どうせ毒男だしツンデレ小説でも書く 第8話

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1Mr.名無しさん
毒男のためだけのツンデレ小説を書くスレ。
でも萌えられたらツンデレから多少離れてても良し。
絶対にsage進行。

初代
http://etc4.2ch.net/test/read.cgi/male/1110367127/
第2話
http://etc4.2ch.net/test/read.cgi/male/1120669390/
第3話
http://etc4.2ch.net/test/read.cgi/male/1130681506/
第4話
http://etc4.2ch.net/test/read.cgi/male/1140319920/
第5話
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/male/1153779533/
第6話
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/male/1169652673/
第7話
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/male/1177007682/

ログ置き場
http://dousedokuodasi.hp.infoseek.co.jp/
作品別まとめ
http://www.geocities.jp/dousedokuodasi/

はてなダイアリー - ツンデレとは
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%C4%A5%F3%A5%C7%A5%EC
2ch検索: [ツンデレ]
http://find.2ch.net/?BBS=ALL&TYPE=TITLE&STR=%A5%C4%A5%F3%A5%C7%A5%EC&COUNT=50

職人さん方、いつもクオリティの高い作品ありがとうございます。
2Mr.名無しさん:2007/10/04(木) 06:25:51
2ンデレ
3Mr.名無しさん:2007/10/04(木) 22:05:44
過疎っぷりに泣いた
4Mr.名無しさん:2007/10/04(木) 22:07:30
4ゲトー
5Mr.名無しさん:2007/10/04(木) 23:44:59
前スレ落ちてから一週間以上立ってるから
過疎なのはしょうがないかな…
6Mr.名無しさん:2007/10/05(金) 00:06:41

立ったのか

立てても保守ばっかじゃあ空しいからネタの1つでもできてから立てようかと思ってたが
いちおつ
7Mr.名無しさん:2007/10/06(土) 01:18:02
投下待ち
8Mr.名無しさん:2007/10/07(日) 21:27:08
・・・ほしゅ
9Mr.名無しさん:2007/10/08(月) 13:37:13
ツンデレはかなり定着 ヤンデレって何?
http://news.ameba.jp/hl/2007/10/7620.php
10Mr.名無しさん:2007/10/08(月) 19:01:24
ちょっちょっと何新スレたててるのよ!
今さら立てられたって・・・べ別に嬉しくなんかないんだからね!
11Mr.名無しさん:2007/10/10(水) 00:02:28
ちょっと感動
12Mr.名無しさん:2007/10/10(水) 04:00:19
待つ毒男
13Mr.名無しさん:2007/10/11(木) 10:27:07
もう二度と立つことはないと思ってたんだがな


悔しいけど……嬉しいわよ……
次落ちたらもう知らないからね(///)
14Mr.名無しさん:2007/10/13(土) 01:56:24
15Mr.名無しさん:2007/10/13(土) 04:07:43
そのうちスレにデレ期が来るのを信じてる
16Mr.名無しさん:2007/10/15(月) 02:32:13
もうすぐ
17Mr.名無しさん:2007/10/17(水) 00:38:52
a
18Mr.名無しさん:2007/10/18(木) 06:11:52
も…もうすぐ誰かが…
19Mr.名無しさん:2007/10/18(木) 07:53:57
風俗勤務女= 魔界 ◆RC3h9.WHho = 東芝産業システム社
20Mr.名無しさん:2007/10/18(木) 20:18:24
久しぶりに来たらぶっ生き返っとる(;∀;)

…涙が止まらないのは、嬉しいからじゃないんだから!
21Mr.名無しさん:2007/10/20(土) 05:25:16
まとめが長い事更新されてない…
22Mr.名無しさん:2007/10/21(日) 05:02:35
23Mr.名無しさん:2007/10/22(月) 05:18:35
ほほ
24Mr.名無しさん:2007/10/22(月) 13:53:29
そろそろいきますか?
25Mr.名無しさん:2007/10/24(水) 03:41:37
いってください!
26Mr.名無しさん:2007/10/24(水) 16:49:43
高校二年の二学期の事だ。突然、みんなの人気者だったヤツが、他人と距離をおきだした。
最初は小さな変化だったが、次第にそれは目に見えた変化となり、終には完全に他人との接触を絶ってしまっていた。
仲良くしてた奴等も、最初はうまく付き合おうとしてたみたいだが、ヤツの徹底した態度(完全無視)に何度も玉砕し、結局二学期の中頃には誰も声もかけられなくなっていた。

何でいきなりそんな態度をとりだしたか誰も解らなかったし、知る術もなかった。実際全然仲良くなかった俺は、何となくの興味はあっても、殆んど気にもしてなかった。

しかし、年を跨ぎ、三学期になってから、俺はヤツと接点を持つこととなる。
それは冬休みが終わり、皆憂鬱な顔で登校してきた、三学期初日だった。
27Mr.名無しさん:2007/10/26(金) 00:42:48
期待保守
28Mr.名無しさん:2007/10/26(金) 16:35:10
期待sage
29Mr.名無しさん:2007/10/26(金) 18:25:21
30Mr.名無しさん:2007/10/26(金) 22:22:51
三学期初日、俺は新学期毎恒例の体育館全校集会での、校長の有難いお言葉を今回も前回と同じようにスルッと聞き流し、イキッて金髪にしてきたアンポン達の断髪式を見届け、式の終了とともに、さっさと教室に急いで戻っていた。

しかし、急いで戻ったのも、体育館の異常な冷え込みに耐えられず、教室に暖をとるために戻ったのだが、教室も頗る冷え込んでいて、さっさと皆戻ってこいよ畜生。と、理不尽にひとりごちながら、ガタガタ震えて友人及びクラスメイト達を待っていた俺の前に、ヤツが現れた。

コォー。

教室の扉を柔らかく開けて、一人の女子が中に入って来る。

コォー、トスン。

「…………」

ヤツはこっちに少しチラッと目をやり、無言で自分の席に向かい、着席した。
31Mr.名無しさん:2007/10/28(日) 05:17:41
イイヨイイヨー
32Mr.名無しさん:2007/10/29(月) 23:19:39
さげろ
33Mr.名無しさん:2007/10/31(水) 01:19:16
ほしゅ
34Mr.名無しさん:2007/11/01(木) 23:24:07
35Mr.名無しさん:2007/11/03(土) 00:02:31
屋上で出会ったのがきっかけだった。
便所飯ってのもあれなんで、俺は毎日一人屋上でご飯を食べていた

『そんな弁当じゃ栄養バランス悪いよ』

一人だと思っていたので、いきなり声をかけられ、びくっとなる。
36Mr.名無しさん:2007/11/04(日) 11:58:28
あげあげ
37Mr.名無しさん:2007/11/05(月) 08:39:27
ほしゅほしゅ
38Mr.名無しさん:2007/11/07(水) 03:27:12
続きをまつ
39Mr.名無しさん:2007/11/08(木) 02:55:40
40Mr.名無しさん:2007/11/09(金) 20:30:28
初めて女の子と付き合ったのは高校1年生の時だったと記憶している。
中学生の頃に好きな子もいたけど、思春期特有の変に異性を意識してしまう行動で、
まともに会話もできないし、なんだか恥ずかしくて女の子に声を掛けることも出来ないでいた。
今考えると 「シャイ」 過ぎる自分に少し笑えてしまう。

高校に入学したヲレは、剣道部に入部した。
毎日、竹刀を振り汗を流す日々・・・そして臭い剣道着に包まれる日々。
ヲレの高校生活は・・・そんな汗臭い3年間になると思っていた・・・。
彼女達に出会うまでは。
41Mr.名無しさん:2007/11/09(金) 20:32:01
ある日、近々昇段試験があるので一人道場で型の練習をしていた。
剣道の昇段は実戦と型で合否が決まる。
その日は練習が休みだったが一人胴着に着替え、
防具は付けずに木刀と小刀を持ち、型の練習をしていた。
静かな道場で、一人集中して木刀を振っていると・・・。

ふと・・・道場の出入口の方からカタンと音がして、
その方向に目を向けると、女の子が一人立っていた。
話した事は無いけど、同じクラスの子だ・・・確か名前はアカギ ミキさん。
確かハンドボール部の子だったかな。
部活の途中なのか、Tシャツと短パン姿だ。
髪はショートで、少し日に焼けている。
相変わらずクラスの女の子と会話もした事がなかったので、
名前と部活ぐらいしか知らなかったが・・・学年の中では男子に人気があり、
可愛い子の部類の印象を持っていた。
42Mr.名無しさん:2007/11/09(金) 20:32:56
その子と目が合った。

ヲレが一人で練習をしていのを入り口から眺めているのがバレて気まずいのか、
彼女は少し愛想笑いをしながら、「やぁ」 と手を振ってくる。
ヲレはなんて言葉を返していいのか判らないで、「やぁ」 とオウム返しで返事をした。
型の練習を一人でしているのを、見られたかと思うと少し恥かしくなった。
本来、二人一組で行うもので、一人で木刀を振っていると少し間抜けに思えたから。
「どうした? なんか用か?」
言葉は選んだつもりだったけど、少しキツイ言い方になってしまったかもしれない。
「ううん、用事は隣の体育倉庫に。ただ、通った時に毒男君が一人で練習してたから見てたの」
彼女は少し微笑んで話した。
43Mr.名無しさん:2007/11/09(金) 20:35:03
剣道場は体育館の地下にあり、横は柔道場、その横に体育倉庫がある。
体育館の地下で練習をするヲレ達は、ほかの運動部と少し異なった隔離された存在だった。
まぁ、臭いのせいもあったのかもしれない・・・。
「剣道部の練習見たこと無かったから・・・。エイ! ヤー! ってスゴイね」
彼女が木刀を振る真似をする。
「そんなに・・・スゴイ事でも無いよ」 照れ隠しをするようになるべく感情を出さないで話した。
ほぼ初めて話す相手に、彼女はお喋りを始めた・・・。
しばらく一方的に話した後に、彼女はハッっとした顔をした。
「そうだ、早く練習戻らないと・・・叱られる」 慌てて道場から出て行こうとする。
そして、少し振り返り、「じゃね♪」 と、微笑んで手を振った。
その出来事が彼女と初めて会話をする切っ掛けだった。
44Mr.名無しさん:2007/11/10(土) 03:06:53
うおおおおきたー
続きwktk
45Mr.名無しさん:2007/11/10(土) 13:41:57
長文キタキター
期待してまつ
46Mr.名無しさん:2007/11/10(土) 14:15:46

  _  ∩
( ゚∀゚)彡 期待!期待!
 ⊂彡
47Mr.名無しさん:2007/11/10(土) 16:17:18
こ、これは。。。。。。













期待age
48Mr.名無しさん:2007/11/10(土) 23:53:03
この話・・・以前違うスレに書いていたのだが途中で終わってしまった話です。
続きが書きたくて、また最初から書き直しているのですがスレ違いだったらお許しを。
49Mr.名無しさん:2007/11/10(土) 23:53:45
それから数日した学校の帰りだった・・・。
部活が終わり、自転車通学だったヲレは学校沿いの道を家路に向かっていた。
ふと、前を見るとミキさんが歩いている。
先日の会話が気になって思い出されたが、ヲレは硬派を目指していたから、
自分から女子に話し掛ける事なんか出来ないっと思って横を何も言わずに通り過ぎようと思った。
本当は硬派でもなんでも無く、話し掛ける事が出来なかっただけだったけど。
50Mr.名無しさん:2007/11/10(土) 23:54:42
何も言わずに横を自転車ですり抜ける。
すると背後で声がした。
「あ! 毒男君! ちょっと待ってよぉ〜」
彼女の声でヲレは自転車を停めて、振り返えると小走りに近寄ってくるのが見える。
「駅まで後に乗せて行ってよ」
そう言うとヲレの了解も得ないで自転車の横に付けたステップに脚を掛けヲレの肩に手を乗せて後に立った。
「勝手に乗るなよ」
肩に手を掛けられたのが、気恥ずかしくてブツブツと言うヲレに、
「いいじゃない私と毒男君の仲だもの」
適当な事を言って彼女は笑った。
仲と言っても数日前に少し会話しただけじゃないか・・・。
そう考えたが、彼女にはそれだけでも簡単に「仲」 と言えるぐらいに外交的な性格なのかもしれない。
51Mr.名無しさん:2007/11/10(土) 23:56:21
駅までは学校から自転車で10分ぐらいだったと思う。
自転車に乗っている間も彼女は話し続けた。
「ねぇねぇ、今日は竹刀持って無いの?」
ヲレの背後から話し掛けてくる。
「あぁ、あんなもの毎日持って歩くか・・・」
前を見ながら返事をした。
「剣士の魂たる刀を持って歩かないとは、何たる事よ・・・」
変に時代劇のような口調で彼女は話す。
「家にもある」
家には素振り用の竹刀も木刀もあった。
「そかそか、家でも練習してるのね、よしよし」
そう言って彼女はヲレの頭を撫でる、ヲレは恥かしくなって、
「おい、あんまり近づくと練習後だから臭いぞ」
っと、触れられるだけでも恥かしいので、わざとそんな事を言ってみると・・・。
「そう?」
そう言った後に彼女は体をヲレの背中に抱きつくように押し付けて息を大きく吸い込んだ。
「うん・・・そうだね」
判っていたけど、彼女の言葉はちょっとショックだった。
思春期の年齢の時に可愛い女の子に臭いと言われるのは悲しい。
「でも、私は嫌いじゃないけどなぁ・・・」
悪戯っぽくクスクスと笑った後に彼女は抱きついて腕の力をギュッっと入れた。
背中に感じる彼女の胸の感触にドキドキとして、自転車のスピードと同じように鼓動も速くなっていった。
52Mr.名無しさん:2007/11/11(日) 00:03:31
あの日以来、部活の帰りにミキを自転車に乗せて駅まで行くことが多くなった。
ミキは学校の校門を出て少し離れた所で待っている。
お互い部活の仲間に見られると冷やかされるからだ。
別に告白をして付き合っている訳ではないけど、一緒に帰っていれば廻りはそう思う。
実際、ヲレの中でもミキは友達より少し上の感じの存在になりつつあった。
そして、あの出来事があってからミキは友達より上の存在に変わった。
53Mr.名無しさん:2007/11/11(日) 00:07:23
いつものように部活の後に、ミキが待っている。
ヲレはミキの姿を見るとわざと憎まれ口を言ってみる。
「別に先に歩いて帰ればいいじゃないか・・・」
するとミキはニコニコとしながら・・・。
「だって、待っていたかったんだもん・・・」
そんな事を言われて、なんだか赤面してしまう・・・完全にヲレの負けだ。
ミキはヲレの顔を眺めると、楽しそうに言う。
「駅まで歩くの辛いのよ・・・」
そう言って悪戯っぽく笑う。彼女は明らかにヲレの反応を見て楽しんでいる。
54Mr.名無しさん:2007/11/11(日) 00:11:06
鞄を自分の肩に掛けると、ヲレの肩に手を乗せて自転車の後輪に付けたステップに脚を掛ける。
制服の短いスカートから細く長い脚が覗く。
ヲレはそれをチラッっと見るとドキドキとした。
そんな自分がミキに判らないように、また憎まれ口をたたく。
「短いスカートで自転車の後ろに立つとパンツ見えるぞ」
するとミキはクスクスと笑いながら、
「見えてもいいよ」
そう言って、ヲレの耳元に顔を近づけてきて呟く。
「毒男君も見たい?」
またミキにからかわれていると思ったヲレは何も言わずに自転車を走らせた。
55Mr.名無しさん:2007/11/11(日) 00:19:21
自転車を走らせていると、ミキがヲレの制服の上着のポケットのあたりを触っている。
「何してんだよ」
ペダルを漕ぎながら、自転車の後ろに立つミキに話し掛けた。
「ん? コレ何かなぁっと思って・・・」
そう言ってミキがヲレのポケットに手を入れてくる。
「Iポッドだよ、勝手にポケットに手を入れるなよ」
そう言ってもミキは勝手にIポッドを取り出し、イアホンを付けると勝手に再生を始める。
しばらく聞くとミキは曲に合わせてメロディを口ずさみながら、
「この曲よく聴くけど・・・誰が歌っているの?」
元々、自分で選んだ曲だし、ミキが口ずさんだメロディだけでその曲が判った・・・。
「PliceのEvery Breath You Take・・・邦題は見つめていたい」
「へぇ〜ロマンティックな曲名なのね」
ミキは曲を聴き続けた。
「ねぇ、この歌詞ってどんな内容なの?」
歌詞の内容は知っていたが、それを言うが少し恥ずかしかった。
しかし、それをミキに言うと彼女の性格からして余計に聞きたがるだろうと思いサラリと流すように歌詞の内容を話す。
56Mr.名無しさん:2007/11/11(日) 00:20:56
「いつも見つめていたい、いつも一緒にいたいって内容だよ・・・」
話す内にミキの性格がわかってきていたので、そんな事を言うとまたからかわれると思って覚悟していたが、
ミキはポツリと小さな声で呟いただけだった。
「そっか・・・私と同じだ」
ヲレにはそう聞こえた気がしたけど・・・聞き間違いだと思ってそのまま聞き流すことにした。
「ねぇ、コレ貸してよ」
曲が気に入ったのか、ミキがそんな事を言い出す。
「ダメだよ・・・今度CD持ってきてやるから自分で落とせよ」
「え〜、毒男君すぐに忘れるから・・・じゃ、今日このまま借りに行くよ」
別に来るのは構わなかったが、家に女の子を連れて行くのが家族に対して恥ずかしかった。
「お前、帰りが遅くなるぞ」
するとミキはいつもと同じ調子で、「大丈夫よ」 と笑った。
ヲレが何も言わないでいると、不安そうにミキが聞いてくる。
「ダメかな・・・? 迷惑?」
ミキがそんなに心配そうに聞いてくることが今まで無かったので驚いた。
「いいよ」
そう言うと、ミキが安心したように、
「よかった。」
小さな声で呟いた。
57Mr.名無しさん:2007/11/11(日) 00:32:10
ぐおおおおおおおおおおお
ワクテカが止まらないじゃまいかああああああああああああ
58Mr.名無しさん:2007/11/11(日) 01:06:56
>「そっか・・・私と同じだ」
>ヲレにはそう聞こえた気がしたけど・・・聞き間違いだと思ってそのまま聞き流すことにした。


ちょw
この主人公フラグ流し杉w
59Mr.名無しさん:2007/11/11(日) 16:31:11
お、しばらく見ないうちに新作か
wktk
60sage:2007/11/11(日) 20:44:27
期待sage
61Mr.名無しさん:2007/11/11(日) 20:46:45
すまん!!sage入れる欄間違えた!!orz
62Mr.名無しさん:2007/11/11(日) 22:25:57
ちょw
63Mr.名無しさん:2007/11/12(月) 00:36:27
結局、ミキを自転車に乗せてヲレの家まで来てしまった。
「学校から割りと近いんだね」
ミキはヲレの家の前で、妙にニコニコとしながら話しかけてくる。
「CD取ってくるから、待ってろよ」
そう言って玄関の前でミキを待たせると・・・ミキは少し残念そうな顔をしていた。
玄関の扉を開け、ただいまと言い靴を脱いでいると、背後から声がする。
「お邪魔します〜」
ミキが玄関の中に入って来る・・・。
ヲレは心の中で「お前、何してんだよ・・・。」と呟いていた。
ミキの声に母親が気が付き、家の奥から急ぎ足で出てくる。
普段はヲレの出迎えなんかしないで、台所からお帰りーと叫ぶだけなのに、
今日は普段と違う声がしたので様子を見に来たのだろう・・・。
玄関に立つヲレとミキの姿を見て、母親は妙にニコニコとしては「あらあら、まぁまぁ」と
動揺しているのか、喜んでいるのか解らないリアクションでミキを出迎えた。
それは当然だろう、女の子を家に連れて行ったのなんて初めてだ。
っと言うか、ミキが勝手に入ってきたのだが・・・。
64Mr.名無しさん:2007/11/12(月) 00:38:27
「ちょっと待ってろよ、すぐに持ってくるから」
母親に見られた恥ずかしさと、ミキが勝手に入ってきたのに驚いて、
声が少し裏返っていた気がする。
すると、母親が余計な事を言いだした。
「上がってもらえばいいじゃない。どうぞ、この子の部屋散らかっているけどねぇ」
なんて余計なこと言う母親なんだろう・・・。
ミキもまさか上がらないだろうと思っていると・・・。
「毒男クン・・・お邪魔してもいい・・・?」
「え?」 っと言っているうちに、母親が「どうぞどうぞ」 なんて言っている。
階段を登るヲレたちに、母親が「紅茶でいいかしら〜」 なんて聞いてくる・・・知るかそんなこと。
65Mr.名無しさん:2007/11/12(月) 00:44:40
部屋に入ってからミキに、「お前な・・・」っと言うと、
ミキは悪戯っぽく、「作戦勝ち〜」っと少し舌出して微笑んだ。
ヲレはその微笑にドキドキとしてそれ以上は何も言えなくなってしまった。
「と、とりあえず適当な所に座ってろよ・・・。」
適当な所って言っても、床か、ヲレの机の椅子か、ベットしかないのだが。
すると、部屋のドアをノックする音がする。
母親がお茶を持ってきたらしい・・・。
突然ヲレが連れて来たミキの事が気になるのだろうか、
準備が早いのに驚く、流石ヲレの母親だと実感した。
66Mr.名無しさん:2007/11/12(月) 00:53:00
母親が紅茶と菓子を持ってきた。
床にクッションを敷いて座っているミキの横に座ると、なにらや話し始めようとする。
ミキもミキで、初めましてなんて挨拶をして自己紹介なんかしている・・・。
このままだと母親が、ますます座り込んでフローリングの床に根でも生やしかねない。
「オフクロ、もぅいいよ・・・下行ってよ」
ヲレの言葉に、「はいはい」 っと言って母親は立ち上がり、部屋のドアを開け出て行こうとした。
母親は出て行く間際に、振り返ると「ミキちゃん、よかったら夕ご飯も食べていけば?」 なんていい出す。
「オフクロ !」 ヲレが少し荒い口調で言うと、
母親は「怒られるから、下に行くね。ミキちゃんゆっくりしていってね〜」 と、カラカラと笑ながら出て行った。
ミキはヲレと母親のやり取りを見ながらクスクスと笑っている。
67Mr.名無しさん:2007/11/12(月) 01:01:34
母親の階段を降りる音が聞こえなくなってから、ミキはまだクスクスと笑いを堪えながらヲレに話しかけてくる。
「毒男クンのおかあさん、面白い〜。ヒョウヒョウとした所なんかソックリね」
まじまじと観察されたようで恥ずかしくなり、ヲレは後ろを向いてCDラックからCDを探しだす事にする。
目当てのCDが見付かり、ミキに渡すと「ありがとう。」 そう言って受け取りCDを開くと中を見始める。
そんなミキの横顔を眺めていると、ミキが急に顔を上げてヲレの方を向いた。
「ん? 何? じっと見て・・・あ〜判った、私に見とれていたんでしょ?」
ミキが悪戯っぽくヲレの顔を見上げながら笑う。
確かに見とれていた訳だが、正直には言えない・・・。
「んな、事は無いよ・・・自惚れるな。お茶冷めるぞ、飲んだら帰れよ・・・暗くなるぞ」
照れ隠しで、少し強い口調で言ってしまった・・・。
68Mr.名無しさん:2007/11/12(月) 01:03:50
この後はエロイ展開と、ソフトにエロイ展開と、
エロく無い展開とあるんだが・・・。
もし読んでいる人がいたら、どれがいい?
69Mr.名無しさん:2007/11/12(月) 08:33:33
全部!
70Mr.名無しさん:2007/11/12(月) 08:56:38
エロだなエロ
71Mr.名無しさん:2007/11/12(月) 15:32:51
エロ過ぎてもなあ
微妙にエロ希望
72Mr.名無しさん:2007/11/12(月) 15:34:34
スマン
吊ってくる
73Mr.名無しさん:2007/11/12(月) 17:22:23
男版ツンデレ「オラにゃん」 ツンデレ女とうまくいく?
http://news.ameba.jp/hl/2007/11/8490.html
74Mr.名無しさん:2007/11/12(月) 19:30:19
>>68
ちょいエロ希望
例えばこの後やっちゃったりしたら個人的にはすげえ萎えるから・・・

ちょいエロが一番萌えると思うんだ
そんで「ちょい」のさじ加減が職人の腕の見せ所だと思うんだ
75Mr.名無しさん:2007/11/12(月) 20:56:32
ツンデレ つーかー デレデレ ジャマイカ
だが それもいい
76Mr.名無しさん:2007/11/13(火) 00:35:12
了解、ちょいエロで
77Mr.名無しさん:2007/11/13(火) 00:36:10
「うん・・・お茶頂くね」
ミキが少し寂しげな顔をしてカップを持つ。
今の口調がきつかったのが自分でも判り、そのせいでミキが寂しそうな顔をしたのも読み取れたので、
その場を取り繕うように馬鹿な事を言って、部屋の空気を換えようと必死に何かを考えた。
「粗茶ですが・・・」 ヲレがポツリと言うと、
カップに口を付けよとしていたミキが噴きそうになりながら笑った。
「変な事、言わないでよぉ〜笑いそうになっちゃった・・・これ紅茶、アールグレイみたいよ」
いつもの表情に戻る・・・ミキの機嫌が直ったようだ。
そして紅茶を一口飲むと、ミキがポツリと呟いた。
「遅くなっても大丈夫・・・うち・・・お父さんお母さん帰りがいつも遅いもん」
そう言って、ミキはまた一口紅茶を飲んだ。
78Mr.名無しさん:2007/11/13(火) 00:42:57
紅茶を一口飲むと、ミキはじっとヲレの顔を何も言わずに眺めた。
ヲレは何も言えずに、ただミキの少し憂いのある瞳に釘付けになってしまう。
ふと、ミキが目を閉じる。
顔をヲレの方に向けたまま目を閉じるっていう事は・・・次の行動はお互い予想していただろう。
部屋の床にペタンと座るミキの前に、ヲレも片膝を付いて座る。
ヲレはミキに顔を近づけ、軽く唇と唇が触れるかどうかな瞬間・・・。
変に緊張していたのか、床についた片膝のバランスというか、
姿勢が悪かったので自分の足の位置を変えようと足を動かすと、
つま先が床に置いたティーカップに当たり、紅茶の入ったカップを転がしてしまう。
部屋の床とヲレのつま先、そしてミキの脚を少し冷めた紅茶が濡らした。
多分、お互い初めてのキスになったかもしれないのに、カップを転がした事によってそれは失敗に終わった。
慌てながら部屋にあったティッシュでミキが床を拭いている。
短いスカートからは細く長い脚が顕になっていた。
79Mr.名無しさん:2007/11/13(火) 00:49:42
「もぅ、毒男クンのおっちょこちょい・・・」
床を拭き終わると、ミキが笑いながら顔を上げる。
ミキの顔は頬が少し赤く染まっていた。
そしてヲレと目が合うと、ヲレの視線の先に目を移し、ハッっとした様子でヲレの方に目線を返した。
ヲレの視線はと言うと、ミキの短いスカートの奥に向いていた。
ミキは少し恥ずかしそうにしながら、「えっち・・・」 そう言ってスカートを抑えた。
「ご、ごめん・・・」
訳の判らない罪悪感から、そう言ってヲレは目線を逸らすと、
ミキが顔を近づけてきて、ヲレに悪戯っぽく微笑み、
「見たい・・・?」 と聞いてきた。
ヲレは、その意味が今一つ理解できなくて、「え?」 と聞きかえると、
ミキはさっきより顔を赤くして、小さな声で呟いた。
「パンツ・・・見たいの?」
80Mr.名無しさん:2007/11/13(火) 01:39:20
見たい
81Mr.名無しさん:2007/11/13(火) 08:58:22
俺も
82Mr.名無しさん:2007/11/13(火) 22:25:56
このスレまだあったんだなw
昔書いてたなぁ、懐かしい
またなんか書こうかな
83Mr.名無しさん:2007/11/13(火) 23:48:16
「な、なんで?」 ヲレは動揺してミキに聞き返えす。
まぁ、見たくないと言えば嘘になるのだが、ミキにスケベな奴と思われたくなかったから。
「だって・・・さっき自転車乗る前にも毒男クン・・・気にしていたから」
ヲレは自分の内面がミキに知られたような気がして、うまく答えが返せなかった。
「毒男クンになら・・・見せてあげても・・・いいよ?」
最後の方はミキも恥ずかしいのか聞こえないぐらいに小さな声だった。
ミキはスカートの裾を両手でゆっくりと摘み上げ、細い大腿部が見える位置で止める。
ちらっとヲレの方を見てから、顔を真っ赤にしながら横に向け、
「見たい・・・?」 再び聞いてくる。
それはヲレも正常な男だし、見たいに決まっている・・・。
「うん・・・。」 そう呟くと、ミキは恥ずかしそうに顔を横に向けながらスカートを持つ手を少し持ち上げた。
薄いブルーの下着だった。
恥ずかしそうにしながら自分でスカートを捲り上げ、
少し内股気味に立つミキの姿を見てヲレは変にドキドキとした。
84Mr.名無しさん:2007/11/13(火) 23:48:58
スマン・・・sage忘れた
85Mr.名無しさん:2007/11/13(火) 23:49:58
ハァハァか?
86Mr.名無しさん:2007/11/13(火) 23:53:56
変な沈黙があった後に、
「はい、もぅ終わり」
ミキがスカートから手を放すとスカートは重力に従いヒラヒラと元の位置に戻った。
ミキは顔を真っ赤にしながら小さな声で呟く。
「き、今日は特別・・・CDのお礼ね・・・。でも、普段はこんなこと絶対にしないんだよ?」
ミキが誰にでもそんな事をする訳がないのは判っている。
でも、今日の出来事はヲレにだけ特別なんだと・・・そう信じ込んでもいいのだろうか。
学年でも人気のある可愛い女の子がヲレに特別な事をしてくれる・・・。
本当にそうだったらいいけど・・・また、からかわれているのか?
色々なことを考え初めては、何か少し頭が混乱してきた。
87Mr.名無しさん:2007/11/13(火) 23:57:23
お互いに顔を真っ赤にして、何を話していいのか判らないで床に座っていると、
「CD受け取ったし・・・もう帰るね」
ミキがスッっと立ち上がった。
「そ、そうか・・・じゃ駅まで送っていくよ」
ホッっとしような、名残惜しいような感じもしたが・・・ヲレも立ち上がった。
88Mr.名無しさん:2007/11/14(水) 00:03:51
ミキを駅まで送る為に自転車を走らせた。
最初はいつもと同じように背後からちょっかいを出していたのに、
駅に近づくにつれ段々とミキはおとなしくなっていく。
ミキにしては珍しく静かになったなぁっと思っていると、
突然ヲレの顔の横にミキが顔を近づけて囁いた。
「ねぇ、毒男君・・・もうすぐ試験じゃない」
ヲレはミキの急な言葉に少し驚きながらも、
「あぁ・・・もうすぐ試験だなぁ・・・」 と、言葉を返した。
またミキがヲレの耳元で囁く、耳に触れるか触れないかの距離にあるミキの唇と吐息がくすぐったかった。
「今度の試験勉強・・・うちで・・・一緒に勉強しようよ?」
試験前の部活が休みになるまで、あと一週間ぐらいだった。
89Mr.名無しさん:2007/11/15(木) 03:10:56
ハァハァ
90Mr.名無しさん:2007/11/15(木) 19:15:20
なんかこのスレ好きなんだよなぁ〜
91Mr.名無しさん:2007/11/15(木) 21:02:33
学校の自習室の窓からぼんやりとハンドボール部の練習を眺める。
ヲレの学校には自習室と言う机が並べられた部屋があった。
その部屋の中の校庭に面した机の一つを陣取りテスト勉強をしながらハンド部の練習が終わるのを待っていた。
ヲレの入っている剣道部は練習のやる気がないのか、他の部より早く練習が試験前の休みになっていた。
ミキの練習が終わるのを校門で待っているのも辛いので時間潰しに勉強でもしながら、待っていようって魂胆だ。
でも、実際は勉強なんかしないで校庭のハンド部の練習を眺めていた。
パスを受けてシュッートをするミキの滑らかに動く細く長い手足の動きを目で追う。
昨日の出来事が脳裏に蘇る。
ミキがスカートを自分で捲る姿、耳元で囁くミキの声、くすぐったくなるような吐息・・・。
きっとハタからみると呆けた顔をしていたのだろう。
そんな昨日の体験を頭の中でリプレイしていると、隣から声が聞こえた。
92Mr.名無しさん:2007/11/15(木) 21:13:09
「その化学式・・・『2』が抜けているよ・・・。」
その言葉に驚いて横を見ると、同じクラスの女の子が座っている。
フジサキ ユリ・・・同級生で学年でも1〜2位の成績の才女・・・。
特に理数系が強いのか数学と化学は毎回トップの成績だ。
でも、いつもクラスで一人だった、自分から誰かに話し掛ける事も無く本を読んでいるだけの存在。
そんな彼女が発する『私に近寄らないでオーラ』は、ますます人を遠ざけた。
顔が美人系の顔付きなので、それが余計に強く感じられて話しをする友人は数人位しかいなかったみたいだ。
ヲレも話をしたのは始めてかもしれない。
「あ・・・ありがと。そうだな、この式・・・変だな・・・」
「うん・・・」 そう頷くとフジサキ ユリは自分の勉強を始めるべく、ノートに目を落とした。
ヲレは変わった奴だな・・・天才ってやつは皆こんな感じなのかなと思いながら、
ノートの化学式を直してから、また校庭を眺めた。
今はノートに書いた化学式なんてどうでもよかった。
93Mr.名無しさん:2007/11/15(木) 21:22:51
ハンドボール部の練習が終わり、片付けを始めてる。
そろそろ終わりかな・・・そう思っていると、スッと隣からメモ用紙が来る。
ちょっと可愛いキャラクターのイラストが印刷されたメモ用紙に綺麗な字で書かれた文字が一行書いてある。
「アカギ ミキさんと付き合っているの?」
自習室は勉強以外の私語禁止のルールに真面目に従ってメモで書いてきたのだろうか・・・。
ヲレがフジサキ ユリの方を見ると、彼女はそんなメモは書いてないかの様にヲレには理解できない数式を書いていた。
仕方なく・・・そのメモに返事を書く。
「付き合っていると言うか・・・うん、まぁ・・・」
その返事をスッっと彼女の方に送ると・・・。
彼女はチラッっとヲレの方の見てからメモを読んでいた。
「そう・・・」
小さな声で言った後にパタンと参考書と閉じてから自習室を出て行った。
何か少し気分を害したような感じで機嫌が悪くなったような雰囲気が感じとれたけど、
その時のヲレには、なんで彼女が不機嫌になったのか今一つ理解できないでいて、
変な奴だなぁぐらいにしか思っていなかった。
94Mr.名無しさん:2007/11/15(木) 21:31:54
練習が終わったミキを校門から少し離れた所で待って、
昨日と同じように自転車の後ろに乗せて帰る。
駅までの道のりふと前を見るとフジサキ ユリが鞄を持ってトボトボと歩いている。
ヲレの自転車の後ろに立ち乗りしているミキが、「あ、フジサキさんだ・・・。」 と指差す。
もう回避は出来ないので彼女がトボトボと歩く横を自転車で通りすぎる。
「フジサキさんバイバイ」 すれ違う時にミキがフジサキに手を振る。
「あ・・・バイバイ・・・」 フジサキが小さな声で呟くのが聞こえた。
ヲレはさっきの自習室の不思議なやりとりを思い出しながら自転車のペダルを踏んだ。
95Mr.名無しさん:2007/11/15(木) 21:36:05
ヲレの後ろでミキの声がする。
「フジサキさん、今まで勉強していたのかなぁ?」
「あぁ、さっき自習室に居たよ」
そう答えた後に何か気まずさを感じた。
「ふーん・・・学年トップも大変なんだね」
ミキが能天気な口調で言う。
96Mr.名無しさん:2007/11/15(木) 21:39:56
「ねぇ、ちょっと寄り道していかない?」
ヲレも、もう少しミキと居たい気分だったのでミキの言葉がなんか嬉しかった。
「あぁ、途中にある公園でも行く?」
学校と駅の間には住宅地があり、小さな公園が幾つもあった。
夕方、部活が終わる時間には公園は誰も居ない場所で、
校内でカップルになっている奴らが、公園のベンチで話しこんでいる事がよくあった。
まぁ、公園でお喋りをして、健全な高校生のお付き合いの範囲内の行動ぐらいで、
公園内でどうこうする奴も居なかったし、近所の人もヲレらが夕方にベンチに座っていても大目に見てくれていたのだろう。
ヲレはミキに、告白をして付き合っている訳ではなかったけど・・・公園に誘ってみた。
「うん、いいよ」 ミキはなんの躊躇も無く応える。
ヲレ達付き合っていると思っていいのかな・・・。
ミキに聞いてみたかったけど、また悪戯っぽく笑ってからかわれるかと思い、その問い掛けはしないことにした。
97Mr.名無しさん:2007/11/16(金) 19:45:31
つまらないから
やめたほうがいいよ
98Mr.名無しさん:2007/11/16(金) 22:41:10
ageながら言うとはなかなかのツン状態ですね。
99Mr.名無しさん:2007/11/18(日) 04:17:34
すぐにデレるさ
100Mr.名無しさん:2007/11/19(月) 20:21:29
あげ
101Mr.名無しさん:2007/11/20(火) 00:49:47
まだ書き続けてたんだ
102Mr.名無しさん:2007/11/21(水) 05:11:18
103Mr.名無しさん:2007/11/22(木) 04:39:58
104Mr.名無しさん:2007/11/22(木) 05:03:10
まさかこれくらいのヤジで消えたりしないよな?
頑張ってくれよマジで……
105Mr.名無しさん:2007/11/22(木) 20:23:44
日の沈みかけた公園のベンチに二人で座る。
お互いに、なにか変に緊張しているのが伝わってくる・・・。
友達ののような・・・恋人のような・・・何かハッキリとしない関係なのかもしれない。
でも、ヲレはミキに好意がある・・・ミキも多分そうだろう。
そんな事を考えながら、ミキと会話をした。
学校の事、クラスの事、部活の事、好きな曲、TVの話し・・・二人で居る時間はあっと言う間に過ぎて、
あたりは暗くなり始めていた。
「もう帰ろうか・・・」
立ち上がろうとるヲレの袖をミキはちょっと摘んで引張った。
「もう少し・・・ダメ?」
ヲレは別にミキと一緒に居たかったから構わなかったけど、
ミキはこれから電車に乗って帰るし・・・遅くなるんじゃないかと少し心配した。
「お前・・・また帰りが遅くなるんじゃない?」
そう言いながらもヲレは、またベンチに座ってしまう。
「うん・・いいの・・・」
ミキはそう言って少しヲレとの間を詰めて座りなおした。
さっき袖口を引張っていた手がヲレの腕に絡む。
その距離はお互いの胸の鼓動が聞こえるぐらいの距離になった。
106Mr.名無しさん:2007/11/22(木) 20:33:15
ヲレの肩に寄り掛かるように頭を乗せてくるミキからは柑橘系のコロンの香りがする。
緊張して遠くを眺めるだけのヲレは次にどうしていいのか判らないで体を硬直させた。
多分これは・・・次の行動は想像できたけど体は動かない。
「ミ、ミキ・・・あのさ・・・」
そう言ってミキの方に体を向けたときに、公園の外を歩く人の姿が目に入った。
フジサキ ユリだ・・・なんであいつ、あんなに歩くのが遅いんだ?
その瞬間、視線を感じたのか下を向いて歩いていたフジサキが顔をこっちに向けた。
少し距離があったのに目が合ってしまう・・・。
フジサキは驚いた顔をして一瞬動きが止まった後に、その場から走って行った。
向こうも驚いただろうが、ヲレの方もかなり驚いた・・・。
ふと見るとミキがヲレの可を眺めている。
「なんでそんなに驚いた顔してるの?」
ミキは全然フジサキに気が付かなかったらしい。
107Mr.名無しさん:2007/11/22(木) 20:34:56
↑下から3行目間違いがあった。

× ふと見るとミキがヲレの可を眺めている。
○ ふと見るとミキがヲレの顔を眺めている。
108Mr.名無しさん:2007/11/22(木) 20:44:18
じっとヲレを見るミキの目が段々と険しくなっていく・・・。
ミキは突然ヲレの頬を摘むと、
「毒男クンのバカ・・・鈍感」
ミキはスッっと立ち上がりベンチから遠ざかった。
その言葉の意味が理解できたから、素直に謝った。
「ゴメン・・・」
怒って立ち上がったミキの背中に謝った。
「もぅ、なんで謝るのよ !」
ミキはくるっと振り返ると、今度は呆然として立ち尽くすヲレに歩いてくる。
そしてヲレに向かって手が伸びてきたので、これは絶対叩かれると覚悟をしていると、
ミキの手がヲレの頬にそっと触れてからミキの頭がヲレに近づき・・・そっと、触れるかどうかなキスをした。
「毒男クンのバカ・・・」
そう言って、またキスをした。
109Mr.名無しさん:2007/11/22(木) 20:49:24
駅までの道をミキを後ろに乗せて、自転車を走らせる。
段々と駅が近くなると、いつものようにミキがヲレの耳元で囁く。
「明日・・・うちに試験勉強しに来る?」
「あ?あぁ・・・うん」
ヲレはさっきの出来事を思い出すと少し顔が熱くなった。
でも、ミキはそんな事は忘れたかのように普通に話しかけてくる。
「じゃ、学校終わったらそのまま来るでしょ?」
ミキがヲレの肩に置いていた手をヲレの首に絡め後ろから抱きつくようにして体をくっ付ける。
「うん・・・くっ付くと危ないぞ・・・自転車コケる」
ヲレの背中に感じるミキの体の感触にドキドキとする。
ミキはそんなヲレの事が判ったのか、クスクスと背中で笑っていた。
110Mr.名無しさん:2007/11/23(金) 08:30:28
待ってました!
今回もGJ!!
111Mr.名無しさん:2007/11/23(金) 13:46:49
お、ユリの存在がwktk
112Mr.名無しさん:2007/11/23(金) 23:57:14
次の日は朝から落ち着かなかった・・・。
今日は本当にミキの家に行くのだろうか・・・昨日のキス・・・。
そんな事を考える度にドキドキとした・・・色々な所が。
一応、ゴムも用意した。
昨日の夜、自転車で遠く離れたコンビニまで買いに行ってきた。
なんだか変な期待が大き過ぎて寝不足の一日になりそうな気がしながら学校に向かう。
教室に入ると、ミキが同級生と話している。
自分の席に着くヲレの姿をチラッっと見ると、
今話している同級生にには見られないように小さく手を振ってくる。
ヲレもそれにつられて小さく手を振り返す。
朝のホームルーム前だったので席に付いているのはヲレを含めて数人しかいない。
数列前にフジサキ ユリの席がある。
いつもは本を読んでいるのに、今日は机に伏せっている。
優等生にしては珍しいな・・・ヲレはその時、そんな印象しかなかった。
113Mr.名無しさん:2007/11/24(土) 00:08:21
そしてあっと言う間に一日の授業が終わる。
何かを待っている時は時間が中々進まないものだけど、
なぜだか今日は時間の過ぎるが早かった・・・。
その代わり授業の内容は何も覚えていないのだが。
終礼のホームルームが終わりバラバラと教室から出て行く生徒達。
ミキが自分の仲の良い友達に「じゃね」なんて言って手を振っている。
ヲレのが居るのに気が付くとミキはニコっと笑う。
「帰ろうっか♪」
ミキがヲレの前を通り過ぎると昨日と同じように柑橘系のコロンの香りがした。
114Mr.名無しさん:2007/11/24(土) 00:09:03
駅前の駐輪場に自転車を入れて。
ミキと一緒に電車に乗る。
ミキはいつも数駅離れた所から電車で通学していた。
「乗り換えは無いから楽なんだよ。」
なんて話をしながらミキと電車に揺られた。
車内は、そんなに混んでは居なかったけど、適度に人が居て座席は空いて無い状態。
ヲレ達は吊革に掴まり立ちながら話を続けていると、
ふとした瞬間にミキが体を少し近づけて手を繋いでくる。
同じ車両には、同級生は居なかったが同じ学校の奴らが数人乗っていた。
ミキはそんな事は全然気にしないように、驚いた顔をしているヲレに悪戯っぽくニコっと微笑んでくる。
ヲレは少し照れながらも、その手を軽く握り返した。
115Mr.名無しさん:2007/11/24(土) 15:55:34
今後の予想

