2 :
Mr.名無しさん:2007/04/20(金) 03:35:00
2
3
すいませんさっきまで
男だけどフェラチオしたくなるときあるよなスレにいました><
誤爆した
6 :
Mr.名無しさん:2007/04/20(金) 20:31:34
生き返ったage
復活したか……。
>>1 乙ンデレイドバスター!!
ラーメン屋は毎日が戦争なのである。
「トンコツ並、麺硬め」
こういう客は組みやすい相手といえる。最近の若い人は大抵こんな感じ。
「トンコツ並、麺硬め、背油多目、ネギ少な目、メンマは抜きにして。トッピングで煮タマゴとチャーシュー」
これこそ理想的に簡単な相手といえるだろう。
一番困るのは。
ドアを開けて一人の女性が入ってくる。
迷いなくまっすぐにカウンターに座り、ショートに切りそろえた髪を軽くかきあげる。
その女性の前にお冷を置いて注文取り。
「いらっしゃいませ!ご注文は」
「トンコツ並」
「はいトンコツ並ですね、麺の固さとかご希望ありますか」
「お任せ」
「はい?」
「だから、お任せ」
カウンターにひじを着いてこちらを見上げる切れ長の目に圧倒される。
「店主が一番美味しいと思う状態で持ってきて」
一番困るのは、こういう客だ!
まあ適当にこんな感じ
10 :
Mr.名無しさん:2007/04/22(日) 15:22:30
萌age
復活おめでたう
12 :
Mr.名無しさん:2007/04/23(月) 22:56:28
誰もいない
今日飲みに行こうぜ
えーっ!でもマミ明日テストだしぃーどうしよっかなー
マジ?テストなんかどうでもよくね?
最後の講義が終わると途端に教室は喧騒に包まれた。
俺は黙々とテキストをカバンに詰めて教室を後にした。
吐き気がする。
恋愛とセックスしか頭のない猿男にも
媚びを売る小汚ないクソ女にも。
俺はと言えば、サークルにも入らずろくに友達も作ろうとしなかった。
バイトまで少し時間がある。牛丼でも食べて行くか。
食欲は無かったが腹に無理にでも詰めておかないと身体がもたない。
夜間の肉体労働は予想以上にハードだ。
「よーし10分休憩」監督の一声でみな作業をやめ思い思いの休憩を初めた。
今日は繁華街の雑居ビルの内装工事が仕事。
真っ先に蛇口で水をがぶ飲みする。ただの水道水が疲れた身体にはうまかった。
しかし、水を飲み終えてふと顔を上げると酷く人生が空虚に思えた。
まわりのおっさんでさえタバコという嗜好品を嗜み、ジュースを飲んでいる
かたや俺はただの水道水。
この水のように無味乾燥で嫌な匂いがする人生だ。
そこには何の色もない。
本来なら貴重で、大切で、感謝すべきものなのに
この国では乞食ですら有り難がらない。
若いうちの苦労を誰かが買ってくれるなら格安で売ってやる。
4年の春
「それで君は、何を得て、何を成し遂げたんだい?」
実にくだらない質問だ、と思った。
必要な金を得て、劣悪な工事を成し遂げたに決まってる。
それ以外に何がある?
