「うわーい、ジュン登りジュン登り〜」
僕の頭の上で雛苺が叫んでいる
こいつが家に来てから、つい優しくしてしまったのが失敗だった
今では懐きすぎて邪魔で仕方がない
僕は頭から雛を下ろし、クレヨンを持たすとPCを始めた
だがしばらくするとまたまとわり付き始めた
「雛お絵かきしたの〜、頑張ったのよ〜
ジュン見て〜、うにゅ〜」
あまりにもうるさいので仕方なく雛のほうを見ると
なんと僕の5年も愛用した鞄に落書きがされていた
小さい桃色と黄色の物体と大き目の黒い塊がくっついてる絵だ
頭の中でなにかがすっと冷たくなるような感覚がした
「・・・上手い絵だな。もっと近くで見せてくれないか?」
「うん!えへへ・・・雛頑張ったの!!
あのねあのね、こっちが雛でこっちが・・・」
鞄を持って近づいてきた雛苺を思い切り蹴り飛ばした
壁まで吹っ飛びベッドの上に落ちる
「うあうーーーーーっ!い、いたいのー・・・
雛何も悪いことしてないのにひどいのー!!」
まだ減らず口を叩く雛苺を見ると
怒りが体中を駆け抜けていくのが分かった
ベッドの上の雛苺に飛び乗る
怯えというより、状況が分からないという目で見てくる
必死に逃げようとする雛の手足を関節技の要領でへし折る
「ひあっ?!や、やめ・・あうああーーーーーーー!!
痛いの、痛いの、ジュン、あっいやーーーーっ!!・・・うっううええ・・」
泣き出す雛の目の前で、外した手足を更にチョップで叩き割った
あまりのショックに目を丸くして硬直している
「ひ、雛のお手てが・・・足が・・・・」
がくがくと震え始める雛苺
涙と鼻水が滝のように流れ出て、ひどく滑稽な有様だ