主人公はミキの家にいったら監禁されるんだな
登校してこない主人公を不審に思ったユリが探し出し助ける

そうだろ、そうなんだろ?
116Mr.名無しさん:2007/11/24(土) 17:25:36
弁当吹いたw
117Mr.名無しさん:2007/11/24(土) 22:10:26
マナマ……いや、ミキミキか
118Mr.名無しさん:2007/11/25(日) 11:34:34
ヲレもコーヒー噴いた(w
そんなストーリーもありだよなぁ・・・。
昔、監禁物も書いたことがあるが・・・。

ミキさん、ユリさんの続きは・・・また夜にでも。
119Mr.名無しさん:2007/11/25(日) 13:47:04
みんな…次の作品は…俺に書かせて…くれないかな?駄目かな?
120Mr.名無しさん:2007/11/25(日) 14:18:37
書きたい奴が書いて投下するんだよ
別に住人の許可なんかいらねっての

いいから早く書けよ
いや、別に楽しみになんかしてないけどな
121Mr.名無しさん:2007/11/25(日) 14:27:30
ここは住民もツンデレでつ
122Mr.名無しさん:2007/11/25(日) 21:34:02
なら今の話が完結したら書かせてもらいます。
123Mr.名無しさん:2007/11/25(日) 21:36:11
別にトリップかコテか名前欄にタイトル入れるかして
判別できればいつ書いてもいいんだぜ
124Mr.名無しさん:2007/11/25(日) 22:28:03
>>122
あーそんな事言わないで書いて下さい。
ヲレ、気まぐれで書いてるから完結待っていたら、いつになるか判らないですよ。
楽しみにしてます。
125Mr.名無しさん:2007/11/25(日) 22:36:31
ミキの家は駅前の新築されたばかりの巨大なマンションだった。
正直言って、結構驚いた・・・ミキの家って金持ちなんだなと。
エントランスに置かれたテンキーを数回押すと、大きな重々しいドアが左右に開く。
ミキとヲレは、その中に吸い込まれるように入っていく。
「ミキ・・・なんか凄いな・・・」
エントランスホールの大理石の床や壁、飾られた花とかをキョロキョロと眺めながらミキに呟く。
「え? 何が?」
ミキは何が凄いのか判らない様でヲレに聞き返す。
「え・・・いや・・・お前んちって金持ちなんだなぁ・・・っと思って」
「全然、お金持ちじゃないよぉ・・・パパもママも仕事ばっかりで全然帰ってこないもん」
ミキはエレベーターのボタンを押しながら笑う。
すぅっとエレベーターのドアが開くとミキが入りヲレはその後に続いた。
最上階の12階のボタンを押すと扉が閉まる。
ゆっくりと上昇するエレベーターの中でミキとキスをした。
12階に付いてドアが開き二人で降りるとミキがクスクスと笑いだす。
「どうした・・・?」
ミキがなんで笑っているか判らないで聞いてみると・・・。
「毒男クン・・・今のエレベーターね、監視カメラ付いてるんだよ?」
ミキが笑いを堪えきれないように話す。
「あ・・・」 ヲレが顔を真っ赤にすると、
「きっと、管理人さんに見られちゃったよねぇ〜」
そう言って、また悪戯っぽく笑った。
126Mr.名無しさん:2007/11/25(日) 22:42:18
玄関の扉を開くとミキが、「さぁ入って。」 と言う。
ヲレは緊張しながらも「お邪魔します・・・。」 とミキの家に入った。
「緊張しなくてもいいよ、誰も居ないし。」
確かに家の中は人の気配は無く静まりかえっている。
ミキは玄関を入ってすぐのドアを開く。
「どうぞ。」
多分ミキの部屋なのだろう、初めて入る女の子の部屋になんだかドキドキとする。
ミキの部屋はきちんと整理されていてベットと机、小さなテーブルが置いてあり、
想像していたよりも女の子っぽくない部屋だった。
でも、女の子の部屋の香りなのか、いい香りがヲレの鼻をくすぐった。
「座ってて」 そう言って、ミキは部屋を出て行った。
小さなテーブルの所にはクッションが二つ向かい合うように置いてある。
ヲレは、その片方に正座して座った。
127Mr.名無しさん:2007/11/25(日) 22:48:04
お茶を持って入ってきたミキが、ヲレの正座姿を見て笑いを堪えている。
「ど、毒男クン・・・正座してる・・・と・・・足痛くなっちゃうよ?」
笑いを堪えながら話すミキの言葉は途切れ途切れになった。
テーブルの植えにお茶を置くと、ミキはふぅっと大きな息をして、
「お茶零すかと思っちゃった。」 と言いながら、ミキがクスクスと笑う。
ミキに言われて、ヲレが足を崩して座り直すと、
「さ、勉強しよっか。」
ミキは鞄の中から教科書とノートと取り出し、
ヲレは肩透かしを喰らったような気分になった・・・。
128Mr.名無しさん:2007/11/25(日) 22:54:50
「お互い、苦手な教科をカバーしようよ。」
ミキがシャーペンをクルクルと回しながら、ヲレの得意な教科を聞いてくる。
「得意な教科・・・無い、ゴメン。」
ミキは苦笑しながら、
「じゃ数学とか化学は? 私・・・全然ダメなんだよね。」
数学や化学と聞いて、なぜかフジサキ ユリの顔が脳裏に浮かぶ。
「化学にしようか・・・。」
昨日、自習室で勉強したから少しはミキに教えられるだろう。
129Mr.名無しさん:2007/11/25(日) 22:59:19
試験勉強は、あまり集中してやっていなかったけど少しは二人で問題を解き始めていた。
ミキがどうしても判らない問題があるらしくて教科書を持ってヲレの横に移動してくる。
体が少し触れただけでも意識してしまう。
「ねー、聞いてる?」
ミキの声でハッとする。
「あーエッチな事考えていたでしょ?」
ミキに自分の心の中が見透かされているようで、慌ててそれを否定した。
「そ、そんな事無いよ。」
ヲレは教科書の例題に集中するフリをすると、ミキが軽くキスをしてから囁くように呟いた。
「少し・・・休憩しようか・・・。」
130Mr.名無しさん:2007/11/26(月) 10:26:12
うおおぉぉ休憩ktkt−−−
131Mr.名無しさん:2007/11/27(火) 17:30:09
保守
132Mr.名無しさん:2007/11/28(水) 21:25:59
続きはまだなの?
早くしなさいよっ!










。。。。。別に待ってなんかいないんだからねっ!><
ただ、ちょっとだけ読んであげてもいいかなって思っただけよ?
133Mr.名無しさん:2007/11/30(金) 04:23:35
新作の方も待ってるぜ
134Mr.名無しさん:2007/11/30(金) 13:27:19
もう日曜日の夜からパンツ脱ぎっぱなしで待っている
135Mr.名無しさん:2007/11/30(金) 13:30:35
風邪ひくなよ
136Mr.名無しさん:2007/11/30(金) 22:41:44
今週激務・・・。
続きは来週になりそうです・・・スマソ。
パンツ履いて下さい。
137Mr.名無しさん:2007/12/02(日) 03:29:07
3点
138Mr.名無しさん:2007/12/03(月) 05:43:36
139Mr.名無しさん:2007/12/04(火) 03:31:04
140Mr.名無しさん:2007/12/07(金) 04:49:56
まだー?
141Mr.名無しさん:2007/12/09(日) 18:53:54
ほしゅ
142Mr.名無しさん:2007/12/11(火) 04:13:13
ホシュ
143Mr.名無しさん:2007/12/13(木) 16:10:22
新たな書き手にも逃げられたかw
144Mr.名無しさん:2007/12/15(土) 02:01:35
この手のスレの宿命みたいなもんか?
145Mr.名無しさん:2007/12/16(日) 12:29:26
別にツンデレ小説じゃなくていいなら書くよ。
146Mr.名無しさん:2007/12/16(日) 12:35:31
萌えられるなら何でもいいよ
147Mr.名無しさん:2007/12/19(水) 06:24:17
OCN解除でそろそろ何かクルー?
148Mr.名無しさん:2007/12/21(金) 04:33:32
保守
149Mr.名無しさん:2007/12/21(金) 10:45:16
なんだよ、「もうずっと人大杉」って(w
ずっと規制されているのかと思ってたよ・・・。
鯖移転なんて、誰も教えてくれんかった・・・。
150Mr.名無しさん:2007/12/21(金) 11:17:18
「少し・・・休憩しようか・・・。」
そんな言葉にドキドキとして何がなんだか判らなくなりそうだった。
キミが不思議そうな顔をして、じっとヲレの顔を覗き込む。
そしてミキはスッっと立ち上がると本棚から一冊の厚い本を持ってきた。
「アルバム見る?」
「え?」
ヲレはなにか拍子抜けしたように、間抜けな返答をしていたであろう。
なんだ、休憩って本当に休憩なのか・・・少し残念な気もしたが、
ミキの子供のアルバムも見てみたかったからよしとしよう・・・。
151Mr.名無しさん:2007/12/21(金) 11:19:23
ミキが横に座って一緒にパラパラとアルバムを捲る。
アルバムには中学校の頃の学園祭や、部活の写真が張り付けてある。
中には高飛びのジャンプの瞬間を写した写真もあった。
「あれ? 中学の時は陸上だったの?」
その写真を見ながらヲレはミキに聞いてみた。
「ん? ううん・・・陸上部じゃないけど・・・大会に出た事があるの・・・。」
「そうか、すげぇな・・・。」
そんな会話をしながらアルバムを見終わった。
152Mr.名無しさん:2007/12/21(金) 11:20:00
ミキの体がゆっくりとヲレに近づき、ヲレに寄り掛かる。
寄り掛かられても重くない、その体からはミキの体温が感じ取れる。
ミキの頭がヲレの肩に乗ると、ミキの髪のの甘い香りがヲレの鼻腔を擽るようだった。
ゆっくりと顔が近づく・・・。
そっと唇が触れ、重ね合わせる。
そして力無く、二人は倒れこんだ。
153Mr.名無しさん:2007/12/21(金) 11:20:32
ヲレはキスをしながらミキの胸を制服のブラウスの上からゆっくりと揉んだ。
ブラウスのボタンを外すのももどかしい。
ボタンが外れ露になった部分を順にキスしていく。
首筋から鎖骨、胸から肋骨・・・。
ミキの体が熱くなっているのが判った。
そしてヲレはミキのスカートの中に手を滑り込ませようとした・・・。
154Mr.名無しさん:2007/12/21(金) 16:56:37
まってたよ。おかえり。
155Mr.名無しさん:2007/12/24(月) 08:02:49
イブ
156Mr.名無しさん:2007/12/26(水) 02:47:53
ベンザエース
157Mr.名無しさん:2007/12/26(水) 15:49:54
コンタック
158Mr.名無しさん:2007/12/27(木) 08:30:36
らんらんるー♪
159Mr.名無しさん:2007/12/28(金) 04:30:48
ひっそり保守
160Mr.名無しさん:2007/12/28(金) 09:47:27
読み手に釘宮理恵さん起用 『ツンデレカルタ』発売
http://news.ameba.jp/economy/2007/12/8919.html
161Mr.名無しさん:2007/12/28(金) 09:55:43
波ヘイ「どうしたのかね、マスオ君?どうも元気がないようじゃが。」
マス男「あぁ、お父さん。いえね、少し昔を思い出しまして。」

*****************************************************************

マス男(25)は休日ということもあり、街をふらふらとしていた。
特に当てもないのだが、家にこもっているのももったいないと思ったので、柄にもなくウィンドウショッポングを楽しもうと考えたのだ。
マス男はいろいろな店をウィンドウした。
洋服屋では革ジャン、眼鏡屋ではグラサン、楽器屋ではギター、酒屋では日本酒、風俗では女・・・。
全てウィンドウした。
マス男は悪い男だ。

そんな時、マス男は一枚の張り紙を目にした。

「広告の品、本日(4/30)まで!」

マス男は足を止める。
(そうか、今日は30日か・・・。あいつの誕生日だったんだな・・・)
そう、その日は昔付き合っていたタイ子の誕生日だったのだ。
タイ子は、たいそう気立てがよく、不満の一つも漏らさない、本当によくできた娘だった。
しかし、わがまま邦題の悪い男、マス男についに愛想を尽かして別れてしまったのである。
162Mr.名無しさん:2007/12/29(土) 08:56:38
ショッポングにワロタ
163Mr.名無しさん:2007/12/29(土) 11:47:36
しかし、マス男は悪ながら義理を大切にする男だったので、別れたあとも、必ず誕生日にはメールを送っていた。
今回、危うく忘れてしまうところだった自分に少し腹を立てながら、マス男はメールを打った。


「誕生日おめでとう。もう25歳だな。俺がこないだ25になったってのに、毎年毎年追いついてきやがって(笑)また今度、飯でも食いに行こうな。」


マス男は悪い男なので、絵文字など使わない。

数分すると、タイ子から返事が返ってきた。


「毎年メールありがとう!タイ子、本当にうれしいよ!よかったら、今度といわず、今からお食事しに行かない?」


マス男は思わず、心を打たれた。
しかし、マス男は悪い男なので、タイ子に悟られないように慎重にメールを返した。


「いいぜ!相変わらずマブい奴だな!(ハート)」

続く。
164Mr.名無しさん:2007/12/31(月) 04:35:25
gj
ホシュ
165Mr.名無しさん:2007/12/31(月) 09:09:18
マス男は正直、心躍っていた。
別れた彼女とはいえ、マス男にはまだ未練が残っていたのだ。
女々しいと思ってもらってもかまわない。
マス男は女々しい男だ。

しかし、いくら「今から食事」といっても、マス男もタイ子も準備というものがある。
マス男はタイ子を迎えに行くために、家に車を取りに戻った。

愛車はミラ。
フロントガラスのしたにはふさふさの毛。
車内灯はブラックライト。
後ろには浜崎亜由美がプリントされている。
バリバリのヤンキー仕様だ。

勢い込んで、マス男はアクセルをふかす。
車庫からは慎重に半クラで出なくてはいけない。
近所の子どもが飛び出してきたら大変だ。
2度のエンストの後、速やかにクランクを抜け、大通りを目指す。

大通りまで出ると、運転もしやすくなる。
ヤン車のオーラを醸し出しているマス男ミラには、警戒してか、他の車も道を譲る。
まるで緊急車両だ。

その時、タイ子から連絡が入る。
しかし、大人の決めたルールを遵守するマス男は運転中に携帯はとらない。
わき道に入り、ようやく道端に停車して携帯を見ると、タイ子からメールが入っていた。

「駅前のロフト前で待ってる」

よっしゃ!法定速度でぶっ飛ばすぜ!

続く。
166Mr.名無しさん:2007/12/31(月) 19:12:16
アゲ
167Mr.名無しさん:2008/01/02(水) 01:14:53
ほす
168Mr.名無しさん:2008/01/03(木) 06:13:23
ツンデレ終わったな
169Mr.名無しさん:2008/01/03(木) 10:13:11
マス男は、イライラしていた。
法定速度でぶっ飛ばしていたら、渋滞に巻き込まれたのだ。
タイ子との約束の時間は5時。
しかし、約束の時間はとうに過ぎている。
誰にぶつけたらいいのかわからない憤りを胸に秘めながら、きちんと車間距離を保つマス男。
元はといえば、渋滞を引き起こした原因もマス男にあるのだが。

タイ子からは催促のメールが入る。
「今どこにいるの?」
「悪い。渋滞に巻き込まれちまって。。。ちんたらしてんじゃねえよ、まったく!」
「まぁ!マス男さんったら悪いのね!ウフフ・・・。」

マス男はすでにビンビンだった。
なにせ、マス男はまだタイ子以外の女を知らない。
いくら考えないようにしても、タイ子の顔が思い浮かぶだけで、マス男のマス男自身は抑えられないのである。
マス男はまだ若かった。

しかし、そんなことをタイ子に悟られてはまずい。
タイ子の前では、マス男は抱かれたい男子ランキング1位でなくてはならないのだ。
マス男の中には、煩悩と欲望が渦巻いていたが、なんとか理性でふたをすることができていた。

そんなことを考えていると、いよいよ、タイ子との待ち合わせ場所にたどり着いた。
路肩に停車して、タイ子にメールを送る。
「今ついたぞ。路肩に停車してるからはやくこいよ!」
なんという亭主関白。
マス男はさだまさしだ。

しばらく待っていると、マス男のミラをノックする音がした。
窓の外を見て、マス男は思わず目を奪われた。
170Mr.名無しさん:2008/01/03(木) 22:32:04
サザエさんは?
171Mr.名無しさん:2008/01/04(金) 00:06:55
ちゃんと一から読み直せ
172Mr.名無しさん:2008/01/04(金) 00:14:01
マス男は窓の外にたたずむ女性に目を奪われた。
本当にこんな綺麗な女性と付き合っていたのか?
そう思いたくなるほど、タイ子は別嬪さんになっていた。
長く重たかった髪は、明るく短くなっており、軽いパーマネントなど当てられていた。
ファッションも明るくなっており、ピアスはキラキラと夕日に輝いていた。

「乗ってもいい?」
「お、おう!乗ったらいいよ!」
「ウフフ、待たされたわ」
「お、おう!待たせたな!」

明らかに動揺していた。
マス男はドキドキ屋さんだ。

「で、どこに行く?何食べたい?」
「そ、そうだな・・・。あんまり考えてなかったぜ!まかせる!」
「そうねぇ・・・。じゃあ、私の知ってるお店に行きましょうか。」

マス男ミラはタイ子の道案内で、発進する。

173Mr.名無しさん:2008/01/04(金) 00:14:26
「・・・元気だった?」
「おう!元気だったぜ!お前はどうだった?」
「・・・ん〜、ちょっといろいろあってねぇ・・・。」
「なんだよ?なんかあったのか?」
「ん〜、いろいろあったって今言ったよねぇ?」
「おう、そうだったな!で、なんかあったのか?」
「うん、あとから話す。あ、ここだよ!このお店!」

ついたところは、何の変哲もない、ありふれたチェーン居酒屋だった。
まぁ、ぶっちゃけつぼ8だ。

「ここかぁ、俺車なんだけどなぁ!」
「いいよ、あたし運転するから。飲んじゃいなよ。」
「お、おう、そうか?じゃあ、お言葉に甘えて。」

久しぶりにであった二人は、昔話などに花を咲かせる。

しばらく話していると、マス男は先ほどの話が気になりだした。
「そ、そういえばさっきの話なんだけど、なんかあったのか?」
「あ〜、うん。え〜っとねぇ・・・」

続く
174Mr.名無しさん:2008/01/04(金) 00:15:39
>>170
サザゑさんに出会う前の話を思い出して、波ヘイさんに語っているという設定です。
175Mr.名無しさん:2008/01/04(金) 00:55:30
176Mr.名無しさん:2008/01/04(金) 05:51:20
今度ヤンデレを書いてみようと考えている

需要は有るか?なんて糞ヌルイ事は聞かない
書きたいから書きます。許して下さい貴様ら

……たっ、ただ、読み手の意見完全無視な訳じゃ無いんだからねっ!
こ、んな感じとか鬱なだけのエンドはやだとかヒロインの外見はこんなが良いとか……あったら特別に聞いてやらないことは無いわよっ!
と、特別なんだからねっ!
177Mr.名無しさん:2008/01/04(金) 12:01:22
ヤンデレってなに
178Mr.名無しさん:2008/01/04(金) 17:30:21
179Mr.名無しさん:2008/01/04(金) 17:32:10
180Mr.名無しさん:2008/01/04(金) 18:35:58
タイ子はゆっくりと話し始めた。

「マス男君と別れてから、しばらく経ってね、バイト先の店長と付き合うことになったの」

もう、4年も前の話である。
しかし、グラスハートのマス男はこの時点でハートブレイキングである。
自分のせいで別れたのに、他の男と付き合っていることは認めたくない。
男とはなんとわがままな生きものだろう。

「その店長と最近別れたの。あんまり大切にしてくれなかったんだよね・・・」

マス男は自分が責められている気がした。
自分だってタイ子を大切にしてやれなかった。
だから今でも後悔している。

181Mr.名無しさん:2008/01/04(金) 18:36:36
だが、マス男はシャイボーイなので、そんな様子は億尾にもださない。

「あら、マス男君、グラスが空になっているわ。何飲む?ビール?」
「・・・え?あ、ああ、・・・バ、バッキャロウ!漢は日本酒だろ!酒だ!酒もってこい!」
「まぁ、マス男君ったら!変わってないのね、そういうところ。ウフフ」

それからは、昔話に花が咲く。
昔、よく行った喫茶店。
二人で眺めた公園のチューリップ。
よくマス男が落ちたマンホール・・・。

どれもよい思い出だ。

そうこうしているうちに、マス男の酒も進み、かなりヘベレケになってきた。
酒が進むにつれ、マス男の未練もだんだん膨らみつつあった。
歩行に支障が出るほんの少し前、マス男の下心に火をつける一言がタイ子から放たれた。

「マス男君、だいぶ酔ってるわねぇ。泊まるところもないんでしょ。うちに泊まっていかない?」

マス男マグナムは暴発寸前だ。
いったい、タイ子の本心はどこにあるのか。

続く
182Mr.名無しさん:2008/01/06(日) 14:20:35
183Mr.名無しさん:2008/01/07(月) 14:49:34
しゅ
184Mr.名無しさん:2008/01/09(水) 12:47:46
マス男さん小説の元ネタ見っけた

http://pilahu28.blog.shinobi.jp/
185Mr.名無しさん:2008/01/10(木) 00:12:59
つまりコレは転載……と言うことかい?

ツマランとかツマルとかはこの際言うまい
ツンデレ関係無いのもこのスレの現状を見て、まぁ百歩譲って許そう

だが転載は駄目だろ
転載元にも失礼だし、曲がりなりにも自分で書いてきたこのスレの書き手にも失礼だろ

つまり氏ねって事さ
186Mr.名無しさん:2008/01/12(土) 14:58:53
187Mr.名無しさん:2008/01/13(日) 20:20:04
携帯でしかも文才ない俺だけど少し書いてみようかな。


…べっ、別に読んでくれなくてもいいんだから!!
188Mr.名無しさん:2008/01/15(火) 05:06:37
出来るまで…待ってる
189Mr.名無しさん:2008/01/17(木) 06:02:21
そういや俺も前に投下したのが止まったままだな・・・
190Mr.名無しさん:2008/01/19(土) 04:09:03
出来るまで待ってるぜ
191Mr.名無しさん:2008/01/20(日) 06:18:17
了解
192Mr.名無しさん:2008/01/22(火) 03:55:17
ほしゅ
193Mr.名無しさん:2008/01/24(木) 02:43:13
ほっしゅ
194Mr.名無しさん:2008/01/25(金) 15:12:05
どーも、今更ながらまとめサイトの管理人なんですが……
まず、お詫び
長い間、放置申し訳ありませんでした
リアルの方が受験やら受験やらで忙しかったもので……

とりあえず受験は無事に終えたので、もしまだ需要があれば、まとめを再開しようと思うのですが、どうでしょうか?
195Mr.名無しさん:2008/01/25(金) 22:02:37
好きにやればいいよ





べ、別に再開されても嬉しくなんてないんだからね
196Mr.名無しさん:2008/01/26(土) 03:12:34
受験生だったのか
終わったとの事だし一先ずお疲れ様
受かってるといいな

需要は……
あ、有るんじゃないの?やる気があるんなら頑張ってやってみなさいよ(///)
197Mr.名無しさん:2008/01/28(月) 04:32:12
>>194
198Mr.名無しさん:2008/01/29(火) 04:46:34
199Mr.名無しさん:2008/01/30(水) 07:23:28
私は帰ってきた保守

来月になったら止めてた長編投下すると
これは自分で首絞めだと
200Mr.名無しさん:2008/01/30(水) 08:34:37
wktk
201Mr.名無しさん:2008/01/30(水) 11:21:26
長編ってどっちよ?
202Mr.名無しさん:2008/01/30(水) 17:48:10
>>201
映画作ってるやつ
まぁ期待せずにどぞ
203Mr.名無しさん:2008/01/31(木) 17:27:33
>>153の続きは無いのかね?
204Mr.名無しさん:2008/02/01(金) 04:30:12
マダー?
205Mr.名無しさん:2008/02/03(日) 20:08:55
ほしゅ
206Mr.名無しさん:2008/02/03(日) 21:53:33
クーデレ好きの俺だが…ツンデレ小説かいていい買い?
207Mr.名無しさん:2008/02/03(日) 22:21:30
むしろクーデレ書いてくれてもいいよ
208Mr.名無しさん:2008/02/05(火) 05:37:02
ほす
209Mr.名無しさん:2008/02/06(水) 10:41:19
やっと見付けた・・・探していたよ、逢いたかったよ。
そう言って君を抱きしめる。
すると君は前と同じように素気ない態度でヲレを突き放す。

書きたかったら、書けばいいじゃない。
別に読んであげても構わなくてよ?







このスレって、こんなイメージ。
210Mr.名無しさん:2008/02/06(水) 16:14:43
クーデレスレたてていい?
211Mr.名無しさん:2008/02/06(水) 17:57:49
>>210
たぶん今のこのスレよりも過疎りそうだからこのスレで一緒にやっちゃっていいと思うよ
212Mr.名無しさん:2008/02/06(水) 23:01:10
>>211
まじで?実はクーデレ書きでさ。
じゃあ、そのうち投下するわ。
213Mr.名無しさん:2008/02/06(水) 23:06:41
期待
214Mr.名無しさん:2008/02/08(金) 21:28:31
ほしゅ
215Mr.名無しさん:2008/02/09(土) 05:18:17
216Mr.名無しさん:2008/02/09(土) 11:13:16
保守んでれ
217Mr.名無しさん:2008/02/11(月) 06:17:23
デレ
218Mr.名無しさん:2008/02/13(水) 03:05:00
ツン
219Mr.名無しさん:2008/02/14(木) 04:28:18
ほしゅう
220Mr.名無しさん:2008/02/16(土) 04:46:32
バレンタイン明けほしゅ
221Mr.名無しさん:2008/02/18(月) 05:42:49
222Mr.名無しさん:2008/02/18(月) 13:43:27
>>194
お前馬鹿か?
この板で受験生ってわざわざ明かすのって糞じゃん
ぶっちゃけお前みたいな餓鬼に管理人してほしくないんだけど
223Mr.名無しさん:2008/02/18(月) 13:50:36
>>222
そいつ20浪だよ
224Mr.名無しさん:2008/02/18(月) 13:51:18
なんというツン
これがデレるのはいつなんだろうね
225Mr.名無しさん:2008/02/18(月) 13:57:57
>>24
は?なにいってんだ?
俺はマジで言ってんの。
226Mr.名無しさん:2008/02/18(月) 13:58:56
>>194
辞退しろよ。糞餓鬼。ここは学生が来る所じゃないんだよ。LR理解できないくせに管理人?それちょっとおこがましくね?
227Mr.名無しさん:2008/02/19(火) 07:05:02
一ヶ月近く経ってからレスとはなんという鈍間
短編の一つでも投下してから言おうぜ
228Mr.名無しさん:2008/02/19(火) 07:20:32
それじゃ久々に何か書いてみるかな・・・
229Mr.名無しさん:2008/02/19(火) 16:26:34
俺も漏れも
230Mr.名無しさん:2008/02/20(水) 00:50:45
>>227
だってこのスレ初めて見たんだもん
そしたらLR丸虫で管理人なんてしてる糞ったれがいたってわけだ
そりゃ批難せずにいられないだろ。ジャスティスの下に立つ毒男としては
231Mr.名無しさん:2008/02/20(水) 13:14:06
>>230
例え学生だろうが、なんだろうが好意でサイトを作ってくれる奴を俺は否定しない
ジャスティスだかなんか知らんが新参が口を出す問題じゃない

まぁとりあえず、落ち着いて好きなツンデレでも語って、書けるなら思いのたけを文章にしてみろよ
232Mr.名無しさん:2008/02/20(水) 19:23:35
毎日が退屈だった。
毎日学校に行き、バカやって、無駄な時間をダラダラ過ごす。

何の刺激もない生活。
何も変わらない毎日。

ただ、生きているだけ

そんな毎日だった。

そして、生きている限りこんな退屈な毎日が続いて行く、と

俺は思っていた

ずっと、そう思っていた。
2331話:2008/02/20(水) 21:50:33
夢を見ていた。
まだ、何も知らず無邪気だった頃
俺の中で、まだ家族が家族であった頃の夢。

いろいろな感情が浮かんでは消え、ゆっくりと頭が覚醒していく。

「…ん」

そして俺は、最悪な気分で目を覚ました。


時計は午前10時を過ぎた所、家は鎮まりかえっていて、人の気配はもうない。

「うーん」

寝転んだまま背伸びをして、身体を起こす。
234Mr.名無しさん:2008/02/21(木) 04:54:48
新作プロローグきたああ
235最終話:2008/02/21(木) 06:25:39
部屋を出ようとしたところ、いくらドアノブを回してもドアが開かない


「あれ?おかしいなぁ。」


どこからか、きな臭い匂いが漂ってくる


窓の外を見てみると、オレンジ色の炎が眼前まで迫っていた


「うわぁぁぁあぁ!助けてくれぇ!」


いくらドアノブを回そうとも、ドアは開かない。


どこからか声が聞こえてくる。


「・・じ・ご・く・に・お・ち・ろ・・・」


bad end
236Mr.名無しさん:2008/02/21(木) 08:39:07
これが
ツンデレか・・・!
237Mr.名無しさん:2008/02/21(木) 08:45:53
どちらかというとデレツン
238一話:2008/02/21(木) 12:17:26
そして深くため息をついて、家を出るしたくを始めた。

もう完全に遅刻の時間だったが、別に急ぐわけでもなく、いつも通り淡々と顔を洗って服を着替え、誰もいない家を後にする。

静かな住宅街から、活気のある商店街を抜け、ただただ機械的に歩を進める俺を、何人かの通行人は、怪訝な顔をして目を逸らしていった。

これが俺の日常。

また退屈な1日の始まりだった。
239Mr.名無しさん:2008/02/23(土) 06:43:09
240Mr.名無しさん:2008/02/25(月) 03:21:23
241Mr.名無しさん:2008/02/26(火) 23:30:12
242Mr.名無しさん:2008/02/26(火) 23:36:39
243Mr.名無しさん:2008/02/27(水) 18:06:14
ここで、流れの読めないヲレが>>153の続きを書いてみる。

ミキは笑って、ヲレの頬にキスをしてくる。
「ねぇ毒男クン・・・お願いがあるの・・・。」
「ん?」
ヲレはミキのお願いならなんでも聞いてあげたい気がした。
244Mr.名無しさん:2008/02/27(水) 18:07:20
「もっとぎゅっとしてよ。」
ミキが少し恥ずかしそうに横を向きながら小さな声で呟くように『お願い』を言う。
ヲレはぎゅっと抱きしめると二人でコロンとベットに転がる。
ミキが嬉しそうに、はにかみながら笑う。
「大好き。」
そう言ってミキがピトっとくっ付いてくる。
245Mr.名無しさん:2008/02/27(水) 18:09:34
それから一時間以上ミキのベットの上でゴロゴロとして過ごした。
もちろん試験勉強は捗るはずも無く、試験の成績が二人とも悪かったのは当然の事で、
ミキは追試は間逃れたがヲレはまんまと追試になってしまった。
だけど・・・今回の試験の成績が悪くて追試になったのはヲレだけでは無かった・・・。

土曜の午後に追試をする教室に行くと、もう一人女の子が座っている。
今回の追試は二人か・・・そう思いながら席に座ると、先に来ていた女の子が振り返る。
ヲレは、その女の子を見て驚いた・・・。
其処に座っていたのは、いつもなら学年トップのはずのフジサキ ユリだった。
246Mr.名無しさん:2008/02/27(水) 18:14:16
続く。
今回はアクセス寄生虫にならなければいいのダガ・・・。
247Mr.名無しさん:2008/02/28(木) 00:49:53
おぉ〜なかなかいいな…追試の流れもうめぇ
248Mr.名無しさん:2008/02/28(木) 08:44:30
   _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 続き!続き!
  (  ⊂彡
   |   |
   し ⌒J
249Mr.名無しさん:2008/02/28(木) 21:01:56
>>247-248 アリガd
250Mr.名無しさん:2008/02/28(木) 21:03:00
追試試験の教室に学年トップの成績だったフジサキ ユリが居るのに驚いた。
「珍しいな・・・。」
思わず考えていた事が口から言葉になってしまう。
フジサキはなんだか判らないがヲレを睨み付ける・・・眼鏡を掛けた美人にキッっと睨まれるなんて、
滅多に無い経験だったけど、なかなか迫力があり・・・二度とはそんな目で見られたくないと思う程の凄みだった。
何も言わないでフジサキはヲレの事を睨み付けた後にプイッっと怒っているような態度で正面を向き直した。
251Mr.名無しさん:2008/02/28(木) 21:04:53
ヲレ・・・なんか悪い事言っただろうか、「珍しい」っと言ったのが彼女のプライドを傷つけたのだろうか・・・。
それとも・・・夕方の公園にミキと居たのが、優等生のフジサキにとっては許せない程の校則違反であり、
ヲレは軽蔑される対象になってしまったのであろうか・・・。
そんな事を考えていると、追試試験の担当の教師が教室の前のドアから入ってきて教台に立った。
252Mr.名無しさん:2008/02/28(木) 21:06:09
教師はフジサキの姿を見ると、「今回のテストはどうした? 具合でも悪かったか?」 なんて声を掛けている、
やっぱりフジサキが追試になるなんて、余程変な事だったのかもしれない。
この学校で初めて国立に受かるんじゃないかと期待されている秀才が、
追試になるなんて何かの間違いだろうと、職員室では話題になっていたのであろう。
253Mr.名無しさん:2008/02/28(木) 21:07:32
担当の教師はフジサキの心配するくせに、ヲレにはちゃんと勉強してきたか?・・・なんて聞く。
当たり前だ、ヲレも赤点落第にはなりたく無いから、取り合えず勉強はしてきた・・・。
答えを覚えてきただけだけど・・・。
追試はテストと同じ問題を再度出題するのが暗黙の了解になっていたので、
一日掛けて答えを丸暗記したから大丈夫であろう・・・。
そして教師が問題用紙と解答用紙を配り、追試が始まる・・・。
254Mr.名無しさん:2008/02/28(木) 21:14:41
追試の問題を見ると・・・。
出題の順番は変えてある・・・まぁこのぐらいは予想していた。
だが・・・しかし、問題も少し変えてある・・・これはマズイ・・・。
フジサキの方からは答案用紙の上を止まる事無く滑るシャーペンの音が聞こえてくる。
そんなに勉強が出来るのに、お前はなんでココにいるんだよ・・・。
余計な事を考えているうちに時間は過ぎていく、ヲレは焦って問題を解き始めた。
追試が始まり5分もすると、担当の教師が口を開いた。
「ちょっと用事があるので職員室に戻るから・・・。終了の5分前には戻ってくる。
くれぐれも不正は無いように・・・フジサキは大丈夫だろうが・・・毒男カンニングするなよ。」
教師はそう言って教師を出て行った。
元々追試なんて形式的なもので、出席日数さえ足りていれば落第は無いのだろう。
255Mr.名無しさん:2008/02/28(木) 21:16:32
教師が出て行って十数分は過ぎただろうか・・・。
どんなに考えても、問題の回答は出てこない。
それはそうだ、問題の解法を覚えた訳では無く答えを覚えただけなのだから・・・。
ヲレは意を決してフジサキに声を掛けた。
「フジサキ・・・問10の答え教えて・・・。」
小さな声で数列前にいる秀才に声を掛ける。
一瞬カリカリと音を立てていたシャーペンの動きが止まり、細い小さな声が聞こえてくる。
「・・・3番」
そして、またシャーペンが動き出す。
「フジサキ・・・問12は?」
「1番」 フジサキが即答してくる・・・。
ヲレは図々しかったが、何問も答えを聞いた。
最後の問題は三択だけでは無く、解法の根拠も書かないとダメだった。
「フジサキ・・・最後のは・・・。」
ヲレはフジサキの邪魔をしているのが判っていたけど、最後の問題の回答も聞いてしまった。
フジサキが頭を持ち上げたあと、しばらく黙っている。
ヲレは彼女を怒らせてしまったかと思って冷や汗を掻いた。
「その問題は・・・答えが同じだと先生に判ってしまうので・・・私が言う通りに書いて。」
フジサキが根拠と数式を呪文のように言う。
ヲレはそれを必死になって間違わないように答案に書き殴った。
256Mr.名無しさん:2008/02/28(木) 21:18:17
続く。
257カブさん ◆e6UdGVpv.w :2008/02/28(木) 22:42:03
いい流れだ、続きも気になるし…俺も近々書こうと思ってるんだけど、今はこの作品を楽しませてもらうよ。
258Mr.名無しさん:2008/02/29(金) 08:39:21
職人さんGJ!!
トリ付けたら?