「はい!僕はサークルの仲間たちとを企画し、500人を集めました」
「私はフランスに留学して海外の文化を学びました!」
「それはいい経験をしましたね!」
水は下へ流れるしかないのだろうか。
苦労もしらないお坊ちゃま、お嬢様には負けたくないと思っていた。
だが現実はあまりに厳しく、悔しかった。
社会がどちらを必要としているか明確に突き付けられたのだ。
この時はじめて世界が滅びればいいと思った
ちょwww
ツンデレどころか女キャラが出てすらいないのにこの期待感は一体何だwwww
∧_∧ +
(0゜・∀・) ワクワクテカテカ
(0゜∪ ∪ +
と__)_) +
「また来たの?」
オレンジに染まる病室にその人はいた。
「うん。少し時間があったから。元気?」
「病人に言うセリフじゃないわね」
「うん。だいぶ元気そうでよかった」
いつもの憎まれ口を軽く流して、僕はベッド脇の椅子に腰掛けた。
「就職活動…順調なの?」
「あぁ、うん。大丈夫だよ」
俺は心配そうな顔に精一杯の強がりで答えた。
「そう…」
だが表情から不安は消えず、見抜かれてるのだとわかる。
「うん…。大丈夫だよ。」
もう一度、自分に言い聞かせるように。
「あ、花の水換えてくるよ」
俺はこの場の空気も換えるつもりで席を立った。
「ツカサ!」
だがその行動は、裾を掴まれ停止する。
「なに?」
つとめて平静を装って答えたつもり。
だけどわかってる。この人の思い悩んだ表情で。
また辛い言葉を言われるって
19 :
Mr.名無しさん:2007/04/27(金) 19:33:57
あ
前スレの最後の方で続いてたのは
あれで終わりなのだろうか・・・
21 :
Mr.名無しさん:2007/04/29(日) 00:07:15
召還age
こつこつ保守
歩
穂殊
ほしゅ
>>21 前スレ最後の方で続いてたのってどれのことですか?
長く子供が出来ない夫婦があった。
二人は女の子を養子としてもらった。
本当の子供と同じように、あるいはそれ以上に愛情を注ぎ、
両親にとっても女の子にとっても幸せな家庭はそのままずっと続くように思えた。
そう、君が -
二人にとって本当の子供が産まれてしまうまでは。
大切な人を幸せにしたい。
そんなのは今までに数え切れない人が吐いてきた陳腐な言葉・想い。
それでも本当に心から俺は、お姉ちゃんを
幸せにしたい、幸せになって欲しいと願ってる。
だって、お姉ちゃんの幸せを奪ったのは自分だから。
大丈夫。これでいいんだ。
ツカサは私なんかに構ってちゃいけないんだ。
再び静けさを取り戻した部屋で私は何度も自分に言い聞かせた。
なのに胸が痛くて、痛くて、いくらこらえてもいつものようにそれは
喉もとまでせりあがり、私に涙を流させる。
声を殺して、胸をおさえて、小さくうずくまって泣き続ける
ちっぽけで、弱い自分にしてしまう
ツカサが私に向ける気持ちは好意なんかじゃない。
ありもしない罪滅ぼしでしかない。
私の存在があの子にとって重荷でしかないから。
それがどうしようもなく辛くて、悲しい。
押しつぶされそうになった時
私はいつも枕の下に隠している宝物をぎゅっと握り締める。
私がちゃんと握り締めていなかったから手のひらをすり抜けてしまった
幸せだった頃の忘れ形見を握り締めている
↑
前スレで中途半端に放置されておりましたが?
31 :
Mr.名無しさん:2007/05/06(日) 22:21:57
保守
帆
前スレ最後、このスレからの続き、新作
どれでもいいから投下を・・・・
このスレ大好きだし、投下したいのは山々なんだがPCが使えないんだぜ……
何かネタ考えとくとかするかな
参考までにネタキボン
前に途中までかいたやつ投下してみる
8月26日
――海は、好きですか?
――夏は、好きですか?
