの仕事だろう。
どうしたらいいか僕に聞くのは記者としてマイナスだ。

僕だってばかじゃないんだから、
君らはばかだと思っているかもしれない。僕はばかだとは思っていない。
自分の発言がどういう影響を与えるかは、ちゃんと考えている。
それでも答えるためには、突然質問されても答えられないだろう。
今朝は何を聞いたんだっけ。

記者団:
債権放棄の問題について主要八カ国(G8)蔵相会議の前なので。

首相:
それもとても重要な問題じゃないか。
そんな重要なことは十秒では答えられないよ。
各国の蔵相の会談の前に僕が予断を与えてはいけないし、
先に知っている話でも役所の段取りはどうだろう。
宮沢さん(喜一蔵相)にも失礼になるだろう。
246237:02/01/22 02:24 ID:srnXy5Va
(10-10)
記者団:
でもたとえ十秒でも的確に短くでも答えてほしい。

首相:
それはできない。
会見なんかでもおれはきちんと答えているし、立ち懇でも何でもする。
そもそも毎日、官房長官が記者会見しているじゃないか。
官房長官が内閣のスポークスマンなんだから。
それが内閣の正式な考え方で、おれの考え方でもあるんだ。
それは細かいニュアンスが違うこともあるだろうが、
それも仕方ないと思っている。

だから「官房長官がこう言っていたが、これでいいのか」とか
「総理の考えはこれでいいんですね」と質問されれば答えられる。
それを訂正する意味では話してもいいが、
それはあくまでも官房長官の会見が主で、
移動のついでに僕が話すことが主であってはならない。

記者団:
しかし総理とのやりとりはシステム上、とても限定されているので……。

首相:
だから、質問する方で工夫しなさい。
ぶら下がりでの話はあくまでもサービスでやっているんだ。
義務でも何でもない。権利だと思ってもいいよ。いろんな考え方があるから。
質問する権利があるから、答えるのが首相の義務だという態度で質問されたら、
こちらも答えないという権利があるということになる。
この話はオフレコだからな。書くなら全部、載せてくれ。