カブさん ◆e6UdGVpv.w
wktkしつつまってますよ〜


259Mr.名無しさん:2008/02/29(金) 21:35:53
>>257 作品待ってます。
>>258 トリプかぁ・・・以前、使っていたのを探して次回から付けます。
260Mr.名無しさん:2008/02/29(金) 21:36:55
>>255の続き。

追試の終了5分前になると、教師が帰ってくる。
ヲレもフジサキも答案を裏返しにして待っていた。
教師は、なんだ終わっていたのかと言いながらヲレ達の答案を集めてから、その場で採点を始めた。
十分ぐらい丸付けをしてから、答案の氏名欄の横に点数を書き入れる。
満点を取らないと追試は合格にならない。
ダメだとレポートか再追試だ。
教師がヲレとフジサキの回答をマジマジと見比べている・・・。
そして首を傾げている・・・ヲレは答えを教えてもらったのがバレたんじゃないかと心配になっていた。
教師がヲレ達を教壇の方に呼びつける・・・。
ヲレは再追試を覚悟しながら歩いていくと、予想外の言葉が返ってきた。
「毒男・・・満点だ。お前、今回はちゃんと勉強したんだな・・・追試は合格だ。」
ヲレは再追試を間逃れたのとカンニングがバレなかった事に安堵した。
次に教師は少し眉間に皺を寄せながらフジサキの方を向いた。
「フジサキ・・・3問違ったな。お前だったらこのぐらい楽勝だろ・・・。特に最後の解法は酷いぞ・・。
まぁ後はレポートの提出でいいから・・・だけどお前、本当にどうした?」
ヲレは耳を疑った・・・フジサキが最後の問題を間違う訳が無い・・・ヲレに答えを教えたんだから。
フジサキは下を向いたままだった。
261Mr.名無しさん:2008/02/29(金) 21:38:24
「じゃ、今日は帰って宜しい」
ヲレ達にそういい残して、教師は職員室に引き上げて行った。
二人取り残された教室で沈黙が続いた後に、フジサキが帰り仕度をし始めた。
「フジサキ・・・ありがとな・・・。」
ヲレは彼女がワザと最後の問題を間違えたのだと気が付いて、その罪悪感から声を掛けた。
「・・・うん。」
フジサキは短く返事をしながら、ペンケースを鞄にしまっている。
「最後の問題・・・お前、ワザと間違えたのか?」
どうしても、気になって聞いてみると、彼女は静かに振り返り口を開いた。
「あの手の問題は人によって根拠作り方に癖があるの、回答を少し変えても・・・
きっとあの先生だったら判ってしまうわ。だから、わざと出鱈目な回答にしたの。」
そう言うと席を立とうとする。
「でも・・・そのせいでフジサキはレポートの提出になったじゃないか・・・ゴメン・・・。」
ヲレはフジサキの前に立ち頭を下げた。
「いいの・・・大丈夫だから。」
フジサキは無表情で応えた。
「でも・・・本当にゴメン。」
「本当に、もぅいいの ! ほっといてよ !!」
フジサキが横を向きポロポロと涙を流し始める。
ヲレはどうしていいか判らないで、ただその場に硬直してフジサキが泣き止むのを待つしかなく、
その間は長い時間に思えて変な圧迫感を感じていた。
フジサキはストンと崩れるように今まで座っていた椅子に腰を降ろすと、小さな声で呟いた。
「毒男クンには・・・私の気持ちなんか判らないよ・・・。」
262Mr.名無しさん:2008/02/29(金) 21:39:43
しばらく、声を押し殺したままフジサキは泣いていた。
ヲレはその間何も出来ないで、横に立っているだけだった。
少しは気持ちが落ち着いたのか、フジサキが顔を上げる。
目が真っ赤になっている・・・
今日は美人の怒った顔と泣いた顔の両方を見ることになるとは思わなかった。
「私・・・先生に言ってくる・・・。」
フジサキが、さっきよりも小さな声で呟く。
「え・・・?」 ヲレがフジサキの言っている事が理解できないで聞き返すと、
「毒男クンがカンニングして、しかも無理やり間違った答えを私に書かせたって先生に言ってくる。」
何を思ったのか、今になってそんな事を言って真っ赤な目でヲレを睨んだ。
「え ! そりゃ無いじゃんか・・・。」
そんな事がバレたら・・・再追試じゃすまないだろう。
それに間違った解答を書けなんて言って無い。
「じゃ・・・先生に言われたくなかったら・・・私の言う事聞いて・・・。」
慌てるヲレに、色白で眼鏡を掛けた髪の長い学年一の秀才は、
整った顔を無表情にして交換条件を出してきた。
263Mr.名無しさん:2008/02/29(金) 21:41:02
眼鏡の掛けた美人がキッっとヲレを睨みながら呟く。
「じゃ・・・先生に言われたくなかったら・・・私の言う事聞いて・・・。」
フジサキは少し高揚しているのか頬が少し赤く染まっている。
ヲレは彼女の言う事が、理解できないで聞き返した。
「フジサキの言う事?」
冷静になって考えてみると間抜けな顔と口調で聞き返していたに違いない。
「・・・そう。」
フジサキは、またヲレの事を睨み返す。
「な、なんだよ・・・?」
絶対に腕力では負けないだろうけど、普段おとなしいフジサキが怒っているのに圧倒されていた。
「私にも・・・。」
フジサキは下を向きゴニョゴニョと何か呟いたが、最後の方が聞き取れなかった。
「え? ゴメン最後の方が・・・聞き取れなかった。」
するとフジサキは顔を上げて、またヲレの事を睨みつけてさっきより少しだけ大きな声で呟いた。

「私にも・・・アカギさんと同じ事して。」
264Mr.名無しさん:2008/02/29(金) 21:41:29
続く。
265カブさん ◆e6UdGVpv.w :2008/03/01(土) 09:02:38
乙です。今回もいい流れですね〜次回も期待して待ってます。
266Mr.名無しさん:2008/03/01(土) 15:49:17
主人公xユリ
主人公xミキ

どっちになるのか楽しみだな
267Mr.名無しさん:2008/03/01(土) 17:17:38
これ、フジサキ選んだらバッドエンドだろ。。
268√ ◆Root/VEzBc :2008/03/01(土) 22:00:55
今日からトリプ付けます。

>>265 アリガd。
>>266-267 お楽しみに。



このトリプで検索したりすると、前に書いていたスレが見付かったり・・・。
そのスレには今書いている話の書き直し前のが載っていたり・・・。
大幅に削ったエロな所とか、他の妄想話が・・・。

269√ ◆Root/VEzBc :2008/03/01(土) 22:02:59
>>263の続き。

「私にも・・・アカギさんと同じ事して。」

え?
同じ事って・・・まさか・・・。
先日のミキの部屋での出来事が頭の中で蘇る。
でも、なんでフジサキが?
なんで知ってる?
ミキがクラスの連中に話したのか?
頭の中で色々な疑問が浮かんでは消えていく。
ヲレは冷や汗を掻きながら、フジサキに聞き返した。
「お、同じ事って・・・?」
フジサキは顔を真っ赤にして横を向きながら『同じ事』の内容を小さな声で話し始めた。
270√ ◆Root/VEzBc :2008/03/01(土) 22:04:21
「アカギさんみたいに・・・毒男君の自転車に乗せて、送って・・・・・・・・・・下さい。」
最初は命令するような強い口調だったのに、最後には『下さい』が凄く小さな声で付いた。

「え? そんな事でいいいの?」
ヲレは何か拍子抜けした感じで、フジサキ ユリに聞き返した。
フジサキは顔を真っ赤にしながら、コクリと頷く。
ヲレはと言えば、もっと何か凄い事を要求されるのかとヒヤヒヤしていたのだが、
想像もしなかった簡単なフジサキの要求に安心して、なんとなく笑みが零れた。
「そんなのでいいのなら、お安い御用だよ」
ヲレはフジサキの家の方向を聞いた。
フジサキはバス通学をしていて、自転車でも行ける範囲だった。
「じゃ、家まで乗せていくよ」
ヲレの言葉にさっきまで泣いていたフジサキがニコリと微笑んだ。
271√ ◆Root/VEzBc :2008/03/01(土) 22:05:50
学校の自転車置場に二人で歩いて行く途中でなんで追試になったのかフジサキに聞いてみた。
「うん・・・少し、悩み事があって・・・」
秀才でも悩み事はあるんだな・・・そう思いながらフジサキと一緒に歩いた。
「あのさ・・・ヲレで良ければ、相談事聞くよ・・・ほら、話せば少しは楽になるかもしれないじゃん」
「うん、ありがとう」
なにか急にフジサキの顔が明るくなったように感じた・・・。
なぜだろうか・・・その時のヲレにはその理由が判らないでいた。
フジサキは顔を真っ赤にっして俯いたり、少し寂しげな表情になったりとコロコロと表情を変える。
そんな姿を見て、いままでフジサキに持っていた硬いイメージが少し違う物になった。
その時はただそう感じただけだった。
272√ ◆Root/VEzBc :2008/03/01(土) 22:07:20
続く。
273カブさん ◆e6UdGVpv.w :2008/03/02(日) 01:43:30
トリつけたんだ。√さん今回もドキドキしながら読ませて貰いました。次回も楽しみにしてます。
274Mr.名無しさん:2008/03/02(日) 12:28:54
もちっと簡素な文章にしたほうがいいんんじゃね?
いらない描写も無くして
あと単調だな
ダラダラと長文は辛い
テンポよく池
275Mr.名無しさん:2008/03/02(日) 15:38:46
俺はこの感じが好きだな
この調子でガンバレo(^▽^)o
276Mr.名無しさん:2008/03/02(日) 16:45:32
>√
ちょっとだけ続き書くの待ってあげようかしら。
…べ、べつに私が読みたいんじゃないんだからね!
277カブさん ◆e6UdGVpv.w :2008/03/02(日) 17:16:16
>>274
この手の小説はあんまり簡素にすると駄目なんじゃないかな?
278√ ◆Root/VEzBc :2008/03/02(日) 21:49:00
>>273 トリプ付けました、宜しくです。
>>274 努力します。
>>275 アリガd、ガンガル。
>>276 少し頬を染めながら、そう言って応援してくれる276の為にヲレはガリガリとtextを書き続けてみた。
>>277 フォロー、アリガd。
279√ ◆Root/VEzBc :2008/03/02(日) 21:50:23
>>271の続き。

自転車置場に着くと、ヲレはロックを外し自転車に跨った。
「後ろにさ、ステップ付いてるからそれに足乗せて立ち乗りだけどいいか?」
フジサキは頷き恐る恐る自転車に乗る。
ヲレが走り出そうとすると、フジサキが自転車から落ちる。
「フジサキ・・・立ち乗りした事無いの?」
ヲレが振り返って聞くと、コクンと頷く。
「じゃあさ、ゆっくり走るから・・・それとあまり車輪に靴を近づけると擦れてローファー痛むから」
フジサキは再び頷くと、自転車の後ろに乗った。
「ヲレの肩に手を乗せてバランスとらないと、また落ちるよ」
ヲレの言葉でフジサキは静かにヲレの肩に手を置くたので、ヲレはゆっくりと自転車を走らせ始めた。
280√ ◆Root/VEzBc :2008/03/02(日) 21:51:29
校門を出てからゆっくりと自転車を走らせる。
フジサキが落ちないようにゆっくりと。
自転車のスピードに少し慣れてきた頃から、少しづつ速度を上げる。
フジサキは何も話はしなかったけど、ヲレの肩に乗せた手の力が少し入った気がした。
「フジサキ・・・大丈夫? 怖くない?」
乗り慣れない二人乗りにフジサキが怖がっていないか聞いてみた。
「うん、大丈夫・・・自転車に乗せてもらうのって楽しいね」
面白い答えが帰ってきたので、もっと話し掛けてみる。
「面白いって何が? 二人乗りぐらいした事があるだろう?」
「ううん・・・無いよ二人乗り」
フジサキの声が少し小さく聞こえる。
「楽しいよ・・・自分で自転車に乗るのと違う・・・景色やスピードが」
そうか・・・フジサキは誰かと二人乗りしたことがなかったのか・・・。
「いいなぁ・・・アカギさんが羨ましい」
ポツリとフジサキが背中越しにそう呟いた。
「家ぐらい、また送ってやるよ・・・」
あまりにも寂しげな口調だったので、なんとなくそう言ってしまった。
「本当 !? 嘘でも嬉しいよ」
フジサキはヲレの顔の横に自分の顔を近づけてきた。
そんな言葉なんかに喜ぶフジサキの感情が、なぜか感じ取れている。
「毒男君・・・約束だからね」
「うん、判った」
果たせるかどうか判らない約束をした時に・・・なぜか、ミキの顔が脳裏に浮かんだ。
281√ ◆Root/VEzBc :2008/03/02(日) 21:53:18
フジサキの家は、恐ろしく大きい家で、先日のミキの家といい、うちの学校は金持ちの来る学校なのかと疑いたくなった。
家の前の角で降ろしてくれればいいとフジサキ言うので曲がり角の所で自転車を停める。
男の子と自転車の二人乗りで帰ってきたのが、家の人に見られたらマズイのかもしれないな・・・そんな想像をしてみた。
フジサキは足を地面に降ろしたが、乗り慣れない二人乗りのせいで、
地に足が着かない感じで少しヨロけ、バランスを崩した。
「あぶない !」
そう言ってヲレは自転車を飛び降りると転びそうになるフジサキを受け止めた。
「あ、ありがとう・・・私、運動神経無くって」
フジサキが頬を真っ赤にしながら恥ずかしそうに苦笑する。
転びそうになったフジサキを抱きしめたときに、ミキの柑橘系のコロンとは違う甘い香りが漂った。
二人とも妙にドキドキして慌ててしまい、フジサキは急ぐように家に走り始めた。
門の前でフジサキは振り返り、笑いながら小さく手を振る。
その笑顔を見て、いつもあんな笑顔で笑えばクラスでも人気の存在になるのにと感じた。
ヲレは、その笑顔をミキの笑顔と重ね合わしていた・・・。

続く。
282Mr.名無しさん:2008/03/03(月) 10:18:55
今読み終わった この後が楽しみだな
283Mr.名無しさん:2008/03/03(月) 10:22:39
√ ◆Root/VEzBcさんGJ!!

   _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 続き!続き!
  (  ⊂彡
   |   |
   し ⌒J
284Mr.名無しさん:2008/03/03(月) 13:04:19
ツンデレじゃない気がするがw
285カブさん ◆e6UdGVpv.w :2008/03/03(月) 15:50:10
√さん乙です。主人公が二人との関係をどうしていくのか楽しみです。次も頑張ってください。
286√ ◆Root/VEzBc :2008/03/04(火) 00:35:12
>>282 どうもです。
>>283 本日も続きます。
>>284 うん、ゴメン・・・。
>>285 この後はどうなるでしょうかねぇ・・・。
287√ ◆Root/VEzBc :2008/03/04(火) 00:36:12
>>281の続き。

フジサキを家まで送っていた次の日は学校は日曜日だったが、部活があるので登校をする事になっていた。
校内を部室に向かう途中で、数名の他の部の奴らとすれ違い、
その中の一人がすれ違って数歩歩いてから、ヲレを呼び止めた。
「毒男、待てよ」
ヲレは声を掛けられた方向に向き直ると、そこには同じ学年だがクラスが違う奴が立っている。
そいつは男子ハンド部のレギュラーで、タカオという奴だったが、ヲレを睨む目は明らかに敵視した眼差しだった。
「なんだよ?」
お互い運動部だし、穏やかとも言える性格でもないだろう・・・そんな風に睨まれたらこっちも少しは気分が悪くなる。
「お前、昨日フジサキと帰っていたよな」
今にも胸ぐらを掴みそうな勢いでヲレのほうに歩いてくる。
「あぁ、それがどうした?」
そう言った瞬間に目の前が暗くなり、衝撃と痛みが走り口の中で血の味がした。
その後は意味も判らないで殴りあいに・・・。
校内で起こった喧嘩に、部活で来ていた奴らが集まってくる。
ヲレとタカオは先輩や部活の奴らに羽交い絞めにされて引き離された・・・。
288√ ◆Root/VEzBc :2008/03/04(火) 00:37:31
抑えきれない怒りを回りにぶつけながら、先輩に道場まで引きずられて行った。
少し落ち着いてくると、部活のマネージャーが濡れたタオルでヲレの頬を押されてくれる。
傷口が痛い・・・かなり腫れているようだ。
先輩には校内で喧嘩する奴は退部だとか、学校にしれたら退学物だぞと脅かされ説教された。
喧嘩の理由は何かと聞かれたが、ヲレには全然見当が付かなく首を傾げるだけだったが
フジサキの名前が出てきたので何か関係があるのだろうが、それは言わないで居る事にした。
289√ ◆Root/VEzBc :2008/03/04(火) 00:38:47
しばらくすると、ハンド部のヲレらの学年の中でリーダー格の奴が道場にやってきて、
ヲレと少し話しがあるとの事で体育館の裏で話しをする事になった。

「毒男、タカオの事悪かったな、あいつ急に殴り掛かって・・・」
奴の名前を聞いた途端に、また痛みと怒りが沸々と湧き上がってきたが、
その感情は抑えることにした。
「あいつ、なんでヲレに喧嘩吹っ掛けてきたんだよ」
ヲレは理由を聞きたかった。
「あぁ・・・あのな、昨日さ・・・お前フジサキと帰っていただろ。
タカオの奴、それを見ちゃったんだよな」
ヲレはなんでそんな事で殴られないといけないのかと疑問に思っていると、ハンド部の奴は話を続けた。
「お前、アカギ ミキとも付き合っているだろ? タカオもアカギの事が好きでさ・・・
それなのにお前はフジサキとも仲がいいだろ・・・それでさ奴、怒ってさ・・・」
明らかにタカオの誤解なのだが、ヲレは何か後ろめたさを感じた。
「別に、フジサキと付き合っている訳じゃねぇよ・・・」
ヲレの言葉にハンド部の奴は苦笑しながら、
「まぁ俺らも、タカオにはそう言ったんだけどな・・・ほら、あいつお前にアカギを取られたからさ」
取る取らないって、ミキは物じゃないだろと、少しムッっとしたが・・・このさいそれはどうでもいい。
「タカオの奴さ・・・アカギと幼馴染でずっと一緒の学校だったんだよ、
んで、どっちもハンド部だろ・・・かなり前から好きだったらしいんだよ」
ヲレはタカオの逆恨みで殴られた訳だ・・・その話しを聞いて顔の痛みが疲れに変わってき始めた。
290√ ◆Root/VEzBc :2008/03/04(火) 00:40:47
その日の部活は、色恋沙汰で喧嘩とは剣道部を舐めているのか?と言うことで、
先輩に厳しく指導され、何回も道場の床に叩き付けられた。
顔は青アザが出来るほどに腫れあがっていたが、その厳しい指導のお陰か殴られた痛みなんかは、
気にならない程に疲れきっていた。
部活が終わり、やっとの事で着替え終わると・・・部室にはもう誰も残っては居なかった。
外は暗くなり、校内にも殆ど人は残って居なかっただろう。
今日はミキと帰れなかったな・・・疲れた体で部室の椅子に崩れるように座りながら考えた。
ハンド部の奴の言葉を思い出した・・・。
タカオって奴もミキの事が好きだったのか・・・。
そうだよな、活発で愛想が良く、それでいて可愛いし・・・ミキの事を想っている奴も他にもいるだろう。
ヲレはそいつらの恨みを全部買う事になったのか・・・。
そんな事をぼんやりと考えていると、部室のドアをノックする音が聞こえてきた。

・・・続く。
291カブさん ◆e6UdGVpv.w :2008/03/04(火) 10:21:21
乙です。
292Mr.名無しさん:2008/03/04(火) 10:41:24
意味が伝わらないとこがあるな
書き終わった後に1回声に出して読んでみるといいよ
293Mr.名無しさん:2008/03/04(火) 13:29:44
お前は編集者か?
好きで書いてるんだから自由でいいんじゃないか?
294Mr.名無しさん:2008/03/04(火) 17:44:07
日記じゃないんだから。
ここに書いてるってことは、読ませる意図が少なからずあるんだろう。
なら推敲は必要だ
295Mr.名無しさん:2008/03/04(火) 17:52:07
このスレは住人もツンデレです。
296Mr.名無しさん:2008/03/04(火) 18:35:31
活気があって良い

書き手が不愉快に思わない程度なら批評しても良いと思うぞ
297カブさん ◆e6UdGVpv.w :2008/03/04(火) 19:28:57
自分も多少の指摘や批判は良いと思います。
ただ…具体的に指摘する方がいいかもしれないですね

298√ ◆Root/VEzBc :2008/03/04(火) 22:09:55
ご指摘、ありがとうございます。
色々とご指導頂ければと思います。
ほら、一人でtextをガリガリと書いていると気が付かない点ってあるじゃないですか。
でも、あまり凹まない程度にお願いします。
小学生の作文程度の文章なので、生暖かい目で見て頂ければと・・・。
299√ ◆Root/VEzBc :2008/03/04(火) 22:11:49
>>290の続き。

部室のドアをノックする音に、少し驚き慌てた・・・。
「もう、帰ります」
当直の教師か、警備員の見回りかと思ってそう答えた・・・。
うちの学校は下校時間に厳しかったので全部の部活の活動時間が終わると見回りがくるのだ。
「毒男クン ?」
その声を聞いて、ドアをノックした人物は教師でも警備員でもなく、
今、想いをを巡らせていたミキだとすぐに判った。
男子の部室は、女子禁制・・・逆に女子の部室にも男子禁制だったので、
部室の集まった建物は男子女子が離れた場所にあり、お互いの部室を行き交うのは各部のマネージャーぐらいしか居なかった。
もちろん、部室の中に入るのは許されない。
女子が男子の部室に来るなんて事は絶対にあってはいけなかった。
時代遅れな慣わしと言えば、そうかもしれないが・・・共学の学校という事もあり、生活態度に厳しい学校だった。
300√ ◆Root/VEzBc :2008/03/04(火) 22:13:34
ヲレはゆっくりと部室のドアを空け隙間から、ヲレの腫れた顔が見えないようにミキの顔を伺った。
ミキは目を真っ赤にしている、今にも泣き出しそうだった・・・いや、泣いていたのかもしれない。
少し開いたドアをこじ開けるようにして、ミキがドアを開き部室の中に入ってくる。
「バカ! どうして喧嘩なんかするのよ!」
ミキは怒鳴りながらヲレに抱きついて、我慢していたと思える涙の粒ををポロポロと零した。
「なんか誤解があったみたいで・・・奴の方から殴ってきたんだよ」
ミキの涙に動揺してしまって、なにか言い分けのような返答をしてしまう。
「タカオのバカなんか相手にしなくていいの! もう本当に大怪我したらどうするの?」
その日の朝にあった出来事は、想像もしない速さで校内中に広まったらしく、
その日部活に来ていたほぼ全員が知っていたみたいだ。
その事を伝え聞き・・・帰りの待ち合わせの場所にも来ないヲレを心配して、ミキは部室まで来たらしい。
301√ ◆Root/VEzBc :2008/03/04(火) 22:14:51
ミキに泣かれながら抱きつかれて焦った。
こんな場面を、誰かに見られたら・・・また大変な事になる・・・。
「ミ、ミキ・・・ほら、あのさ・・・部室の中入っちゃマズイって・・・」
「そんな事どうでもいいのっ!」
そう言って、さっきよりも声を上げて泣いた。

ミキが落ち着くまで、外に出られないな・・・。
そう考えたヲレはミキを椅子に座らせてから、部室のドアを閉めた。
外は暗くなり、部室の中の切れ掛かった蛍光灯が泣いているミキとヲレをぼんやりと照らした。
302√ ◆Root/VEzBc :2008/03/04(火) 22:16:18
椅子に座って泣いていたミキは、少し気分が落ち着いたのか、
部室の中にあるベンチに座っていたヲレの隣に来て座りなおした。
涙で腫らした目で、じっとヲレの顔を見る。
ミキの細い指がそっとヲレの頬に触れた。
「青くなってる・・・痛くない ?」
ミキはそう言ってから体を近づけて自分の腕をヲレの首に回すようにして、ヲレの事を抱きしめた。
「バカ・・・心配したんだよ・・・」
ミキが耳元で囁いた。
「ごめん・・・」
ミキの言葉に謝る事しか出来なくて、そしてその後は言葉無く軽くキスをした。
303√ ◆Root/VEzBc :2008/03/04(火) 22:17:04
相手の温もりが、お互いの体に伝わったので・・・ミキもヲレも気分が落ち着いたのかもしれない。
外も暗くなったので帰ろうかと部室を出た。
昨日フジサキと歩いた自転車置場までの校内の道を、今日はミキと二人で歩いていると、
急にミキが手を繋いできたので妙にドキドキとした。
学校の中で手を繋いで歩くなんて昼間だったら出来るわけが無い。
ミキが何かクスクスと含み笑いをしている・・・。
「ん?どうした?」
「ううん・・・私、男子の部室入っちゃたね・・・みんなに内緒ね、毒男君と私だけの秘密よ」
そう言って、またクスクスと笑う。
「でも、、タカオの奴許せないよ・・・もう絶交よ」
ミキはそう言って、今度はブンブンと怒り出した。
「大体ね・・・小さいときからアイツは乱暴者だし、人の言う事も聞かないし・・・
それにね、酷いんだよ・・・ちょっと女子に人気があるんだけど告白してきた子をみんな振っているのよ!
信じられないと思えない?」
その近づく女の子を振っている原因が自分にあると、ミキは気が付いてないらしい。
「今度、タカオと喧嘩しそうになったら、私が守ってあげるからね」
ミキはヲレに微笑んだ。
その笑顔を見たら、タカオがミキの事を想い続けていたのも何か理解できるような気がした。

・・・続く。
304√ ◆Root/VEzBc :2008/03/04(火) 22:24:02
>>302>>303の間にはエロがあったが没にしました・・・。
305Mr.名無しさん:2008/03/04(火) 22:35:43
>>304
正解かと。
306カブさん ◆e6UdGVpv.w :2008/03/05(水) 00:26:09
ん〜最近毎晩が楽しみだ。笑

次も楽しみにしてますね。√さん
307Mr.名無しさん:2008/03/05(水) 08:36:39
√ ◆Root/VEzBcさんGJです!
続きwktkしつつ待ってますよ!
308Mr.名無しさん:2008/03/05(水) 12:52:04
俺は昼休みに読んでいる
こんな青春が裏山歯科
309√ ◆Root/VEzBc :2008/03/06(木) 00:14:29
>>305 正解でしたか。
>>306-307 アリガd。
>>308 ヲレもこんな感じの学生時代を送りたかった・・・。
310√ ◆Root/VEzBc :2008/03/06(木) 00:16:24
>>303の続き。

次の日になると、ヲレとタカオの殴り合いの話は学校中に広まっていた。
しかも、色々と話しが追加されて広まっていく。
ミキを取り合ってだとか、フジサキを取り合ってだとか、ヲレが二股を掛けていたとか・・・。
ある事無い事が噂された。
まぁ、お互い顔に青アザを作って、登校してくれば関係の無い奴でも興味が沸くだろう。
でも、フジサキには申し訳ない事をしたと思っている。
まったく関係の無い話しに巻き込まれて、困っているのではないだろうか。
朝からヲレの方をチラチラと見ては目が合わない様に目を逸らす・・・。
ごめんな、フジサキ・・・お前にまで迷惑掛けちゃってるな・・・。
謝りたかったけど、このタイミングでフジサキに声なんか掛けられない、
しかもミキもなんだかヲレと目を合わそうとしない。
311√ ◆Root/VEzBc :2008/03/06(木) 00:17:00
・・・ギクシャクとして一日が終わった。
鞄に教科書やノートを詰めていると、ヲレの机の横をフジサキがスッっと通り過ぎた。
フジサキもヲレのせいで噂になって怒っているのかな・・・。
っと、思っていると机の端っこに小さく折りたたまれた紙が置いてあった。
透けて見えるキャラクターの印刷には見覚えがあった。
それは前に自習室でフジサキに貰ったのと同じキャラクターのメモ用紙だった。
312√ ◆Root/VEzBc :2008/03/06(木) 00:17:41
フジサキは誰にも気が付かれない様にメモを置いていったのだろう。
ヲレもさりげなく、そのメモをポケットにしまい、部活に行く前にトイレの個室でそのメモを開いた。
「お話しがあります -フジサキ-」
一行だけ書かれた文章と、携帯の番号が書いてあるメモだった。
これって・・・フジサキは結構怒っていて・・・。
先日のヲレを睨みつけるフジサキの顔が思い出された。
313√ ◆Root/VEzBc :2008/03/06(木) 00:18:37
部活が終わると、いつもミキと待ち合わせる場所に向う。
ミキはもう来ていてヲレの事を待っていた。
でも、昨日と違い笑顔が無い・・・。
トボトボと無言のまま二人で歩き始める。
いつもの公園の所まで来ると、キミが重い口を開いた。
「毒男君・・・少し聞きたい事があるの」
ミキはヲレを公園の中に引張っていくとベンチに座らせた。
314√ ◆Root/VEzBc :2008/03/06(木) 00:19:42
ミキもヲレの横に座り話し始めた。
「毒男君・・・あのね、昨日タカオになんで喧嘩したのか聞いたの」
ヲレは、殴られた時と違う痛みを心の中にキリキリと感じる気がした。
「それでね・・・タカオが言うには・・・毒男君フジサキさんと帰っていたって、私が二股掛けられてるって・・・
でもね・・・そんな事、一緒に帰っていたなんて偶然かもしれないじゃない ?」
キミが下を向きながら、自分の膝に乗せた鞄をぎゅっと握り締めているのが目に入る。
「でもね・・・タカオが言うには・・・あんなに笑って楽しそうな顔をしているフジサキさんを見たことが無いって言うの。
私はね、絶対そんな事無いっと思っているんだけど・・・もしかして毒男君フジサキさんと仲がいいのかなぁって・・・。
タカオってさ、ほら・・・バカだけど、私には嘘は付かないし・・・。」
ミキがタカオの言葉で疑心暗鬼になっているのが読み取れた。
315√ ◆Root/VEzBc :2008/03/06(木) 00:20:55
確かにタカオは嘘を言ってない・・・俺はどう答えればいいのだろう。
嘘を言っても仕方が無いので正直に答えた。
「うん・・・追試の帰りに一緒に帰った。でも、それだけだよ」
その言葉を聞いた途端にミキがヲレの方に顔を向けた。
不安そうな顔をで、また目を真っ赤にしている。
「本当にそれだけだよね ? 信じていいよね ?」
「うん・・・」
俺の返事を聞いてから、ミキは気持ちを切り替えようと力なく微笑んだ。
「うん、じゃあ・・・もうこの話はおしまい」
ミキがヲレの手を引張りながら立ち上がった。
「お腹減っちゃった・・・帰ろう」
ミキが不安なのに無理して笑っているのが伝わってくる。
「ねぇ、毒男君・・・今度、部活が休みの時に何処か行こうよ」
そう言えば、付き合っているのにミキとデートらしい事をしたことが無い。
部屋に遊びには行った事があるが。
「そうだな、ヲレ観たい映画があるんだ・・・」
映画に行こうと言ったヲレを、ミキが変な目で見る・・・。
「毒男君・・・ヤラシイ事考えているでしょ」
ビシッっとヲレを指差しながら、ミキが含み笑いをする。
「ち、違うよ・・・ただ本当に観たいのがあって・・・」
慌てるヲレを見て、ミキがクスクスと笑う。
「冗談よ、うん、映画行こうね」
いつものミキの笑顔に戻って、ヲレは少し安心した。

・・・続く。
316カブさん ◆e6UdGVpv.w :2008/03/06(木) 00:37:39
乙です。
√さんのお陰で最近此処を覗くのが楽しみになってきました。
ベタな展開もドキドキしながら観させて頂いてます。
次回も期待してます。
317Mr.名無しさん:2008/03/06(木) 02:58:09
修羅場のヨカーン……
318Mr.名無しさん:2008/03/06(木) 05:20:59
期待age
319√ ◆Root/VEzBc :2008/03/06(木) 22:08:46
>>315の続き。

家に帰ってきて、夜になってからフジサキに貰ったメモの事を思い出した。
マズイ・・・きっとフジサキは怒っているに違いない・・・。
慌てて家の電話の子機も持って部屋のドアを閉めた。
なんだか変に緊張する・・・。
女の子に電話するなんてミキにしかした事が無い・・・。
何を話せばいいのだろうか・・・そんな考えが頭の中でグルグルと渦巻く。
320√ ◆Root/VEzBc :2008/03/06(木) 22:09:42
取り合えず、会話のパターンを数種類頭の中で考えてみたりしたが、
実際はそう上手くは行かないだろうと諦めて、こないだと同じ調子で話せばいいかと覚悟を決めた。
幸い、携帯だから家の人は出ないだろうし・・・フジサキ本人が出るなら大丈夫だろう。
緊張しながらも、紙に書かれた番号を震える指で押した。
プツッ・プツッっという音の後に、回線が繋がる音がして相手を呼び出す。
「はい」
携帯電話の向こうにいる人物はワンコールもしないうちに出た。
「フジサキ ?」
相手を確認するだけで、緊張して次の言葉が出てこない。
「毒男君 ?」
フジサキがヲレの名前を呼ぶ。
「うん、こんばんわ・・・話しってなにかな ?」
ヲレの問い掛けの後に、少し間があり・・・小さな声でフジサキが話し始めた。
321√ ◆Root/VEzBc :2008/03/06(木) 22:10:47
「怪我大丈夫 ?」
フジサキが怪我の心配をしてくれたが、話したいことってそんな事だったのだろうか。
「うん、平気だよ」
「痛そうだったから・・・心配だったの」
受話器の向こうでフジサキが呟くように話す。
「喧嘩したの ?」
「うん・・・まぁ」
あまりその話題には触れたくなかったがフジサキは話を続けた。
「少し話しを聞いたんだけど・・・もしかして、私が何か関係があるのかなっと思って・・・。
だったら、謝らなきゃって思って・・・でも、学校じゃ話し掛けにくいし・・・電話掛けさせちゃって、ごめんね」
フジサキは何か自分が関係してると友達にでも聞いたのだろう。
「いや、フジサキは・・・そんなに関係のある話じゃないよ」
言った後にハッっと気が付いた・・・「そんなに」と言う事は少しは関係があると言っているようなものだ。
「やっぱり・・・」
その後は無言だった。
322√ ◆Root/VEzBc :2008/03/06(木) 22:11:52
「ごめんなさい・・・きっと私が変なお願いしちゃったからだよね・・・。
今日、アカギさんも怒った顔していたし・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい」
フジサキが何回も謝る・・・最後には泣き声だけになって言葉が無くなった。
受話器を通して向こう側からの音がする。
フジサキが泣く声と、遠くに聞こえる車のクラクションの音・・・。
「フジサキ・・・今、外なの ?」
「・・・うん」
時計を見ると21時を過ぎている・・・。
「フジサキのせいじゃないから大丈夫だよ・・・それより、なんでこんな時間に外に居るんだよ・・・。」
フジサキが少し心配になった。
ここ最近のフジサキは何か危うい感じがして・・・前のような張り詰めた感じや強さが全然感じられなかったから。
「公園に居るの・・・学校の近くの。前に毒男君達が座っていたベンチ」
春先とは言え、まだ寒いのに・・・暗い公園に一人で座って泣いているフジサキを想像したらじっとしていられなかった。
「今から行くから・・・すぐに、30分ぐらい掛かるかもしれないけど全力でいくから」
ヲレは子機をほ置くと家を飛び出し、自転車を全力でこいだ。
323√ ◆Root/VEzBc :2008/03/06(木) 22:13:38
・・・続く。
324Mr.名無しさん:2008/03/07(金) 02:57:56
2本目のフラグが立ちました
この後はイベントか
325カブさん ◆e6UdGVpv.w :2008/03/07(金) 11:05:46
乙です。
326Mr.名無しさん:2008/03/07(金) 11:57:20
327Mr.名無しさん:2008/03/07(金) 17:58:56
空気読まずに投下
328Mr.名無しさん:2008/03/07(金) 18:02:58
一週間前、妹が事故で逝った。

元々、あんまり折り合いがよくなく、仲が悪かったせいか、正直悲しくなかったし、最悪、うっとおしい奴が消えてくれたとまで考えていた。
そんな俺が、学校に復帰した時、クラスメイト達は腫れ物を触るかの様な態度で話しかけてきた。
何人も束になってきて正直うざかった。
こっちは何にも気を病んでないのに、気をつかわれるのは不快だった。
そんな中、薄っぺらい同情をよこしてくる他のクラスメイトを尻目に、以外な奴が声をかけてきた。

川嶋 綾

何だか霊能力があるとか何とかで入学当時はけっこう騒がれていた奴だ。
今じゃクラスで孤立してる。
その、川嶋 綾は、俺にこう告げた。
「橘君。あなたの後ろ、妹さん憑いてるよ。」
「はぁ?」
一気に引いていくクラスメイト、場の雰囲気も悪くなる。
しかし、彼女は言葉を続けた。

「ほら、すぐ後ろ。」

彼女の言葉に、俺は振り返った。

「…ひ、久しぶり。」

そこにはバツの悪そうな顔をした、妹が立っていた。

「っっぎゃあぁぁあ〜!」

俺は絶叫していた、そして、ぷつりと意識が途切れた。
それが、川嶋と妹と俺との微妙な関係の始まりだった。
329Mr.名無しさん:2008/03/07(金) 19:27:25
目が覚めると、もう放課後になっていた。
天井の感じからして、きっとここは保健室だろう。
ぼーっとする頭を持ち上げて身体を起こすと、そこには川嶋が椅子にちょこんと座ってこっちをじっとみていた。
「…起きた?」
「…あぁ」
「気分は?」
「頭が、ぼーっとする」
「…そう」
少しの空白、川嶋はまだじっとこっちを見ていた。
その川嶋の顔を、俺も見つめ返す。

ッバチン!

どこからともなく音がした。
「?!」
奇怪な音に驚いている俺に、川嶋は淡々と喋り出す。
「ラップ音。妹さんの仕業」
「っ!」
「…大丈夫、今は保健室の外に出てもらってる」
その言葉で、昼間の教室での出来事が鮮明に蘇ってきた。
川嶋に言われて振り返れば、死んだはずの妹が確かに後ろに立っていた。そしてそれを見た俺は、無様にも絶叫して気を失ってしまった。
「あ、あれは、何だったんだ!?」
俺は、恥ずかしさと恐怖とがごちゃ混ぜになって、語気が荒く川嶋に質問した。
「…あなたの思ってる通りのモノ、俗に言う『霊』と言われるモノ」
330Mr.名無しさん:2008/03/07(金) 19:41:48
「な、何でそんなもんが、俺に?てか何で俺にも見えたんだ?」
「…何であなたに憑いてるかは解らない。けど、妹さんはあなたにずっと見える形で側にいた」
「見える形?」
「そう、あなたが意識すれば、いつでも見える形で側にいた
人間の脳は意識しないと視覚として捉えていても、それを物体として認識できない。
そこに『ある』と意識するだけで、認識する事ができる形。
妹さんはずっとそんな形で側にいた」
再度の空白。
俺には難し過ぎて、あまり理解が出来なかった。
「…もっと解りやすく説明してくれないか?」
「…端的に言うと、あなたはずっと妹さんを見ていた、けど妹さんがそこにいると意識していなかったから、記憶に残らなかった
私がそこにいると意識を向けたら認識できるようになった」
そう言い終わると、川嶋は一息ふぅ、と息をついた。

俺は川嶋の言葉を頭の中で復唱し、少しずつ理解していった。
しかし、にわかに信じがたい話でもあった。この世に『霊』と言うモノが、当たり前の様に存在していると言う事実。
それに、じわりじわりと背筋が凍りつくのがわかった。
331Mr.名無しさん:2008/03/08(土) 05:14:54
おおこれは続きが気になる気になる
332Mr.名無しさん:2008/03/08(土) 22:02:22
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、川嶋はまた淡々と喋り出した。
「今の所、妹さんはあなたに危害を加えたり悪影響を与えたりはしない。けど、これからどうなって行くかは解らない。妹さんはまだ亡くなって間もないから、理性もあるし、自我もある。けど、霊としてはかなり不安定な状態。
いつ裏返るかわからない」
「裏返る?」
俺の質問に川嶋は無表情なまま言い放つ。
「悪霊になるって事。そうなれば、かなり危険」
何となく想像していた通りの返答だった。
「そうなる前に成仏させないと、多分あなたが最初の被害者になる」
「そ、それじゃあすぐに成仏させてくれ!お前、出来るんだろ?」
「………」
川嶋は無表情に俺を見た。
何となくだが、川嶋の目は怒っているように見えた。
「と…とにかく、何とかできないのか?」
「妹さんは、妹さんの意思であなたに憑いてる。これは間違いない。それにはきっと理由がある、あなたに何か伝えたいのか、それとも何か自分の代わりにして欲しいことがあるのか、それは解らないけどあなたはそれを聞き出して叶えてあげないといけない」
「…そんな面倒な事せずにお祓いとかで成仏させられないのか?」
「………」
川嶋の目が更に温度
333Mr.名無しさん:2008/03/08(土) 22:07:04
を下げた気がした。
「…そうするのがいいなら、最初からあなたに妹さんを認識させてない、あなたが動くのが得策」
「…そうか」
そうかと言いながらも、頭は未だにパニックだった。
この保健室の外には、死んだはずの妹の残りカスがいる。いつ俺を襲うか解らない、異形のモノが。

「恐い?」
俺は何も答えられなかった。

何分もの静寂の後に、川嶋は掛け時計に目をやって、口を開いた。
「それじゃ、もう遅いから帰りましょ」
川嶋は自分の鞄と俺の鞄を持ち上げて、椅子から立ち上がった。
「あ…」
俺は躊躇していた。この部屋を出れば、奴はいるだろう。
「…大丈夫。行こう」
川嶋は俺の手を引いた。

ピシピシピシ!

「…何か鳴ってるぞ」

「大丈夫、行こう」

一抹の不安を抱きながらも、川嶋の二度目の言葉に俺は部屋を出る決心をしていた。
334カブさん ◆e6UdGVpv.w :2008/03/08(土) 22:42:33
乙です。
最近職人さんも増えていい感じですね。
私も只今製作中ですので…どうぞ期待せずにお待ちください。笑
335Mr.名無しさん:2008/03/10(月) 08:49:24
>>328->>330 >>332->>333
GJ!はやく続きが見たいです


カブさん ◆e6UdGVpv.w
いやです期待してます
336Mr.名無しさん:2008/03/11(火) 13:35:13
√の続きマダー?
337Mr.名無しさん:2008/03/11(火) 21:39:41
>>336
つ【終了】
338Mr.名無しさん:2008/03/11(火) 22:13:52
工エエェェ(´д`)ェェエエ工
339Mr.名無しさん:2008/03/11(火) 23:55:11
335 期待されるほど良いものは書けないです…笑

336 338
まぁ…あんまり急かすと職人さんもいい作品が書けなくなりますからね。気長に待ちましょうよ。
340Mr.名無しさん:2008/03/13(木) 20:58:25
もう、このスレに流れ着いて二年になる
二年間自身に対した変化は無かったが、このスレは絶えず移り変わっていったな

このスレのためだけにツンデレを研究したし、ツンデレ用参考文献も漁った
何がいいたいかというとだな、オマイラ愛してるってこった!



保守!(`・ω・´)
341カブさん ◆e6UdGVpv.w :2008/03/13(木) 23:40:05
職人さん達は最近忙しいんですかね〜
続きが気になって気になって…笑
気長に更新お待ちしてます。

>>340
私もこのスレは大好きです。他の板に比べて皆さんマナーがいいですよね。

あ…因みに339は私です…苦笑
342Mr.名無しさん:2008/03/14(金) 02:18:17
>>341
言おうか言わまいかずっと悩んでたんだが、あんた、投下時以外はコテトリ外さないか?