私は、海が好きです。あの人と一緒に、初めて行った場所だから。
私は、夏が好きです。あの人と、すごした季節だから。
きっと今日が私にとって、最後の日記になるから。だから今日は、私がいなくなったあとに読んでくれる人へのメッセージを書くことにします。
ここに私がいた。これはそれの証拠です。
これを読んでくれる人は、きっと私にとってとても身近な人だから。
だから、お願いです。
私のこと、忘れないでください。
― ナツイロ ― 一話
終業式の後。僕は車に轢かれた。自宅近くの十字路で。
とんでもなく痛くて、熱くて。
あ、これは死んだ。なんて思った。
でもどういうわけか、僕は生きているらしい。
ぼんやりと滲む視界は、白色に覆い尽くされていた。
腕からは色々なチューブが伸び、その先には透明な液体の入った袋。間違いなく点滴だった。
少し硬いベッドに寝かされているらしい僕は、落ち着いて状況を考えることにする。
車に轢かれた。これは死んだと思った。でも死んでないらしい。つまりここは……。
「病院、だよなぁ」
答えはすぐに口から漏れたのだった。
間違いようがないくらい、まさにここは病院だった。
ようやく鮮明になった視界には、白い壁。
自分の体は包帯だらけ。なぜか右手だけは無傷だが、それ以外は傷だらけのようだ。
実際、体の節々が痛い。少し気になる程度の痛みだが、やはり不快だ。
部屋の中には全部で四つのベッドがあり、そのうち開けっぱなしのドアより二つはマットレスがむき出し。
ちょうど僕の正面に位置するベッドはシーツが引かれていて、その横の棚にはわずかながらの私物が見える。
私物といっても、ぱっとみた限りではコップと歯磨きセット程度だが。
私物の隣にテレビが設置されているが、おそらくあれは病院の備え付けなのだろう。
その証拠に、僕のベッドの隣にある棚にも、同じようなテレビが設置されていた。
テレビの横に数個の花束やら包みやら手紙やら。きっと見舞いの品かなにかだと思う。
それにまぎれるように、僕の携帯電話が置かれていた。
手を伸ばし、電源を入れると、一番に日付が目に入る。
8月02日
「……はちがつふつか?」
開いた口がふさがらない。まさにこれがそれか。
これは何かの間違いか。俺が寝てる間に、誰かがいたずらでもしたのか。
ていうか、誰も来ないけど、いいのかこれは。目を覚ましたら精密検査とか必要なんじゃないのか。
こういうときはナースコールでも押せばいいのだろうか。
むぅ、よくわからん。
「――あら、目が覚めたの?」
ベッドの上でしどろもどろしていると、冷たいというか、とにかく友好的とは思えない声が病室に響く。
開けっ放しになっていたドアの前に、見知らぬ女が立っていた。
長い髪の毛は冷房の風にさらさらと揺られ、病院の壁よりもずっと真っ白な肌は窓から差し込む日を浴びて輝いているようだった。
顔立ちも綺麗に整っている。
大人びたシャープなあごのライン、自然に流れる眉毛に、切れ長の目。
体がやせ細っているのが気になるところだけど。
「よく十日近くも寝ていられるわね。あなたの脳みそはどうなってるのかしら」
「…………」
とりあえず、お前さんが随分と敵対的なのはよぉーくわかった。
初対面で「あんた馬鹿ぁ!?」とでも言われた気分だ。
「って、十日!?」
とんでもないことをさらりと……。
てことはあれか、携帯の日付は冗談でもなんでもなく、今日は7月24日じゃなくて8月2日ってことか!?
「そうよ? あなたがここに運ばれたのが7月24日。今日は8月2日。その間、あなたはずっと寝てた。わかった?」
簡潔に僕の状況を説明してくれた女の子は、どこかおぼつかない足取りで僕の正面のベッドに腰掛ける。
あ、もしかしてこいつ……。
「……もしかして、同室の人?」
「そ。それより看護師さん呼んだの? きっと、検査あるわよ」
「いや、呼んでないけど……」
「じゃあ早く呼びなさいよね。ナースコールは枕元」
促され、コードがなにやらごちゃごちゃした機械につながっているボタンを押すと、スピーカーから『目覚めた? すぐ行くから』と声が聞こえた。
「今日はゆきなさんの日だから、覚悟したほうがいいわよ? あの人、注射下手だから」
ゆきなさんっていうのは、看護師のことだろうか。
口振りからして、入院生活が長いのだろうと、勝手に自分の中で結論をつける。
「あのさ、男女が同室ってことは普通あるのか?」
漫画とかならよく見るようなシチュエーションだが、現実にこんなことがあっていいのだろうか。
「あんた、歳いくつ?」
「は? なんで」
「いいから」
「今年15だけど」
「あら、偶然ね。私も」
……だからなんだっていうんだ。
こいつ、初対面から毒舌吐くし敵対心むき出しだし。
俺が寝てる間、寝言がうるさくて安眠を阻害されたとかそういうのか……?
