新田ヒカルテンプレ試作室

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28名無しさん@お金いっぱい。
「日本電信電話株式会社法」の附則で会社の成立の日から5年以内に、
同社設立後の諸事情の変化等を勘案して会社のあり方について検討を加え、
その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることを定めていた。

1989年(平成元年)10月、電気通信審議会は「今後の通信産業の在り方に」に関する答申を提出した。
答申では、現行の組織形態での改善には自ずと限界がある、
電気通信市場のさらなる競争、経営効率化等の観点から「組織の再編成が検討されるべきだ」と指摘し、
具体案とし3案が提示された。

地域別再編成
市内市外分離で市内全国1社
市内市外分離で市内複数社
この中間答申について、日本電信電話は反対、公正取引委員会、日本経済団体連合会、電気通信産業連盟等が
「時期尚早」という結論を公表、郵政省や新電電各社が支持の姿勢を打ち出した。
このような状況の下、1990年(平成2年)3月、電気通信審議会は最終答申とし
「日本電信電話株式会社法附則第2条に基づき講ずるべき措置、方策等の在り方―公正有効競争の創出と技術革新―」を郵政大臣に提出した。
最終答申では、再編については 「市内市外分離で市内全国1社」方式に絞り込み、
実施時期を1995年度(平成7年度)を目途にするとした。
また、移動体通信業務を同社から分離したうえで完全民営化するとし1両年内に速やかに実施するよう提言するものであった。

郵政省は電気通信審議会最終答申に提示された市内・市外分離案の実現に向け調整を図ったが、
答申後、株主の不安を招いて同社株の株価が低迷し、大蔵省も株主、国民の利益が保証されなければ分離分割を承服できないと強く反発の意を表明した。
最終的に自民党は当面分割は、実施しない事とし、公正有効競争の促進等の措置の実施状況を踏まえた上で、
必要と認められる場合には1995年度(平成7年度)において再度検討を行い、結論を得るとの方針を決定した。

1995年(平成7年)4月、政府方針によって5年間後に再検討とされた経営形態に関する議論が、
郵政大臣による電気通信審議会への諮問によって開始された。
電気通信審議会は諮問を受けてNTTの在り方に関する特別部会を設け検討を開始した。
同年7月に行政改革委員会の規制緩和小委員会が40項目について規制緩和に関する論点を公開した。
まず、新事業者がサービスを提供するためには、
競争相手でもある日本電信電話の地域通信網に依存せざるをえない市場構造になっており、
それに起因する公正競争上の問題が発生していると指摘した。
また、電話料金の低廉化のためには、日本電信電話の地域網の効率化が不可欠であるものとした。
1995年(平成7年)12月、規制緩和小委員会は、「光り輝く国を目指して」と題した規制緩和最終報告をまとめ、
情報通信分野に関しては、構造改革の大きな柱として、電気通信事業の規制緩和と日本電信電話のあり方をあげたが、
その最終判断は電気通信審議会へと委ねるとした。
1996年(平成8年) 2月に、電気通信審議会は「日本電信電話株式会社の在り方について―情報通信産業のダイナミズムの創出に向けて―」とする答申を提出し、
1998年(平成10年)を目途に、日本電信電話を長距離通信会社と2社の地域通信会社に再編成するとの提言を公表した。

政府は、この電気通信審議会の答申を受けて、1996年(平成8年)3月に、
自民党・社民党・さきがけの連立与党3党による「NTTの経営形態に関するワーキングチーム」を設置して検討したが、
連立与党内にも、基本的には電気通信審議会答申を尊重すべきとする意見と分離・分割に反対する意見の対立があり、
意見調整がつかず、結論を次の通常国会まで先送りする事とした。

1996年(平成8年)12月6日、郵政省は純粋持株会社の下に
長距離通信会社1社と地域通信会社2社に再編成するという内容としてまとめた「NTTの再編成についての方針」を発表した。
「持株会社に関する関連法案」の改正や「事業譲渡益課税の特例」等のこの発表と関連する事項について併せて検討が行なわれ、
第140回通常国会に独占禁止法改正法案が提出され、1997年(平成9年)6月に「独占禁止法改正法」が成立した。
この成立により、日本電信電話株の再編成の前提条件である純粋持株会社の解禁が確定した。