これは超個人的な意見で恐縮なんだが、何となく気に食わないんだ。ここ一応2ちゃんだしな
そんなもん個人の勝手だろと思ったらスルーしてくれてかまわない
343Mr.名無しさん:2008/03/14(金) 11:50:16
>>342 いえいえ…私の方こそしらずに失礼しました。以後気を付けます…。
344Mr.名無しさん:2008/03/14(金) 20:41:33
続き投下

ちょっと読みにくいかも

勘弁
345Mr.名無しさん:2008/03/14(金) 20:44:53
廊下はもう薄暗くなっていた。
周りを見渡したが、それらしき影はなく、ホッとしてしまう。
そんな感情に気付き、自分自身思っていたよりずっとチキンなのに、恥ずかしさが込み上げた。
「さっきまで居た筈」
そんな俺を尻目に、川嶋は相変わらずのトーンで喋る。
その光景を見て、こいつの声と喋り方は有無を言わせないと言うか、何か逆らえないものがあるな。と、ふと思った。
実際こんなファンタジーな話を聞かされて、パニックになってるとは言え、受け入れてしまっているのも川嶋から話を聞いたからなのだろう。
「行こう」
一言告げて、川嶋は歩き出した。

廊下を抜け、下駄箱で靴を変え、無言で学校を二人で出る。
未だに奴は現れない。保健室を出ていきなり遭遇しなかったおかげで大分冷静になれていたが、いつくるのか解らないのも気が張るものだ。
気が重くなってきた。
「…道、こっちだから」
気付けば川嶋は踏み切りの前で立ち止まっていた。
「え?…あ、ああ。そうか」
「…じゃあ、さよなら」
川嶋は小さな踏み切りを渡って、あっさりと振り返る事なく帰って行った。
正直家までついてきて欲しかったが、流石にそれは言い出せなかった。
小さくなる川嶋の背中を見送って、幾分かの呆気なさを感じながらも、俺は意を決して歩き出す。
(とりあえず、逃げても仕方ない。ここはさっさと奴から問題を聞き出して解決すれば、今までの生活に戻れる)
そう自分に言い聞かせ、暗くなっていく帰路を足早に歩いて行った。
346Mr.名無しさん:2008/03/14(金) 20:53:04
「…お帰り」

「……!」

家の玄関を開けた瞬間、奴は俺を待ち構えるように仁王立ちで立っていた。
「遅かったね」
生前と変わらない姿をした妹がそこにはいた。
「何してたの?」
「…き、気絶してた」
「ふーん」
何だか怪訝な顔をしている。
「お、お前はここで何してんだ?」
「何してるって、ここは私の家じゃない。居て悪い?」
「べ、別に悪くはないな」
「悪くないならいちいち口出さないで」
上から目線で喋ってくるこの高圧的な態度、これも生前と変わらない。
こいつは正真正銘、俺の妹だった。
「で、そろそろどいてくれないか?玄関口に仁王立ちされてると上がれないんだ」
347Mr.名無しさん:2008/03/14(金) 20:57:34
「ふーん、あっそ」
どく気配がない。
「いや、あっそじゃなくて…」
「じゃあ…上がりたいなら私の質問にちゃんと答えてよ」
「はぁ?何で?」
その俺の反応が気に食わなかったらしく、不機嫌な顔で俺を睨んできた。
「ごちゃごちゃ言わないで答えて!」
「お、おい、そんな大声出すなよ」
「今は私達以外誰もいないから大丈夫。とにかく答えて!」
何だか脅されている気分だ。
「わ、分かったから、まじで大声出すな」
「じゃあ、聞くわよ?」
「あぁ」
「…保健室で、何してたの?」
「え?」
何を聞いてくるかと思えば、以外な質問だった。
「ねぇ、何してたの?」
「いや、別に。特に何も」
何となくだが、川嶋との会話は言わない方がいい気がした俺は、適当に誤魔化す事にした。
「…ふーん」
かなり怪訝な顔で俺を睨んでくる。
「…ヘンタイ!」
「なっ!」
それだけ言うと、俺から背を向けて、二階への階段を音もなく上がって行った。
「っだよもう!」
なぜか変態扱いされた俺は、行き場のない怒りと、まるで生きているような妹の姿に頭を抱えていた。
348Mr.名無しさん:2008/03/14(金) 22:04:31
これは期待
349 ◆Root/VEzBc :2008/03/15(土) 16:29:42
>>322の続き

息が切れる・・・足が重い・・・部活で全身の力が無くなる程疲れているのに、それでも全力で自転車を走らせた。
寒い公園で一人泣いているフジサキのことを考えたら、
こないだはあんなに楽しそうに笑ったフジサキの泣いている顔を想像したら、
関係の無い事に巻き込んで、フジサキを悩ましたのであれば謝りたかった。
ヲレは今すぐ其処に行ってフジサキを慰めてあげないといけない気がした。
350 ◆Root/VEzBc :2008/03/15(土) 16:30:12
公園に着くと、外灯の明かりにぼんやりと照らされるフジサキの姿が目に映った。
ベンチに俯きながら寂しげに座っている。
「フジサキ・・・」
ヲレが声を掛けると、ゆっくりとフジサキは顔を上げる。
「わざわざ、来なくてもよかったのに・・・。」
フジサキが力なく笑う。
「ごめん・・・なんか変な話しに巻き込んでしまって・・・」
ヲレはフジサキに頭を下げた。
「ううん・・・私が悪いんだよ、きっと。本当にごめんなさい・・・」
しばらく二人でごめんなさいの言い合いが続いた。
「フジサキ・・・もう遅いし帰ろう・・・送って行くからさ」
そう言ってベンチから立ち上がると、フジサキは小さな声で呟いた。
「でも・・・折角来てくれたんだから・・・もう少しだけ一緒に居てくれたら嬉しいな」
その言葉にヲレは頷くと、フジサキと同じベンチに再び座った。
351 ◆Root/VEzBc :2008/03/15(土) 16:30:57
しばらく、話もしないでフジサキは遠くを眺めているだけだった。
「こんな夜まで・・・何してたんだよ」
ヲレの質問にフジサキはチラッっとヲレの方を見てから、小鳥が囀る様な小さな声で話し始めた。
「悩み事をね、色々と考えていたら・・・こんな時間になっちゃった」
「ヲレに話してみろよ・・・少しは楽になるかもしれないぜ」
フジサキは、また遠くを眺めて黙り込んだ・・・。
そして数分が経っただろうか・・・フジサキは俯きながらさっきより小さな声で呟き始めた。
352 ◆Root/VEzBc :2008/03/15(土) 16:31:59
「私の悩み事って・・・好きな人の事。
でも、その人には彼女さんが居るの・・・可愛くって明るくって・・・私が持ってない物をいっぱい持っている子なの
楽しそうにしている二人を見ると・・・心がざわざわとして・・・勉強も何も手が付かなくて・・・こんな私が嫌で」
フジサキが涙をポロポロと零し始めた。
「そうかぁ・・・辛いな・・・。」
ヲレと居る時のフジサキは、教室に居る時のいつものフジサキと違う感じがする。
とても繊細で涙脆くて・・・微笑んだ時の笑顔が素敵で。
「でも、フジサキだって可愛いし・・・もっと笑えばいいと思うよ・・・ヲレはそう思う」
泣いてるフジサキを慰める為の嘘でも、褒め言葉でも無く、本当にそう思っている事を話してみた。
フジサキは、またばらく泣いたままで・・・暗い公園の中で時間だけが過ぎていった。
353 ◆Root/VEzBc :2008/03/15(土) 16:32:57
「うん・・・そうする。その人には降り向いては貰えないかもしれないけど・・・。
その人の前では笑えるように努力するね・・・」
フジサキはハンカチで涙を拭くと顔を上げ、ヲレの方を向くと泣きながら笑顔を作り立ち上がった。
ヲレにはその時の笑顔の意味が判らなかった。
「もう、帰るね・・・遅くなっちゃった」
354 ◆Root/VEzBc :2008/03/15(土) 16:34:02
フジサキを自転車の後ろに乗せて夜の道を走り家まで送った。
こないだと同じ場所まで来たので、そこでフジサキを降ろした。
「ここだったよな」
フジサキはコクンと頷くだけだった。
「また、明日な」
ヲレが帰ろうとすると、フジサキがヲレ腕の袖口を引張った。
「毒男君・・・また今度も、相談事聞いてくれる?」
「あぁ、もちろん・・・ヲレでよければ」
その言葉を聞いて、フジサキがヲレに微笑んだ。
355 ◆Root/VEzBc :2008/03/15(土) 16:35:11
それからというと、フジサキはクラスの中で微笑む事が多くなった。
それと同時に一日に一回ぐらい、ヲレの所にメモを置いていく様になった。
最初は一行だったのが日を追うごとに行数が増えていき、
段々とメモが手紙のようになっていった。
元々から筆がマメだったのだったのかもしれない。
印刷したかのような丁寧な字で文章が書かれてある、
内容は、相談事では無く普通の友達同士でするような会話を手紙にした感じだった。

でも、決してクラスの中では話し掛けては来なかった。
きっとミキに遠慮をしていたのであろう。

・・・続く。
356Mr.名無しさん:2008/03/16(日) 00:58:16
ヤバイな不覚にもフジサキの萌えた
357Mr.名無しさん:2008/03/16(日) 15:17:46
そこまで言われても気が付かない毒男ってw
358Mr.名無しさん:2008/03/16(日) 15:46:10
あれ?
359Mr.名無しさん:2008/03/16(日) 18:50:01
√ツマンネ
360Mr.名無しさん:2008/03/17(月) 01:58:04
職人さんお二人とも乙です。これからも期待してます。
361Mr.名無しさん:2008/03/19(水) 03:18:27
楽しみにしてるお
362Mr.名無しさん:2008/03/19(水) 15:44:16
続きはまだかー!!
両方共早く書けよ!!
wktkしながら待ってるんだぞ
363Mr.名無しさん:2008/03/21(金) 03:46:33
364 ◆yV0TG1H05Y :2008/03/21(金) 09:58:19
ホントに久しぶりに新作投下
全部で四話構成。今回自分に架したのは『ギャグを入れる』事
本当はヴァレンタインの時期に投下しようと思っていたのは内緒
一応最後まで書きあがってるんだけど量が多いので、折を見て投下して行きますね
では以下から開始ー
突撃!バレンタインデー大作戦

「どうやって渡そう? まずそこが問題よね」
来たるバレンタインデー。彼女の思索は混迷の一途を辿っていたのでした。
「ていうか、これだけ頑張ったんだから、劇的な感じで渡したいわ」
 彼女は自宅のキッチンに立っています。彼女の母親の完全なるテリトリーである広々としたキッチンはいまや戦場の有様でした。
「ふっ……チョコ作りなんて簡単なものね……私にかかればほんの一瞬よ」
 もとは花柄であったはずのエプロンはチョコの茶色や黒でまだらに染め抜かれており、まるで屠殺場の執行人のごとくであります。テーブルの上にはいびつな形に仕上がったチョコと思われる物体が鎮座しておりました。

「おかーさーん。お姉ぇちゃんまだ台所使ってたの?おなか減ったよー、」
「そーねー、かれこれ十時間は占領してるわねぇ……この子がこんなにぶきっちょだとは思わなかったわ」
「おはよーって、おい。あのキッチン誰が掃除するんだ? 俺は嫌だぞ」
「まぁまぁ、お父さんにその拒否権があると思って?後でしっかり手伝ってもらいますからね」
「おかーさんー、おなかー」

「外野は黙ってて!!」
居間から様子を伺う外野達を一喝し彼女は思索に戻ります。ターゲットは札付きの鈍感人間で、そして彼女は時として、極度に意地っ張りになのでした。

「とりあえず……学校に行く準備しましょうか……」
夜にはじめたはずが、気がつけば朝になっていました。窓から差し込んでくる黄色い太陽を見て彼女はため息をつくのでありました。
きーんこーんかーんこーん
「おはよう諸君!お前たちは今日も素晴らしい青春時代を存分に謳歌しているかっ? 
 時に今日はバレンタインだが、このクラスの女子諸君は 当 然 チョコを持ってきていると思う。先生は理解がある寛大な教師だから没収などはするつもりはないが学生の本分を守って程ほどにするように! 
 因みに先生へのチョコレートは無制限で受付中だからいつでも持ってくるといいぞ! 以上! 解散! 」

型どおりの朝のHRが終わると教室はにわかに慌ただしくなります。男どもはざわざわと落ち着きがなくなり、女子達も外見上はどうあれ浮き足立ちます。気の早いものは早速渡しに行っているようでした。

「相変わらず暑苦しい担任……」
「あれ、あした〜? ご機嫌斜め?」
彼女が机に突っ伏して唸っていると友人の雪子が目ざとく声をかけてきます。
「寝不足」
端的に事実だけを告げます。
「何で?」
「チョコ作ってたから。朝までかかったのよ」
こんな時彼女、大園明日(おおその・あした)は嘘や誤魔化しの類を言わない女の子でした。ただし、親友の新垣雪子(にいがき・ゆきこ)にだけ。
「ほー、ぶきっちょの明日にしちゃ頑張ったんじゃないの」
親友である雪子は思いのほかへらへらしていました。あからさまに楽しんでいる顔つきです。
「やっぱりあれに渡すの?」
親指を立て、くいっと背後を指します。背後には男子のグループ。その中にはカトゥーンもかくやと言う絶世の美男子とその友人たち数人が居ました。

彼女……大園明日はふくれっつらをして横を向きます。
「他に、誰に渡すって言うのよ……」
「んじゃ、……作戦開始ね」
そういうと、新垣雪子はにんまりと笑います。
「一時間目終わったら即行確保するから、よろしくね♪」
きーんこーんかーんこーん
「さて、とりあえず取り巻きAを捕獲してきた訳ですが」
「むぐー! むぐー!」
「しゃべんな、暴れんな、制裁キックっ!」
「むぐぃう!」
「あんたの身柄は『対白鳥つかさヴァレンタイン作戦』用に徴収された。異論は認めない。返事はイエス以外聞きたくないわ!」
「……雪子、あんたのりのりね」
満面に笑みを張り付かせ歓喜の愉悦におぼれる雪子とそれを呆れ顔で見やる明日なのです。
二時間目、二人は人気の無くなった空き教室でどうやら一人の男子生徒を折檻することにしたようでした。
「折檻……? ちっちっち……甘いわね。拷問といってもらおうかしら。さぁ手始めに左右のつめどこから逝く? あっははは! そっか! いきなり耳からがいいって!?じゃあまずは左からスライスだだだぁぁぁぁぁああああ!!!」
「こーらー、大事な捕虜をすぐ壊さない」
ごす
鈍い銀色に輝く怪しげな器具と芋剥き器を構えて今まさに哀れな捕虜をその毒牙にかけようとしていた雪子を、それまで腕組で眺めていた明日が背後からのチョップで止めます。
「見なさい。このコ、怯えきってるわ。」
拘束され、あまつさえ口にまでガムテープを張られたその男子生徒は某CMのチワワのような目で明日を見ます。目じりには涙がいっぱいに浮かんでいました。
「ごめんね、椎名君。私たちはあなたにちょっと協力して欲しいだけなの。だから協力してくれるかな?」
明日の呼びかけに椎名君と呼ばれた少年はこくこくと何度も頷きます。
「んー、このままじゃ話しにくいわね……これ、はがしても叫ばない?」
壊れたおもちゃのように頷き続ける少年を見て肯定の意と汲んだのか明日は彼の口をしっかりと塞いでいたテープの端を思い切り引っぺがします。
「うっ、ぷはっ、……っ誰かー!!助けーーー!!――――ぶがぁ!!」
「叫 ば な い っ て 言 っ た よ ね ?」
こくこくこくこくっ!!
「……まぁいいや。叫んでもどうせ聞こえないし。よしんば人が来たとしても」
「……来たとしても?」
「血液型の違う二人、一緒にミキサーにかけてミンチにしちゃったらやっぱり固まってゼリーみたいになるのかしら」
「いやだあああああああっ!!!」
「叫ばないでよ、椎名君。唇引きちぎってタラコの隣に並べてまぁ、そっくり☆って言って欲しいの?」
「それもいやだああああっ!! って、そこまでぶ厚くないぞっ!」
「うるさいわねタラコ。吐く息が公害並みに大気汚染だからちょっと黙ってろって言ってるのタラコ」
「二回も言われた!ていうかさり気にもっと酷い事言われた!父さんにも言われたこと無いのに!」
「ガンダムかって。あんたのその『ちびまるこちゃん』に出てくるハマジ君並みの卑猥物体はクラス全員の統一見解だから今更いちいち傷つかないでよね。私たちあんたのお安い一発芸につきあってるほど暇じゃないの。悔しかったらDNAからやり直しなさい」
とても、容赦の無い子でした。
 
「お、俺が何したってんだよぉ! ていうかお前ほんとに大園か!? そんなヤツだったの!?」
哀れ椎名君はデンジャラス&コケティッシュ&ブラックサバスな明日たちの性格を良く知らなかったようです。合掌。

「む、そんなやつとは失礼なやつだ。そんなこと言う口なんて縫ってしまえー」
そんな事を言いながら縫い針を構える明日。そう、椎名君はとても美男子と言えないとてもタラコな魅惑のくちびるを持つだけのごく一般の男子生徒なのです。
「やだー! 助けてー! 人殺しー!!」
いやいやをしながら必死に抵抗する椎名君
「ふっふっふ。嫌がられれば嫌がられるほど求めたくなる……そう、これは狩人の本能?私、楽しいのね。うふふ。うふふ」
目の中に永井豪作品並みの螺旋を描き、皆様にはとてもお見せできない類のサディスティックな表情でにじり寄る明日。そんな彼と彼女たちは結局は一つの教室で学ぶ同じクラスメイトなのです。本人達がどうあれ、仲良きことはよき事かな、なのでした。

「……あーしーたー。話し進まないよー。タラコ君といちゃつくのは後にして話進めようよー」
「だ、だれがいちゃついてるってのよ!! こっ、こっ、こっ、こここ、こんな顔面オバQ男のどこにそんな魅力がっ!こんなやつにチョコ渡すくらいならゴムひもにでも渡してた方がマシよっ!!」
「え、なになに? 大園、俺にチョコくれるの? マジで!?」
「だ、だだだ、だれがあんたなんかに渡すかっ、このっ、タラコ!タラコ!タラコ!」
「ぎゃー! 痛い痛い痛いやめてよして俺の二の腕、針山になっちゃうぅぅぅぅううう!!」
「はぁはぁはぁ…………まぁいいわ、わざわざ二時間目サボってるんですもの。時間は有意義に使いたいものだわ。椎名君いくらもてないからって私たちの作戦を体張ってでも遅延妨害させるとはなかなかやるわね。虐待するのが楽しくて本分を忘れるところだったわ」
「俺は断じて望んでこの状況に甘んじてるわけじゃないぞ!!っていうか早く放せよ!」
「捕虜の解放は本作戦終了をもって達成されるわ。あなたに選択権は無い」
「せめて捕虜として最低限の身の安全の保障を要請する!」
「却下」
「うわぁぁあああああん!!」

「いい加減にしなさいよっ!!これじゃいつまでたっても白鳥君にチョコ渡せないじゃないっ!!」
永遠と続く漫才もどきにいい加減痺れを切らしたのか、雪子が地団駄を踏みながら叫びます。
「むー、最初は雪子だって乗りのりで虐待してたくせに……」
「あんた達のはマジで楽しんでるからなんかムカつくのよ」
結構、自分勝手な子でした。
「ていうか、新垣さん。つかさにチョコ渡すつもり?」
「ていうか、告白までするつもり」
えーっ、っと大仰に驚く椎名君(すまき)
「あいつ、誰からの告白にも応えないことで有名じゃん。チョコさえ受け取らないよ」
「うっさい。いい? タラコ君。不可能を可能にしてこそのミッション・インポッシブル。鉄腕の美少女、新垣雪子の生きる道なの」
「……えー、新垣さん言っちゃなんだけど可愛さ普通じゃん。むしろ大園のほうが美少女――ぐへぇあ!!」
「殺されてーのかっ!おんどりゃぁぁぁああああああ!!!!」
鉄腕の美少女の自慢のこぶしが、タラコ・椎名・すまき君の顔面にめり込みます。
「あぁ? ぁあ?! そんなに三途の川渡りたかったら今すぐ重しつけて沈めてくれるわぁぁぁああ!!」
「それ渡してないじゃない」
明日の冷静なつっこみも何処吹く風、椎名・つぶれ饅頭君の襟首を掴んでガックンガックン揺さぶります。
「もうあったまきた!確かにねぇ、私はそばかすもあるし明日みたいなパッチリした眼でも意外と乳首の小さい、かわいらしい美乳でもないわよ! でもあたしは明日じゃあるまいし、下の毛はしっかり生えて…………」

「き、聞いちゃだめっーーーーっ!!」
瞬間、明日の右足が椎名・すまき君のへこんだ顔面を見事に捉えます。
「ぷげれぇあっ!!」
「ち、違うんだからね! 私はただ体質的に薄いだけで、全く生えてないって訳じゃなくて、いつかもっと、生えてくるってお母さんも言ってたし、
お医者さんも別に恥ずかしいことじゃないって言ってたし、そもそも水泳の授業のときとか処理しないでいいから楽だなって……
って何言ってんの私っ、ちょっと聞いてるの椎名君!っていうかやっぱり聞かないで今のなしなしなしなしなしいいいぃぃぃぃ!!!!」
ビビビビビっと音の鳴るような高速の往復ビンタが繰り出され、椎名・原型をとどめない君の顔は瞬く間に二倍三倍に膨れ上がって行きます。

「はぁはぁはぁ……っと言うことで、今の雪子の言葉は全部忘れるように!」
「ふぁい……」
二分後、そこには囚われのリアル・アンパンマンが鎮座していました。

「で。私たちが椎名君にして欲しいのは、白鳥君に対する情報収集なのよ!」
「でふぉ、情ふぉうすうすうってひっへほ、はひひひはらひいのは」
「ちょっと! 椎名君! 雪子は真剣に悩んでるんだから真面目に聞いてよね!」
「はれのへいはっっっっつつつ!!!!」
とても悲しい子でした。

とりあえず第一部お届け
今までのツンデレモノとはちょっと色が違う気がするから気に入らない人はNGすいしょ☆

他の書き手もガンバ!
373Mr.名無しさん:2008/03/21(金) 21:52:08
久々にまとめやったのに
安価大杉ではじかれる('A`)
プログラムまでツン状態かよorz
反響まったく無くても第二部行くよー
好きな事を好きなだけ書き散らす。それが俺のジャスティス

>>373
まとめ乙!試行錯誤して出来た時のデレ具合は異常
「――で、お宅、だれ? ……お顔がパンパンマン?」
「お前のひん友のひい名ふぉう兵だ」(注※お前の親友の椎名公兵だ。と言っている)
「ほうほう、……その砲兵さんが何故こんなところに。この学校に高射砲台でも配備されたかな?」
「ひょうほうほ、へいほうほ、ひょうひゅうふる」(注※情報の提供を要求する)
「何々、兵法は平方根のうひょーはひょーする、だって? 公兵、いくら数学が苦手だからって平方根は√で表すもんだ。ほれ、言ってみ?√3=1.7320508075 (ひとなみにおごれやおなご)」
「……ふーほはん、ひほーふ、ひほはひひほごへはほなほ」(注※ルート3イコール、ひとなみにおごれやおなご)
「何々、肥後は狒々。ホモは俺。オナホ。なんだ公兵、あんまりもてないからって猿畜生や、男にまで手を出す気かっ!ましてやオナホだとっ!? ……やさしくしてね?」(頬を赤らめる)
「ひはぁぁああああう!!!」
とことん悲しい子でした。


「で、ぼこぼこのおまえの胴から伸びた縄をもってスズメ取りの罠よろしく物陰に隠れてるあの女の子二人はなんなんだ?」
「じふは、俺、虐待されて……ぎゃーー!!」
「おー、すげぇ。一瞬で縄のさきの物陰に引っ張っていかれた……」
生傷の絶えない子でした。


「つかさ! 親友としての一生の頼みだ! 何も言わず、今日だけは女子のチョコを受けとれ!」
「断る!」
「即断かよっ!! お前には血も涙も無いのか! 鬼! 悪魔! イケメン!」
「確かに僕の姿かたちは美しいが、イケメンと言われるとなんか頭軽い感じがする。時にイケメンって池ノめだか師匠のようなメンズの意味だと高校一年生まで思っていた」
「それ、つい最近だよっ! っていうか、めだか師匠懐かしいな!」

彼、椎名君とクラス一の伊達男白鳥つかさ君はこういった軽口を叩き合う仲なのでした。
「ていうか、何で、片っ端から断りまくるんだよ! 付き合うとかならともかく、チョコ受け取るくらい別にいいじゃんか!」
「別に誰にも迷惑はかけとらん。一人受け取るとゴキブリみたいに増えるから嫌なんだ。ゴキブリは巣から撲滅せねばならん」
「……俺に多大な迷惑がかかってるんだよ……ていうかお前そのうち刺されるぞ! ていうかもういっそ刺されてしまえ!!」
「刺されるなら公兵がいいな♪ もてない男代表として♪」
「うっさい!っていうか!」
「出たな、妖怪テユーカー! 相方が落としたおにぎり欲しさに漆(ウルシ科ウルシノキ、触るとかぶれる)の茂みの中に手を突っ込んで痒さのあまり悶死した男の霊が妖怪化した化け物め!! ムヒ塗りこむぞ!」
「地味に嫌な妖怪だなぁ!おいっ!」

「まぁ、それはともかくとして、俺がチョコ受け取らないとなんで公兵に迷惑がかかるんだ?」
「うっ……それは……」
ちらりと物陰をうかがう椎名君。その先には彼を結わえている縄をしっかりと握りしめた明日と雪子の姿がありました。
「一身上の都合です……」
「ふーん、まぁいいけどね。壁の向こうの子猫ちゃんに言っといてよ。姑息なことしないで真正面から来たら、付き合ってあげてもいいよって」
「マジで!?」
「イエス、高洲クリニック」


「――――って言うことなんだけど。やけにあっさりでさ」
「罠の匂いがぷんぷんするわね……」
明日たち三人はもとの空き教室にまで戻ってきていました。椎名君がつかさ君からの伝言を伝えると雪子はもう有頂天外で踊りださん勢いです。
「ねぇ、雪子。彼の親友の椎名君ですら裏がある気がするって言ってるんだから、もうちょっと慎重に行ったほうがいいんじゃない?」
「何言ってるのよ! 全校生徒の憧れの的、白鳥君の彼女になれるかもしれないチャンスなのよ! これを逃がしたら奈良第一高のミセス・インポッシブルの名が泣くわ!!」
「ミセスじゃ既婚者だし。不可能奥さんってどんなのよ」
もの凄く家事とか苦手そうなあだ名でした。

「とにかく! 私は行ってくるからね! タラコ君! 彼は教室に居るのよね? 雪子、突貫しまーす!!」
言うやいなや、雪子はチョコレートの包みを持ったまま音速を超えて駆け抜けていきました。


「で、大園は行かないの?」
「なんでよ?」
「大園もつかさ狙いじゃなかったの?」
雪子が夢に向かっての第一歩(あるいは破滅への第一歩)を踏み出したあとに残されたのは縛られたままの椎名君と、彼を結わえた縄の端をしっかりと持つ体育座りの明日でした。
「私はあんなのどうでもいいわよ。あくまで雪子の付き添い」
「そうなんだ」
「ええ、そうなのよ」
気まずい沈黙が二人の間に流れます。
『あのっ』
同時に声をかけようとし、気まずさにまた、黙り込みます。
「そっちからしゃべりなさいよ」
「大園からでいいよ」
「うっさい。レディーファーストぶるな。キモイ」
「うぐっ……、じゃあ俺から。さっきの話なんだけどさ。でも大園もチョコもってきてるよね? その袋の中」
目ざとく明日の横に置かれたチョコの包みを見つける椎名君。
「うっ、こんな所だけ鋭いのね……」
失敗したと言わんばかりの表情で呟く明日。
「まぁ、いいわ。実はこれは雪子の分を作る時についでに作った分なのよ。雪子ったらああ見えてもの凄いぶきっちょで、夜七時から始めたチョコ作りにキッチンを壊滅させつつ、朝までかかっちゃうような子なの。だから今年は私がかわりに作ってあげたというわけ」
「へーっ、そうなんだ。大園って料理得意なんだな」
「べっ、べつにそんなたいしたこと、な、ないわよっ!」
赤くなってそっぽを向く明日。事実はまるで正反対で料理が壊滅的なのは明日のほうなのですが。
「で、大園は誰かに渡したりしないの? そのチョコ?」
「あ、う、だ、だ、誰かにって……、そりゃ私だってチョコ渡す人の一人や二人くらい……」
「ま、そりゃそうだよなー。大園くらい可愛かったらそりゃそっかー」
そういって、縛られたままコロンと横になる椎名君。手を胴体ごとぐるぐる巻きにされてるため、まるでだるまさんです。
「……な、なに? も、もしかして君、このチョコ食べたかったり……す、する……?」
「えっ!食わせてくれるの?」
そのままごろりと転がり、明日のほうを向くすまきの椎名君。
「へ、返答次第ねー」
「返答ってなにさ?」
「……さっきの」
「さっきの?」
「ほ、ほら、さっきの話よ!白鳥君に会いに行く前にっ!」
「え、……えっと、……なんだっけ?」
「ばかっ! あんた、私の話ちょっとしたでしょ!?」

「あー……、えっと……。あ! 大園がパイパンだって……!ぶぐぇ!!!」
丁度地面を転がっていた椎名君の頭部に明日のプチかかと落としが炸裂します。
「その話は忘れろっ!!!」

「う、うう……そ、それ以外なんか話したっけ?」
「……ほんっとーにわかんないの?」
明日は急に下を向きもじもじし始めます。目がとろんと潤み。頬が上気していきます。頭の芯があいまいになり、現実と妄想の境がごっちゃになり、なにやら不思議な気分に満たされていくのです。
ですが、鈍感男の椎名君はそんな明日の変化にちっとも気がつきません。

「うん……あーっ、ごめん。わかんないよ」
「……私のことかわいいって、美少女だって言った……あれってホント?」
「え……う、うん! 本当だよ! 俺、大園のこと前から可愛いと思って……」
そっか……えへへっ。そう言って明日は少し微笑みました。そして、顔を伏せて呟きます。
ずっと、ずっと前から言おうと、伝えようと思っていたその言葉を――――



「……じゃあ、何で覚えて……ないのよ………………」
「……え?]


つづく
380Mr.名無しさん:2008/03/22(土) 04:46:08
ここで切るのかぁぁぁぁ
381Mr.名無しさん:2008/03/22(土) 09:24:25
職人さんGJ!!
今仕事中なんだが、続き読みてぇぇっ!!
さーて、第三部だよ全員集合! 
――――じゃあ、何で覚えて、ないのよ
――え?

そして、静かに目を閉じて――――

『あの男っっっつ!!!!! 絶対ぶっころぉぉぉぉぉおおおおおおおおっすぅぅぅううう!!!!!!!』
その時でした、天地を震わせる大音声と共に、空き教室のドアが文字通り教室の反対側まで盛大に吹っ飛んでいき、ガラス戸を破ってベランダを越え一階までぶち落ちていきました。

あまりのことに我知れず、すまきのままの椎名君にすがりついた明日が見たものは鬼気迫る、というか、もはや鬼そのものの表情をしたずぶぬれの親友の変わり果てた姿でした。あまつさえ、両手には三色の錦鯉を一匹づつ握り締めています。
「おおおおぉぉぉぉぉぉおおぉおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」
人間にはとても出せない地獄からの呼び声のような音を出し(もはや声とは呼べない)新垣・鬼人・雪子はまるでイエティのようながに股でベランダに突進し、地上に向けて錦鯉を弾丸のように投げつけはじめたのです。

突然の事態に、我を忘れていた椎名君でしたが、隣に居る少女が尋常ではない震え方をしていることに気がつきます。
「あ、あ、あれは……バーサーカー雪子だわ……」
「な、なんなんだよ、それはっ!!」
「バーサーカー雪子は、理性を奪われた代償として全能力を倍化した狂戦士なの! 壊すことのみに特化していて理性や人格は存在しない代わりに11回分死んじゃうくらいの衝撃を与えないと元に戻らないのっ!!」
「なんだよ! そのどっかで聞いたような設定はっ!!!」

ぐるるるるるっ……っと不気味な咆哮をあげ、周りをきょろきょろと見回す雪子。彼女の眼に止まったのは教室の隅に積み上げられている今は使われていない学習机と椅子でした。
「うううぅぅぅぅぅぅううううううううがががぁぁあああああああああああああ!!!!!!」
雪子は手当たり次第、階下に見えるグラウンドに向けてそれらを投擲していきます。ありえない馬鹿力で投げられたそれらは、投擲の際の空気抵抗による摩擦であっという間に溶解、一塊の燃え盛る弾丸となって地面を容赦なく抉っていきました。
いまや、奈良第一高校のグラウンドは流星雨の直撃にあった月の表面のようにクレータだらけになっています。

「あ、あそこっ!!」
誰かが叫びます。絨毯爆撃を受けた荒野の方がまだましだと言えるような惨状に成り果てたグラウンドを駆ける影がありました。次々と飛来する砲撃を右に左に軽快なフットワークでかわして行きます。
いまや人間カタパルトと化したバーサーカー雪子は確かにその人影を狙って砲撃しているようでした。

「あ、あれって……もしかして……」
明日が悲痛な悲鳴をあげます。
「もしかしなくても、つかさだよっっ!!!!!!!」
椎名君もその分厚いくちびるを震わせて叫びます。
「つかーーーさーーーーぁあああああ!!大丈夫か―――――!!」
グラウンドに向けて絶叫します。椎名君の声に気づいたのか必死に逃げるつかさ君がこちらを向くと、『にッ』とアイドルも真っ青の真っ白い歯を見せて笑いかけます。あまつさえ親指まで立てて爽やかな事、このうえなしです。

誰かが叫びました。
「くっそう! 白鳥つかさはなんて化け物の封印をといちまったんだ!」
誰かの声がそれに応えます。
「ううん! 違うの、白鳥君は悪くないの! 悪いのは私たち人間のほう! 彼は人間が負うべき原罪を私たちに代わって一身に背負っているのよ!」
全校中から悲痛なため息が漏れます。

教室に設置されたスピーカーから声が響きます。
「だがっ、だがしかし! このままでは白鳥つかさの体力もいつまで持つのかわからんぞ!」
教室の隅のテレビの中に映る女生徒が叫びます。
「でもっ、でもでもでも! 今は彼を信じるしかないの! バーサーカーと化した彼女を止められるのは、もはや彼しか居ないのっ!」

「あぁ! 白鳥が転んだぞ!」
全校生徒の目がつかさ君にくぎづけになります。迫り来る恐怖の弾丸。万事休すか! と思われた時、つかさ君はしなやかな動きでそれを鮮やかにかわしました。
「おお! すごい! 見たか今の動き! 胸元からさりげなくだしたハンカチでまるでマタドールが猛牛をいなすかのように弾丸を払ったぞ!」
「ああ! あれこそ人類の至宝だ! 彼こそ新世界の神だ」
「あぁ! 白鳥つかさ様! 私は一生貴方についていきますぅぅぅぅぅうううう!!!!ばたん!」
「うわぁーーー! 大変だ! 今の美しすぎる白鳥つかさのせいで、全校生徒中の女子の半分が意識を喪失したぞ!!!」
「うわぁぁぁああ! 保険医の鬼熊先生も倒れたーー!! 誰がけが人の面倒見るんだーー!!」
「はぁ?! 鬼熊先生は男だろ! 何で倒れるんだよ!」
「ばか! 鬼熊先生はその筋じゃホモセクシャルで有名なんだ!!」
「なるほどーーーーー!!!! それは 予 想 GUY!!!」


「ど、どうしよう! どうしようどうしようどうしよう! 椎名君!みんな雪子のせいで大混乱だよぅ!」
あまりの異常事態に普段は気丈な明日も、ただの女の子になってしまっていました。
「このままじゃ、このままじゃ! なにがどうなるのか、わかんないけど、なんだか絶対よくない気がするよぅ!!!」
ついには地べたに座り込んでぐずぐず泣き出してしまいました。

クラスメイト達は上へ下への大騒ぎ。教師達は黒板消しを頭に載せて学校の守護神である、二ノ宮金次郎像に一心に祈りをささげています。
カタパルトバーサーカー雪子は机等を投げきると今度は校舎の壁を剥がして弾丸を作り、砲撃を続けていました。

いつの間にやら、つかさ君には純白の天使の羽が生えて、大空を飛び回りながら回避運動を続けています。

魅惑のくちびるをもつ椎名君はふっと、自分の足元で泣き崩れる少女をみました。
強がって、悪態ばかりついて、おまけに暴力的。だけれども、こんな時に儚く消えてしまいそうなほど弱弱しい彼女。
彼は、自分の身はどうなっても、この少女だけは守りたいと、そう強く感じたのでした。

「ねぇ、大園……。いや、明日。」
「…………え」
泣きはらした目で彼を見上げる明日。
「こんな時になんだけどさ、この縄。解いてくれないかな?」
明日はしばらく躊躇したようですが、すんっと一つ鼻をすすると、コクリと頷き、彼の縄を解いてやりました。
そして、彼は……
「ね、明日。だいじょうぶだからさ。そんなに泣かないで。明日が泣いてたら俺は心がなんだか苦しいんだ。しおらしい明日も可愛いけど、やっぱり、今日、俺の知った明日は口は悪いし、手も早いけど、それでもやっぱり、元気な可愛い女の子だったよ」
そう言って、やさしく明日の小さな体を抱きしめたのでした。
「ひ、ひゃうぅ…………」

――――明日、全部解決したら、俺にチョコ、食べさせてね

彼は走ります。いまだ徹底的破壊を繰り返している、無敵の怪物の元へ。
彼の後ろには、彼の大好きな少女が居ます。彼女を守る。ただそれだけの為に、彼は死地へ自ら赴いたのです。
走りながら、彼は自分の口に手を当てます。
彼の人より少しだけ分厚い魅惑のくちびるは、先祖代々伝わる破邪の印。
最強の退魔の印なのです。
ただし、それを使えるのはその術者の最後の時だけ。本当に守りたい。世界で一番大切な人の為にこそ使う。命の奔流。その魂こそが、全ての魔を払えうるのです。

さようなら、さようなら。
折角出会えた、世界で一番大切な人。かけがえの無い、ただ一人の人。
チョコ、結局食べられなかったけど、ごめんね。明日……会えて嬉しかった。ありがとう――――
――――そして、どうか元気で…………

「椎名流、退魔術奥義!!鳳凰!紅!無 限 抱 擁!!!!!」

瞬間、椎名君の体から極大の赤い閃光が放たれます。その赤は見る間に暴走を続ける雪子を飲み込み、そのまま校舎全体をも飲み込んで行きます。光はとどまることを知らず世界全体に広がっていくようでした。
その光の中で、明日は叫びました。彼女だけには見えたのです。光の中、怪物に組み付き、共に消えていく少年を。その最後の姿を。
世界にはただ、涙だけが満ちて行きます。
そして、すべてが赤い光に飲み込まれたとき、彼女の嗚咽だけが響いていたのでした。










「あるぇ〜、明日寝ちゃったの?」


つづく
390Mr.名無しさん:2008/03/23(日) 00:14:29
おつ
391Mr.名無しさん:2008/03/23(日) 20:17:19
職人さん達GJ!

こっちも続き投下
392Mr.名無しさん:2008/03/23(日) 20:42:29
あの後、結局二階に上がったっきり妹は姿を現さなかった。
そのせいで俺は逆にまたいつ出てくるのかと気が張り続け、最終的には寝ていると金縛りにあう始末。
俺は今、正に三回目の金縛りにあっていた。

「…ねぇ」
「…」
「…ねぇ、起きてよ」
「…」
「ねぇ、ねぇってば」
「…」
「…こらっ!いいかげん起きろっ!」

ヒュンッ!

ゴッ!
「っがぁ!いってぇぇえ!…目覚ましっ!?」
「人がせっかく起こしてやってるんだからすぐに起きろ!」
俺はどこからともなく飛んできた目覚まし時計をどけて、ズキズキする頭を擦りながら朝から大声でわめいている幽霊を睨んだ。
「朝っぱらから何だお前は!」
「何だとは何よ!起こしに来てあげたんじゃない」
生きている時に一度も起こしにきたりなんてした事がない奴が何考えてんだ、と思いながら、昨日あんなにビビっていた事も忘れ俺は不機嫌に答えた。
「…まだ7時だ。まだ一時間は寝れる。邪魔すんな」
「っ!…邪魔?」
「こっちはただでさえ何回も金縛りにあって寝不足なんだよ。眠いからまじでかんべんしてくれ」
「っな!」
俺の素っ気ない態度に、妹はわなわなと震えている。
「……さ…てやる」
393Mr.名無しさん:2008/03/23(日) 20:44:12
「ん?何?」
「……させてやる」
「何?聞こえね」
「そんなに寝たいなら、永眠させてやるわよ!」

ヒュンヒュンヒュン!

ガッ!ドガッ!ゴスッ!
「いってぇぇぇえええ!ウギャァァアア!!」
「ばーかばーかばーか!」
妹はどこからともなく目覚まし時計とエロDVDと辞書をこっちに飛ばし、捨て台詞とともに音もなく去って行った。

「………」

「…っだよ!ちくしょおおお!」
エロDVDをもとあった場所に隠しながら、俺はまたやり場のない怒りに悶えていた。
394Mr.名無しさん:2008/03/25(火) 05:45:01
こちらもおつおつ
「あるぇ〜、明日寝ちゃったの?」

ガラリと空き教室の戸が開くと、そこにはいやにさっぱりとした表情の新垣雪子が立っていました。
「あ、新垣さん……そうなんだよ。話してる途中にコロンと寝ちゃってさ」
明日は縛られたままの椎名君の肩に寄りかかって寝息を立てています。雪子が声をかけても一向に起きる様子がありません。少しだけ涙ぐんでいるようでした。
「あー、駄目ね。……まぁ、しょうがないかもねー。昨日チョコ作るのに徹夜したらしいし。ていうか泣いたりして何の夢見てるのかしら、この子」
「え、そうなの?」
「そーよ? 聞いてないの? この子すっごいぶきっちょで料理なんて、てんで駄目なくせに今年こそ絶対渡すんだーって張り切ってたのよ。それにしても可愛い泣き顔ね……同性から見ても憎たらしいくらいだわ」
「え、そーなんだ。俺は新垣さんの方が料理苦手だって聞いてたけど」
「は、冗談。うち、お母さん居ないからお父さんと弟どものご飯毎日私が作ってるのよ? チョコの一つや二つ、目隠ししたって作れるわよ」
そう言って、カッターを取り出した雪子は素早い手つきで椎名君の縛っていた縄を解きました。

窓の外はゆっくりとオレンジの色を濃くしていきます。
「すっかり遅くなっちゃったわね。椎名君つき合わせてごめんね」
「いや、別にそれはいいんだけど……なぁ、結局大園がチョコ渡したかった人って誰なんだ?」
「……はぁ? あんた馬鹿ぁ?」
「いや、そんな露骨に嫌そうな顔しなくても……」
雪子は心の底から呆れた、という顔をして椎名君を眺めます。このタラコ男は、何にも分かっていないようでした。それは同時に明日の方のミッションがまだ終わってないことを指し……

「ま、いいわ。どうせ私の知ったことじゃないし。私は晩御飯の準備があるからもう帰るけど、椎名君あんたはしっかり明日の事送ってくのよ」
そう言って雪子は颯爽と出て行こうとします。
「あ、おい新垣! お前のほう、結局どうなったの?」
「え? 当然フられたわよ。当たり前でしょ?」
「え……そ、それにしてはなんかあっさりしてるっていうか、なんていうか……」
「今までほとんど話したことも無いのに急に告白してOKもらえるほど私は美人でも自惚れ屋じゃないわよ」
「そ、そうなんだ……俺、新垣はボコボコに殴り倒してでもOKって言わせるタイプだと思ってた」
「本当に失礼なヤツだねー、君は」
雪子は朗らかに笑いながら言います。
「私だって、ただフられたら普通に落ち込むわよ。けど、何でか知らないけど友達からならいいよって言われてね。携帯の番号教えてもらえた。あぁ、あともうあんたを虐めないって約束させられたくらい」
口に手を当てて何か考えるしぐさをします。
「そうだ。今度、四人で遊びに行こーか」
「え、四人って誰と誰?」
「もちろん、あんたと、そこのねぼすけと、私とあのスカ男」
学生かばんを肩に背負いなおすと、雪子は歩き出します。
「ま、あんたはあんたで頑張んなさい」
そう言って、帰っていきました
「わけが分からん……」
後に残された椎名君はもう一度「わけが分からん……」と呟き、明日を起こすことにしました。
未だにぐっすりと寝こけている明日正面で両肩を持ってゆすります。
「大園、大園。おーい、おーおーそーのー、……明日ー。」
「ん、んんー……はっ」
っばっちーーーーーーん!!!
「ぶるぅあぁ!!」
「あ、ああああ、あんた何してんのよ! ひ、ひひ人の正面に立って! っていうかあんた何自爆なんて勝手な事してんのよ! 
 死ぬならせめてチョコ食べてから死になさいよ! 後、あんなベタベタな死亡フラグ建てんな! 最後に、だっだだ、抱きしめるなんては、反則もいいとこっ…………って何で生きてんの?」

起き抜けに強烈な張り手を振り切ったままの姿勢で明日はクエッションマークを浮かべます。
見れば顔に立派な紅葉を咲かせた椎名君がゆっくりと吹っ飛んでいくところでした。
「わ、わけが……分からん……」
そう言って倒れます。

「そっか……夢……か」
そのまま座りこんだ明日は呆然と呟きます。
「……な、何が夢なんだよ!」
「あ、復活した」
「『あ、復活した』じゃねーよ! 起こしてやったのにひどいじゃないか!」
「う、うっさいわね! 寝てる間にキスしようとしたでしょ! このド変態! タラコ! ブサイク!! レイプ魔!!!」
「そんなことしねーよっ! ていうか、変態やタラコはともかく、ブサイクやレイプ魔はひどいぞ!!」
「うるさい! とりあえずあんたは私に謝りなさい! 百万回以上謝りなさい!!」
顔をまっかにして明日が叫びます。
「謝ってよ……あやまって……あやまってよぅ…………」
そのまま、しくしくと泣き始めてしまったのでした
「で、落ち着いた?」
椎名君と明日。二人は並んで夕暮れの通学路を歩きます。
「うん……」
二人の帰り道は同じ方向でした。明日は泣いてしまった気恥ずかしさから顔を上げません。心なしか元気がなく、ずっと下を向き続けています。
「あー、あのさ。別に俺怒ってないからさ。元気だせよ、なっ!」
椎名君が無理やりなぐさめようとしますが、明日は反応しません。あの活発だった明日が別人のようです。
「んー、うむむむ……」椎名君は唸りながら考え込んでいました。そして、何かをひらめいたのか、こう語りだしました。

「な、大園。だいじょうぶだからさ。そんなに落ち込むなよ。大園が落ち込んでたら俺は心がなんだか苦しいんだ。しおらしい大園も、かっ可愛いけど、やっぱり、今日俺の知った大園は口は悪いし、手も早いけど、それでもやっぱり、元気な可愛い女の子だったよ」
そう語る椎名君。彼の精一杯の勇気だったのでしょうか。彼も下を向いて顔が真っ赤です。

『これは外したかな……?』そう思って顔を上げると、目をいっぱいに見開いて、驚愕の表情をしている明日がいました。
「その台詞……」
「え、あっ、ご、ごめん! 臭かった!? キモかった!? な、なんかこう言わなきゃいけない気がして……ご、ごめん!」
『殴られるっ』そう思って身構えます。しかし、どれだけまっても張り手は飛んできません。ですが、胸に飛び込んでくるものがありました。
「え……? 大園、な、何?」
「呼び方が違う……それに、その後は抱きしめるんでしょ……」
「な、何のこと……かな?」
明日は椎名君の背中にしっかり腕を回してしがみつきます。椎名君の位置からは明日の艶のある髪の毛だけしか見えません。
「入試の時」
「え?」
「私が受験票落としたの、拾ってくれた」
「え、あ、あー……。そんな事あったっけ……ってあれ? あの子、大園?」
「入学式で声かけたけど、私のこと覚えてなかった」
「う、ご、ごめん……俺、昔っから人の顔覚えるの苦手で」
「去年のヴァレンタインにはチョコだって渡した」
「お、俺に? えぇ!? 嘘っ! それは忘れる筈が……」
「君はろくに聞きもせず『あー、はいはい。つかさにね。あいつほんとに女嫌いでさー。渡しとくからほんとごめんね』って……」
「は、ははは……ごめん」