「15なら小児科でしょ? 他の病室に空きが無ければ、こういうこともあるわよ」
「そうなの?」
「少しは考えなさいよ。小学校低学年が集まった病室に、男女入り混じってても変じゃないでしょ?」
「まぁ、それはそうだけど」
中学生っていったら、思春期真っ只中なわけで、そりゃまぁ一人きりでしたいことなんていくらでもあるわけなんだが。
生殖的にはもう十分な発達をしているから、溜まるものは溜まるわけで……。
それの開放は一人きりでしたいことの最たるものだ。
そりゃ相手がいればそれに越したことはないが、すぐに作れるようなものじゃないし。そもそも病み上がりでそんなことできるか。
一人なら手の動きだけだし、幸いかどうかはわからないけど右手は無傷だし……。
男同士の部屋ならまぁ、一人でやってるところを見られたり、感づかれたりしても理解があるだろうけど……。
「一応言っておくけど、襲わないでよね」
「お、襲わないよ……」
なんとなく、自分の考えが見透かされたような気がして、ちょっと恥ずかしかった。
それからすぐ、看護師さんがパタパタと足音を立てて現れた。
キリっとした顔立ちはどこかキャリアウーマンな印象を受ける。
ナース服の着こなしはどこかだらしなく、教師が言う『一部の素行が悪い生徒』がそのまま社会人になったかのようだった。
「やー、おきたねー。はっはっは、もう目が覚めないかなー、なんて思ったよ」
第一声は、そんな縁起でもない言葉だった。
この人を外見で評価する基準は、顔立ちよりも服装に重点を置いたほうがいいらしい。
「あたしは看護師のこうさかゆきな。漢字は名札見てください」
そういいながら、豊かとは言いがたい胸を突き出す。看護師 香坂雪奈、と書かれていた。
「いちお、君とそこにいるもみじちゃんの担当になります」
先ほどから敵対心むき出しのこの女はもみじという名前らしい。
看護師の香坂さんは名札でも見ればそのつど名前を思い出せるから良いが、こっちの敵対心女は毎日嫌でも顔を付き合わせるわけだし、名前は覚えておいたほうがいいだろう。
もみじ。ひらがなで三文字を頭にインプットする。
「さーて、それじゃあ検査しましょうか。っと、その前に……もみじちゃん、今日って雄一郎君のサイニョーしてた?」
「まだだと思います」
「そかそか、それじゃあまずサイニョーだね。溜まってきてると思うし。はい雄一郎君、ズボンとパンツ脱いで」
「は、はいっ!?」
ちょっと待て、サイニョーがどうのって。そもそもサイニョーってなんだ。ってちょっと、あ、ズボン脱がさないで、あ、アッー! パンツだけは許してっ!!
「もう、恥ずかしがらないの。いい? あたしはね、もうかれこれ十日はあなたのアレ見てるんだから、今更恥ずかしがらなくてもいいでしょ」
その手には尿瓶らしきもの。って、サイニョーってもしかして、採尿!?
「ひ、一人でできますから!」
「だめ。おとなしくしなさい。ちょっともみじちゃん、手伝ってくれる?」
「はーい♪」
なんであんたノリノリなんですかっ!? ちょっと、ほんと勘弁してっ!
