民主、公約したけれど… 企業献金禁止道険し
衆院選マニフェストで企業・団体献金の禁止を公約した民主党。しかし、2008年の政治資金収支報告書を点検すると、廃止への道のりは険しそうだ。
◆広がらないすそ野
民主党はマニフェストで(1)政治資金規正法を改正し、その三年後から企業・団体献金を禁止(2)当面、国や自治体と一件一億円以上の契約関係に
ある企業の献金を禁止(3)個人献金を促進するために税制改革を実施−を掲げた。
特定の業者や労働組合との癒着の温床となる企業・団体献金を廃止し、その代わりに「ひも付き」の可能性が低い個人献金を増やす狙いからだ。
だが、すべての政治団体の個人献金の総額は五年連続のマイナスで、一九八〇年以降で最も少なかった。
個人献金が収入全体に占める割合は3・3%で、記録が残る七六年以降最低となった。
菅国家戦略担当相ら民主、自民両党の国会議員八人は今年六月、インターネットを利用した個人献金拡大策を提言。七月には、楽天が個人献金用のサイトを
開設するといった動きはあるものの、個人献金のすそ野が広がっているとは言い難い。
一方、政党交付金が全収入に占める割合は25・5%で、交付金制度が導入された九五年(17・7%)以降、最高となった。収入の四分の一を税金に
依存している格好だ。
二大政党をみると、〇八年の交付金依存度は自民党51・4%、民主党83・6%。自民党は同年、本部と支部を合わせて個人献金を四億二千万円集めたのに
対し、民主党は五千二百万円。資金調達面での民主党の自助努力の不足は明らかだ。
◆ブラックボックス
こうした中、浮上した鳩山由紀夫首相の「匿名献金」問題は、個人献金の透明性に疑問符を投げかける。
現行法では、五万円以下の献金は総額だけ記入すればよく、個別の献金者の氏名や金額を報告書に記載する必要がない。〇八年の首相の匿名献金は
二千六百六十九万円で、個人献金の64・8%を占めた。
民主党の主な議員の匿名献金は小沢幹事長五十九万円、菅氏百四十一万円、岡田克也外相八万円。他党では、自民党の谷垣総裁五万円、国民新党の
亀井静香代表二十九万円、社民党の福島瑞穂党首二百七万円で、首相の突出ぶりが際立つ。
〇六年から〇七年にかけ、巨額の事務所費を計上していた佐田玄一郎元行政改革担当相らに「総額を記載すれば済む事務所費に、都合の悪い支出を潜り込ませて
いるのでは」との疑惑が浮上。世論の批判を浴びて、透明度を高める法改正が行われている。
首相の巨額匿名献金も、野党から「ブラックボックスだ」と批判を浴びるのは必至。五万円以下の小口で数千万円も集めるのは考えづらいというのが
政界関係者のおおかたの見方だ。これにどう答えるのか。企業・団体献金禁止のマニフェスト実現の前提として、首相の説明責任が問われることになる。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009100190071510.html