「――――なんで、あんたは、人のことぜんっぜん、覚えてないのよっ!!」
ばっちーーーーん!!
「もるぅさぁ!!」
伝家の宝刀、明日の閃光の張り手が炸裂します。夕焼けの川原に椎名君が吹っ飛んで行きました。
「な、なぁ、大園、ごめんって! 謝るからさ、機嫌直してよ」
「うっさい! ついてくんな!」
「ほんとごめんって! もう二度と忘れないから、ていうか忘れられないから!」
「……嘘ついたら殺すから」
「う……、だ、大丈夫。約束する」
椎名君はどんっ、自分の胸を叩きます。そして顔をほころばせ。
「でも意外だなー、大園みたいなかわいい子が俺なんか好いてくれるなんて」
と、のたまうのでした。
「はぁ?誰が誰のこと好きだって?」
視線で人が殺せそうなそうな顔をして明日が睨みつけます。
「え……だ、だって、そういう事じゃないの?」
「だ、誰があんたみたいな馬鹿、ぶさいく、センス無し、お調子者を好きになるってのよ!」
「え……じゃあ付き合ってくれるんじゃないの?」
「悪いわね。私は『塩づけの魚の卵』と付き合う趣味は無いの。整形でもして出直してきなさい」
「そ、そんなぁ……」
椎名君ががっくりと、うなだれます。

「まったく……でも、ま……」
明日が椎名君の前に仁王立ちします。
「目をつぶりなさい」
「え?」
「さっさとつぶる!」
「はっはいっ」
「次、口を開けなさい!」
「ふぁ、ふぁい!」

ひょい
「むぐっ……あ、あれ、甘い」
椎名君が目を開けると憮然とした表情で彼の口にチョコを押し込み、睨みつける明日がいました。
「約束したからね。『全部解決したら、チョコ食べさせる』って」
「約束? 俺、またなんか忘れてる?」
「あ、あんたは知らなくていいの!」

そういって、明日は早足で歩き出します。
「大園、まってって! なぁ、やっぱり俺のこと好きなんじゃないの?」
「なわけ無いでしょ!」
「だって、大園、顔真っ赤じゃん」
「夕日でそう見えるだけよ! ていうかキモイ・タラコ・死ねっ!」
「って、全力ダッシュかよっ! ちゃんと送ってかないと明日新垣さんに殺されるからまてってば!」
「うるさーーーい! 待たない、待たない待たない!!!」

夕日の通学路を若い二人が駆けていきます。
友達以上恋人未満。素直になれない女の子と、空気の読めない男の子。そんな関係から始まった二人が本当の恋人同士になるのも、そう遠くない話……

おわり
402番外編もしくは後日談 ◆yV0TG1H05Y :2008/03/26(水) 00:24:23
番外編、もしくは後日談

「あーしーたー!!!」
某、遊園地にて、のんびりとベンチに座っていた大園明日の元に駆け込んできたのは幼馴染の新垣雪子でした。
「どーなってんのよ! アイツは! うちの五歳と六歳の弟どもだってあんなはしゃぎ方しないわよ! アイツほんとに高校生!?」
「やー、本当に楽しそうに遊ぶわね。つかさ君ってば。どうやったらメリーゴーランドであんなに無邪気になれるのかしら」
見ると、ごく一般的なメリーゴーランドの馬の上で極上の笑みを浮かべ歌まで歌いながら回っている白鳥つかさがいます。
「かれこれ、20分はああしてるわよ! その前は絶叫マシン16回も乗るし!」
「つかさくんの歓声、ここまで聞こえてきてたわよ。」
「ただいまーって、新垣さんどうしたの?」
ジュースを両手にもってひょっこりと現れたのは椎名公兵でした。
「ご苦労」
「ご苦労って……大園。もうちょっと言い方があると思うんだけど……」
「う、うるさいわね。ねぎらいの言葉があるだけマシと思いなさい」

「ちょっと、椎名君! あの馬鹿は昔からああな訳!?」
雪子が椎名君に詰め寄ります。
「ああ、つかさ? アイツは元々ああいう変わったやつだよ。あれ、でもおかしいな。女の子の前じゃ絶対出さないようにしてたはずなんだけど……新垣さんって実はつかさにかなり気に入られてるんじゃないかな?」
いまだ回転する木馬を見やる椎名君。
「ふんっ……試されてるって訳ね……いいわ。私も鉄腕の美少女と呼ばれた新垣雪子。弟が一人増えたようなもんよ。受けて立ってやろうじゃないの……」
そういって、雪子は戻って行きます。
「ちょっと、つかさ君!! いつまでそんな女々しいもの乗ってるの! バンジー行くわよバンジー!!」
「おー、雪子わかってるな! よっし、行くぞ!」
「「今日は遊び尽くすぞ! おー!!」」
403番外編もしくは後日談 ◆yV0TG1H05Y :2008/03/26(水) 00:24:57
「付き合ってられないわね。まったく……」
苦笑いで明日が呟きます。
「大園はなんか乗らないの?」
「私はあんまり騒がしいのとか嫌いなの」
「そっかー。じゃあお化け屋敷とかいってみる?」
「短絡的ね。言っとくけど驚いて抱きついたりしないわよ」
「大園は逆にお化けに張り手飛ばしそうだもんな」
「またくだらない事言って……今張り手欲しい?」
「い、いいえ…… 勘 弁 し て く だ さ い」

「あー、あのさ、……明日って呼んでいいかな?」
「別にすきに呼べばいいんじゃない? 雪子だって名前で呼ばれてるんだし……」
「あの二人って付き合うのかな?」
「どうかしらね。雪子一回ふられてるらしいけど」
「俺は、明日の事好きだよ」
「な、なななななな! 何言ってるのよ馬鹿っ!」
「なーんて! うっそー!」
「こ、このタラコっ!! コロス! 殺す! 死ね!!」
「ぎゃー! グーパンはやめてグーパンは!! くちびる引っ張らないでぇぇぇぇぇえええええ!!」

うららかな休日のひとコマでした。

「あんたのタラコくちびるってなんか特殊な力が封印されてたりしないわよね? 魔を払うとかなんとか」
「なにそれ。ラノベの話?明日読むの?」
「ううんいいの。忘れて」
(技名といい、私って厨二病なのかしら……汗)

Fin
404 ◆yV0TG1H05Y :2008/03/26(水) 00:38:34
これにて終劇
ギャグ入れるって難しいのな('A`)
もっと早く投下するつもりが途中で手直ししたくなって遅くなった、スマン

主人公の椎名公兵は冴えないタラコ唇だったんだが、いつの間に結構なイケメンになってやがった
もっと短編にするつもりだったんだが意外と長くなった
また感想を聞かせてもらえれば励みになるというもの

>>392
いいよーいいよー
もっと読みたい。書いてくれ(`・ω・´)
405Mr.名無しさん:2008/03/26(水) 08:34:55
◆yV0TG1H05Y さんGJ

次回作も期待!
406Mr.名無しさん:2008/03/26(水) 09:21:25
◆yV0TG1H05Y さんGJ!

今スレがツン期だな
407Mr.名無しさん:2008/03/26(水) 14:19:21
>>404
これはなんという良作
途中で気でも狂ったかと思ったが夢だったんだね
408Mr.名無しさん:2008/03/26(水) 22:48:37
>>404
良作ありがと
これからも頑張ってくれ
409Mr.名無しさん:2008/03/27(木) 02:29:24
GJ
もう◆yV0TG1H05Y さんだけ書いてくれればいいや
他の奴イラネ

>>409
そういう悲しいこと言わないでくれよ(・ω・`)
オイラは他の人のも凄い楽しみにしてるんだぜ

時に、このスレに四年前から居る人いないかな?第4話の頃なんだが
ある絵師さん探したいんだが
411Mr.名無しさん:2008/03/27(木) 10:41:52
初代スレからの住人ですが何か?
412Mr.名無しさん:2008/03/27(木) 12:11:49
>>409

モチベーション下がることいっちゃダメよ
413Mr.名無しさん:2008/03/27(木) 15:48:34
>>410の続き
実はそのころ書いたものに挿絵をつけてくれた絵師さんが居たんだ
で、自己観賞用に挿絵と合わせてWeb上でまとめてたんだが、絵師さんの許可無くやっていいもんかどうかって
アフィとかに使わなきゃ大丈夫だとは思うが(実際そう思ってもうやった)見つからないだろうけど、駄目元で聞いてみたんだよ
サンプル的にはこんな感じ↓
http://analyse5th.3.tool.ms/19/

絵師さん本人が見てたら上のURLの19/の部分消しで行けるTOPのMailboxにコメントくれたら嬉しいんだぜ

んでは、流れぶった切りスマン
他の職人さんテラ期待
414Mr.名無しさん:2008/03/27(木) 16:00:17
PC調子悪くなってもたから携帯で投下

続き時間かかるのと読みにくいのは勘弁
415Mr.名無しさん:2008/03/27(木) 21:53:00
ほし
416Mr.名無しさん:2008/03/28(金) 03:18:22
投下されなければ読めないぜw
417Mr.名無しさん:2008/03/28(金) 04:48:41
「おい、川嶋」
朝っぱらからの妹の安眠妨害のおかげで頭が完全に冴えてしまい、いつもより早く家を出た俺は、踏み切りを越えた所で川嶋を発見し声をかけた。
「…何?」
「何て、昨日の話の事だ。色々聞きたい事が増えた、教えてくれ」
「…昨日言った事が全て。あれ以上話す事なんてない」
何だか川嶋は機嫌が悪そうに答えてくる、こっちをチラリとも見ようとしない。しかし俺もここで引き下がらずに、話しを続けた。
「いや、待て。昨日の話しで最終的にはあいつの思い残した事を俺が解決すればいいってのはわかった。けど今回俺が聞きたいのはその事じゃない。何て言うか霊の性質と言うか特徴と言うか、いつの時間が出やすいとかなんかそう言うデータ的なものがあるなら教えて欲しいんだ」
「何の為に?」
「何の為にって、実際やりやすくなるだろ?傾向と対策だ。俺もさっさと解決さして平穏な生活に戻りたい。昨日も今朝も突然現れて悪態ついては消えやがる。あいつの訳がわからない行動で気が張りっぱなしだ」
「…解ろうとしないから判らない。今の妹さんは、あくまで生きていた時の妹さんと同じ性格を持っているはず、妹さんの行動には何かしら意味がある」
川嶋は不機嫌に答える。
「家の玄関で暴言吐いて消えたり朝から大声出して目覚まし時計ぶつけてきたりするのに意味なんてあるか?てかあいつが生きていた時の性格自体俺には判らない」
俺は自分の言葉に自分で頷く。
「………」
「……?」
「…可哀想」
「え?何て?」
聞き返したが、川嶋は答えずにずいずいと進んで行く。
「…私、朝弱いから、お喋りはもうおしまい」
ぼそぼそと眠そうに眼を擦りながら川嶋は呟いた。
「あ、あぁ」
ちょうど学校の校門が見えてきた所で、川嶋は一言も口を開かなくなり、俺は気まずい雰囲気のまま川嶋と校門をくぐっていた。
418Mr.名無しさん:2008/03/29(土) 01:56:16
>>417
これでひとまず投下終了なのか?
419Mr.名無しさん:2008/03/30(日) 18:22:07
しょうもない事聞くけど画像ってどうやってうpすんだ?
420Mr.名無しさん:2008/03/30(日) 18:29:20
画像うpろだにうpしてリンクをスレに貼ればよろし
421Mr.名無しさん:2008/03/30(日) 18:47:38
>>420
サンクス

しかし基本ROM専の俺にはまだ荷が重そうだ

修行してくる
422Mr.名無しさん:2008/03/30(日) 19:03:18
いや、何にも難しいことはないと思うんだが・・・
423Mr.名無しさん:2008/03/31(月) 00:42:24
もし、絵を描きたくなったら迷わず書け
そして投下しろ
それを見て俺達は喜ぶ
褒められてお前も喜ぶ(よっぽど酷くなきゃ全力で褒めるさ!)
スレも活気出る
書き手も増えてウマー
424Mr.名無しさん:2008/03/31(月) 13:22:56
修行完了
>>423ありがと励みになった
あんま絵上手くないけど勝手に>>417さんの川嶋嬢の自分なりのイメージ描いてみた
外見の描写なかったからイメージ違うかったらごめん
あと携帯で撮ったから画質悪いの勘弁

pass 1649
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org6745.jpg.html
425Mr.名無しさん:2008/03/31(月) 22:47:00
>>424
眼鏡っ子キタワァ(*゚∀゚)=3

(*゚Д゚)ハッ!!
ふっ、ふん!
ま、まぁまぁ上手いんじゃないの……?
まぁ、折角だから褒めてあげてもいいわよ!
426Mr.名無しさん:2008/04/01(火) 09:49:35
>>425
GJ!

俺も何か描いてみようかな
427Mr.名無しさん:2008/04/01(火) 09:50:32
>>424だったゴメン
428Mr.名無しさん:2008/04/02(水) 01:10:43
俺も刺激されて描いてみた
√さんの話しに出てくるフジサキさん(>>355)

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org8160.jpg.html
パス:428

20年ぶりぐらいに絵描いた
しかもPCで描くの初めてw
429Mr.名無しさん:2008/04/02(水) 01:45:48
なんですか、この眼鏡っ娘祭りは?
あれですか、俺を萌え殺す気だなwww
よぉし、殺されてやろうじゃないかwww
>>428テラGJ!!
430Mr.名無しさん:2008/04/02(水) 02:12:45
>>428GJ!!
某エロ漫画の藤崎さんに似とるなw
431Mr.名無しさん:2008/04/02(水) 02:14:26
20年ぶりって。。。。
なんでお前は絵を書かねーでいたんだよ!
今からでも遅くない、もっと書けよ!!
もっと漏れを萌えさせてくれ!
432Mr.名無しさん:2008/04/02(水) 03:24:47
>>428さんGJ!!
>>417さんの妹さんも描いてみた
俺の勝手なイメージで妹=ツインテール
鉛筆だから相変わらず見にくいのすまぬ
あと何かリクとかこうしたらもっと萌えるとかあったらゆっほしいです
pass 1649
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org8315.jpg.html
433Mr.名無しさん:2008/04/02(水) 03:47:20
>>432
これはwww
もうちょっと頑張りましょうwww

だがその心意気は買うぜ!
434Mr.名無しさん:2008/04/02(水) 11:25:43
>>428
20年ぶりって嘘だろ・・・・・・
ブランクがあるとは思えん。
GJ!次回も期待。

>>432
GJ!
435Mr.名無しさん:2008/04/02(水) 11:26:36
>>430
某エロ漫画の詳細plz
436Mr.名無しさん:2008/04/02(水) 11:37:30
>>435
http://www.mangaoh.co.jp/php/data_product.php?i_prd_code=144348
キャラの名前藤崎じゃなくて三田だった
437Mr.名無しさん:2008/04/02(水) 11:51:05
>>436
ありがとー、本屋行ってくる。
438Mr.名無しさん:2008/04/02(水) 14:55:47
こ、これは
職人がいて絵師がいて
このスレにとって超デレ期なんジャマイカ?
439Mr.名無しさん:2008/04/02(水) 15:50:23
>>430 たしかこれアニメにもなってるよな?
>>438 確かにやっと此処にも活気がでてきた。

にしても…√さんまだかねぇ
440Mr.名無しさん:2008/04/02(水) 16:19:44
誰か√さんに捜索(創作)願い頼む
441√ ◆Root/VEzBc :2008/04/02(水) 23:00:22
お久しぶりです。
続きが書けないでスイマセン。

>>428さん GJです。
うんうん、フジサキって、こんな感じ。
じつは・・・フジサキさんは実在の人がモデルです。
眼鏡掛けて、いつも本読んでいた。
これなら、今日は続きを書けば良かった・・・。
・・・スンマセン、違う話しを書いてました。
442√ ◆Root/VEzBc :2008/04/02(水) 23:02:20
「こ、これ以上付きまとうと・・・け、警察に言うわよ !」

目の前を歩いていた女の子が、振り返ってヲレを睨みつけながら叫ぶ。
学校から駅までを一直線で貫く通学路は、駅に近い事もあり人通りが多い中での出来事だ。
彼女は明らかにヲレを睨んでいる・・・最初は何かの冗談かと思ったが、
その涙を溜めて真っ赤になっている目を見ると冗談やふざけて言っているのでは無いと、
こんな空気の読めないヲレでも簡単に理解が出来た。
443√ ◆Root/VEzBc :2008/04/02(水) 23:03:13
「何言ってんだよ?」
廻りを歩いている人がジロジロとヲレと彼女を見ながら通り過ぎる。
つぅーか、ヲレをそんな目で見るのは止めろ。

「ハァ? 知ってるのよ!あなたが何日も前から、私を付けているのを!」
今にも泣きそうな顔をしながら怒っている・・・良くみると同じ学校の制服だ。
ヲレは取り合えず誤解を晴らすのと、通りを歩く人からの好奇の目を避ける為に、
道の端っこか、できれば人の居ない所に彼女を連れて行こうと手首を掴んだ。
・・・が、それが失敗だった。
444√ ◆Root/VEzBc :2008/04/02(水) 23:04:31
「ちょ、ちょっと待てよ・・・誤解だよ・・・」
そう言って手首を掴むと、彼女は涙をボロボロと流しながら暴れ始めた。
反対の手で持った鞄をブンブンと振り回しながら、キャーキャーと叫ぶ。
彼女の振り回す鞄は確実にヲレにヒットし、それに耐えられないヲレは手を放した。
その瞬間に彼女は数歩後ろに下り身構える。

「わ、私を・・・何処かに拉致して、監禁して、あんな事や、こんな事して、最後には頃して、山に埋めるつもりね!?」

「はぁ?」

ヲレは自分の耳を疑った。
どうやったら、そんな考えが浮かぶんだよ・・・っと言うかマジか?
この女・・・頭の弱い子なんだろうか・・・。
445√ ◆Root/VEzBc :2008/04/02(水) 23:05:32
段々と騒ぎが大きくなりつつある・・・。
最初は高校生のカップルの痴話喧嘩かと生暖かく見ていた通行人と言うギャラリーの視線が
痛いぐらいに感じるようになってきている。
まぁまぁ若いっていいわねぇなんて言いながら、スーパーの袋ぶら下げたババァが通りすぎる。
うるせぇババァ、何勘違いしてるんだよ・・・こんなキ●ガイ女知り合いじゃねーよ。
446√ ◆Root/VEzBc :2008/04/02(水) 23:06:19
なんだか判らんけど、この状況は不利だ・・・そんな事を心臓をバクバクさせながら考えていると、
K察が自転車に乗ってやってきた・・・誰だよ通報したの、ヲレ最大のピンチ。
出世コース外れちゃったような少し歳の行った警官が、ハイハイ続きは交番でなんて言いながら、
ヲレとボロボロと涙流しながらバタバタと暴れる彼女を連れて行く・・・。
何、このコントみたいな展開?
447√ ◆Root/VEzBc :2008/04/02(水) 23:07:49
交番では個人情報を洗いざらい調べられ、なんだか判らんことを聞かれまくり。
少し歳のいった警官が、またもやヲレの事を生暖かい目で見ている。
粗方、同じ学校の好きな女の子の後を付回して喧嘩にでもなったんだろうと思っている目だ。
きっとそうだ、そうなんだろう?
青春だよな、オジさんにもそんなほろ苦い思い出があるよ・・・でも、今回は少しやりすぎだぞ☆
なんて、考えているような目だ・・・違うぞ公僕よ、その妄想は間違っている。
こんな電波女知らネーヨ・・・つーか、なんでヲレここに居るの?
448√ ◆Root/VEzBc :2008/04/02(水) 23:09:04
色々と聞かれた挙句自宅にまで電話されてなんとか誤解が解けたらしく、
警官は違う部屋に居る彼女に誤解だろうと説明してくれた。
それはそうだ・・・ヲレは無実だし。
そして無事に釈放・・・。
帰り際に歳のいった警官が、ヲレをみながら言った。
「もう彼女と喧嘩するなよ? 遅くなったんだから、彼女を送ってやれよ」
少年よ、これはチャンスだぞ☆
なんて目をしてやがる・・・違う、オマエ絶対なんか勘違いしてるだろ。
449√ ◆Root/VEzBc :2008/04/02(水) 23:10:03
釈放されたヲレは足早に家に帰ろうとすると、誰かがヲレの袖口を引張る・・・。
誰かは簡単に想像ができるのだが。
「あの・・・あの・・・」
ヲレはストーカー扱いされた怒りが収まらず、あぁん?みたいな感じで振り返ると、
「あの・・・ごめんなさい」
彼女は小さな声で呟いた。
450√ ◆Root/VEzBc :2008/04/02(水) 23:12:11
よくみると、ちょっと可愛い・・・いや、結構可愛い。
透き通るような白い肌に、艶やかな長い髪・・・うちの学校に、こんな可愛い子居たっけ?
可愛い子も、色々と苦労があるんだな・・・そう考えたら怒りも収まった。
いや・・・決して下心があった訳では無い・・・たぶん。
「もぅ・・・いいよ、じゃな」
家路に着こうとするヲレの袖口を誰かが再び引張る。
こ、これは・・・お詫びにお茶でもとかそんなパターンか?
っと、相手が可愛かった分、ちょっとドキドキとしながら振り返ると・・・。
451√ ◆Root/VEzBc :2008/04/02(水) 23:13:47
「お巡りさんが、送って行けって行ってたでしょ!私の家こっちだから」
ケロっとした顔で、そんな事を言いやがる・・・。
こいつ、本当に頭の弱い子なんだろうか・・・それとも天然?
そう思うとヲレは、引き攣った笑みを浮かべながら、
「どうして、お前を送っていかないといけないんだよ?」
すると・・・彼女は不安そうな顔をしながら・・・。
「だって・・・君は違ったけど・・・っと言う事は、他に犯人?が居るって事でしょ?」
犯人って誰だよ? お前、そんなに重要人物か? VIPなのか?
ヲレはお前に濡れ衣を着せられた、被害者だぞ・・・。
452√ ◆Root/VEzBc :2008/04/02(水) 23:19:14
大体、そのお前の後を付回す奴(ストーカー)って、お前の妄想なんじゃね?
「送って行ってよ、ね?お願い・・・。」
小首を傾げてヲレを見上げる目に、ヲレは子供の頃に拾った子犬を思い出した。
ヲレがこいつを助けずに、誰が助けるんだ?
しょうがねーな・・・。
駄菓子菓子・・・このときの判断ミスが後々まで、この女に振り回される始まりだった。
こいつのせいで、ヲレの平和で何事も問題が起こらなかったであろう平凡な学園生活は崩れ去ってしまう。
このときのヲレは、まだそれに気が付かなくって、小首を傾げてお願いする彼女に騙された訳だった。
453√ ◆Root/VEzBc :2008/04/02(水) 23:20:34
終わり。

次回は>>355の続きを書きます・・・スマソ。
454Mr.名無しさん:2008/04/03(木) 01:16:21
お帰りなさいませご主人様
455Mr.名無しさん:2008/04/03(木) 09:59:54
√ ◆Root/VEzBc さんGJです!
終わりなんですか?
続くじゃなくて?
456Mr.名無しさん:2008/04/03(木) 12:32:07
駄菓子菓子ワロスwww
457Mr.名無しさん:2008/04/03(木) 13:10:21
新作キター!
これもwktk
458Mr.名無しさん:2008/04/03(木) 16:17:52
√さんキテター!
今度は>>450の一行だけで勝手に描いてみた
>透き通るような白い肌に、艶やかな長い髪・・・

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org9209.jpg.html
パス:428
459Mr.名無しさん:2008/04/03(木) 22:29:36
>>458
ティファGJ!!
460Mr.名無しさん:2008/04/04(金) 01:08:45
>>458
俺の持っていたイメージと違うけど、これもいいなーGJ!
461Mr.名無しさん:2008/04/04(金) 01:17:35
√さんと428のコンビが、俺の萌え中枢を刺激するんですが。
462Mr.名無しさん:2008/04/04(金) 12:46:44
√ ◆Root/VEzBc さん新作wktk
>>450のキャラ俺も書こうと思ったけど途中で断念
428さんのフジサキ見て描いてみた
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org9967.jpg.html
ぱss:1649
463Mr.名無しさん:2008/04/05(土) 23:52:27
ほしゅ
464Mr.名無しさん:2008/04/06(日) 17:07:46
>>417だけど>>424 さん絵ありがと
しかし来るのがおそかったせいで見れなかったorzスマソ
あと続きじゃなくて違うの投下します
短編だからささっとおわらすよ
465Mr.名無しさん:2008/04/06(日) 17:17:06
学校の帰り道、突然降り出した大雨に俺は家へと全力疾走していた。
「あーっくそー!!」
俺の住んでるこの町は何せ急勾配の阪が多く、普段歩いて上るのでも息切れするくらい重労働なのに、それを走って

上るなんて自殺行為以外の何でもないのだが、姉ちゃんから「洗濯物を速攻で入れないと殺すよ?」とゆう恐怖のメー

ルを送られた俺には、自殺行為以外の選択肢は残されていなかった。
「チクショー!!今度体重いいふらしてやるかんなー!!」
毒づきながら根性を振り絞って家がもう見える場所まで着いた所で、俺は隣の家の玄関扉の前に蹲っている人影を見

つけた。
(あれは…ほのか…か?)
ほのかとは小さい頃からのお隣さんの幼馴染で、中学まではずっと同じクラスだったが、高校はお互いに違うところ

に行ってからはあんまり喋ったり顔を合わせる機会もなくなり、今ではもうほとんど接点はない。表向きにはそんな

間柄の奴だ。
そしてほのかだと確認した途端に、急に足が重くなり立ち止まった。肩で息をしながら、そこからほのかを見る。ど

うやらこっちには気づいてない様だ。

「…っ」
少し躊躇したが、俺はまた家に向かって走り出した。
「あ…」
「…」
ほのかは俺に気づいて一瞬顔をあげたが、すぐに目を逸らした。
多分鍵を忘れて家に入れないのだろう。少し寒さに震えているようにも見えた。だが、俺はほのかを無視して家の中

へと急いで入っていった。
466Mr.名無しさん:2008/04/06(日) 17:17:29
(関わらないって言っても、あの状態でほっとくのはどうだろうか…)
そう考える思考を妨げるように、階段を駆け上がり、洗濯物を適当に家の中に突っ込んで、自分のベットに制服のま

ま突っ伏した。しかし、目を閉じれば浮かんでくるのはほのかのこと。
「最後の日からもう二年」
無意識の内に言葉が漏れた。もう、二年もの間俺たちはお互いを避けている。最後の日、俺があいつを突き放してか

ら二年間。時間は十分あったはずなのに、こんな小さな事でこんなに動揺している自分に驚いていた。

一時間程悶々としていると、外では雨の音が更に強さを増していた。時計は午後五時を過ぎたところ。
(五時ならおばちゃんもう帰ってる時間だし、流石にもう家入っただろ)
俺は窓から薄暗くなった外を覗いてみた。雨はさながら地面を削るような轟音を鳴らしながら降り続いている。しか

し、何か嫌な予感がする。
(まさか…な)
ここからではちょうど玄関は死角になっていて見ることができない。
「くそっ」
俺は立ち上がり、玄関に向かい、扉を開け、予想以上にきつい雨に目を細めながら、ほのかが蹲っていた場所の目を

向けた。
467Mr.名無しさん:2008/04/06(日) 17:18:02
「…」
ほのかは、ただじっと震えて蹲ってそこにいた。
俺に気づいても、その姿勢を崩さずに、強い横殴りの雨に打たれて、ただただ蹲っていた。

「…おい」
「…」
雨の轟音は更に強く鳴り響く。
「何してんだよ」
「………あんたには関係ない」
ほのかは振り向かずに答える。
「こんな雨の中、何してんだよ」
「あんたには関係ないって言ってるでしょ!ほっといて!」
ああ、そう言えばこんな奴だったな。と俺はひとりごちて、ほのかの腕を強引に引っ張った。
「俺ん家来い!寒いんだろ?風邪引くぞ!」
「やだ!やめて!もう私たちもう関わらないって…」
ほのかはよろけながら抵抗してくる。その態度に頭に血が上る。
「お前ん家に誰か帰ってくるまで!」
「え?」
「誰か帰ってくるまで、それまででいい。女をこんな雨の中ほっておくのは…人…として心配なんだ。それまで我慢し

てくれ」
「…」
「…」
二人の沈黙の後
「…わかった」
一言呟いて、ほのかは俺に手を引かれ、家へと入っていった。
468Mr.名無しさん:2008/04/06(日) 17:19:19
「風呂沸かすから、俺の部屋でまっててくれ。タオルの場所わかるだろ?」
「うん。覚えてる」
「沸いたら呼びにいくからエアコン点けててくれ、あと服も乾かしとけよ」
「ばか、子供じゃないんだからそれくらい言われなくても大丈夫よ」
「そうか、わかった」
ほのかは急ぐようにとてとてと階段を上って行った。
「はぁ…」
ため息がこぼれた。俺も、ほのかも、二人ともぎこちない。俺は自分で作ったこの状況に押し潰されそうになってい

た。
(俺は一体何をやってるんだ?もう忘れて関わらないって決めたんじゃなかったのか?)
俺は重い足取りで風呂を沸かし、キッチンでヤカンにひをつけた。コンロの火がゆらゆらと揺れている。
「二年間で、忘れてたはずなのになぁ」
そう呟き、俺はほのかとの二人の事を思い出していた。
469Mr.名無しさん:2008/04/06(日) 17:21:42
ちょっと改行バグって失敗したスマソ
つづく
470Mr.名無しさん:2008/04/07(月) 16:59:55
つづき投下
471Mr.名無しさん:2008/04/07(月) 17:02:21
俺達の関係が変わったのは三年前の中2の夏。友達の一言が原因だった。
その日は部活が休みで、家に帰ってもやる事もないので、教室で男友達何人かと喋って時間をつぶしていた。
話の内容は基本的にくだらない事ばかりだったが、突然友達の中の一人が、こんな話題を振ってきた。
『そう言えば知ってるか?垣内ほのかってさ、あの古川先輩と付き合ってるらしいぜ』
その頃のほのかと俺は、同じ部活(バドミントン部)だったのもあって、登下校はほとんど一緒だったし、お互い知らない事はないくらい仲が良かったのに、俺はほのかが古川先輩と付き合っていると言うことをほのかから知らされていなかった。
『マジで?あの古川先輩と?』
『何か最近二人でいるところよく目撃されてるらしい』
『マジかよ!うわー!古川先輩相手だと、もう垣内処女じゃねーなー!』
『何かショックだー!てか秋人、垣内と幼馴染みだし仲いいのに何か聞いてなかったのか?』
ずっと黙っていた俺に、友達の一人が話を振ってきた。
『うん、まぁ幼馴染みっつっても、お互いのプライベートな事までは話さないからな。実際初耳だし』
へぇー、そんなもんかーと、相づちを打ちながらみんなその後も小一時間、ほのかと古川先輩がどこまでやってるのかとかの話題に続き、そこからただのエロトークに発展して、話題が途切れた所で解散した。
その時、かなりショックだったのを覚えている。まぁ、ほのかが先輩と付き合っていると言う事よりも、ほのかが俺に何も言ってくれなかった事がショックだったのだが。
悶々としながら、俺は長い急な坂を上り、家に帰って行った。
472Mr.名無しさん:2008/04/07(月) 17:06:21
『ただいまー』
家に帰ると、見慣れた靴が玄関にあった。
(ほのかが来てるのか)
靴を脱ぎ捨て、二階の自分の部屋のドアを開けると、そこには我が家のようにくつろぐほのかがいた。
『あ、おかえり。つーかあんた帰ってくんの遅い!暇だったじゃない!』
『あ、あぁ。ごめん』
いつも通りのほのかに安心しつつ、どこかぎこちなく答えてしまう。それを見て、ほのかは怪訝そうに俺の顔を見た。
『どうしたの?何か態度が気持ち悪いよ?』
『別に、普通だけど』
客観的に誰が見たって不自然な俺を、ほのかは更に怪訝な目で見てきた。
『…まぁ、あたしが言うのも難なんだけどさ。立ってないで座れば?』
そう言われて、俺はやっと腰を下ろした。何せぎこちない。
『…まぁいいわ。それよりさ、今日ね…』
ほのかはそんな俺に、いつものように他愛のない事を話し出した。しかし

何十分か経った頃には、ほのかは話に乗ってこない俺に愛想を尽かしたのか、話すのを止めてつまらなそうに携帯をいじっていた。そしてパチンと携帯を閉じて、俺を睨んだ。
『…あんた、言いたい事なんなら言いなさいよ。何かその態度、本気で気持ち悪い』
生返事ばかりしていた俺に、だいぶ苛々していたのだろう。ほのかはもう殆んど喧嘩腰になっていた。
『別に何もないって』
『うるさい。あたしに隠し事できると思ってんの?言いなさい!』
その時、俺は隠し事と言う言葉で頭に血が上った。
『…お前、古川先輩と付き合ってるらしいな』
『…え?』
『お前こそ隠し事してるだろーが』
『…』
ほのかは立ち上がり、無言で俯いた。
『…うっさい!秋人のバーカ!』
そう言うと、俺の脳天に踵落としを放ち、乱暴に部屋を出ていった。
『脳天がぁぁ!脳天がぁぁ!!』
俺はあまりの痛さに悶えるのみだった。

それから一週間、ほのかと話す事はなかった。
473Mr.名無しさん:2008/04/07(月) 17:08:58
『おかえりー』
『…』
一週間お互いを避けていたはずなのに、その日ほのかは今までの事がなかったかのようにケロッとして俺の部屋でくつろいでいた。
『何よその顔は?いちゃわるい?』
『…悪くねーよ』
内心かなり動揺しながらも、余裕のある体裁を保ちつつ、俺はほのかと少し離れて座った。それから無言の時間が続く。
お互い何をするわけでもなく、気まずい空気が流れる中、我慢比べのようにこの場から動こうとはしなかった。
『…』
『…』
あまりのプレッシャーに我慢できなくなって、トイレにでも行こうかと思った瞬間、ほのかは突然口を開いた。
『ねぇ、秋人。あんた、キスした事ある?』
ぶふぉっと口から変な霧が出てしまった。
『鱚?鱚は魚の固有名詞で動詞ではナイヨ?』
『てゆーか、経験ある?』
ぶふぉっ!
『け、経験と言えば、ドラ〇エXは仲間の残り経験値の表示をバグらして戦闘するとレベルが必ずアップするんダヨ?』
『…何それ?わけわかんない。あたしが聞いてんのはエッチした事あるかって聞いてるの!』
ぶふぉっぶふぉっぶふぉー!
ほのかの直球な言葉に、俺は口と量耳から変な霧が出てしまった。
『さっきから汚い!何出してんのよ!』
『い、いや、だって、おま…』
しどろもどろの俺の反応を見て、ほのかは妖艶に笑った。
『ふーん。やっぱりした事ないんだぁ。ふぅーん』
その勝ち誇ったような態度に、俺もカチンと来る。
『お、お前はあるのか?エラソーに言うからにはもちろん経験者なんだよな?』
474Mr.名無しさん:2008/04/07(月) 19:46:10
『う…ま、まぁ、あんたより進んでるわよ。この前直前まで行ったし』
ちょっ!直前?
『ちょっ、直前て?』
『何か、上手く入らなかったの』
入らなかった?何が?ナニがナニに入らなかったのかな?
『それでもしかしたら、あたしってアソコ変なのかなって思って。経験あるならあんたに調べてもらおうかなって思ったんだけど』
エエエエエエエエ!?こいつは何を言い出してんだ?
『ちょ、ちょっと!黙られたら恥ずかしいじゃない!』
『いや、だって。俺にいきなりそんな事言われても』
『そ、そうよね!ドーテー君じゃあ女の子がどうなもんかなんてわかるわけないもんね!あーあ、あんたなんかに言うんじゃなかった!』
ほのかの呆れたような物言いに更にカチンときた俺は、遂に最終手段に入った。
『…あるよ。女の子のアソコ。見たことある』
『…え?』
『なんならお前の言う通り確かめてやろうか?』
女の子を生で見た事はなかったのだが、こう出ればほのかは冗談だと言って退くか、怒って帰ると思い、俺はハッタリで乗り切ろうとした。
とにかくほのかを黙らせたかった。
俺は、ほのかが古川先輩に身体を許したと言う事がムカついてしかたなかったし、ほのかの口から自慢気に他人との行為を聞かされたくなかったのだ。

しかし、少しの沈黙の後、ほのかは顔を紅潮させてこう一言言った。

『う…うん。お願い』
475Mr.名無しさん:2008/04/07(月) 19:51:57
ワクテカwww
476Mr.名無しさん:2008/04/07(月) 21:02:42
俺達は、薄暗くなっていく部屋の中、電気も付けずに向かい合っていた。
俺はほのかが俺をからかって遊んでいるだけだと思っていたのに、まさか本気だったとは思ってもいなかっただけに、もうパニクっていた。
『…ねぇ、どうしたらいい?』
薄暗くても真っ赤なのがわかるぐらい顔を紅潮させて、ほのかは緊張した声をかけてくる。
『あ、えぇ、っと。まず、服脱がないと駄目だろ』
俺も緊張に声が上擦っていた。
『そ、そうだよね。脱がなきゃね』
そう言うと、ほのかはまず制服のリボンに手を掛けた。
『お、おい?上も脱ぐのか?』
『え?あ、そう…か…確かめるだけなら、上はこのままでいいよね…』
ほどこうとしていたリボンから手を離し、ほのかは俯いた。
気まずい沈黙が流れる。
『…恥ずかしいなら、後ろ向いとくから』
俺はこの緊張と沈黙に耐えられなくなって、後ろを向いた。
今ならまだ引き返せると思いながらも、ほのかの何だかの決意のようなものが俺を引き返せなくしていた。

シュルシュルと衣擦れの音がして、ほのかの気配が近付く。心臓が破裂しそうな程、早く鼓動する。
『秋人、もうこっち向いていいよ』
ほのかの合図で、俺はゆっくり振り向く。部屋はもう闇の中で、部屋の角はもううっすらとしか見えなくなっていた。
『あはは、やっぱ恥ずかしいね』
ほのかは下着だけ脱いだ様で、体育座りで足をクロスさせて、スカートの中がちょうど見えない形で座っていた。

まぁ、言うまでもないが、逆にそそる。
477Mr.名無しさん:2008/04/07(月) 22:12:50
けしからん! 実にけしからんぞっ!!





もっとやれww
478Mr.名無しさん:2008/04/08(火) 08:31:26
うきゃーーーーー!!1
479Mr.名無しさん:2008/04/08(火) 13:12:08
最近活気づいてきたな。このスレ
480Mr.名無しさん:2008/04/08(火) 17:57:07
ほのかは急に便意を催しトイレに駆け込んだ。
俺は急いでトイレの前に行き
『ほのか!今、トイレが故障していて水が使えないんだ!』と必死に叫んだが
時すでに遅し。万事休すである。

ブリッ!ビッ!〜プスッ・プスプスッ・・ブリュリュリュ〜

いかにも「下痢です」という音が聞こえてきた。
3分くらいした後トイレのドアが開きほのかが中から出てきた。
ドアの風圧によってウンコのにおいがムワ〜ンと漂ってきた。
俺はほのかに聞こえるような声で『クサッ!』とつぶやいた。
ほのかの顔はみるみるうちに真っ赤になった。
俺はトイレの中をのぞき込みながら追い打ちをかけるようにこう言った。
『かわいい顔しててもウンチはクサイんだね』

ほのかは恥ずかしさのあまりダッシュで二階にあがって行った。
俺はトイレに入り鍵を閉めた。ほのかの下痢便が一面に飛び散り、悪臭を放っている。
俺はほのかの下痢便の中に消化されていないコーンが3粒混ざっているのを見つけた。
俺はそのコーンを拾いあげそっとポケットに入れた。
それから三角コーナーの中を確認するとナプキンが一枚捨ててあった。
『さっき確認した時は空だったはずだ…』
481Mr.名無しさん:2008/04/08(火) 17:57:43
状況から推測するとこのナプキンは明らかにほのかのものである。
ナプキンには黒い生理血とネットリとしたオリモノがついていた。
俺は恐る恐るナプキンをつまみ上げニオイを嗅いでみた。
トイレに漂う下痢便の残り香とナプキンの強烈なニオイで意識が遠のきそうになったがかろうじてナプキンもポケットにしまいこんだ。
俺は台所で全裸になりナプキンをペニスに巻いたりお尻に挟んだりしてほのかを想像した。
そしてコーンを一粒ポケットから取り出し口に入れて舌で転がして始めた。
俺のペニスはみるみる勃起し、ヘソに届くくらいに反り返った。
「ほのかぁあ・・・好きだぁ・・・好きだよぉ…」
俺の頭の中ではすでにほのかのマンコにペニスを挿入していた。
俺は右手のを加速させた。ペニスのあまった皮から亀頭が出たり入ったりしている。
尿道から台所の床にめがけてカウパー液が一本の糸をひいている。太陽の光に照らされキラキラと輝く様はまるで天使の髪のようだ。
「ほのかぁ…ほ…ほのっ…かっ・・・…イクッ…」

482Mr.名無しさん:2008/04/08(火) 17:58:27
ウツ・・ビュビュッ・・ピュッ・・ピュッ…

脈に合わせてザーメンが飛び散る。

ドクンドクンとペニスが脈打っている。俺は余韻にひたりながらコーンをゴクリと飲み込んだ。
483Mr.名無しさん:2008/04/08(火) 22:03:32
>>476だけど>>480から書いた人
あんまムチャクチャ書かれると続き投下しにくいよ(;´Д`)
俺の書いてるの駄作なのはわかってるけど書いてくれるんなら俺の続きじゃあなくて新作キボン
wktkしながら待ってるからさ
484Mr.名無しさん:2008/04/08(火) 22:10:15
なんにせよすぐ>>480-482は見えなくなるさ

>>483
あまり気にせず続き投下してくれ
俺が保守してやる。勘違いするなよ
485Mr.名無しさん:2008/04/08(火) 22:11:42
保守じゃなくて支援だった…
486Mr.名無しさん:2008/04/09(水) 22:29:37
ひさしぶりにみた。

活気づいてきたにしても過疎ってるな

俺も小説の勉強するかなぁ

大学新入生でいまはいそがしいから出来ないけど
487Mr.名無しさん:2008/04/10(木) 14:47:57
>>476を読んで衝動的に描いてしまった
今は反省している
色が薄いのも反省している
イメージ壊れたらごめん

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org14732.jpg.html
パス:428
488Mr.名無しさん:2008/04/10(木) 15:28:38
>>487
エロいwwGJ!