「お婿に行けなくなっちゃうーーー! らめぇぇぇぇぇ!!!!」
結局、僕の貞操とやらはどこかへと飛び去っていった。
何かをされたわけではないのだが、まだ未発達な生殖器官を同い年の女の子と年上の看護師さんに見られたという精神的ショックは大きい。
さらに検査の結果、合併症を引き起こしていることがわかったんだからさらに性質が悪い。
なんでも、体の抵抗力が弱っているところにたまたま潜伏していたなんたらウイルスが発症したんだとか。
たまたま潜伏していた。というその部分になんとなく大人の事情が見え隠れしているような気がするが、病院関係者も大変なんだろうなぁ。なんて考えておくことにする。
「何をむくれてるのよ?」
そんな僕の様子を不審に思ったのか、対面側のベッドで黙々と本を読んでいた敵対心むき出し女は怪訝な顔をしていた。
「別に」
お前だって同い年の異性にあの部分を見られたらへこむだろ。とでも言い返してやりたかった。
でもなんとなくだけど、それを言った瞬間に彼女が手に持っている分厚い本が飛んで来るのではという脅威を感じたので飲み込んだ。
「ま、どうでもいいんだけどね。雄一郎がむくれてようがなんだろうが」
「お前、ひどいやつだな……。ん、自己紹介したんだっけ?」
ぱたん。
彼女は本を閉じ、じとーっとした目で僕を見つめた。
「そっちは今日初対面って気分かもしれないけど、私は十日間、雄一郎の顔を毎日見てるわけ。こいつの名前はなんだろうとか気になるでしょ?」
「そうか?」
そりゃ、まったく気にならないというわけじゃないが、別に知らなくてもどうとでもなるし……。
「私はそうなの! で、ネームプレートがあるからそれを見た。はい説明終わり」
「わかりやすい説明どーも」
「ちなみに、あんた私の名前知ってる?」
……敵対心むき出し女の名前……?
さっき看護師さんが呼んでたな……なんだっけ……。
ちゃんと頭にインプットしたはずなのに、なんとなくのニュアンスしか思い浮かばなかった。
「ええと、イチョウ……じゃなくて、なんか葉っぱの色が秋になると変わる植物の……」
採尿のショックでその寸前までの記憶なんてほとんど飛び去っている。
「もみじ。きへんに花で椛。ちなみに苗字はみさき。三つに花が咲くの咲くで三咲。覚えた?」
「三咲椛」
「はい結構。呼び方はそっちに任せる」
「よっしゃ、それじゃ嵐山とでも呼ばせてもらおう」
椛といえば嵐山だからな。あれは綺麗だった。
「じゃあ私はあんたのことを絶倫とでも呼ぼうかしらね。毎日毎日下半身に富士山作って。怪我だらけで抵抗力弱ってるところに合併症なのに、よくあんなにも元気なことで」
「……椛でいいか? 呼びかた」
「それが賢明ね。私としては呼び捨てはあれだけど、まあいいわ」
なんとなーくだけど。
こいつが僕に対して敵対的な理由がほんの少しだけわかったような気がした。
とりあえず、今書いてあるのはここまでだから止め
要望あれば続き書く。無くても暇なら書く
コテは必要ならつけるし、必要じゃなけりゃつけないし
イイヨイイヨーw
できればコテ欲しいかな
他のと区別しやすくなるし
>>37見てまたしんじゃうネタかと思って激萎えしたんだけど
>>46まで読んでおっきした
期待
_n
( l _、_
\ \ ( <_,` )
ヽ___ ̄ ̄ ) グッジョブ!!
/ /
んでもって
_ ∩
( ゚∀゚)彡 続き!続き!
⊂彡
+ +
∧_∧ +
(0゚・∀・) ワクワクテカテカ
(0゚∪ ∪ +
と__)__) +
51 :
Mr.名無しさん:2007/05/14(月) 17:09:24
>>47 久しぶりに良いものを見せてもらったつまりはGJ!
続き、期待してます
>>47 ふーん,あんたにしてはちょっとは良い物書くじゃない?
