>>299 ※続編
なるべく就業場所の近くに住む人を探して雇用するというのは、労働倫理等の観点から当然と述べました。
しかし、実際問題として必ずしも就業場所に家の近くに住む人を探すことはとても難しいものがあります。
そうなると、若干遠くに住む人も視野に入れて求人を出さざるを得なくなります。
そうした、ギャップを埋め合わせるために、若干遠い就業場所での通勤に要した体力や精神力などを「準労働」「準労賃」とのような扱いとして、賃金として換算する。これが、『交通費』というものです。
ちなみに、「就業場所の近く」とはどれくらいの距離や時間を目安にされるのか?
一般的には
徒歩で通勤で片道約30分(約2キロ)以内とされています。
これより遠くに住む人を就業場所で働かせると、先にも述べたように、通勤にて体力や精神力を消耗してしまい、就業時間までに体力や精神力を回復することが難しく、
当該勤務にて一定水準の労働内容を提供・保証できない可能性が高いわけです。
ですから、『交通費』制度を設けることで、労働者のモチベーションを高めて労働者の体力や精神力の減少分を差し引きさせる効果が出てきます。
ちなみに、交通費の規定について、会社の中によっては、1.5キロ超だったり2.5キロ超だったりしますが、いずれにせよ30分(自転車で通うような距離)が相当とされています。
勿論、福利厚生の面などから、会社がマイクロバスなどで労働者を送り迎えしたり、就業場所付近にて労働者に十分な休息を与える宿舎等を提供できるについては、この限りではありません。
警備職の場合、先にも述べたように、社員、バイト、定番、1日・1回限りの臨時(応援)に関わらず他人の安全に関与する特殊な勤務ですから、体力や精神力といった健康の維持や管理が労働者本人、使用者側双方に求められます。
交通費制度とは、そうした背景があるのです。
>>301 ※続
もし、交通費を1円も支給されないで遠距離通勤となる警備をしたらどうなるでしょうか?
例えば、まずあなたの住む都道府県の最低賃金を時給700円とします。あなたの勤務時間を8時間(拘束9時間)としましょう。9時〜18時です。
あなたの家から就業場所までマイカー通勤不可で、公共交通機関を使い片道2時間かかります。その2時間に、JRや地下鉄、バスを駆使して片道約900円かかるとしましょう。
あなたはバイトで、社会保険も労働保険もついてなく交通費も1円も貰っていません。
あなたの日当を計算しましょう。
700円×8時間=5600円
交通費=1800円
差引=3800円
正味=約475円
そこに、吹雪・極寒対策の使い捨てカイロや炎天下対策の水分補給もする必要がありますから、正味1日3500円、時給438円になります。
実質賃金が438〜475円ですから、最低賃金が700円からは明らかに差があります。
朝7時に家を出て、に家路に着くのが夜8時。これで月22日間働いても、正味77000円〜83600円程度にしかなりません。
今の日本社会、日本経済において果たしてこれで生活はできるでしょうか?
雇用契約書に記載されていない就業場所や労働内容(変更)を突然電話で命じる始末。
断りたいが、圧力とも取れる電話対応で、強制的・半強制的(遠回しにクビをチラつかされるようなニュアンス)に遠距離かつ交通費なしの過酷な労働内容を命じられる。
しかし、このような起用法や最低賃金法で示された賃金より明らかに定額となる実質賃金は、労働基準法に反しないのでしょうか?
しかも、名目が(○日限りの)「臨時」「応援」「バイト」と表記されているが、
後日、労働基準法違反(雇用契約書にない契約の労働条件をしつこく迫る)や最低賃金法違反によるクレームを申し入れると
陰で強引(いやいや引き受けさせる状態にして)にやらせる電話内容をしておきながら、「あのとき、いいよといったのはオマエだろ?」と反論される始末。
このような、実質時給450円程度で社員並みの勤務時間・内容では、労働安全衛生の倫理・法規の観点から、警備業務特有の無事故・勤務中の窃盗などの不祥事事件を起こさずに他人の身体や生命の保護をすることに対し、肉体的、経済的、精神的に難しいのではないでしょうかね?