描いてくれてありがとう投下
>>476つづき
489Mr.名無しさん:2008/04/10(木) 15:31:17
ごめん、ごめんよー!ってな感じで飛びかかりたいのを必死に抑えながら、俺はほのかの前に正座した。
『だ、黙られると余計恥ずかしいって』
いつもと違ってしおらしいほのかの態度が、長年一緒に育ってきた幼馴染みという感覚を麻痺させていく。
『ほのか、それじゃ…』
『う…うん』
俺はほのかに近付き、肩に手をやった。ほのかも緊張しながらも、手を重ね、俺の頬に優しく触れた。
緊張で目眩がする。頭も逆上せ上がっている。しかし、後にはもう退けない。
俺は意を決して、ほのかの太股の間に片方の手を滑り込ませた。
『え?ちょっ?いきなり?』
ほのかは予想外の俺の行動に声をあげた。
『い、いや、暗いから見て確認はできないだろ?』
『そ…そうだけど、いきなり手でなんて…』
『…手じゃなかったら、舌?』
いつもとは別人のほのかの反応が楽しくて、もっと虐めてみたくなった俺は、意地悪くほのかに言った。
『しししし、舌!?なななななに言ってんのよ!』
予想通りの反応に心臓が高鳴る。
『じゃあ、ほのかは俺のどこで触って欲しいんだ?文句ばっか言うんなら自分で決めてくれよ』
『あ、あんたね!あんまり調子に乗るんじゃ…っヒャア!』
ほのかが喋り終わる
490Mr.名無しさん:2008/04/10(木) 15:32:41
のを待たずに、俺はほのかの大事な部分に触れていた。
『やだ、秋人、ちょっと…やめ…』
口とは裏腹に、ほのかの大事な部分は、ほのか自身で濡れていた。
実際生でアソコを見たり触ったりした事がない若葉マークの俺では、どこをどう触ればいいのかわからなかったが、爪を立てて傷つけないようにだけ注意しながら、ゆっくりと形を確認するように愛撫した。
『〜〜〜〜〜っ!』
ほのかは俺の愛撫している腕を力一杯、両腕と太股で挟んでくる。
491Mr.名無しさん:2008/04/10(木) 15:35:06
とりあえずいったんここまで
またつづきは夜に投下しにくるノシ
492Mr.名無しさん:2008/04/11(金) 01:08:46
エロ込みのは本当に久しぶりだなwww
期待期待w
493Mr.名無しさん:2008/04/11(金) 01:42:48
>>487-488
ヤバイ、イイヨーイイヨー
職人さんも、絵師さんもGJ!
494Mr.名無しさん:2008/04/11(金) 17:24:36
支援アリガd

つづき少しだけ投下
495Mr.名無しさん:2008/04/11(金) 17:26:14
中指で中心から円を描くように触っていくと、上の部分の突起に触れた。
『きゃぅっ!』
ビクッと身体を震わせ、ほのかは喘いだ。その反応を見て、俺は少しずつ突起に指が当たる頻度を上げていった。
『ん!はぁ、っん!あぅぅ!』
ほのかは指が当たる度、ビクビクと身体を何度も強ばらせる。
『そ、そこ、あぅっ!…やだぁ…ん!…刺激、つ、強すぎ…っ!』
哀願するほのかの訴えを無視して、俺は指を突起に押し付けて、少し強めに左右に往復させた。
『〜〜〜〜〜〜っ!!』
ほのかの声にならない甲高い喘ぎ声と、ほのかのアソコから大量に分泌される愛液の卑猥な音が、強く刺激すればするほど、大きくなっていく。
『〜〜っやぁ、こ、怖、い、よぉ、何か、っ!んんっ!!』
更に強くなる刺激に、俺の腕にしがみつく力が強くなっていく。
『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!』
そして、ほのかの全身は限界まで強ばり、痙攣して、一気に脱力した。
『はぁ、はぁ、はぁ…』
クタリと俺の胸に身体を預け、苦しそうに息をする。
『だ、大丈夫か?』
そんなほのかに、俺はどうしたらいいかわからず、そう声をかけた。
そんな俺に、ほのかは息を整え、涙目でジトーと見詰めてくると、『…何か、慣れてた……ムカつく』とぼそりと呟き、おぼずかない動きで俺に背中でもたれかかり、ソッポを向いて黙ってしまった。
496Mr.名無しさん:2008/04/11(金) 18:33:35
その後、何とも気まずい沈黙が続いた。かれこれ30分は会話もないまま、この状態が続いている。
ほのかはなぜ怒ってる?俺は初心者のくせに調子に乗りすぎたのか?やっぱり止めてって言ったの無視したのがいけなかったのか?てか下手だったのか?
ぐるぐるぐるぐると頭の中には色々な思惑が飛びかい続けていた。

『…ねぇ』
『うぉいっ!』
突然話しかけてきたほのかに、俺はすっとんきょうな声をあげてしまった。
『え?』
『…いや、ごめん、何?』
俺は言い直し、改めてほのかに向き合った。
『…あ、あのさ……どう…だった?』
『え?』
『だ、だから!私の…変じゃなかった?』
恥ずかしそうに俯きながら、ほのかは聞いてきた。
『あ…!』
その瞬間俺は、冷や汗が吹き出るのを感じた。
俺は実際その目的を完全に忘れていた。完全に、変じゃないか調べるのではなく、本能のまま行動してしまっていた。もちろん、そんな事言えるわけない。
ここは変じゃないかったって言っておこう。そう思い
『あぁ、全然変じゃ…』
そう、俺が言い終わるのを待たずに、ほのかは俺の言葉をさえぎった。
『そうよね…全然あんなのじゃ解らないわよね。やっぱり実際してみないと…ね?』
『お前、人が喋ってるのを遮って喋るのはだなぁ……って、えぇぇ!?』
何を言ってるんだ?コイツは。
『…ね?やってみたら、変か変じゃないか、一発でわかるでしょ?』
上手いこと言うな。座布団一枚。とか思いながら、俺はまた、パニックに陥っていた。
497Mr.名無しさん:2008/04/13(日) 14:28:04
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 続き!続き!
 ⊂彡
498Mr.名無しさん:2008/04/14(月) 20:20:27
『ちょっと待て。何かそれは、主旨変わってないか?第一お前、彼氏いるんだろ?そーゆー事は流石にだめだ』
据え膳食わねばなんとやらとも言うが、決壊しそうな本能を何とか抑え込み、俺は否を選択した。しかし、
『…でも…秋人の、ずっと背中に当たってるよ?秋人のはヤる気満々じゃない?』
ほのかは全く動じないどころか、反撃してきたのだ、俺は即座にササッと腰を引いて、ほのかと息子との間に空間を作る。
『ふふふ。私の触って、そうなったんだよね?それに、もうこっちも…』
ほのかは俺の手を握り、自分のアソコへと運んだ。クチュッと手に湿った感触がし、ほのかは顔を紅潮させ、艶やかな吐息を吐いた。
『もう、私のも、またこんなになっちゃってるんだよ?』

はい、20連。理性天昇。本能の勝ち。理性は首輪を外したバカ犬のように、今までみた事がないぐらいの力でどっかに走って行ってしまった。
499Mr.名無しさん:2008/04/14(月) 20:22:41
『っほのかぁ!』
『え?きゃあ!』
ガバッと驚くほのかを持ち上げ、ベッドに放し、そして、俺は光速でズボンを下ろそうとした。その時

ガチャ、ガチャ、キィー、バタン。
『ヤバい!誰か帰ってきた!』
『ええぇ!?』
二人慌てて、乱れた服を整える。
トントントントントントントントントントントントントン。
……バンッ!

『アッキー!あんた、ネェのアイス食ったでしょー!500円返せー!…あ、ほのちゃん、いらっしゃーい』
『う、うん。夏奈ネェ、お邪魔してます…』
『二人して電気もつけないで何してんのー?て、ま…まさか…』
ジトーっと部屋の中を見回す姉ちゃんに、ほのかと俺は固まっていた。お互い目配せして、服の乱れを確認する。お互い大丈夫のようだ。
『…お邪魔しましたー♪』
そう一言残して、ゆっくりドアを閉めた。
『か、夏奈ネェ!私も!私もお邪魔しましたー!』
ほのかはパニックになっているようで、ダッシュで俺の部屋を出て、そのまま家へ帰ってしまった。
『……』
ポツンと一人、部屋に取り残された俺は、複雑な気持ちで考えていた。
これは良かったのだろうか?それとも悪かったのだろうか?と
500Mr.名無しさん:2008/04/15(火) 04:00:18
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 GJ!GJ!
 ⊂彡
501Mr.名無しさん:2008/04/17(木) 05:00:38
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 ホシュ!ホシュ!
 ⊂彡
502Mr.名無しさん:2008/04/19(土) 17:46:33
ho
503Mr.名無しさん:2008/04/21(月) 11:55:25
shu
504Mr.名無しさん:2008/04/21(月) 22:54:37
急に過疎ったな
505Mr.名無しさん:2008/04/21(月) 23:27:55
今はツン状態なんだよ
506 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/21(月) 23:36:17
唐突に新作投入すんぜ
過去にこのスレで書いてたが、文体かなり変わってるから特定できないはず
507 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/21(月) 23:36:50
 もともと、途方もない旅だった。
 こんなこと学生じゃないとできないから、というよくわからない理由となんとなくの思いつきで、千葉から三重のおじさんの家まで自転車で行ってみよう、なんて考えてしまったのが失敗だった。
 なんとなくの思いつきだったから、もちろんまともに準備などしてあるわけはなく、財布の中身はすでに目も当てられないような状況になっていて、ペダルを回せば前に進むという自転車の存在意義を支えるチェーンは無残にも真っ二つに分断。
 スペアのチェーンなんて持っていないから、もうこれはどうにもならない。
 通りがかりの人にサイクルショップの場所を聞いてもこの町にはないと言われ、頼みの綱であるホームセンターには、チューブやらパンク修理キットやらは置いてあっても、チェーンまではおいてない。
 そんなわけで、今は公園で汗が染み込んだシャツを洗いつつ、地図を眺めてこれからどうしようかと思案しているわけで。
 チェーンを探して町を歩き回るか、いっそおじさんに迎えに来てもらうという最後の手段もありか。
 どちらにしても、今日はもう遅い。
 陽はもう暮れてしまい、民家からはなにやらいい匂い。これは確実に照り焼き系だ。
 洗濯をしている間に周囲は真っ暗になり、もう一般では夕食の時間だ。
 木と木の間に張った紐に服を干し、ペンライトを口にくわえ、もう一度地図を眺める。
 今いるこの場所が、愛知県渥美半島の先端近く、城谷沿岸公園。
 サイクルショップがありそうな大きな町へは歩いていけない距離ではないが、それだけで丸一日使ってしまいそうだし、何より身体が持たない。
508 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/21(月) 23:37:37
 連日続く野宿と、少ない食料。思ったより体力の回復はしない。
 ペンライトの電源を落とし、地図を畳んで自転車に括り付けたバッグにねじ込む。
 今日はもう、考えるのはやめにしよう。また明日起きてから考えよう。
 ずっと走り通しだったわけだし、今日の夜と明日一日は休養ということにして、明日はゆっくり町の観光がてらチェーンを探そう。よしそうしよう。
 そうと決めてしまえば人間なんていうものは案外単純なもので、これからの心配とかすべてが吹き飛んでしまい、もうどうでもよくなってしまった。
 今日は飯食ってトイレ行ってさっさと寝よう。そう考えて、ベンチの脇に置いたリュックサックに手を突っ込む。
「あれ……?」
 できるだけ身を軽くしたいので、リュックサックの中身はほとんど入っていない。
 入っているのは、タオルと飲み物と食べ物とライト用の電池くらいなもののはず。
 指先の感覚で、タオルとペットボトルは確認できた。
 もう少し奥を探ってみると、電池らしき円柱の物体もある。
 だが、今の俺にとって非常に重要な栄養源である、バランス栄養食品のあれがない。あの四角い箱でブロック状の、クッキーのような食べ物が見つからない。
 そして、思い出す。
 しまった、そういえば昼に最後の一つを食べてしまって、飲み物を買う時に一緒に買おうと思っていたんだった。
 夏の日差しで身体が異様なまでに水分を欲しがったがために、食料のことなどすっかり失念していた。
 仕方がない、コンビニにでも行くか。
 たしかさっき、ここに来る途中にあったはずだ。
509 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/21(月) 23:38:22
 自転車を引き、おぼろげな記憶を頼りにコンビニを探す。
 すっかり陽は暮れて、ちらほらと見える住宅からこぼれる蛍光灯の明かりが、ほんの少しだけ眩しい。
 蝉の鳴き声はいつの間にか別の虫の鳴き声に変わっていて、空気も日中より少しだけ冷たい。
 今日も一日よく頑張った足は悲鳴を上げ、休みたいと叫んでいる。
 すまん、足。飯を確保しないと明日になってもしんどいんだ。だからもう少し、頑張ってくれ。
 街灯の下で、足を止めて自転車を見る。
 千葉を出発してもう数日、雨にも負けず、風にも負けず、夏の暑さにも負けず、よく頑張ってくれた。
 ただ願わくば、もうあと三日ほど頑張って欲しかった。
 おじさんの家のすぐ近くで、せめて三重県内でのマシントラブルだとしたら、どうにかできたかもしれないのに。
 三重と愛知はお隣の県だが、迎えに来てもらうとすれば、おじさんの貴重な一日をつぶさせることになる。
 最終的にはそれしか手段はないが、やっぱりそれはできるだけ避けたい道だ。
510 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/21(月) 23:39:19
「ありがとうございましたー」
 やる気のない店員の声を背中に受け、コンビニを出る。
 提げたビニール袋の中は、あと三日分くらいにはなりそうな例のバランス栄養食品。一番おいしいと定評のあるチョコレート味から、一番臭いと定評のあるチーズ味まで、それぞれ均等に購入。
 先ほどの沿岸公園まで戻り、食事を取って、今日は寝ておこう。それでまた、明日頑張ろう。
 駐車場の隅に止めた自転車は、暗がりに隠れてハンドル部分と前輪がわずかに見える程度。
 そこまで歩いていくと、ペダル付近にしゃがみこんだ人がいることに気づく。
「あの」
 声をかける。
 しゃがみこんだ人はこちらに顔を向け、俺を見上げた。
「これ、貴方の?」
 女性の声。澄み切っていて、どことなく冷たい。まるで冬の大気のような、そんなイメージだった。
 彼女の言う『これ』とは、きっと自転車のことなのだろう。
「あ、ああ、うん」
 戸惑いを隠せないながらも、どうにか返事を返す。
「そう。チェーン、どうしたの?」
「ん、切れちゃってさ。この辺りで店探してたんだけど、見つからなくて」
 こんな暗い中で、よくチェーンが切れていることを見分けることができるものだ。
 田舎の人っていうのは夜目が利くようになっているのだろうか。
「可哀想な自転車ね、物はいいのに。メンテナンス、してないでしょう」
 なんだこいつ、人の持ち物に向かって。
511 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/21(月) 23:39:53
 それは確かに、ここ最近は空気圧のチェックくらいしかしてなかったけど、それは旅の途中だから仕方ないだろう。
 そんなものは後ろに詰まれたシートバッグとサイドバックを見ればわかるだろうに。
「ついて来て。もしかしたら、チェーンが家にあるかもしれないから」
 そういって、彼女は立ち上がり、踵を返して歩き始める。
「あ、ちょっと」
 その時、バチッ! と頭上から音が聞こえた。
 直後に消えていた街灯が明かりを灯し、俺と、自転車と、そして彼女を映し出す。
 振り向いた彼女の姿に、俺は目を奪われた。
 本当に、透き通るような真っ白な肌。
 風に揺れる、さらりと長い真っ白な髪。
 整った顔立ちと、すっとした鼻筋。
 そして、切れ味の良い刃物で切ったような、鋭い目と、その奥に光る深紅の瞳。
 日本人離れしたその姿に心を奪われ、頭に浮かべていたいくつもの疑問は消し飛んでしまった。
「……俺、芦原空人。あんたは?」
 それだけ、どうにか言葉にできた。
「水瀬、海」
512 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/21(月) 23:40:45
「水瀬さんもロードとか乗るの?」
 道中、何の気なしに問いかける。
 さっきの語りから自転車に詳しいようであったし、家にチェーンがある一般家庭なんてそうそうあるものじゃないだろう。
「私は違うわ。父がモータースを経営しているから、もしかしたらあるかもしれないっていうだけ」
「モータース? あぁ、自転車も取り扱ってるんだ」
 小さく頷いた彼女は、ちらりと俺を見て、本当に小さく、ため息をついた。
「そうね。近所の中学生や高校生は、パンクしたら家に持ってくるから」
「へえ、そうなんだ」
 そこで会話が途切れる。
「なあ、水瀬さんや」
「海でいい」
「ん、何が?」
「呼び方。苗字で呼ばれるの、慣れていないから」
 本当に素っ気無く、前を向いたまま言う。
「そう、それじゃ海さんや」
「さんもいらない。呼び捨てでいい」
 マジですか。
513 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/21(月) 23:41:16
 初対面の相手をいきなり呼び捨て。少し抵抗があるが、相手がそうしろと言っているのだからそうさせてもらおう。
「おっけー、それじゃ海」
「なに」
「…………」
 どうでもいい話を振ろうとして話しかけ、呼び方であれこれとあったおかげで振ろうとした話を忘れてしまった。
 海は若干首をかしげて、俺を見つめている。
「俺のことも、空人でいいからな」
「……ええ、そうさせてもらうわ」
 少し無理やりだっただろうか。
 彼女から視線をそらし、一度大きく息を吐いて、もう一度彼女を見る。
 海はもう、俺から目線を外し、しっかりと前を見ていた。
514 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/21(月) 23:42:04
 コンビニから十分ほど歩き、それらしい建物に到着する。
 その名も水瀬モータース。そのまんまだ。
 鉄筋を主にした頑丈そうな広い建物で、床は一面コンクリート。
 壁には素人目には何に使うのかわからないような工具が並び、棚にはスプレー缶が乱雑に置かれている。
 油の匂いと、作業台に持ち上げられた乗用車と、煌々と建物の中を照らす蛍光灯の明かり。
「お父さん、いる?」
 彼女はその中に向かい、俺が聞いた中で一番大きな声をあげる。
 明かりの下でみると、彼女の特異な容姿はより際立って見えた。
「おーう、いるぞーぅ」
 乗用車の下から声。作業中だったらしい。
 タイヤのついた板に寝そべった状態で現れた、無精髭を生やした三十台後半から四十台半ばと推定できる中年男性。彼が海の父親だろう。
「ん、その人は?」
 油に汚れた軍手を外し、額に浮かぶ汗を作業服の袖で拭う彼の姿は、見た目とはどこか差異がある。
「芦原空人です、よろしくお願いします」
「これはご丁寧に。水瀬祐一です」
 俺の右側に支えられた自転車を一瞥し、彼はニカッと笑う。
「自転車旅行途中のマシントラブルかい。症状は?」
 さすがプロだ。一瞬で俺の状況を見抜いたらしい。
「チェーンが切れました。たぶん、急勾配での無理なシフトチェンジが原因かと思います。細かい異常を言い始めたら限がないんですが……」
515 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/21(月) 23:42:50
「んー、そっかそっか、とりあえず、ちょっと見てみようかねぇ」
 言いながら自転車の脇に座り、真剣な表情で自転車を見つめる。
「ちょっと無理な使い方をしすぎかなぁ。ギアクランクも結構痛んでるし、ブレーキのゴムもずいぶんと磨り減ってるねぇ。三日四日じゃこうはならないよ」
「えーと……ちょっとメンテサボってまして」
「新しいチェーンを付ければしばらくは問題ないけど、ブレーキのゴムはできるだけすぐに、ギアクランクもあと一年か、それくらいしたら交換しなきゃ駄目だよ」
 耳が痛い。
 今回の旅が終わったら、自転車のメンテをしっかりやろう。
「チェーンタイプはわかるかな?」
「えぇと、HG50の10speedだったと思います」
「あぁ、あのタイプの在庫はちょっとないかなぁ。三日四日待ってもらうことなるねぇ」
 三日四日。
 それは金銭的に決して裕福ではない俺にとって、途方もなく長い時間だ。
「お父さん、空人は旅行中だし、見た目もそんなに裕福そうじゃない」
 それまでただ近くでたっていただけだった海が、突然言う。
 それは確かに裕福ではないけど、その言い方は酷いと思うんだよな、俺は。
「こら海、そんなこというもんじゃないぞ。で、空人君、どうだい?」
「ぶっちゃっけ、金が持たないです」
 チェーン代だけでも痛手だと言うのに、三日四日待たなければならないのだから、食費が予定よりかかってしまう。
 宿は野宿でタダとしても、食費の件は普通に無理だ。
「そっかそっか、おじさんも若いころは自転車旅行とかやったから、その気持ちはよぉーくわかる」
「は、はあ……」
「おじさんの時は途中で金が尽きてしまってなぁ。たまたま通りがかった民宿のおかみさんが日払い宿飯付きの仕事をくれたおかげでどうにかなったんだ」
 はっはっは、と豪快な笑い。
516 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/21(月) 23:43:53
「そんなことがあって、自分もいつかはあのおかみさんみたいに、旅人に手を差し伸べてやりたいと思ってたんだ。今はしがないモータースだけどね」
 思い出話が始まったようだ。
 助けを求めようと海を見るが、我関せずを決め込んで俺から視界をそらす。
 諦めずに見つめ続けていたら彼女がこちらをちらりと見て、深紅の瞳で俺を睨み付けた。
「……ということでだ、チェーンが来るまで家で働きなさい。三食飯付きの住み込みだ。給料は日払い、そうだなぁ、仕事ぶりにもよるけど、一日5000円くらいでどうだ。給料は安いが、小遣い稼ぎにゃなるだろう?」
「……はい?」
 あまりにも唐突な提案に、つい聞き返してしまう。
「悪い話じゃ、ないと思うけど?」
 冷たく言い放つのは海。しかし、表情は先ほどよりもずっと柔らかだ。
 それはたしかにそうだが、俺のような素人を雇ったところで、何かこの人たちに得があるのだろうか。
「本当にありがたいですが……いいんですか?」
「なぁに、旅は道連れ世は情けっていうだろ? それに、さっきも言ったけど、俺はあん時のおかいさんみたいに、旅人に手を差し伸べてみたかったんだ」
 その時の、祐一さんの、豪快な、本当に豪快な笑い声が、耳に、頭に、身体に染み込んでくる。
 都会育ちの都会暮らしにはまず理解できない人格の持ち主が、今この時、目の前にいた。
 海もこの展開を予想していたらしく、本当にわずかながらの微笑を浮かべ、俺を見ていた。
 その笑顔は、真冬の大気のように冷たかった彼女の印象を打ち壊した。
 その時の彼女に俺は、どこか暖かく、名前通りの、海のような優しさを感じていた。
517 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/21(月) 23:45:59
とりあえずここまで
自転車の専門用語については素人が少し調べただけだから、間違ってたらスルーしてくれw
誤字脱字とか日本語おかしいとかその辺は指摘よろしくな
518Mr.名無しさん:2008/04/22(火) 22:07:24
 >>506
初代からずっといるが、誰かわかんねwww
とりあえず期待すんぜ
GJ!

でもこれから専門的な用語が増えるなら脚注かなんかくれw
519Mr.名無しさん:2008/04/23(水) 04:38:44
これは先が楽しみ
520Mr.名無しさん:2008/04/23(水) 08:35:42
すばらしぃ!
続きを期待しています
521 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/24(木) 00:34:06
>>518-520
d
頑張るんだぜw

>>518
おk、脚注な
次回からやってみる
522Mr.名無しさん:2008/04/24(木) 01:01:45
1週間に一度でいいから更新して欲しい
みんな無責任すぎる
どれだけwktkしてると思ってるんだ
まとめサイトも稼働してないし
523Mr.名無しさん:2008/04/24(木) 10:25:11
>>522
俺たちはwktkしながら待てばいいだろ
職人のペースに任せるのが一番じゃね?途中で投げられると味気ないが
524 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/26(土) 00:24:26
やあやあ、続き出来たから落っことすんだぜ
ちょっと長めだ、すまん
525 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/26(土) 00:25:42
 住み込みバイトという名目の居候生活一日目。
 昨晩は久しぶりの暖かい夕食を頂き、久しぶりの暖かい風呂に浸かり、久しぶりに屋根の下で眠った。
 それのおかげか体調は朝から万全で、今ならどんな肉体労働でもなんのその、よし来い俺の初仕事! といった気分だった。
 が、朝食を取ってから三時間。夏休みを満喫するぐうたら学生たちもそろそろ起床し、活動を開始しているような時間。
 すごく簡単に言うと、午前十一時少し過ぎ。
 そんな時間なのに、俺は水瀬家の台所でなすの皮を剥いているのだった。
「空人、剥き過ぎ」
 隣に立つ料理指導係は水瀬海。
 料理なんて中学校の家庭科以来していない俺にとって、皮剥き機を使っての作業ですら非常に難易度は高い。
 対して海はというと、なれた手つきで大根の桂剥き。続いて千切り、茹でた豚肉を氷水で冷やし……とてきぱきと仕事を進めていく。
「悪かったな、料理なんて普段やらないんだよ」
「それにしたって、これは酷いわよ。半分くらいになってるじゃない、なす。どうやったらそんな風にできるのかしら」
「それは俺が聞きたいぞ」
 俺は普通にやっているはずなのに、どうしてか皮と一緒に大量の身が削られていく。
 力を入れすぎなのかと弱めてみると、今度は刃が表面をすべるだけで皮が剥けないのだから困った物だ。
「おい居候、海の足ひっぱんなよな」
 居間からひょっこりを顔を出したのは、海の兄。水瀬拓海がその名前。
 海の容姿があんなのだから、兄がいると聞かされたときはどのようなものかと若干期待したのだが、現実はそう面白いものでもない。
 拓海はごく普通の大学生だった。
526 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/26(土) 00:26:13
 髪の毛は茶色に染めて、肌はまあそれなりに小麦色。もちろん目も黒い。
 典型的な、ちょっと調子に乗っちゃいましたな日本人大学生。
「うっせ。親のスネカジリ虫は黙ってニュースでもみつつ社会勉強してろ」
「てめ、ニュースなんか見なくても、俺の身体にゃ世間の常識が勝手に入ってくるんだよっ!」
「そら大したもんだ。その特異体質はうらやましいな」
 ついでに馬鹿。
 これでも国立大学に通っているらしいが、その真意は定かではない。
「空人。余所見してやってると手切るわよ」
 うんざりしたような口調で言う海。
「ん、あぁ、悪い」
 気づいたら、なすはほとんど原型を留めていなかった。
 太く長く、立派に育ったはずのなすはいつの間にか手のひらにすっぽりサイズ。お前はいつの間に、こんなに小さくなってしまったんだ。
 海もそれに気づいたらしく、大げさにため息なんぞをついてくれやがる。
「なあ、このなす使えるか?」
「無理。本当に料理下手ね。というより、下手なんて物じゃないわね。あなたのそれはまだ料理するに至ってないわ」
 そこまできつく言わなくても。
 間違ってないから反論の一つもできないんだけど。
「なすは私がやるから、あなたは素麺を茹でて。それくらいならできるでしょう?」
「たぶん。期待はするな」
 居間を見ると、いつの間にか拓海は引っ込み、今度は心配そうな表情を浮かべた女性がひょっこりと顔を覗かせている。
 口をパクパクと動かしているものの、声が出ていない。
527 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/26(土) 00:26:49
「大丈夫ですよ、明美さん。素麺くらいなら俺にだって茹でられますよ」
 言いながら、沸騰した湯の中に海に渡された乾麺をぶち込む。
「で、でもぉ……」
「なんか変なことやってたら言ってくれればいいですから」
「はぁい……」
 こちらは海の母親さん。水瀬明美さんだ。
 明美さんも海のように特殊な容姿ではなく、ごく普通の日本人といった印象。
 こんな日本人離れした姿なのだから、もしかしたらハーフとかそういう流れかと思っていたのだが、それも違う。
 どうして海がこんな容姿をしているのかはいまいち想像出来ないが、なんとなく聞いてはいけないと勝手に頭の中で決定付けて、その疑問の答えは未だ解決されていない。
 それと、いまいち解せないというか、なんとなく謎なところも多い。
 まず、今朝のこと。
 海は起床し、居間に来ると同時に身体全体に日焼け止めクリームを塗りたくっていた。
 どこかに出かけるのかと思いきや、別にどこかに出かけるでもなく、居間でテレビ鑑賞。
 あと、このクソ暑い中長袖長ズボン。春から初夏にかけては普通の格好だが、この蝉は鳴くし蚊は飛ぶし汗もにじみ出るような盛夏にはあからさまに異質だ。
 さらにもう一つ、別に視力が悪いわけでもないはずなのに、眼鏡をかけていることも謎の一つ。
 後ろ二つは説明が付かないわけでもないが、最初の一つは完璧に謎。
 彼女には彼女なりに、なにかこうと決めたルールのようなものがあるのだろうか。
「空人っ、吹き零れてる」
「え、うぉっ!?」
 思考の世界から現実に意識を戻した直後、俺の目の前には真っ白い湯気と細かい泡がこれでもかというくらいに飛び出した大なべが一つ。
 どうしようかと必死に思考を巡らせる中、海は軽快な動作で水道から水を出し、コップに注いで俺に手渡す。
「……把握したっ!!」
 それをグイっと飲み干す。
 ひとまず水でも飲んで落ち着け、という意思表示だと見た。
528 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/26(土) 00:27:17
「把握してないこの馬鹿っ!」
 ふくらはぎにローキックを一発食らい、俺が悶えている最中。
 明美さんがわたわたと台所に走りこみ、先ほどのコップに水を注いで鍋に移す。
 すると……なんということでしょう。
 吹き零れていた鍋が、見る見る間に通常の状態に戻っていくではありませんか。
「差し水って言ってね、お湯の温度を少し下げると沸騰が収まるでしょ? それで吹き零れを落ち着かせて、その後火を調節するの」
 先ほどの行動を説明する明美さんは、どこか得意げだ。
「空人、あなたは居間で兄さんの暇つぶし相手でもしていてもらえる?」
 事実上の戦力外通告を受けた。
「……はい、そうさせていただきます」
 明美さんに後を任せ、俺は冷房の効いた居間で休ませてもらうことにする。
「よう、いいご身分だな」
 皮肉たっぷりに言ってくれやがったのはもちろん拓海。
 よほど暇だったのか、気持ち悪いくらいに顔をほころばせている。
「ちなみに、そっちは手伝いとかしないのか?」
「あー? ほら、あれだ。俺は時々力仕事手伝ってるし」
「それもあるけど、兄さんに任せたらさっきの二の舞だから」
 台所から声。
 またもや海の、うんざりとした感じの声だ。
「……同士よっ!!」
 バレ直後に手のひらを返し、握手を求めてくる拓海。
 こいつ、どうしてくれようか。
「ま、台所は男が立つもんじゃないわな」
529 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/26(土) 00:27:40
 とりあえず同意してやると、拓海は満足そうな表情で無理やり俺の手を握り、ぶんぶんと上下に振るう。
 勢いが強すぎて、少し痛い。
「ちなみに、お前は何をやらかしたんだよ?」
 なんとなく聞いてみる。
「……鍋を、爆発させた」
「は? 爆発? なんの比喩だ」
「いや比喩じゃなく、言葉通りの意味で」
 ……この世界には、不思議でいっぱいだ。
 鍋を爆発させた方法を考えれば、海を取り巻くいくつかの謎なんて微々たるものに思えてきてしまうから不思議だ。
 いったいどうやったら鍋を爆発させることができるのか。そんなことをぼんやりと考えつつ、台所で手際よく料理を完成させていく海をぼんやりと眺めていた。

530 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/26(土) 00:28:19
 昼食は素麺と冷しゃぶ、焼きナス、それとデザートにスイカ。
 午前中の仕事を終えて一時帰宅する祐一さんを待ってからの昼食となった。
「さて、空人君」
 昼食もそろそろ全員がデザートにスイカに取り掛かろうとしていたころだった。
「午後からなんだけど、自転車の修理がいくつか来てるから、手伝ってもらえるかな?」
 どうやら、ようやく仕事らしい。
 聞くところによると、午前中は車の修理や整備がメインだったため、そっちに関しては完璧に素人である俺には手の出しようがないだろうと判断したらしい。
「はい、もちろん」
「パンクの修理と、あと全体の整備だけど、できる?」
「種類にも寄りますけど……。シングルスピードはいじったことないんで自信ないです」
「あぁ、大丈夫。普通のママチャリだから」
 そしてはっはっは、と豪快な笑い。
 この人は本当に、なんていうこともないことでさえ豪快に笑ってくれる人だ。
「それに、シングルスピードをモータースに持ってくる人なんかいないよ。そんな自転車持ってる人だと、自分で整備くらいできるだろうし、人に任すとしてもちゃんとした整備士に任せるだろうからねぇ」
 それは確かにそうだ。
 あれは競輪とか、本当に競技用の自転車なわけだし。
「ママチャリならまぁ、たぶん大丈夫です。母親とか友達のママチャリの整備やってましたし」
「そっかそっか、それじゃあ大丈夫だねぇ」
 満足そうに頷き、スイカに噛り付く。
「お父さん、私も何か手伝おうか?」
 海はスイカの果汁で口周りが汚れるのが嫌なのか、スプーンで上品にスイカを食べていた。
「んー、それじゃあ空人君のサポートやってくれるか。作業自体は難しくないんだけど、数が多いんだよねぇ」
「うん、わかった。空人、頑張ろうね」
 海は相変わらず無表情を崩さず、言葉と顔のギャップが大きい。
「おー、頑張ろうなー」
 一言で返事を返し、俺は半分くらい胃袋に消えたスイカに噛り付いた。
 網戸の向こうからは、油蝉の鳴き声が聞こえていた。
531 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/26(土) 00:29:02
 午後一時を少し回り、祐一さんから借りた作業着に着替えて海と一緒に作業場に向かう。
「あれ、なんで晴れてんのに傘なんか差してるんだ」
「晴れているから差しているの。日傘よ、これ」
「日傘? そんな50メートルくらいの距離で日焼けの心配か? ずいぶん敏感肌だな」
 と、笑いながら言ってやると、海の表情がほんの少し、本当に少しだけ変化する。
 なんとなくだけど、暗い感じだ。
 日傘のおかげで日光がさえぎられ、明るさが乏しいからなのか、感情の変化からなのか、俺はまだ、それを見抜くほど彼女のことを知らない。
「そうね。日焼けは、痛いもの」
 ぶっきらぼうに言って、俺を残して足早に進んでいく。
「そうだな、あれは痛いな。皮とか剥けるし」
 とりあえず同意の言葉を返し、俺も少し急いで彼女の後を追った。
532 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/26(土) 00:29:31
 祐一さんに頼まれた自転車は、全部で六台。
 その内4台はパンクの修理だけなのだが、2台は全体のメンテナンスも込みの仕事。
 パンクだけなら六台あっても一時間とかからない自信があるが、全体メンテが二台もあるのなら午後いっぱいはかかりそうだ。
「海、工具は?」
 とりあえず、パンクの修理から片付けてしまうことにする。
「自転車用はこれね。工具は私が出すわ、欲しいのを言って」
 作業場の片隅に置かれていた金属の箱を引きずるように持ってきた海は、工具箱の中をいじくり始める。
 よく使う工具がわかるのだろう、見覚えのある工具を地面に並べていく。
「そんじゃ、まずはタイヤ外すか。レンチくれ」
「幅は?」
「えーと、これは12mmだな」
 自転車を専用の作業台に乗せつつ、ナットのサイズを確認する。
「はい」
 海から渡されたレンチを使い、ナット少し緩めてそこからは手で外す。
「じゃ、タイヤレバー」
「ええと……これよね?」
「あぁ。さんきゅ」
 タイヤをホイールから外し、中に収められたチューブを引っ張り出す。
 その間に海には水を張った容器を用意してもらった。
 チューブにほんの少し空気をいれ、どこから漏れているのか大まかなあたりをつける。
 チューブを水の中に沈め、気泡が出てくる場所に印をつけて表面を軽く拭き、サンドペーパーで表面を少し削る。
「手際がいいわね……驚いたわ」
533 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/26(土) 00:30:13
 ゴムのりを塗り乾かしている最中、関心半分驚き半分といった感じの海の表情。
「そりゃ、趣味でもう10年はやってるからな。パンク修理くらいは慣れてるよ……パッチくれ」
「その割に、自分の自転車は整備してないのね」
「ロードは整備が難しいんだよ。危ういものには触らないって放置してたらいつの間にやらあんなことにな」
 ゴムのりが塗られた部分にパッチを乗せ、金槌で圧着。他に穴が開いていないかチェックをして、チューブをタイヤの中に戻し、自転車にホイールを取り付ける、。
 これで作業は終了、所要時間は5分くらいか。
「そんなに違うものなの?」
「そりゃ違うさ。タイヤとかその辺の処理は同じなんだけど、ワイヤーとかそっちの整備ってなるともう別物」
 二台目の自転車を作業台にかけつつ、海に言葉を返す。
「ワイヤー?」
「そ。ブレーキワイヤーとか、ギアワイヤーとか。ワイヤー以外でもな、うっかりヘッドパーツ交換しようなんて思ったら、それこそ素人じゃ無理だな」
 街乗り自転車は比較的どのメーカーでも規格が統一されていたり、それほど煩雑でもないのだけれど、ロードやマウンテンは違う。
 メーカーごとに独自の規格があったりするもんだから、別メーカーのパーツとの互換性がないなんて話は珍しくない。
 一つのパーツが壊れたから新しいパーツを、となればそれに関連するほとんどのパーツを付け替えなければ、使えなくはないけれど性能が格段に落ちたりする。
「ま、素人が全体の整備するのは難しいってことだよ。それに俺、誰かから教えてもらったりとかじゃなくてほとんど独学だしな」
 作業場の中に篭った夏の熱気に耐え兼ねて噴出してきた汗を拭いながら海に薀蓄を述べ、二台目の自転車も修理を終える。
「ねえ空人、あなたは将来、やっぱり整備士とかそういうのになるの?」
 三台目のタイヤを外し終えた辺り。唐突に、海がそんな話を振る。
「んー、そりゃまあなれるもんならなりたいな。一応卒業後の進路の中に、整備学校ってのも考えてるし……っていうか、なんでそんな話を?」
「だって、自転車の話をしているあなた、嬉しそうだもの。好きなんだなってわかる」
534 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/26(土) 00:30:46
「そんなつもりはないんだがなぁ……。そういう海はどうするんだよ、進路」
 なんだかんだで俺は海の年齢を知らないが、俺と同じくらいだろう。
 大学1年の拓海の妹だから、すでに大学生ということはないだろうし、見た目から中学生とも思えない。
「私は……何も考えてないわ」
「そうなのか? お前って、なんかそういうところは抜かり無さそうだけどな。計画的っていうか、現実的っていうか。てっきり公務員とか言い出すもんかと思ってた」
「そう見える? ありがとう」
 あまり褒めたつもりはないのだが。
「とりあえず、まだ先の話だからー、だなんて考えてると選ばなきゃいけない時はすぐにやってくるんだぞ。今年受験を控えた俺からの言葉だ、しっかり受け止めといたほうが無難だな」
「そういう空人はどうなの?」
「さっき言っただろ、整備士学校も考えてるって。方向性は一応決めてあるさ。この時期にまだ決まってないやつは本格的にヤバイやつだぞ」
「そうなんだ。私は受験なんてしたことないから、どんな風になってるのかわからないわ」
 受験をしたことがない?
 ってことは、中学生……?
 いやでも、この見た目で中学生ってのはどうよ。おかしいだろ、普通に考えて。
 ってことは、幼稚園のころからエスカレーター式の学校で、受験なんてあってないようなもの、とかそういうことか?
 そういうところは幼稚園でも受験があるだろうけど、いわゆるお受験なんてものは子供じゃなく、親がメインで受け答えするって聞いたことあるし……。
「お前ってもしかしてエリートコースまっしぐら?」
 思考は滞ることも少なく、その結論に達した。
 だが返ってきた答えは、俺の予想とはまったく別方向だった。
「その逆。中卒の家事手伝いをエリートなんていわないでしょ」
「中卒の家事手伝い!? お前が、か?」
535 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/26(土) 00:31:21
 家事手伝いといえばまだ聞こえはいいが、言ってしまえばそれは今流行りのニートとかいうやつだ。
 俺の中でのニートのイメージは、一日中家に引きこもってパソコンでもいじっているか、それか一日中遊びほうけているか、そんなイメージしかない。
 今目の前にいるこの人間と、どうも一致しない。
「そうよ。そういえば空人は知らないわね。今、ちょうど夏休みの時期だし、私くらいの歳の子が、平日の昼間に家にいても不思議ではないものね」
「なんで高校行かなかったんだよ?」
「……まあ、いろいろあるのよ。私にも。それより空人、早く仕事を終わらせましょう。私、暑いのは苦手なの」
 その言葉は、後ろに『この話はやめにしよう』という意味も含んでいるのだろう。
 確かに、海には海なりの事情があって、今こういう生活をしている。
 それは知り合って間もない俺なんかが踏み込んでいい領域ではないし、海も話したくないからこうして話を変えようとしている。
 だったら、無理にでも聞き出す必要もない。
「そうだなー。さっさと終わらせて、居間でテレビでも見たいな」
 だから俺は海の意向通り、それからは作業に集中し、その話に触れようとはしなかった。
 渡り鳥と小枝の関係である俺と海、お互いがお互いの深いところを知る必要はまったくないのだから。
「そうね。仕事が終わったら、麦茶でも淹れるわ」
「いいねぇ。やっぱ夏は麦茶だよな」
 他愛も無い話を、夕方まで続けていた。
536 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/26(土) 00:31:49
 夕方の6時を回るころ、ようやく最後の自転車の全体整備を終える。
 軽トラックの下に潜り込み作業を続ける祐一さんに一言いい、先にあがらせてもらえることとなった。
 シャワーを借りて汗を洗い流し、居間に向かう。
 居間では先に戻った海に仕事を奪われた明美さんが、暇そうに夕方のニュースを眺めていた。
「あら、空人君。お仕事初日はどうだった?」
 海の冷たい口調に比べ、明美さんの口調はとても柔らかく、暖かい。
 どうしたら親子でこんな対極に育つことができるのだろうか、少し疑問だ。
「ちょっと疲れましたが、まあなんとか。仕事もやりなれた内容ばっかでしたし」
「そう、よかったわ。今お茶淹れるから、ちょっと待っててね」
 言いながら立ち上がり、台所に姿を消したと思えば、すぐにグラスを持って現れた。
 グラスの中は若干の透明度を持った茶色の液体。
「はい、麦茶。さっきまで冷蔵庫の中にあったから冷たいよ」
「どうもっす」
 受け取ると、確かに冷たい。
 昼の暑さの尾ひれがまだ残されているこの時間帯、仕事上がりのシャワー直後にはありがたい一杯だ。
「では、いただきます……ん?」
 麦茶……じゃない?
 なんだこれは、わずかな醤油の風味と、舌に残る鰹と昆布の旨み。
 っていうかこれは、今日の昼に似たようなものを口に入れた気がするぞ。
 万能ねぎやわさび、しょうがと愛称抜群のあれだ、間違いない。
「明美さん……これ、めんつゆ」
「え、うそっ!?」
537 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/26(土) 00:32:24
 俺からコップを引ったくり、普通にお茶を飲むようにグイっと。
 あー、めんつゆなんてそんな塩辛いのを一気に飲んだりなんかしたら……。
「―――っ!!」
 言葉にならない悲鳴を上げ、脱兎の如く台所へ駆けてゆく。
 あぁ、何から何まで海と違いすぎる。
 そして入れ違い、今度は海が先ほどとは別のグラスを持って台所から現れた。
「母さんがめんつゆをコップに入れていたからまさかとは思ったけど……」
「ああ、そのまさかだ。明美さんは?」
「口を濯いでる」
 台所の奥、流しを覗き込んでみると明美さんがコップに水を注いでは口に含みそして吐き出し、をエンドレスに繰り返している。
「空人は大丈夫なの? あれ、飲んだんでしょ」
「ん、ちょっと口が塩辛いな。まあでも、平気って言えば平気だ」
「頑丈なのね。はいこれ、今度は正真正銘、麦茶よ」
 海から手渡されたグラスの内溶液。先ほどよりも色味が薄い。
 念のため匂いをかいで見ると、香ばしい麦の香り。
 口に含んでみると海の言うとおり、正真正銘の麦茶だった。
「うん、麦茶だ。さんきゅ」
「どういたしまして。それじゃ、私は料理に戻るから」
 そう言って、海は台所に戻ってゆく。
 それと入れ違い、舌先を唇から飛び出させた状態で明美さんの復活。
「もう大丈夫なんですか?」
「なんとか……」
 と言うが、顔色が若干悪いような気がする。
 テーブルに突っ伏しうんうんと唸っているその姿を見ても、大丈夫のようには思えない。
 ……とりあえず、そっとしておいてあげよう。
 明美さんの反対側に座り、もう表面に水滴が付き始めたグラスをテーブルにおいて、特に興味もないニュースを眺めつつ、夕食を待つことにした。
538 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/26(土) 00:32:50
 その日の夜、なんとなく小腹が空きコンビニに行くことにした。
 財布だけを持ち、玄関から外に出た直後、つい先ほどまで風呂に入っていた海がコンビニ方面に向かって歩いていく姿を見つける。
 そういえば、俺が海に拾われたのもコンビニの前だった。
 暇つぶしに立ち読みにでも行くのか、それとも散歩とかの類だろうか。
「おーい、海ー」
 遠くから呼びかけると、海は歩を止め振り返る。
「……空人。どうしたの?」
「なんか小腹が空いてなぁ。コンビニに行くところだ。そっちは?」
「私は散歩。体力づくりしなきゃ。どうせコンビニの前も通るし、一緒に行く?」
 ああ、と同意の返事を返し、海の隣に並んで歩く。
 夏の虫の鳴き声も、時折鳴く場違いな蝉の鳴き声も、湿った風も、なぜかすべてが心地よかった。
 だが、海が黙り込んで歩いていて、その沈黙は心地よくない。若干の気まずさがある。
「昨日、俺と初めて会った時も散歩の途中だったのか?」
 沈黙が辛くて、特に理由もなくそんな会話を振る。
「ええ、散歩の途中に可哀想な自転車があったから、持ち主はどんな人なんだろう、と思ってね」
「はは、手厳しいな……」
 まあ、それが海か。
 かれこれ出会って24時間。たったそれだけの時間だけど、なんとなくわかる。
 いつだって、人に懐かない猫のように一筋縄ではいかなくて、それなのに世話好き。
 祐一さんも、拓海も、明美さんも、そして海も。
 水瀬の一家はみんな、どこか普通とは違う。
539 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/26(土) 00:33:19
 でもその『違う』は不快なものなんかじゃ決してなくて、心地よくて、安心できて、面白い。
 本当に普通の家に生まれ、普通の人たちに囲まれて育ってきた俺にとっては新鮮な世界だ。
「そういや、体力づくりってなんでまた?」
 散歩の理由に、体力づくりをしないと、ということを言っていた。
 確かに体の線は細いが、それは女の子だから別にいいとは思う。
「体力はあるに越したことはないでしょう?」
「それはそうだけどな。でも、足太くなったりするぞ?」
「別に、見た目なんか気にしないもの」
 やっぱりずれている。
 学校の女子たちは、やれ体重が1kg増えたとか、ウエストが2cm増えたとか、そんな会話ばかりしている。
 高校に通うか否かで、こんなにも差が出るものなのだろうか。
「でもさ、女の子は弱くたっていいんじゃないかって思うぞ、俺は」
「どうして?」
 海ははたと足を止め、いつもよりさらに鋭い目で、俺の目を射抜くように見つめた。
 街灯の光で輝く深紅の瞳に吸い込まれそうな錯覚を覚えて、俺は言葉を失う。
「……ほら、なんつーのかな」
 次いで言葉に出そうとしていた一言が、喉に詰まったように出てこない。
 あと少しで出てくるのに。そんな感覚。
 俺が言葉を出せない間もずっと、海は俺を、その鋭い視線で射抜いていた。
 しかしその視線は、敵意ではないとわかる。
 単なる興味。たぶんそれが正しい。
540 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/26(土) 00:33:49
「女の子が何かで困っているとき、助けるのが男だろ? 守るのが、男だって、俺は思ってるから……だな」
 ようやく出てきたその言葉も、どこか俺の言いたいこととずれている。
「でも、頼ってばかりでは成長できない」
「そうだな。でも、一人でも生きていけないだろ」
「でも……!」
 言葉を飲み込み、視線をそらして俯いた。
 いったい彼女は、何をこんなにこだわっているのだろう。俺にはよくわからない。
「成長できなくても、生きていくことはできる。それが情けないことだとしても、滑稽なことだとしても、生きているだけマシだと思う」
「でも……だけど……」
 彼女らしくない。率直に、そう思った。
 今の海は、まるで駄々をこねる子供のようだ。
 『でも』『だけど』。
 そんな言葉を、彼女の口から聴くことになるとは思わなかった。
「俺だって、今こうやってお前に助けられてどうにかなってるんだからな。だから、人に頼るってことは、やっぱり生きていくんなら必要なことなんだと思うぞ。この辺は男だろうが女だろうが、関係ないんだけどな」
「だけど……今でもう、十分過ぎるくらいに、人に頼って生きている人はどうすればいいの!? これ以上、誰かに頼って生きていくなんて、私は嫌だ!」
 それは、彼女が学校に通っていなくて、給料を伴う仕事もしていないことなのだろうか。
「それにもう……私は、私の大切な人たちが、大切な物を失うところを……見たくはない……」
 海には珍しく、言葉に感情が篭っていた。
 無機質な、機械のような語り口調の海が、こんなに感情をこめて声を発する姿は、想像もできなかったのに。
 そんな想像もできなかった姿が、俺の目の前にある。
541 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/26(土) 00:34:28
 俺の知らない、彼女の昔。
 それはもしかしたら、もう何年も前のことなのかもしれないし、つい最近のことかもしれない。
 だけど、なんとなくわかる。
 それは、俺では踏み込んではならない領域なのだと。
 少なくても、今の俺では。
「……帰るわ」
 そういって、海は踵を返し、来た道を引き返していく。
「俺はコンビニ行って来る。なんか欲しいものあるか?」
「別に何も。じゃあね」
 最後の一言は、いつもの機械的な口調だった。
 心の中に、何かモヤモヤとした霧のようなものが覆いかぶさり、異常にムシャクシャする。
 八つ当たりに電柱にこぶしをぶつけても、返ってくるのは痛みだけ。
 何に、こんなにイライラしているのかはわからない。
 今俺にできることは何一つないとわかっているのに、何かしたいと願う矛盾。
 それを気にならなくなるまで、電柱を殴り続けた。

