【VOCALOID】KAITO 11

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454すてきななまえをつけてね。
>>340>>415ですが、2月8日にシンポジウムに行ってきましたので、
お約束通りその時のレポートをアップしますね

☆「SNOW MIKU 2013シンポジウム つながる世界part2」のレポート

今年のシンポジウムはクリプトン本社が入居している日本生命札幌ビルで開催されました。

(ビル写真)
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まず私は地下1階の蕎麦屋で夕食を済ませた後、シンポジウム会場の3F:大会議室に向かいました。
会場に到着後、開始までしばらく椅子に座って待機しました。

18時35分、オープニングBGMが流れ、シンポジウムが始まりました。
流れた曲はhinayukki@仕事してPさんのKAITO V3デモソング「黄金木の葉が舞う頃に」です。
ちなみに司会は昨年同様FMノースウェーブの片岡さんです。

第一部「音楽テクノロジーの未来」
(出演者)
ヤマハ株式会社 yamaha+推進室  剣持 秀紀氏
産業技術総合研究所 上席研究員  後藤 真孝氏
クリプトン・フューチャー・メディア(株) 初音ミク企画開発主任  佐々木 渉氏

まずは佐々木さん(CFM)、剣持さん(ヤマハ)によるKAITO V3の開発秘話を中心としたお話がありました。
V1時代のKAITO開発の裏側や、剣持さんの技術開発時代のお話、お二人の馴れ初めなど、
固い話だけではなく笑い話もあり、DTMのことなどほとんど分からない私でも楽しめました。

ちなみに剣持さんは当日午後からの大雪の影響で飛行機が遅れたために
最悪の場合この場に居なかったとのことです。
実際天気の影響で開場にたどりつけなかった人も多かったようでして、
客席もちらほら開きが目立っていました。

次にKAITO V3開発秘話の要旨を書いていきます。

(KAITO V3開発秘話の要旨 その1)
VOCALOID1「KAITO」が発売された当初は動画共有サイトが普及しておらず、当初の売り上げは500本程度だった。

2007年にVOCALOID2「初音ミク」が発売され動画共有サイトを中心に人気が爆発。
それに引きずられる形でV1 KAITOにもスポットライトが当たり、
「うろたんだー」を始めとする人気作品が作られていった。

VOCALOIDの開発は「デイジー」というコードネームで2000年にスタートし、2003年に初めて製品化。
KAITOのCVはジャズ歌手の風雅なおと氏。
VOCALOIDの開発当初から携わり、当時のデータベースをブラッシュアップしたのがV1 KAITO。

VOCALOID2は3〜4種の音程でひらがな5文字程度の呪文のような言葉を読ませてデータベース化している。
VOCALOID1は音程の種類・データベースの量がもっと多かった。

V1 KAITOは女性人気が高く、同じくVOCALOID1のMEIKOと共にクリエイターごとの
声色(いわゆる「調教」)の違いについて熱く語るファンが多かった。
455すてきななまえをつけてね。:2013/02/12(火) 20:06:19.88 ID:9uOE7Tas0
(KAITO V3開発秘話の要旨 その2)
VOCALOID3が登場してそちらが主流となっていくが、V1 KAITOも依然として根強い支持がある。
しかし、VOCALOID1のままではソフトウェアのアップデート対応が困難であったためKAITO V3の開発に踏み切った。

KAITO V3の開発にあたりデータベースは新規収録。
しかしCV担当の風雅なおと氏は前述の通りVOCALOIDの開発当初から携わっていたこともあり、
開発者側の要求通りの発声をスムーズに行えたため、データベース化がやりやすかったとのこと。

開発秘話についてはこんな所です。

続いてCFMスタッフによるKAITO V3の実演が有りましたが、
素人の私には正直チンプンカンプンでした。

さらに「ぼかりす」等の開発でもおなじみ産総研の後藤さんが登場して、
熱いトークが繰り広げられました。

(後藤さんのお話の要旨 その1)
これからの未来、人工的に歌声を合成する技術はさらに普及するだろう。
技術の進歩に伴って音楽の楽しみ方も変わっていく。

初音ミクの普及で「人間の歌声でなければ聴く価値がない」は打破された。
今後、コンピュータによる自動作曲の技術が進化すれば、
「人間の作った作品でなければ聴く価値がない」すら打破されるかもしれない。

自動作曲の仕組みの一つとしては、人間が作った作品のn次創作として、
リスナーからのフィードバックを受けながら新たな作品が自動生成、
そして自動投稿によって発表される可能性が出てくる。(後藤さんのお話の要旨 その2)
「コンピュータによる自動作曲」と表現すると受け入れられにくいが、
それを「初音ミク」に置き換える…つまり「初音ミクが感情を持ち、
自己主張を歌で表現」し始めたら、ユーザーが連想した初音ミクやその作品に対する
イメージ・背景と相まって受け入れられる可能性がある。