542 ◆iYpdzeKy5k :2008/04/26(土) 00:41:26
今回はここまで
なんつーか、悪い。これは長すぎだろjk……

で、意見があったので脚注を

 シングルスピード
ペダルとギアが直結した自転車。タイヤが回ればペダルも勝手に回る。唯一バック走行できる素敵自転車
変速はないが、とんでもなく早い。競輪選手とかはこれつかってる

 タイヤレバー
タイヤをホイールから外すための専用の工具
タイヤ関連の作業はこれが必須

 パッチ
チューブに開いた穴をふさぐもの

 ゴムのり
ゴム専用の接着剤
チューブとパッチを接着するときに使う

 ヘッドパーツ
自転車のハンドル付近のパーツのこと
ロードやらマウンテンやらは規格が煩雑で素人には無理っす

と、目だったのはこれくらいか
これはなんぞやってのがあったら言ってくれ
あと、できるだけ話数を減らそうと思って展開早くしてるんだが、ちょっとこれは早すぎかもなw
その辺も意見くれ
543Mr.名無しさん:2008/04/26(土) 22:53:32
長くなっても全然構わないから、どんどん書いてくれ。
544Mr.名無しさん:2008/04/29(火) 10:36:17
◆iYpdzeKy5k さんGJ!
文才あるやつがうらやましーぜ!
545Mr.名無しさん:2008/04/29(火) 22:03:19
◆iYpdzeKy5k さん、文章上手いなぁ。
読みやすいし、話も面白い。
長文歓迎です。
546Mr.名無しさん:2008/04/30(水) 04:12:32
gj!
547Mr.名無しさん:2008/05/02(金) 03:28:34
続きマッテルゼ
548Mr.名無しさん:2008/05/03(土) 07:07:20
風俗勤務女= 魔界 ◆RC3h9.WHho = 東芝産業システム社
549Mr.名無しさん:2008/05/05(月) 07:18:59
ツン期か
550Mr.名無しさん:2008/05/08(木) 04:21:34
そのうちデレるさ
551 ◆Root/VEzBc :2008/05/08(木) 14:59:51
誰も居ない・・・イマガ、チャンスダ。

ようつべ見て妄想膨らみまくり、夢広がりんぐ。
スイマセン、いつもの妄想癖です。
全部書き掛けですごめんなさい・・・ゴメンナサイ。

↓妄想のタネ
ttp://www.youtube.com/watch?v=hhJYg21rDgQ&feature=related
552 ◆Root/VEzBc :2008/05/08(木) 15:00:20
誰も居ない校舎の廊下、遠くからバキバキと低い音が響いてくる。
あぁ、この音はBassだ、低音が8ビートを刻む。
音の粒が揃っている、アタックが効いている・・・普通に聞いて上手い。
うちの学校にこんなにベースの上手い奴がいるのか?
軽音部の奴らがこんな時間に教室で弾くわけ無い・・・。
ヲレは音のする方向に足を向けた。
廊下を音のする方向に進んで行くと、段々と低音が大きくなる。
その心地良い流れるようなベースラインに導かれるように辿り着いた教室は、
校舎の2階一番端の教室でU-Aだった。
いっこ上か・・・1年のヲレは2年の教室なんか入ったことが無い。
でも、そのあまりの上手さに弾いている人の姿を見たくなった。
553 ◆Root/VEzBc :2008/05/08(木) 15:01:09
少しだけ戸を開ける。
戸を開けた瞬間に音が零れだす。
夕方の教室は西日が差し込み、教室の中を赤く染めていた。
その中で彼女はベースを弾いていた・・・とても楽しそうに。
ヲレは、その誰も居ない校舎で低音を響かせていたのが女子の先輩だったのに驚いた。
554 ◆Root/VEzBc :2008/05/08(木) 15:01:47
教室の真ん中ぐらいの机の上に座り、片足は椅子に乗せ、
もう片方の足は椅子の背もたれに軽く乗せ、リズムを取っている。
ベースに繋がれたシールドは隣の机の上に乗せられた小さなアンプに繋いである。
学校の制服の水色のセーラーの上に紺色のカーディガンを着て、ショートカットの眼鏡を掛けた彼女が、
夕焼けの中に浮かび上がる。
ベ-スの大きさに不釣合いなぐらいに小柄なシルエット、ヲレは息を飲んで彼女を眺めた。
多分、ベースを持っていなければ物静かそうな大人しそうな感じの人にみえるだろう。
普段は図書室で本でも読んでいそうなタイプだ。
iPodのヘッドフォンをして曲を聞きながらBassのパートを弾いている。
ミディアムスケールのネックを指が流れるようにスライドする。
心地よくリズムを刻んだ後に、ベースソロなのか第一弦と二弦の高音部を小刻みに左手の指が動く
そしてスライドさせながらミュート、ソロが終わったのか右手がまたツーフィンガーで8ビートを刻む。
ヲレはその姿に見入ってしまった・・・。
555 ◆Root/VEzBc :2008/05/08(木) 15:03:03
1曲が弾き終わると、彼女はふぅっと大きく息をついた。
そしてパッっと顔を上げ、ヲレと目が合う・・・。
彼女が、一瞬 「あっ!」 っと言うような顔をする・・・。
ヲレはいつの間にか教室の中にまで入り込んでいたのだ。
さっきまでノリノリでベースを弾いていた彼女の顔が一瞬にして真っ赤になる。
夕焼けの中でもそれが判るぐらいに。
「あなた誰 ? ずっと居たの ?」
自分のベースを抱きしめるようにしながら、ヲレに問いかけてくる。
「あ・・・うん、上手かったから聴いていた・・・」
覗き見していたヲレもバツが悪くて、言い訳のようにボソボソと呟く。
「上手くなんかないよ・・・」
そう言いながら、乱暴にアンプからシールドを引き抜く。
ボシュっと言う音の後にアンプは音がしなくなった。
急いでシールドを束ねて、ベースをケースに仕舞っている彼女に、ヲレは思い切って話しかけた。
「あ、あの今弾いてた曲は何 ? オリジナル ? バンドとか組んでるの?」
ケースに仕舞ったベースを右の肩に担ぎ、左手に小さな持ち運び用のアンプを持つと、
彼女は目を伏せながら呟いた。
「バンドなんか入ってないし、なんの曲を弾こうとあなたには関係ないでしょ」
彼女は足早に教室を出て行く、日の落ちた校舎には下校を促す放送が流れる。
でも、ヲレにはそんな放送なんか耳に入らないぐらいに、彼女の弾いたベースラインが耳に残っていた。
そして、そのベースを弾く可憐な姿も脳裏に焼きついたままだった。
556Mr.名無しさん:2008/05/10(土) 01:22:53
なんかキター

早くフジサキの続きもかいてよw
557Mr.名無しさん:2008/05/11(日) 22:24:00
激しく同意
558Mr.名無しさん:2008/05/13(火) 21:15:45
>>355の続き。

あの日から、フジサキはクラスの中で微笑む事が多くなった。
それと同時に一日に一回ぐらい、ヲレの所にメモを置いていく様になった。
最初は一行だったのが日を追うごとに行数が増えていき、
段々とメモが手紙のようになっていった。
元々から筆がマメだったのだったのかもしれない。
印刷したかのような丁寧な字で文章が書かれてあり、
内容は、相談事では無く普通の友達同士でするような会話を手紙にした感じだった。

でも、決してクラスの中では話し掛けては来なかった。
きっとミキに遠慮をしていたのであろう。
559Mr.名無しさん:2008/05/13(火) 21:16:19
春になりクラス替えがあり、ヲレは理系のコースに、ミキは文系のコースにクラスが分かれた。
春休みの間、ずっとミキはやっぱり理系コースに行けばよかったとブツブツと言って、クラスが分かれるのを惜しんでいた。
新学期の初めにクラス割が掲示板に張り出されミキはU-A文系コースでタカオと同じクラスになった。
ヲレはU-D理系コース・・・フジサキと一緒だった。

クラスに行き、自分の席を探す・・・ぐるっとあたりを見回すと、フジサキが既に座っている。
ヲレと目があったフジサキは軽く微笑んでから、ヲレの席であろう場所を指差した。
その指差した席に行き、ヲレは自分の名前を確認してから座ると、
いつものようにフジサキがヲレの席の横を通り過ぎながら小さく折りたたんだメモを置いていく。
【今回も同じクラスですね。また1年間宜しくお願いします。】
印刷したような丁寧な字で書いてある。
ヲレは読み終わりフジサキの方を見ると、フジサキは微笑みながら小さく手を振った。
560Mr.名無しさん:2008/05/13(火) 21:17:49
元々は美人なのに人と話さず一人で居る事が多かったフジサキは周りから浮いた存在でいて、
それでいて頭も良く学年トップの成績とあれば誰もが近寄りがたかったのであろう。
しかし、そのフジサキが笑うようになってから、周りの男子はフジサキを見る目が変わっていった。
今回のクラス替えもフジサキと同じクラスでラッキーなんて喜んでいる奴もいるぐらいだった。
これでフジサキも想いを寄せる男子に振り向いて貰えるかもな・・・。
鈍いヲレはその時に、まだフジサキの気持ちに気付いてやれないでいた。
561Mr.名無しさん:2008/05/13(火) 21:19:12
新しい学年になってから数週間が過ぎ、
今までメモを置いていくだけだったフジサキが教室で一言、二言ヲレに話し掛けて来るようになってきた。
そして、合い変わらずメモのような手紙も置いていく。
その回数は日ごとに増えて行き、以前のように人に気付かれないようにでは無く、普通に置いていく事が増えた。
そんなヲレ達の関係を周りの奴らは不思議に思わない訳が無い・・・。
噂が広まるのが早い校内で、その話は段々と広まった・・・。
ヲレは友人から冷やかされる事があったが、その度に否定してフジサキは友達だと言い続けた。
562Mr.名無しさん:2008/05/13(火) 21:21:42
そんな噂が校内に流れてしばらく過ぎたある日・・・。
部活の帰りに、いつもと同じようにミキを待っていると、
長い時間待っても、ミキが現れない・・・もう、とっくにハンド部の練習時間も終わっている。
たまに部活後にミーティングがあったりして遅くなったりする事があるので、
待ち合わせの時間に遅くなった時は、さきに帰ってもいい・・・いつの間にかそんな約束が出来ていた。
今日もそんな用事があるのだろうと、ヲレは先に帰ることにした。
・・・だが、ミキは次の日も待ち合わせの場所には現れなかった・・・。
563Mr.名無しさん:2008/05/14(水) 05:06:58
久々に続きキター
564Mr.名無しさん:2008/05/14(水) 11:56:04
文書が
上手いのか
下手なのか
わからんな
565Mr.名無しさん:2008/05/15(木) 03:06:40
問題は心にぐっと来るかどうかだ
この作品は俺の心にはグッとくるんだ
566Mr.名無しさん:2008/05/15(木) 12:47:58
るーさん月1だからなw
もっと更新期間短くしてくり
567Mr.名無しさん:2008/05/16(金) 20:24:01
>>562の続き。

夜、ミキの携帯に電話をしても出ない・・・。
どうしたんだろうか、なにか具合でも悪いのかと心配になるが・・・確か学校には来ていたはず。
昼休みに歩いているのを見かけたのだから間違いない。
じゃあなんで?
何かミキを怒らすことでもしただろうか?
悶々と夜が更ける。
568Mr.名無しさん:2008/05/16(金) 20:24:28
次の日もヲレは、いつもの場所でミキを待った。
何か落ち着かない・・・。
イライラするような、ドキドキとするような・・・不安な気持ちってこんな感じなんだろうか。
そんな事を考えながら待っているヲレの前にミキが久しぶりに姿を見せた。
「あ、今日は来てくれたんだ」
ヲレが話しかけると、ミキはコクンと頷く。
そして二人は言葉無く歩き出した。
いつものように自転車に二人乗りするのでは無く、重苦しい空気を感じる中を二人で歩いた。
569Mr.名無しさん:2008/05/16(金) 20:25:36
以前、二人でベンチに座り話した公園まで来ると、キミは顔をを上げてヲレに話しかけた。
「あのね・・・毒男クン、話しがあるの・・・」
ヲレは頷くとミキを一緒に公園の、いつものベンチに向かって歩き出す。
ベンチに座ってもミキは話をせずに俯いているだけで、ただ時間だけが流れる。
その沈黙に耐えられないで、ヲレはミキに話しかけた。
「ミキ・・なんで最近ヲレの事を避けているんだよ?」
ミキがヲレの事を避けているのは、その態度を見れば十分に感じ取れる。
その問い掛けの後、ミキはその理由を話し始めた・・・。

「毒男クン・・・私ね・・・タカオに、告られたの」
570Mr.名無しさん:2008/05/16(金) 20:27:06
一瞬、首元にナイフを当てられたような錯覚を覚える。
きゅっと素手で心臓を握られたような苦しさに冷や汗が流れるような気がした。
いつか、そんな事があるとは思っていたけど・・・。
落ち着かないヲレに気が付かないでいるのか、ミキは話を続ける。
「それでね、最近タカオと良く話すの・・・お昼も一緒に食べてるの・・・電話もしてるの・・・」
ミキが好きだから、そんな事を聞けば体中の血が煮えたぎる。
「毒男クンは・・・どう思う?」
熱くなっているヲレには今の質問の意味が理解できなくてミキの顔をまじまじと見ることしか出来ない。
「え?・・・どうって、どうゆう意味?」
聞き返すヲレにミキはさっきの問い掛けに言葉を付け足した。
「だから・・・タカオと仲良くしている私の事をどう思う?って聞いてるの・・・」
571Mr.名無しさん:2008/05/16(金) 20:27:57
ミキが真剣な顔をしてヲレの事を見つめてる。
「それは・・・面白くないよ・・・」
自分の中で嫉妬と言う感情が渦巻いているのが判る。
ミキがヲレの答えに頷いてから、また話し始めた。
「毒男クンは・・・いまでも・・・私の事・・・好き?」
「あたりまえだろ !」
ミキの問い掛けに声を荒げてしまう。
その声の大きさにミキは一瞬ビクッっと体を強張らせてから、ポロポロと泣き始めた。
572Mr.名無しさん:2008/05/16(金) 20:28:55
「好きな人が・・・他の人と仲良くしてるのを見るのは辛いでしょ?
私だってそうなんだよ・・・毒男クンがフジサキさんと仲良くしてるの辛いんだよ・・・」
フジサキとはミキが想像しているような関係じゃ無い・・・。
彼女には他に好きな奴がいるんだ・・・そんな言い訳みたいな事を言ってもダメだろう・・・。
「フジサキさんから、毎日手紙を貰っているのも知っているよ・・・、
ねぇ毒男クン、フジサキさんの事好きなの? 私の事本当に好きなの?」
「ミキ・・・誤解だよ・・・」
「誤解じゃないよ・・・毒男クン、前にもココで同じような事を言ったよね? あれは嘘だったの?」
「もう嘘を付かれるのは嫌なの !」
ミキは泣きながら、ベンチを立った。
後を追おうとするヲレに振り返ると、
「毒男クン・・・しばらく、距離を置こう・・・」
そう言ってミキはトボトボと歩き出した。
なんて言われても、すぐに追いかければよかったのに・・・その時のヲレには、それが出来なかった。
573Mr.名無しさん:2008/05/16(金) 21:16:43
乙です。いやぁ…今回も楽しませてもらいました。
574Mr.名無しさん:2008/05/17(土) 00:07:21
なんで追いかけねーんだよ!
575Mr.名無しさん:2008/05/19(月) 03:17:17
この後の展開が楽しみ
576Mr.名無しさん:2008/05/20(火) 22:30:01
577Mr.名無しさん:2008/05/21(水) 05:25:07
>>576 何気に楽しいな…主人公がダメ人間な所もすきだ。
578Mr.名無しさん:2008/05/21(水) 10:22:50
最初はクソだったけどなwww
579Mr.名無しさん:2008/05/21(水) 12:32:06
>>578 サイトのレスにも書いてるが…別にアレはアレでいいんじゃないかと思う。
580Mr.名無しさん:2008/05/23(金) 01:50:35
hosyu
581 ◆iYpdzeKy5k :2008/05/23(金) 03:11:17
他の職人さんがやってるところであんま落としたくないんだが……>>541の続きいくぜwww
582 ◆iYpdzeKy5k :2008/05/23(金) 03:12:06
「空人君、空人くーん」
 心地よい揺れにまどろんだ意識を任せもう一度眠りの中に潜り込んでしまいたい所だが、俺を呼ぶ声があることに気づき、頭に血をめぐらせる。
 少しずつ意識は覚醒し、ぼんやりとにじんだ視界が鮮明になる。
 俺を覗き込むように見ているのは、明美さんだ。
 中々起きない俺に困り果てていたのか、目を開けた俺の姿を確認すると表情を明るく咲かせ、そして胸を撫で下ろした。
「おはようございます」
「おはよ。朝ごはん、できてるよ」
「あ、どうもっす。すいません、手伝いの一つもしなくて」
 ニコリと笑って僅かに首を振り、すっと立ち上がって部屋を出て行く。
 きっと、気にしなくてもいいということなのだろう。
 一応俺は居候という立場なのだが、まるで客人のようなもてなしを受けているのだが……正直気が引ける。
 そう思うのならばもう少し早く起きて、せめて米くらいは研いだらどうだと思うのだが、身体が付いてこないわけで。
 情けない自分自身にため息を漏らしつつ、寝巻きから作業着に着替える。
 さて、今日も仕事を頑張ろう。
583 ◆iYpdzeKy5k :2008/05/23(金) 03:12:34
 台所に降りると、すでに一家全員が顔を揃え、朝食のときを今か今かと待ち構えている様子だった。
「おせーぞ居候っ」
 真っ先に悪態をついたのは拓海だ。
「すんません。なんかやけに眠くて」
「仕事の疲れかねぇ」
 はっはっは、と笑いながら祐一さん。それに釣られるように、明美さんも笑みを漏らす。
 一家団欒の、暖かな朝食の雰囲気。
 しかしその中で、ほんの僅かも表情を変えることなく、ただひたすらに虚空を眺める少女が一人。
 銀色の髪の毛、真っ白な肌、細い身体、深紅の瞳。
 見慣れることはないだろうと思っていたこの特異な容貌も、数日も毎日見ていれば慣れてしまうもので、人間の適応能力というものにつくづく感心させられる。
「……海、おはよう」
 数日前の一件以来言葉を交わしていないこともあり、極力優しく聞こえるように細心の注意を払って話しかける。
「おはよう。遅いわよ、もう少し早く起きられないの?」
 帰ってきた答えは、いつもの海だった。
 数日前のあれは海の中で、なかったものとしてされているのか。
 それとも、あえて気にしていないのか。
 そのどちらかは判断が付かないが、ひとまず海の考えに便乗しておく。
「悪かったな。育ち盛りなんだよ」
 いつもと同じように、そう答えを返した。
584 ◆iYpdzeKy5k :2008/05/23(金) 03:13:35
 テーブルに並べられた朝食もずいぶんと減り、食べ終えた拓海は席を立ち、居間でニュースキャスターとにらめっこを始めたころだった。
「空人君、君に渡すものがあるんだがぁ」
 と、俺の正面に座った祐一さんが、胸ポケットにねじ込まれた茶封筒をテーブルの上に置く。
「なんですか、これ」
 ひとまず手に取り中を確認してみる。
 中には見慣れた、あの紙切れ五枚が入っていた。
「……これ、多すぎません?」
「いーや、君の働きに対する正当な報酬だよ。たった数日の間だったけど、本当にいい仕事をしてくれた。感謝しているよ」
 それにしたって、絶対に多すぎる。
 これが千円札なら、まだわからなくはない。しかしこれは一万円札、それも全て。
 たった数日の、それも半日程度しか働いていないのに。
「だ、だけど……」
 寝床と食事まで貰って、その上こんなにお金まで貰って、どうしていいのかわからなくなる。
 俺ももう18歳、まっとうに仕事をしてこれだけ稼ぐことがどれだけ大変か知っているつもりだ。
 それだからこそ、これを黙って受け取るなんてことはできない。
「いいから、受け取りなさい。それとも、人の厚意を突っぱねるかい?」
「……そう言われるとなんとも。ずるいですね、ほんと」
 立ち上がり、額がテーブルにぶつかるすれすれまで頭を下げる。
「ありがとうございます」
 そう答えるしか、思いつかなかった。
 言葉でいくら飾ったところで、感謝の気持ちなど表すことなどできないと思ったから。
「うん。それでだ、今朝早くにね、チェーンが届いたんだよ。最初に、チェーンが届くまで働いていくって約束だったから、仕事は昨日で終わりだ」
「え、そうなんですか?」
 祐一さんは小さく頷き、優しさに満ちた目で俺を見つめた。
「そうなんだよ、残念だけどね」
 そこで一呼吸を置き、話を続ける。
585 ◆iYpdzeKy5k :2008/05/23(金) 03:14:17
「それで、提案があるんだけどね……」
 祐一さんの提案とはこうだった。
 メンテナンスもろくに行われていない自転車だから、旅の途中でまた別のトラブルに見舞われるかもしれない。
 なので、自分がメンテナンスをしておく。
 そして俺は、明日から始まる旅に備え、今日一日を休養に当てて、明日の朝出発してはどうか。
 工賃やその他は給料からすでに差し引いてあるから、何も遠慮は要らない。
 休養やメンテナンスが不要なら、差し引いた分を渡す、という提案だった。
 もちろん断る要素が見当たらず、俺は二つ返事で了承の答えを返す。
 それに断ったところで、なんだかんだでその提案を呑むことになるのであろうことは目に見えているのだし、素直に甘えておくことにした。
「海、今日はお前も手伝わなくていいぞ。最後になるんだから、空人君とゆっくりしていなさい」
 黙々と箸を動かし続けていた海の手がピタリと止まり、ゆっくりと祐一さんの顔を見た後、俺の顔を見た。
 数秒間、無言で俺の顔を伺い、そして小さく頷き、再度祐一さんを見る。
「うん、わかった」
 そう答えを返し、再び箸を動かし始めた。
「と、いうことで、空人君。昼過ぎにはメンテナンスも終わると思うから、二時くらいになったら作業場に来てくれるかな。サドルとブレーキバーの調整は本人立会いでやったほうがいいだろうからね」
「はい、わかりました」
 そう答えたところで海は朝食を全て平らげ、食器を重ねて流し台に運ぶ。
「ご馳走様です」
 それだけを言い残して、台所を後にした。
586 ◆iYpdzeKy5k :2008/05/23(金) 03:14:55
 朝食後、それぞれがそれぞれの生活に散ってゆく。
 祐一さんは作業場へ仕事に出かけ、明美さんはパートに出かけ、拓海は大学の友達と遊びに行くと言いどこかに出かけて行った。
 家に残った俺と海は、特にやることもなく、ただ与えられた怠惰な時間をだらだらと浪費していくだけだった。
 縁側の日陰の下で、二人並んで座るその姿は、はたから見たら一体どのように写るのだろう。
 遠くに見える海は陽炎に揺れ、青々と茂る草木が風に揺れる。
 夏の風景が、目の前に広がっていた。
 付きっぱなしにされたテレビから流れる、白球をバットではじき返す音を吸い込むように、蝉の鳴き声が広がってゆく。
「ねえ、空人」
「んー、なんぞや」
「あの時のこと。私、まだちゃんとした答えを聞いてなかった」
「あの時のこと?」
 数日前の一件の、どの部分に対してなのだろうか。
 思い当たる節が多すぎて、どう答えていいのかを戸惑う。
「男は女を守る。それは、貴方が言ったこと、よね?」
「……ああ、言ったな」
 間違いなく、言った。
 なんと答えていいのか考えあぐね、そしてようやく出た答えも、俺の考えとはどことなく違っていた。
 それでも、この答えは、俺は正しいと認識している。
「貴方の言う男って、私の立場で言うと……誰になるの?」
「それはー……誰だろうな」
 また難しい質問だった。
「お隣から貰ったスイカがあるの。取ってくるから、それまでに考えておいて」
 そう言って、海は微笑を漏らした。
 柔らかいその表情は、今の今まで俺が一度も見たことがない表情だ。
 その柔らかい笑みに、心臓が僅かに跳ねる。
「……反則だろ、それは」
587 ◆iYpdzeKy5k :2008/05/23(金) 03:15:33
 苦笑を漏らし、独り言。
 海の問いかけは、どのような答えを期待しているのだろう。
 それはよくわからない。
 だけど、俺の答えは決まっていた。
 祐一さんでもなく、拓海でもない。
 そしてそれは、俺でもない。
 渡り鳥と小枝の関係、それが俺たちの関係。
 明日の朝には俺はここから旅立って、またお互い、別の日常を歩く。
 だからこそ、俺の気持ちがどうであれ、俺が守るなんてひっくり返っても言えない。
 というか、俺の気持ちだってそもそも、まだその域に達していることなんかないのだから。
 だから、俺の答えは決まっていた。

 スイカを載せた皿を持ち、縁側に現れた海。
 その顔に先ほどの笑みはなく、いつもの無表情だ。
「海、さっきの答えだけどな……」
 俺は、迷うことなく、俺の心の中にある言葉で、答えた。
588 ◆iYpdzeKy5k :2008/05/23(金) 03:16:10
 二時を少し回ったころ、祐一さんに言われた通り作業場に行くと、洗浄まで終えられた状態で俺の自転車が片隅に鎮座していた。
 油や埃で黒く汚れていたはずのチェーンやクランク、スプロケットは本来あるべきはずの色である銀色に輝き、汚れにくすんだフレームも輝きを取り戻していた。
 祐一さんを探すが姿が見えなかったので、とりあえず試運転をしてみる。
 広い作業場をぐるぐると回り、サドルの高さやギアの回りを確かめ、最後にブレーキの具合を見る。
 どれもこれも完璧だった。
 サドルの高さは前よりも少し高いが、腰にかかる負担がずっと少なく感じるし、ギアの動きも滑らかで、ブレーキの効きもいい。
 そして気づいたのだが、ステムが今までと別のものに変わっている。
 今までが20度のものだったが、5度に変更されている。
 なるほど、サドルの位置が上げられたのはそのためか。
 今までよりも前かがみになることにより空気抵抗を減らすことが出来るし、腰にかかる負担を腕に分散できるので、長距離に向いている。
 さらにこの角度ならどのポジションを取るかで大幅に機能性が変わるので、身体の楽さ以上に状況に応じての幅がとてつもなく広がった。
「どうだい、調子は」
 いつの間にか祐一さんが俺の後ろに立ち、ニコニコと笑みを浮かべていた。
「すごいっすね、これ……」
「今までよりは長距離ツーリングに向いているようにしたんだけど、もしかしたら体格に合わないということもあるから、少し心配もしていたんだけどね。いい感じ?」
「ええ、とても」
「一応これでも、本職はロードのメカニックだからねぇ。これくらいはできないと笑われるよ」
「え、本職はロードなんですか?」
 言われたことをそのまま質問にして返すと、祐一さんは意外そうな表情をして答えた。
「あれ、知らなかったんだった? てっきり、海かその辺りから聞いているものだとばかり思っていたんだけど」
「いや、まったく聞いたことなかったです」
 納得した。
 本職のメカニックなら、こんな大掛かりなメンテを行えてしまうのも納得だ。
589 ◆iYpdzeKy5k :2008/05/23(金) 03:16:47
「なんで今はモータースを?」
 何気ない問いかけだった。
 本当に何気なく、問いかけただけだったのだ。
 祐一さんの表情に僅かな影が生まれ、それが段々と大きくなり、そしてとうとう顔全体に影が生まれた。
「……そうだね、空人君には言ってもいいかもね」
 少しの間、考えるような仕草を見せて、そう言うと、祐一さんは自転車を持ち上げ、作業場の隅に立てた。
 その反対側のベンチに座り、隣に座るように促す。
 それに従いベンチに座ると、祐一さんは語り始めた。
「海は、病気なんだよ。あの見た目、普通じゃないのはわかるだろう?」
「……はい、それはまぁ。どういう病気なんですか?」
「アルビノ……色素欠乏症って言ったほうがわかりやすいかな?」
「……色素欠乏……じゃあ、あの髪も、肌も、目も、全部?」
「そういうことになるね。眼皮膚白皮症I型っていうのが詳しい病名で、主な症状として、メラニン色素が作られないから紫外線に対する免疫がない。それと、弱視」
 どこかに行くわけでもなく全身くまなく日焼け止めクリームを塗る海の姿を思い出す。
 紫外線に対する免疫がないから、クリームを使ってそれを阻害する。そのために、どこかに出かけるでもないのに日焼け止めクリームを塗っていたのだった。
 そしてたった数メートルの移動でも日傘を使い、真夏なのにもかかわらず長袖を着用していた理由も、これで氷解した。
 弱視に関しては、きっとコンタクトでもつけているのだろう。
 考えてみれば、目が悪い兆候はいくつかあった気がする。
 仕事初日、海がアシスタントについてくれた時だって、俺にスパナを渡した後に確認を取った。
 単純に知識がないからだと思っていたが、ママチャリの整備で使うスパナの種類なんてたかが知れていて、俺が要求した以外のスパナは5mmと25mm。
 そんなもの確認を取るまでもなく明らかだ。
590 ◆iYpdzeKy5k :2008/05/23(金) 03:17:45
「メカニックっていうのは、選手についていろいろな場所に行かなければならないから、家を空けることが多くてね。恥ずかしながら、あのころは自分のことで精一杯だったから、海のことを考えている余裕はなかったよ」
「だけど、明美さんや拓海が……」
「明美は明美で、自分の夢を適えて調理師の仕事をしていたし、拓海もそのころには学校に通っていた。あのころから拓海は、海を一人にしておくのが心配だと言っていたが、拓海の言葉は僕たちの耳には入らなかった」
「……何か、あったんですか?」
「あれは、ちょうど今日みたいに、真夏の暑い日だったかな」
 祐一さんは言葉を止め、窓の向こう側を眺めた。
 釣られて視線を追うと、小枝にへばりついた蝉が一匹、これでもかといわんばかりにその鳴き声を響かせている。
「僕は長野で開かれた大会に選手と同行していて、明美も明美でちょうど忙しい時期だったから、泊りがけ。拓海も部活の合宿で、家を空けていた」
 それは、本当に偶然が重なっておきた出来事だった。
「海は当時住んでいた場所のお隣さんに世話をしてもらっていたんだけど、そちらはそちらで子供さんがいたからね。少し目を離した隙に、いなくなってしまったらしい」
 海が普通の、どこにでもいる女の子であれば、まだ救いがあった。
 だが、海は真夏の直射日光になど耐えられる身体ではない。
「結局、いなくなったことに気づいたお隣さんがすぐに見つけてくれた。当時住んでいた家の玄関で、倒れていたらしいんだ」
「……どうしてそんな」
「僕が病院に駆けつけたころにはもう明美も拓海も来ていてね、明美は泣きながら言うんだ。海が、私たちを呼んでいる、と。意識を失っている状態なのに、まるでうわごとのように、お父さん、お母さん、お兄ちゃん、と。海は何度も繰り返していたよ」
 どうしようもない気持ちに、胸が締め付けられた。
591 ◆iYpdzeKy5k :2008/05/23(金) 03:18:42
「それは……海が何歳のころですか?」
「確か、小学校一年生だから五歳か、六歳か、それくらいだよ。考えてみればわかることだったよ。それくらいの子供が、家族にどれだけ依存しているかなんて」
 どうしようもない偶然が重なって、重なって、そして起きてしまった悲惨な事故。
 それは誰が悪いわけでもなくて、本当に偶然が重なってしまっただけだった。
 だからこそ、いたたまれない気持ちが襲い掛かって、それを吐き出す場所もなくて、心が締め付けられるんだ。
「僕も明美も、自分を責めた。自分たちがもっと、しっかりとしていればと。そして決めたんだ、あの子のそばにいよう、とね。
僕はメカニックを辞めて、小さな自転車屋を開いた。今考えてみれば、まだ自転車に未練があったんだろうね。そして明美も、仕事をやめて家庭に入ってくれた」
「だけど、こんなところじゃ自転車屋なんて開いても……」
「そう、生活していけるお金なんて稼ぐことができなかった。自転車屋をする傍ら勉強して、車両整備士の資格を取って、自転車屋を辞めてモータースを開業したのさ。車なら、どこであろうとお客さんはいるからね」
 その話を聞いて気づく。
 海の大切な人が、大切な物を失う。
 それは、海にとってかけがえのない、家族の夢。
 祐一さんのメカニックという夢、明美さんの調理師という夢。
 海はきっと、自分のためにそれを捨て、せっかくつかんだ夢を捨て、そして今、自分と一緒にいると、そう思っているんだ。
 今でも迷惑をかけていて、これ以上迷惑をかけることなんかできない。
 その言葉は、祐一さんと明美さんに向けられた言葉なのだろう。
592 ◆iYpdzeKy5k :2008/05/23(金) 03:19:09
「だけどね、僕たちは後悔はしていないよ」
 ふいに、蝉の鳴き声がやんだ。
 ふと窓の外を見ると、小枝に止まっていたはずの蝉がいなくなっていた。
「……子は、宝だからね。自分の夢を捨てても、守りたいものっていうのは、あるんだよね。僕たちは、少し気づくのが遅かったけど」
 そして新たに、蝉の鳴き声。
 先ほどとはまた別の蝉が、別の鳴き声を奏でている。
「……さてと、まだ少し仕事が残っているから、そろそろ片付けてしまわないと」
 そう言って立ち上がると、吊り上げられた車へ歩み寄っていく。
「祐一さん。どうして、こんな大切な話を俺なんかにしたんですか?」
 足を止め、ガリガリと頭を掻き、そして振り返って、ニカッと笑い、答えを返した。
「さあ、どうしてだろうねぇ。僕もよくわからないよ」
 そう言って車の下にもぐりこんでいく祐一さんの後姿に、俺はもう何も言うことが出来ない。
 祐一さんに小さく礼をして、作業場を去った。
593 ◆iYpdzeKy5k :2008/05/23(金) 03:19:51
 日が開け、出発の時間。
 結局何をすることも出来ず、俺は一家に見送られ、あの暖かい家から旅立った。
 別れの瞬間は実に普通なものだった。
 まるで明日また会う。そんなように。
 左手に広がる、永遠のように感じられる広い海。それに沿う道を、ただただまっすぐに、走り続ける。
 それを眺めながら、思う。
 祐一さんは俺に何を望んでいたのか。
 そして、海も。
 考えた。祐一さんから全てを打ち明けられ、考えた。
 俺に何が出来るのか。俺が、何をすべきなのか。
 そして至った結論は、結局……何も出来ないという答え。
 海に問いかけられたあの言葉。
 自分が頼るべき男とは、誰なのか。
 俺はその問いかけに、なんて答えた?


『それは、海自身がこれから探さなきゃいけないと思う』


 それは体のいい逃げだった。
 だがそう答えた瞬間から、答えは決まっていたのだった。
 俺は何も出来ない。ただ今まで通りの日常に、戻るだけだ。
594 ◆iYpdzeKy5k :2008/05/23(金) 03:20:14
 そして海も、あの家族もみんな、今まで通りの日常に戻り、ふとした時に、そういえばあの時、あんなやつが居候していたな、と思い出すだけなんだろう。
 それは俺も変わらずに、あの時世話になった家族がいたなぁ、と思い返すだけ。
 渡り鳥と小枝。
 それは、その場限りの関係なのだから。
 渡り鳥はその小枝のことをよく知らず、小枝もその渡り鳥をよく知らない。
 だからこそ築くことが出来る関係も、やっぱりある。
 そして俺がその拮抗を崩せば、その関係も無くなってしまう。
 あの居心地のいい場所が、無くなってしまう。
 それが怖くて、結局俺は逃げた。
 頭を振るい、考えを飛散させる。
 何も考えるな。
 今はただ。
 前だけを向いて……走れ。
595 ◆iYpdzeKy5k :2008/05/23(金) 03:20:38
 その日の内に愛知県を走破し、三重の外れにて今日は休むことにした。
 目的地のおじさんの家まであと少し、明日には到着できるだろう。
 無我夢中で自転車をこぎ続けたためか、身体の疲労が限界に達していた。
 足はガクガクと痙攣を起こし、立っているのもやっとだった。
 本当は雨風がしのげられる場所で野宿をしたかったが、身体が限界を向かえ、俺はたまたま見つけた公園の芝生の上に、自転車もろとも倒れこむ。
 乱れた息は整う様子を見せず、疲れきった足も、腕も、身体も、頭も、全部が全部、動かすことも出来ない。
 何もする気力も体力もなく、目を瞑る。
 凄まじい眠気がそれと同時に思考に覆いかぶさり、意識が薄れていく。
 暗闇の中、まぶたの裏に移った、吸い込まれるような、深紅の瞳。
 段々と視点が遠くなり、その姿が映し出される。
 それは、たった一度だけ見せた、海の、柔らかい微笑み。
 あの時海は、何を思っていたのだろう。俺が、どう答えることを、望んでいたのだろう。
 俺が答えを返した瞬間。海は何を思っていたのだろう。
 目を伏せて、そっと俺の横にスイカを置いて、何も言わず立ち去って行ったあの時の海は、何を思っていたのだろう。
 目を開けて、立ち上がる。
 何を思っていたのだろう? 何を言っているんだ。
 そんなの、言われなくても。考えなくても……わかるじゃないか。
 俺の気持ちとか、海の気持ちとか、難しいことを考えるのは、もうやめよう。
596 ◆iYpdzeKy5k :2008/05/23(金) 03:21:04
 ただ、今。

 俺が、何をしたいのか。

 俺が、どうしたいのか。

 そして……俺は、何を望んでいるのか。

 ただそれだけを考えろ。それだけを見つめろ。そして答えを出せ。
 お前の頭はそんなこともわからないくらいに腐っているのか。ほら、答えは目の前に、手なんて、伸ばさなくても届くような場所にあるじゃないか。
 身体が悲鳴を上げている。馬鹿か、そんなことはどうでもいい。
 身体が限界でも、まだ大丈夫だ。
 心は、折れていないのだから。

 走った道を逆方向に駆ける。
 身体中の水分全てが流れ出ているのではないかと錯覚するほどに、身体中の汗腺という汗腺から汗が溢れ続ける。
 上手くバランスを取ることが出来なくて、何度も転びそうになる。
 その度に堪えて、前を見る。
 自分の身体のスレスレを大きなトラックが通るたび、風圧で倒れそうになる。
 その度に堪えて、前を見る。
 前だけを見て、走る。
 走れ、走れ、走れ、走れ。
 まだだ、まだ大丈夫だ。まだ、俺は走れるのだから。
 限界なんて、とうの昔に超えている。
 だけど、俺はまだ、走れる。
597 ◆iYpdzeKy5k :2008/05/23(金) 03:21:29
 この気持ちは、ただの同情なのかもしれない。
 病気を抱え育った女の子に対する、同情なのかもしれない。
 自分の所為で大切な人の夢を奪ったと思い込む、小さな、小さな女の子に対する、同情なのかもしれない。
 それはわからないけれど、ただ、今は。こうしたいんだ。
 何を言えばいいのかなんて、まったくわからないし、もしかしたら何もいえないかもしれない。
 それでも俺は、海に会いたい。
 一時間でも、一分でも、一秒でも早く。
 待っていてくれなんていわない。
 ただ、これだけを願う。

 ――俺の、本当の言葉が、届きますように。
598 ◆iYpdzeKy5k :2008/05/23(金) 03:33:27
とりあえず今回はここまで。次回で最終回。展開はえぇwww
中盤は説明ばっかですまん。後半も後半でなんかすまん

とりあえずいつもの脚注

クランク
広義でフロントギアのこと
細かく言うと長くなるから省略

スプロケット
リアギアのこと。こっちも長くなるから省略

ステム
ヘッドパーツにハンドルを固定するパーツ
角度は大きいほうが上向きになると思っておけばおk
ちなみに、アヘッドタイプという種類を作中では取り扱ってる

アルビノ(自転車用語じゃないけど一応)
先天的にメラニンが欠乏する遺伝子疾患。人間のアルビノは眼皮膚白皮症(T・U・V・W)型という病名が一般的。そのほかに、眼白皮症というのもあるそうで
作中に出てくる眼皮膚白皮症I型は一般的にアルビノとされる人に多い種類で、OCA1A、OCA1B、OCA1-TSの3種類に分類されてたりする
一応海の設定は、その分類の中のOCA1Aってことになってる
チロシナーゼとかいうのの活性がなくて、メラニンがまったく合成できないから髪銀色の肌真っ白の目真っ赤

と、こんな感じ
かなり駆け足で駄作オーラが漂ってまいりますが、あと少しお付き合いください

……ていうか、ツンデレになってねぇwww
599Mr.名無しさん:2008/05/23(金) 13:53:36
超GJ・・・上手いなぁ。
プロの物書きさんなのかな。
最終回楽しみにしてます。
600Mr.名無しさん:2008/05/24(土) 06:56:25
gj!最終回wktk
やっぱり文章上手いなぁ。なんか引き込まれる
同人とかやってる人?
601Mr.名無しさん:2008/05/26(月) 06:23:15
ほほ
602Mr.名無しさん:2008/05/28(水) 02:45:37
ho
603Mr.名無しさん:2008/05/29(木) 02:10:30
普通に面白い話って感じだね
604Mr.名無しさん:2008/05/31(土) 03:42:45
ほしゅ
605Mr.名無しさん:2008/05/31(土) 11:19:41
俺が小説にしようと思って考えたネタでも良ければどうぞ。嫌なら叩かずにスルーで

【作品属性】二次、ファンタジー・戦闘、ヒロイン2人が微妙に百合
【舞台背景】中世っぽいヨーロッパ
【ストーリー設定】旅先で2人の女戦士が出会う。性格の違いなどから最初は打ち解け
合わないが、襲ってきた竜を協力して倒し意気投合して旅を共にする。共に宝を探したり
未開の村や秘境などを探索したりモンスターを討伐したりして絆を深め合う。
 ある程度旅が進むと7人の強力な敵集団がストーリーのボス敵として登場し彼らとの戦い
が中心の話になる。
 尚、この世界の戦闘員は強さを数値で表す(DBの戦闘力に近い概念、ただしあそこまで
インフレは起こらない)。高いほど強く、相手より500高ければまず負けない、400高け
れば楽勝、300高ければ勝率80%位、200高ければ勝率60%位、100高い程度だとほぼ互角。
戦力値は飽くまで目安の数値であり、これ以外にも相性などによって勝敗が決まる。
低い奴が高い奴を倒すこともある。
【人物設定】
【ヒロインその1】・・・両手剣を使いこなす主に接近戦担当。美人だが男勝りで少々
荒っぽいが基本的に仲間(その2)思いのいい娘。いつも荒っぽいがいつもヒロイン2の
事を思いやっている。戦力値は初期が約3000で、最終的に5000くらい。
【ヒロインその2】・・・魔法使いで主に遠距離戦担当。ヒロインその1の妹分的な存在
で控えめで優しい少女。普段は大人しいが内に強い熱意を秘めている。戦力値は初期が
約2500で、最終的に4400くらい。


【敵1】・・・大剣使いの青年。剣の腕も然ることながら魔法にも長けている万能の戦士。
7人衆の首領で他の6人を問題にしないほどの強さを誇る物語のラスボス的な存在。比類無き
戦闘力能力のみならず、常人では手に負えない荒くれ者達6人を統率するリーダーとしての
素質も兼ね備えている。当初は自身の腕を鍛えるため各地を放浪して強い相手を求め、見つけては
戦闘で勝利し、勝利した仲間は全て部下にしている。彼の配下の6人も全てこの様にして彼の側に
ついた。その反面で1度部下にした仲間達は思いやっており、部下の多くも彼に反感を持つよりも
支持する者の方が多い。戦力値は7000
606Mr.名無しさん:2008/05/31(土) 11:23:13
【敵2】・・・弓と短剣を用いた戦いと回復魔法を用いる女のダークエルフ。リーダーで
ある敵1を慕っており恋愛感情の様な好意も抱いている。7人の副首領で参謀的な役割を担う。
外見は美貌を持つ20代前半〜半ば程度の若い女性の姿だが、エルフなので実年齢は数100歳と7人
では最年長。女だてらに副首領の地位も伊達ではない高い戦闘能力を誇る。またエルフ特有の高い
生命力に加え高度な回復魔法も兼ね備えている為、大ダメージや重症を負わせて倒したつもりでも
すぐに回復してきて、なかなか倒れない。基本的に冷静で敵に対しても落ち着いた態度を取るが、
リーダーである敵1を侮辱されると酷く怒る。 戦力値は5000

【敵3】・・・火薬や毒等の化学兵器を用いた戦闘をする錬金術師。頭脳戦が得意で炎や爆発物や、
毒ガス、毒液等を使って敵を攻める。敵1と出会って仲間になる直前に戦場で戦えない姿となった敵4
を発見し、彼の脳を取り出してサイボーグにした男。敵4からは戦士生命を救った恩人として尊敬
されている。戦力値は4800

【敵4】・・・かつては優秀な戦士だったが、戦いに敗れて死に掛けた過去を持つ男。その際
に体は無残にも破壊され脳だけが生き残っている状態のところを錬金術師の3に発見され、
「再び戦えるように」と、脳だけを取り出して貰い、3の作った機械の体に入れられた。
サイボーグといっても巨大な塔を思わせる筒の様な体で7人中で唯一人間の姿をとどめていない
が、改造してくれた敵3の事はかなり尊敬している。塔の先端から炎を噴き出したり大砲の様に
金属片を発射したりして戦う。ロボットの様な機械的な音声で喋る。
 手足は無く移動は筒の下に取り付けられた車輪で行う。その姿はさながら「動く砲台」や
「生きた攻城兵器」を思わせる。その姿や戦闘方法などからも想像が付く様に、戦闘では主に遠距離から
建物や城壁を破壊する事を担当する。またメインの大砲の他にも脇に多数の小銃が取り付けられており、
建物でない人間に対しては小銃で攻撃する。地下からポンプの様に鉱石を汲み出して自動的に弾として
重鎮する機能があり、そのため弾切れになることは無い。戦力値は4700
607Mr.名無しさん:2008/05/31(土) 11:26:02
【敵5】神に仕える身でありながらも平然と殺生を行う邪悪な武装修道士。武器は法衣の
内側に隠し持っている、剣の様な長い刃の付いた鎖鎌。鎖を投げて標的の身体に巻き付かせ手繰り
寄せて刃で斬り付ける他に、鎖で相手を締めたり鎖を鞭の様にして相手を殴りつける等の攻撃方法がある。
鎖鎌は攻撃以外にも使い道があり、長い鎖の余った部分を法衣の下の身体に巻きつけて鎧(鎖かたびら)
として用いたり、刃の部分を投げて壁などに刺し込み、鎖を使って壁面を垂直方向に登るなど、防御や
移動に用いたりもする。修道士なので薬草や毒草等の研究も行っており、それらから摘出した毒は鎖鎌
の刃の部分に塗りつけたり、敵3に支給したりしている。また薬を体力回復に用いる事もある。
戦力値は4900

【敵6】白兵戦に特化した三刀流の使い手。2本の長剣を左右の手に1本ずつ持ち、3本目を
口に銜えて装備する。表では武器商を営む柄の悪い青年。能力は攻撃力と素早さが高い。戦力値は4600

【敵7】敵4を除けば圧倒的な巨躯を持つ筋肉質な体の大男。オーガの様にも見えるがれっきと
した人間。鎖を付けた鉄球や金属製の棍棒などを用いた力押しの戦い方をするが、素早さや
機動性は低く攻撃のスキも大きい。単細胞で乱暴な性格、頭脳戦は苦手としている。イカツイ
外見に反して7人中で最も弱い事とされている。戦力値は4000
608Mr.名無しさん:2008/05/31(土) 12:32:26
味方キャラの中にはヒロイン達と旅を共にする者もいるが、全員がそうとは限らない。
ただし、いずれもヒロイン達を何らかの形でサポートする。

【味方キャラ1】エルフの青年。敵2と同じく外見は若い美少年だが数100歳。
敵2の事は少なからず知っており、エルフを裏切って悪の側に寝返った彼女に
反感を抱いている。敵2と同じく弓と魔法を用いた戦いをするが、敵2より
も体術や弓には優れ、逆に魔法では劣る。戦力値は凡そ5000位。

【味方キャラ2】恰幅の良い大柄なドワーフの大男。陽気で大食いで仲間思いの好漢
だが、ドワーフとエルフとは種族同士の仲が悪いために味方1とか反りが合わない。
しかし必要があれば種族間のしきたりに囚われず、積極的に互いに協力する柔軟性も
兼ね備えている。戦力値は約4800

【味方キャラ3】絶世の美貌を持つ竜神族の少女。普段はか弱い美少女の姿だが、戦闘時
には桜色の鱗と翼に蒼い眼を持つ巨大なワイバーンに変身する。現在では竜神族は殆んど
滅びかけており、彼女の仲間も多くが死んでいる。現在は山中で人間から動物を守る様に
して暮らしている優しい少女。人間時の戦力値は普通の人間と大して変わらず500程度だが、
変身後は6000程にもなり、物語中で最強クラスの戦闘能力を誇る様になる。
609Mr.名無しさん:2008/06/02(月) 17:12:57
過疎ってきたな…
てか職人さん達よ
お願いだから途中でなげだすなよ
俺は全部続き楽しみにしてるんだから

早く帰ってきてくれ
610Mr.名無しさん:2008/06/02(月) 22:25:40
職人も去り
絵氏も去り
このスレも過疎期か
611Mr.名無しさん:2008/06/03(火) 03:54:36
なあに気長に待つさ
612Mr.名無しさん:2008/06/05(木) 00:13:41
職人もこれだけやってるわけじゃないだろうからなぁ
続きは欲しいが急かしたりはしないぞ
自分のベースでやってくれ
613Mr.名無しさん:2008/06/05(木) 06:44:48
ドクオだし待つのはなれてるさ
614Mr.名無しさん:2008/06/05(木) 09:14:40
悲しいこと言うな
615Mr.名無しさん:2008/06/06(金) 13:56:09
(´;ω;`)ブワッ
616Mr.名無しさん:2008/06/07(土) 00:18:04
hosyu
617Mr.名無しさん:2008/06/09(月) 01:35:05
618Mr.名無しさん:2008/06/09(月) 14:24:46
何か幽霊の話とか書いてた職人はどこ行ったんだ?
もう投げだしたのか?
書きためてるのか?

もちろん帰ってくるんだよね?
619Mr.名無しさん:2008/06/12(木) 02:12:22
そうに決まってるじゃないか
620Mr.名無しさん:2008/06/12(木) 13:12:18
職人も絵師も
それぞれ違うスレにいたお
621Mr.名無しさん:2008/06/12(木) 22:19:50
俺今小説書いてるけど…全然完成形が見えない

なんとか6月中には投下したいけど
小説書くって難しいんだな
622Mr.名無しさん:2008/06/13(金) 23:11:49
hosyu
623 ◆TSElPlu4zM :2008/06/14(土) 03:50:57
>>618
済みません……。投げたわけじゃないです。
他板で連載してるSSがあって、2年近く書いてて未だ終わりが見えななくて、
終わるまで3、4年かかるんじゃないかなぁ、って感じでそちらに集中してしまってる状態なんです。
ちなみにSSの方は、軽く文庫本5冊分の文字量超えてるらしいんですが……。
当スレ作品も完結させたいので、近く再開する予定です。
個人的に会社が潰れそうだったり、再就職先さがしたりもありまして、
落ち着くまで大変申し訳ないですが、今しばらくお待ちください。

>>621
書き慣れだと思いますよー。
書く事、見せる事を恥ずかしがるのが一番良く無いと思います。
書く事で完成が見える事もあるし、お互いガンガリましょう。
624Mr.名無しさん:2008/06/14(土) 18:03:42
   .o______________o
Y⌒Y||三 ;;;;;;;; 三 ;;;;;;;; 三 ;;;;;;;; 三 ;;;;;;;; 三||Y⌒
 ̄l ̄||三 ;;;;;;;; 三 ;;;;;;;; 三 ;;;;;;;; 三 ;;;;;;;; 三|| ̄ ̄
 ̄ ̄'||\ '';;;'';;;,,  '';;;'';;;,,  '';;;'';;;,,  '';;;'';;;, \. ̄
    `" || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||,
     `"     ______      "''
             |ペンキ  .|
             |塗りたて|
             ̄ ̄|| ∧,,∧
         ∧,,∧   ||(´・ω・) .∧,,∧
        (;;;`・ω)  ⊂   し) (ω・´;;;)
          (;;U   ∧,,∧`u∧,,∧( ∪;;;)
         `u-u(;;;;;;;`・) (;;;;;;;;;;;;) `u-u'
            (;;;;;;;;;∪(;;;;;;;;;;;;;) 
             `u-u'  `u-u'
625Mr.名無しさん:2008/06/17(火) 01:04:09
hosyu
626Mr.名無しさん:2008/06/19(木) 06:46:40
ほしゅううう
627Mr.名無しさん:2008/06/21(土) 22:23:07
ほしゅ
628Mr.名無しさん:2008/06/23(月) 03:36:22
waitng
629Mr.名無しさん:2008/06/24(火) 06:41:52
ツンデレ成分不足
仕事に追われて書けない俺のかわりに
誰か、頼む…………

仕事いてくるか…………
630Mr.名無しさん:2008/06/25(水) 21:33:47
みんなどこに行ったんだお
これじゃツンデレじゃなくて
放置プレーだお
631Mr.名無しさん:2008/06/25(水) 22:14:06
文才なんて微塵もない俺だけど、今書いてる
632Mr.名無しさん:2008/06/26(木) 00:14:54
>>631
がんばれ期待しているぞ
633Mr.名無しさん:2008/06/27(金) 17:01:49
小説投下する。もともとこのスレのために書いたやつじゃないから
ツンデレ分が少ないかもしれないけど勘弁してくれ
634Mr.名無しさん:2008/06/27(金) 17:02:58
青春=高校時代である、というイメージが世間に定着しつつあるが、残念ながら全ての人間がそうというわけではない。
部活もしてない、頭もよくない、彼女もいない。
おそらくこれから始まるラスト1年の高校生活も大した出来事もなく終わるだろい…そう悟っているやつらだっている。
そんな奴らの高校生活が"青春"だなんてとても言えない。
けど、浪費でしかないとわかりきってる日々を続けるなんて、酷く空しいことだと思わないか?


「…驚いたな。玲二がそんな感傷的なことをいうなんて」
失礼な。俺は常にセンチメンタルな男だ。
「いつもの玲二ならそんな自虐的なことは言わないよ」
自虐的?
「ってことは、お前は俺のことを浪費でしかない日々を送る寂しい男だというのか?」
「言ってて虚しくない?」
…確かに。
俺、矢嶋玲二のここのところの生活も"青い春"とは言い難い。
「だな…なんかおもしれえことでも起きりゃあな…」
心の中で自分の言葉に反論する。

起こるはずがない。
そもそも「おもしろいこと」なんてものは自分から動かないと起きないものだ。
漫画やアニメじゃ自分と同い年ぐらいのやつが、海賊王を目指したり、訳のわからん武闘会に出場したりしている。
彼らの中にひとりでも俺のように受動的な人間がいただろうか。
それがわかっていても俺は自分から動かない。
つまり、俺には生まれつき主人公になる資格がなかったってことだ。
635Mr.名無しさん:2008/06/27(金) 17:05:58
「簡単に起こるわけないだろ?」
山田の言葉が俺を現実に引き戻す。
「何事も、自分から動かなくちゃね」
こいつの言うことはいちいち正しい。だから時々腹が立つ。
「多分玲二は自分はは主人公って柄じゃないとでも思ってるんだろうけど」
考えていることを読むな、気持ち悪い。
「案外そうでもないと思うけどね」
…?

「あーっ、またこんなとこで授業サボって!」
ああ、またうるさいやつが。
「誰がうるさいやつよ!」
いかん、口にでてたか。
「とっとと教室に戻りなさいよ!」
俺と山田は揃って5時間目をサボって屋上にいた。どうやらもう6時間目が始まるらしい。
それにしてもいちいちセリフに!が多いやつだ。
「次の授業までまだ時間あるだろ」
「次は移動授業よ」
目の前で説教を続けるこの女、広瀬美咲は俺たちのクラスの委員長だ。
俺は小学生のときからこいつに目の仇にされている。
それは君が鈍感で彼女の気持ちに気付けていないだけでしょ?、なんてうれしいこともおそらくないだろう。
636Mr.名無しさん:2008/06/27(金) 17:08:48
なぜなら、
「啓介、あなたも早く教室に戻って。啓介がいないと、私…」
広瀬は俺のとなりにいる、山田啓介と付き合ってもう4年目になるからだ。
「ああ、わかったよ美咲」
爽やかに微笑みながら、広瀬の頭を撫でる山田。
はにかんだ笑顔を見せる美咲。
完全にふたりの世界に入っている。
ふたりは手を繋ぎ、仲良く寄り添いながら階段に向かっていく…もう俺は完全に無視かよ。
缶ジュースの残りを流し込み、俺も階段のほうに向かった。


とりあえずここまで。駄文でごめん。
637Mr.名無しさん:2008/06/27(金) 23:55:11
ガンガレ
638Mr.名無しさん:2008/06/30(月) 21:13:27
ほしゅ
639Mr.名無しさん:2008/07/02(水) 08:46:17
しゅ
640Mr.名無しさん:2008/07/04(金) 03:21:59
641Mr.名無しさん:2008/07/06(日) 20:34:23
>>636続き
6時間目は美術。絵を描くのは嫌いじゃないが、色を塗るのはどうも苦手だ。
適当に絵の具を塗り重ねていく。
気がつくと、目の前にはとても風景画とは思えないどす黒い絵が完成していた。
まるで今の自分の生活が反映されているようで、テンションが下がった。

途中、ふたりで仲良く絵を描いている山田と広瀬を見た。
どんだけバカップルなんだお前らは。っていうか絵ヘタすぎだろ広瀬。

「それじゃあ僕たちは部活に行くから」
山田は軽音楽部、広瀬は吹奏楽部に所属している。ふたりとも5月に控えてる文化部の発表会が近いからか、部活が忙しい。
親しい友人が少なく、帰宅部の俺は必然的にひとりで帰ることになる。
「わかった。ふたりとも頑張れよ」
「ああ、ごめんね」
「じゃあね、暇人」

誰が暇人だ。まあいい…あれ?
ポケットに自転車の鍵が入っていない。
最悪だ、本当についてない。どこに落としたのだろう。
取りあえず思いつくところを探すしかないな…

642Mr.名無しさん:2008/07/06(日) 20:36:11
ダメだ、見つからない。
教室、廊下と食堂はあらかた探したし…あとは屋上か。
俺は階段を駆け上った。4階まで登るのは意外としんどいな。
ドアを開けると赤みがかった空が一面に広がる。
綺麗だが、どこか虚しさも感じさせる空の色。心なしか、昼間描いた絵に似ているような気がした。
不意に空から目をそらすと、金網に寄りかかっていたひとりの女子生徒が視界に入ってきた。

彼女がこちらを向く。
冗談じゃなく、本気で天使だと思った。
目が合う。
腰まである黒くツヤのある髪。
思いのほか力強い大きな瞳が俺を射抜く。目をそらすことができなかった。

えらい美人が、そこにいた。

「…じろじろ見ないでください」
そう言われて自分がアホな顔で彼女に見とれていたことに気付いた。
「気味が悪いです」
…そこまで言わなくてもいいんじゃ?
気まずくなって目をそらす。
すると、彼女が右手に何かを握りしめていることに気付いた。
「…あ、それ」
鈍く光っているのは間違いなく俺の捜し物。
「あのさ、それ俺の」
「近寄らないでください」
643Mr.名無しさん:2008/07/06(日) 20:37:01
とてて、と素早く俺から離れる彼女。
「…それ、俺の自転車の鍵なんだけど…」
とりあえず鍵は返してもらわないと困る。
「それが何か?」
…何かむかつくな、コイツ。
「それがないと俺困るんだよ」
「私が拾ったんだから私のものです。」
…どこのジャイアンですかコイツは。
「返せよ!!」
ちょっと強い口調で言ってみる。
彼女はビクっと体を震わせたが、
「…やーです」
と言いやがった。
こいつは…
俺は彼女に詰め寄り、上から見下ろす。意外とちっさいな。かなみより大分小さいし155cmぐらいか。
顔を近づけると、彼女の顔が心なしか赤く染まった、気がした。
やっぱ顔はすごく可愛い。顔だけなんだけど。
彼女は上目使いで俺の様子をちらちら伺っている。
こ、これが"萌え"なのか?!
そんなアホなことを考えていると、不意に彼女が呟いた。
「…うしろ」
うしろ?振り返ってドアを見る。隙間から覗く見慣れた4つの目。

あの変態覗き魔コンビめ…

644Mr.名無しさん:2008/07/06(日) 20:37:34
「山田、広瀬!何やってんだよお前ら!!」
「あ…バレちゃったか」
「えへへ、ごめん」
全然反省していない…このバカップルが。
「何でこんなところに…」
「いやあ、さっき部活が終わってさ」
何、もうそんな時間か?
「美咲と二人で屋上でいちゃつこうと思ったら」
「先客がいたってワケよ」
「しかもそれが玲二と見知らぬ女の子ときたら」
「見守るしかないでしょ?」
一般的にその行為は覗きと呼ばれる。
「それよりさっきの女の子は何処行ったの?」
美咲の声で俺が振り返ったとき、彼女はすでに姿を消していた。
忍者かあいつは。

今日は歩きで帰るしかないな…
645Mr.名無しさん:2008/07/07(月) 14:36:14
GJ!
盛り上げていこう
646Mr.名無しさん:2008/07/09(水) 03:38:38
七夕も終わった
647Mr.名無しさん:2008/07/10(木) 02:56:32
>>646
かといって何も変わらない・・・
648Mr.名無しさん:2008/07/12(土) 04:27:44
また1年後まで
649Mr.名無しさん:2008/07/14(月) 03:15:58
650Mr.名無しさん:2008/07/16(水) 03:54:44
651Mr.名無しさん:2008/07/17(木) 01:49:26
652Mr.名無しさん:2008/07/18(金) 13:38:22
だっだーん
653Mr.名無しさん:2008/07/21(月) 01:58:59
654Mr.名無しさん:2008/07/23(水) 03:04:32
655Mr.名無しさん:2008/07/24(木) 07:36:39
ツン度6の地震が・・・
656Mr.名無しさん:2008/07/26(土) 06:10:32
週末
657Mr.名無しさん:2008/07/28(月) 02:44:09
週明け
658Mr.名無しさん:2008/07/31(木) 05:21:01
週中
659Mr.名無しさん:2008/08/02(土) 01:45:24
8月
660Mr.名無しさん:2008/08/05(火) 02:05:54
ho
661Mr.名無しさん:2008/08/05(火) 03:00:48
ほす
662Mr.名無しさん:2008/08/05(火) 20:23:19
お久しぶりデス。
もう、話しを覚えている人もいないだろうけど・・・。

>>572の続き。

翌日、ミキは学校を休んだ・・・次の日も、その次の日も。
電話を掛けてもミキの声を聞けないで、虚しく呼び出し音が鳴るだけだった。
四日目の昼休みに、タカオがヲレの教室に来て、ちょっと顔を貸せと言い、ヲレを学校の屋上に連れて行った。
また・・・殴り合いになるのか?
覚悟は出来ていた。
だが、今回は違っていて、タカオはヲレを睨むと話し始めた。
「本当は今すぐにでもお前を殴ってやりたい所だが・・・もう喧嘩をしないとミキと約束したからな・・・」
ミキとタカオの二人の約束の話しなんかを聞くと心がザワザワとして落ち着かない。
タカオは、再びヲレの事を睨みつけると、
「もう、ミキに近づくな・・・ミキを泣かせるな・・・お前がフジサキとコソコソと付き合っているのは、
みんなが知っていることだぞ・・・ミキはそんな噂を聞くたびに悲しい想いをいていたんだ、
お前にはミキの気持ちが判るか?・・・ミキは、あいつはお前のことをそんなに想っていたんだぞ・・・悔しいけどな」
「ヲレは別にフジサキと付き合っている訳じゃないし、フジサキには他に好きな奴がいるんだぞ?」
その瞬間、タカオがヲレの胸ぐらを掴み上げた。
「フジサキはどう見てもお前の事を想っているだろが!ミキの気持ちも、フジサキの気持ちも弄ぶな!」
ヲレはタカオに突き飛ばされた。
タカオは背を向けて歩きながら、吐き捨てるように言った。
「もうミキに近づくな」
ヲレの脳裏の中からミキの笑顔が消えて行く気がした。
663Mr.名無しさん:2008/08/05(火) 20:24:26
結局、その週の間ミキは学校に来る事は無く、ヲレはヲレで腑抜けのような状態で、
ただボォっと時間だけが過ぎているだけで、部活も授業も、何も手に付かず・・・
今思えばミキのことばかりを考えていたのであろう。
放課後になっても部活に出ない日ばかりになっていた。
次の週になるとミキは学校に来るようになったが、登校しても教室から出ることなく、
教室を出るときはタカオが必ず横に居るしで、話しかけることも出来なかった。
それは、ヲレとミキが酷い終わり方をしたと学年中に噂されるような形になり、
ヲレは段々と・・・クラスからも部活からも孤立していった・・・。
664Mr.名無しさん:2008/08/05(火) 20:25:10
ヲレは失恋のショックから立ち直る事が出来ないで部活も出ずに、
放課後の教室で一人ウジウジと考える日が続いた。
考えても何も解決する訳でも無いし、女々しい気持ちに自分自身呆れて、
何をどうすればいいのか判らない状態だった。
逢う事も出来ない、電話もする事が出来ない・・・。
ヲレはどうしたらいいのか・・・なんでこうなってしまったのか・・・。
ただ、そんな・・・考えても答えが出ない事がグルグルと頭の中でループし続ける。
放課後の教室で、夕日に真っ赤に染まる校庭を眺めながらミキの事を思い出していた。
665Mr.名無しさん:2008/08/05(火) 20:25:54
ヲレしか居ない教室のドアが静かに開く音がする。
ヲレはその音を無視して、誰が入ってきたのか確かめもしないでいると、
背後から声が聞こえてきた。
「まだ教室に居たんだ・・・」
その声の主は振り返って見なくても判る・・・フジサキだ。
「あぁ」
ヲレは力なく応えた。
「一緒に帰ろうかと思って、自転車置場で待っていたんだけど・・・来なかったから」
カタンと近くの椅子を引き、腰を掛ける音がする。
「約束なんてしてないだろ・・・ヲレと一緒に居ると変な噂されるぞ」
実際、フジサキとヲレの事も皆に噂されていた。
「いいよ・・・そんな事どうでも・・・」
少し間があってから、フジサキがポツリと言葉にした。
666Mr.名無しさん:2008/08/05(火) 20:27:40
「私は・・・毒男君と噂になっても全然構わないし・・・」
ヲレはフジサキが言っている意味が理解できなかった。
「でもお前、好きな奴いるんだろ・・・」
「うん・・・」
段々と夕日が差し込み真っ赤に染まる教室の中で会話が続いた。
「学年一の悪者と話していると、お前まで一緒に悪者になるぞ」
冗談のようにフジサキに言ったが、ヲレを一緒に居る所を見られれば本当にそう言われる可能性が高い、
何も関係ないフジサキを巻き込みたくはは無かった。
「なんで、毒男君だけが悪者にならないといけないの?・・・恋愛ってそうゆう物じゃないと思うけど・・・
お互いが好きになって付き合って、その気持ちが離れて別れたのに、どちらか一方が悪者になるのって
変じゃない?・・・それっておかしいよね」
フジサキが冷静に話していうようだったけど、なにか内容のつじつまが合わないような気がした。
「だって、ヲレが悪いだろ・・・ミキを悲しませたんだし、それにフジサキまで巻き込んでしまって」
その瞬間、フジサキの表情が変わり、早口で話し始めた。
「私、見ていたから言うけど、毒男君だけが悪い訳じゃ無いじゃない、アカギさんだって後ろめたい所があるんじゃない?
最近、いつも回りに居る男の子がいるじゃない、幼馴染って話しだけど・・・結局は毒男君と両天秤に掛けたんじゃない?
それでいて毒男君だけ悪く言われるのって変だよ、おかしいよ、納得行かないよ!」
フジサキの顔が怒りで赤くなるのが、夕日が差し込む教室なのに判るような気がした。
「落ち着けよフジサキ・・・なにもお前が、そんなに怒る事は無いだろ」
ヲレの言葉を聞くと、フジサキは我に返ったらしくハッっとした顔をした後に下を向いた。
667Mr.名無しさん:2008/08/05(火) 20:29:23
なんだか変な空気の中・・・無言が続いた後に、またフジサキがポツリポツリと言葉を口にする。
「アカギさんは・・・酷いよ・・・我侭よ・・・贅沢よ・・・自分勝手よ・・・相手のことも廻りの事も考えないし・・・」
振られたちは言え、ミキの悪口を言われると・・・やっぱり良い気分にはなれない。
「おい・・・フジサキ何言ってんだよ」
「だって、そうでしょ!可愛いから、明るいからって、毒男君と付き合ってダメになっても
すぐに違う人と付き合って、自分は何も悪くないみたいに、まるで悲劇のヒロインみたいに振舞って、
だったら最初から、その幼馴染の男の子と付き合っていればいいじゃない!」
フジサキがポロポロと流す涙が、制服のスカートに落ちてゆっくりと染み込んでいく。
泣き始めたフジサキに驚きながらも、前の追試の時を思い出していた。
フジサキは感情の起伏が激しいのかな・・・そんな事を考えられる自分が変に冷静に思える。
「フジサキ・・・もういいよ、そんなに泣くなよ」
その言葉を聞いてフジサキはゆっくりと顔を上げると、
「よくないよ・・・なんで・・・なんでなの? なんでそんなにアカギさんがいいの?」
フジサキは涙を流しながら話をする。
「なんでって、言われてもなぁ・・・人を好きになるのになんでって理由があるのではなくて、
その人が好きだから・・・好きになるんじゃないか?・・・上手く言い表せないけど」
自分の思っていることを上手く言葉で表現出来ない自分に苛立ちを覚えた。
668Mr.名無しさん:2008/08/05(火) 20:32:46
「・・・好きよ」

フジサキがポツリと呟いた。
「え?」
ヲレはその意味が判らなくて、聞き返した。
「私だって・・・毒男君のことが・・・前から・・・前から・・・」
そこまで言われれば鈍いヲレでも、次の言葉が想像できる。
「フジサキ・・・お前・・・」
驚くヲレの言葉を遮って、フジサキが告白を続ける。
「前から好きだったの! 毒男君がアカギさんと付き合う前より、ずっと前から!」
それは、まるで捨てセリフのように・・・フジサキはヲレへの告白の後に、足早に教室から出て行く。
ヲレは頭の中が混乱して状況が理解できないで、
ただ、その時はフジサキの言葉の意味を理解しようと必死になって頭の中を整理していた。
669Mr.名無しさん:2008/08/06(水) 11:54:05
久々投稿乙です。これからも楽しみにしてます。
670Mr.名無しさん:2008/08/06(水) 15:53:39
久々きたあああああああ
これはいい
671Mr.名無しさん:2008/08/06(水) 20:42:21
やっぱりこのスレは>>662なしじゃ始まんないぜ!
672Mr.名無しさん:2008/08/07(木) 13:51:00
このまま1000まで埋めちゃいなさいよ!
ずっと待ってたんだからね!
673Mr.名無しさん:2008/08/08(金) 22:29:47
ho
674Mr.名無しさん:2008/08/10(日) 03:22:33
やっと盛り上がってきたね
675Mr.名無しさん:2008/08/12(火) 23:40:53
ho
676Mr.名無しさん:2008/08/15(金) 05:11:07
有明保守
677Mr.名無しさん:2008/08/17(日) 05:07:38
ほっしゅ
678Mr.名無しさん:2008/08/19(火) 23:55:09
hosyu
679Mr.名無しさん:2008/08/20(水) 20:50:01
盛り下がってきました
680Mr.名無しさん:2008/08/21(木) 20:45:53
>>668の続き。

次の日に、ヲレはどんな顔をして教室に入ればいいんだよ・・・と考えながら教室に入ると、
すでに自分の席に座っているフジサキがチラッチラッっとヲレの方を見てくる。
目が合うとにっこりとフジサキが微笑んできた。
ヲレはどうしていいのか判らないで、気が付かなかった振りをして目を逸らせてごまかそうとしたが、
目が合ったのに気が付かないなんて変な話しだし、昨日の事もあったので・・・なぜか愛想笑をしてしまった。
するとフジサキは、また嬉しそうに照れるように軽く微笑む。
フジサキみたいな美人で頭の良い女の子に告白され、
しかも次の日にヲレなんかと目が合っただけでも嬉しそうに微笑むフジサキを見ると・・・、
正直な話し悪い気はしないけど・・・今は素直に喜ぶ気分にはなれなかった・・・。
681Mr.名無しさん:2008/08/21(木) 20:46:59
そして昼休みになると、フジサキが話し掛けてくる・・・。
ヲレはニコニコしながら話すフジサキに小さな声で囁いた。
「おい、廻りの奴が変な目で見るから、離れろよ」
それを聞いたフジサキは不思議そうな顔をしながら、
「なんで?」と、聞いてくる。
「昨日も言ったろ・・・フジサキまで悪く言われる」
それを聞いたフジサキはクスクスと笑いながら、
「そんなのどうでもいいって言ったでしょ、人の噂なんか気にしなければいいよ、
それに・・・私の気持ちは毒男君に伝えちゃったし・・・」
そう言いながらフジサキはニコニコしてヲレの横の席に座って話し始める。
682Mr.名無しさん:2008/08/21(木) 20:47:37
なんだか昨日までのフジサキと雰囲気が違う気がする、
積極的と言うか、明るくなったと言うか・・・自分の言いたかった事を言って気持ちが軽くなったのだろうか。
普段、無口がフジサキが昼休みの間ずっとヲレに話しかけてくる。
ヲレはフジサキがこんなに話をする子だったとは知らなかった。
そして、昼休みが終わるチャイムが鳴るとフジサキは残念そうに席を立ち、
少し考えてからヲレの耳元で囁いた。
「今日、一緒に帰ろう・・・約束ね」
そう言うとヲレの返事も聞かないで、自分の席に戻って行った。
683Mr.名無しさん:2008/08/21(木) 20:48:22
授業中とかでも、ふとした瞬間にミキの事を思い出してしまう・・・。
色々な事が思い出されて、キリキリと胸が痛む。
そんな時に視線を感じて、その方向を見るとフジサキがこっちを見ている。
ヲレが気が付いたのが判ると、フジサキはニコっと笑ってから黒板の方に視線を移す。
フジサキは目が合って微笑む前に、悲しげな表情をしてこっちを見ていたのにヲレは気が付いてしまった。
哀れみか、同情か、他の娘の事を思い出しているヲレに対してのフジサキの悲しい気持ちなのか。
その表情の意味するものが何だったのかは判らない。
684Mr.名無しさん:2008/08/21(木) 20:48:56
授業が終わり、放課後になるとフジサキはすぐに教室を出て行った。
いつもなら残ってノートの整理をしたり、なにやら教科書を開いて勉強をしているのに。
今日はさっきの約束を実行するべく、早々と教室を出たのであろう。
ヲレは、なんとなくそんな気分にはなれなくて、しばらく教室でグズグズとしていた。
30分以上が過ぎて、そろそろフジサキも諦めて帰っただろうと、自転車置場に向かう。
フジサキに対して、少し罪悪感があったけど一緒に帰る気にはなれなかった。
685Mr.名無しさん:2008/08/21(木) 20:51:42
自転車置場は校舎の裏側にあり、コンクリートの土間の上に鉄骨を組んでポリカーボネートの屋根を掛けただけの
簡単な作りで、そこに自転車通学の奴らの自転車がズラリと並ぶ感じで、
まぁ、普通の学校によくあるような作りの、特別なものは何も無い普通の自転車置場だった。
その自転車置場に着くと、フジサキが鉄骨の柱に寄り掛かって待っていた。
俯き、さっきと同じように少し悲しげな表情をしている。
ヲレは少し罪悪感を感じ、悪い事をしたかなと後悔をした。
「フジサキ・・・待っていてくれたんだ・・・」
ヲレが遠くから声を掛けると、フジサキがハッっと顔を上げ、こちらを見る。
そして嬉しそうに微笑むと数歩ヲレの方に歩み寄ってくる。
「うん、一緒に帰ろうって言い出したのは私だから・・・」
きっとミキなら『おっそーい!何したたのよー!』なんて怒っているだろうな・・・なんて想像をしてしまった。
そんな想像をしているヲレの心を、フジサキは読み取れるのか、そのものズバリと言い当てる。
「また、ウジウジと何か考えているんでしょ・・・?」
686Mr.名無しさん:2008/08/21(木) 20:53:30
フジサキに、まだ落ち込んでいると思われたくなくて慌てて自分の感情を隠そうとした。
「そんなこと無いよ・・・遅れてゴメン」
ヲレが自分の感情を隠そうとするのも、フジサキは見透かしているようだったけど、
それ以上は、その事に触れては来なかった・・・多分、フジサキはヲレに気を使ったのだろう。
「遅れた罰として、今日は家まで送って行って・・・・・・ね?」
フジサキは遅くなったペナルティよ、っと言わんばかりの勢いで話したけど、
やっぱり最後に自信が無いのか小さな声で『ね?』と一言付く。
ヲレは以前の追試の時を思い出し少しおかしくなった。
あの時もそんな感じだったなぁ・・・そう考えると少し顔がほころぶ。
「あ・・・毒男君、今私の事を鼻で笑ったでしょ?」
687Mr.名無しさん:2008/08/21(木) 20:55:00
フジサキが顔を真っ赤にしている・・・それは怒っているのでは無く照れているのだろう。
「笑ってないよ・・・うん、送って行くよ。遅くなったお詫びにジュースでも奢ってやるからさ」
ヲレの言葉を聞いて、フジサキが嬉しそうな表情になる。
その表情に落ち込んでいた気持ちが少しだけ軽くなった気がする。
そんなヲレの顔をフジサキがじっと見て、少し拗ねた顔をする。
「やっぱり毒男君、私の事お馬鹿な子だと思ってる・・・」
恥ずかしそうに顔を真っ赤にして横を向くフジサキが可愛かった。
「そんな事無いって、さ、帰ろうぜ」
そう言って、ヲレはフジサキの鞄を取ると、ヲレの自転車の篭にヲレの鞄と一緒に放り込んだ。
「うん!」
フジサキはヲレの肩に軽く手を掛けると、後輪の横に取り付けた立ち乗り用のステップに恐る恐る足を掛けた。
「今日はこないだよりスピード出して走るから」
ヲレはそう言うと勢いよくペダルを漕ぎ始めた。
「え!?」
フジサキは驚き、ヲレの肩に乗せた手が一瞬離れてしまい、バランスを崩すまいと慌ててヲレに抱きついてきた。
「ごめんなさいっ!」
フジサキはすぐに離れると、またヲレの肩に手を置いた。
「いや、急にスピード出したヲレが悪いんだ・・・」
抱きつかれた瞬間に、フジサキから甘い香りが漂ってきて、変にドキドキと胸が高鳴った。
それはヲレの気持ちがミキからフジサキに傾き掛けている証拠だったのかもしれない。
688Mr.名無しさん:2008/08/21(木) 20:57:01
続く。
689Mr.名無しさん
>>669-672
アリガd。
マイペースで思い付いた時に書いているので遅くなってしまって申し訳無いです。