話し中、「我々は幸せな時代に生きている!」を熱っぽい口調で何度も強調。

ただ後藤さんのセリフ「我々は幸せな時代に生きている!」に関しては同感ですね。
今は「KAITOをはじめとするボカロを楽しめる時代」なんですから。

と言った所で第一部は以上です。
456すてきななまえをつけてね。:2013/02/12(火) 20:08:22.54 ID:9uOE7Tas0
第二部「つながる世界 ‐Think Global,Act Local‐」
(出演者)
NPOクリエイティブクラスター理事長  岡田 智博氏
HMカンパニー 代表取締役社長  林 英邦氏
北海道そうぞう・ラボ事務局(北海道庁)  中村 昌彦氏
クリプトン・フューチャー・メディア(株) 代表取締役  伊藤 博之氏

第一部から間を置かずにシンポジウムはそのまま第二部に突入しました。

最初にNPOクリエイティブクラスターの岡田さんが彦根市と蛙男商会、
モントリオールの事例を紹介しました。

(岡田さんの話の要旨)
彦根市は「ひこにゃん」を生み出したが財政状況が悪かったため、
「ひこにゃん」の商標使用を人々に開放しグッズの経費削減に成功。

蛙男商会はFlashを使用したアニメーション製作を個人で行っているが、
東京のプロダクション(DLE)とインターネットを経由してやり取りが可能なため、
島根に在住したままで仕事を行える。

モントリオールは街を挙げてゲームクリエイターとその作品を文化として評価する土壌があり、
現在は5,000人のゲームクリエイターが同市を開発拠点とするゲーム制作会社に所属している。

続いて、CFM伊藤代表が「初音ミクから学んだこと」と題してプレゼンテーションを行いました。

(伊藤さんの話の要旨 その1)
雪ミクはただ単にCFMとして初音ミクの雪像を作るだけでなく、
市民・ファン・クリエイターを巻き込んだイベントとすることで札幌市への還元を目的とした。

初音ミクは音楽だけでなく、動画/イラストなど様々な種類のコンテンツが連鎖的に生まれて広がった。
動画共有サイトの功績が大きい。
人が多く集まることで傷つく人も出てくるため、マナー・ルールを決めて
ユーザー同士の創作の輪を広げる場所として「ピアプロ」を用意。

人ってやつは…クリエイティブであり、メディアでもある。
人が伝えたい価値は「おいしい!」「キレイ!」などの共感であり、
その手段・受け皿となるのがコンテンツである。

コンテンツの性質とは…「使えば使うほど増える」
457すてきななまえをつけてね。:2013/02/12(火) 20:12:00.86 ID:9uOE7Tas0
(伊藤さんの話の要旨 その2)    
「北海道そのものがコンテンツ」「掛け算の発想」「メディア化する個人」…
逆に地方はチャンスである。
ソーシャルメディアで個人から世界に情報を発信できる時代となり、
それで日本を魅力的にすることも可能である。

第二部後半はT-1グランプリやリトルベリーズプロジェクトに携わったHMカンパニー林社長、
北海道×ピアプロコラボで色々協力した北海道そうぞう・ラボ(ラボメンバーは道職員)の
中村さんもトークに加わりました。

(林さんの話の要旨)
食と農業から北海道を活性化させたい。
「おいしい」「安全」だけではその作物のセールスポイントとしては不十分で、
作物が生まれたバックグラウンドを伝えるためにバーチャルを活用…
つまりリアルとバーチャルを繋げるということ。

北海道というコンテンツをクリエイティブの力で世界に発信したい。音楽でそれをやってみたい。
世界が近くなっていること、世界から見た北海道を雪ミクを通して学ばされたとのこと。

(中村さんの話の要旨)
クリエイティブの地産地消を目指し
道庁職員の有志で「北海道そうぞう・ラボ」を結成、
WebサイトやFacebookを通じて様々な人が自由に
北海道を盛り上げるためのプロジェクトに参加できるようにしたい。

北海道の冬を盛り上げるため、プロジェクトの第一弾として
「SNOW MIKU 2013 イラスト・公認ソング」をCFMとの協力で募集。
応募された作品は全道の冬のイベントで活用。

最後は北海道の高橋はるみ知事からのメッセージが読み上げられ、
2時間の熱いシンポジウムは幕を閉じました。

第二部終了後はちょっとしたサプライズが有りました。

伊藤社長自らちょっと皆さんに見て頂きたい映像が有ると言って、
台湾ミクパの観客席の様子を伊藤社長が撮影された映像を放映しました。
(放映時間:15分)

私もその映像を観ましたが、実在のミュージシャンのライブさながらの熱狂でしたね。
なお曲目はアンコールからの「メルト」(ryo)・「Starduster」(ジミーサムP)でした。

長くなりましたが、以上でシンポジウムのレポートを終わります。

今回のシンポジウムは個人的に色々話を聞けて、良い意味で勉強になりましたが、
しいて言うなら質疑応答のコーナーがあれば良かったなと思います。