べ,別に感心なんかしてないんだからね!
命の源にも等しかった此処が復活してたなんて。。
ナイス!!
54 :
47:2007/05/16(水) 23:48:37
そんじゃ、要望あるみたいだから続き書きますわ
ちょっと今、境界性人格障害とかいうの患ってるせいでごたごたしてるから、すぐに投下はできないだろうけど
一週間に一回くらいのペースで行こうかな、と思う
ほ
しゅ
いきなり投下
「ねぇねぇ、ゆかり。
ゆかりって竹内君の事好きだよね?」
「っっぶ!!」
昼休み、いつものメンバーでご飯を食べているところ、唐突にはるかが話を切り出した。
「なななな何よいきなり!?」
「何かいっつもチラ見してるよね?
ポッて頬染めながらw」
はるかがニヤニヤしながら言うと、続いてみきとなのかの二人もしっかりと話に乗ってきた。
「そう言えば、ゆかりんは竹内君にだけやたら冷たくあたるよね。
他の男子にはわりと普通に接するのに。」
「えっ?えっ?ゆかちゃんは竹内君の事好きなの?え〜!いつから?いつから〜?」
「べっ!別に何でもないわよ!か、勘違いで盛り上がらないでよ!」
「勘違いだって!ぷくくぅ〜!
こんなベタなツンデレキャラなんて実際三次元じゃ通用しないよ?
素直になりなさいよw」
「そうだよ、ゆかりん!
そんなターゲットを絞り込んでたら、竹内君が素直な妹系キャラ好きなだけでアウトだよ!」
「あははー、何だかよくわかんないけど、ダメだよゆかちゃん!」
皆に言いたい放題言われても、私は反論の言葉が浮かばなかった。
実際私は竹内君love(←死語)なのだ。
けど、気持ちを伝えるどころか、彼の前ではいつもキツい態度をとってしまう。
続きwktkwktk
「ゆかりさ、知ってる?竹内君って実はモテるんだよ。」
「えっ?!」
「昨日、部活帰りに竹内君がデートに誘われてるの見ちゃったんだよね〜」
はるかの言葉に、私より早くみきが反応した。
「うそ?本当に?相手誰だったの?」
「それがさ〜、もうびっくり!相手はあの須藤さん!やるね〜竹内君!」
「え〜?あのちっこくて可愛らしいくて、ナデナデしたくなるような須藤さん?」
「そう!その須藤さん!ゆかりさ〜、意地はってたら須藤さんに竹内君とられちゃうよ?いいの?」
はるかはニヤニヤしながら私にチラリと目をやった。
須藤さんと言えば、同学年の中でも、一際ちっちゃい事で有名であると共に、すっごく可愛いい顔をしているのでも有名だった。
そんな人がライバルなんて…正直かなりショックだった。
勝てる気が全くしない。
「ゆ、ゆかりん。
大丈夫?」
「ゆかひゃんかんわー」
放心している私に、みきは心配そうに声をかけてくれた。
なのかはご飯を頬張りすぎて、何を言ったのかさっぱり意味不明だった。
61 :
Mr.名無しさん:2007/05/22(火) 21:47:31
都築age
ゆかりん期待保守
8月23日
今日はあまり体調がよくない。
こうやって日記を書いている今も、ひどく胸が痛むし、だるい。
たぶん、熱もあると思う。
私の病気は先天的なものだけど、遺伝する類の病気ではないようなのでそれは安心だった。
私がいなくなったあと、彼には随分と迷惑をかけることになるだろう。
だから今日、彼にごめんねと謝った。
そうしたら彼は、泣きながら怒った。
絶対治るから、だからそんなことを言うな。
お医者様も同じようなことを言う。
でも、自分の体のことなんだから、私が一番よくわかる。
きっと私は。近いうちに死ぬんだな。って。
― ナツイロ ― 2.0話
どの看護師さんの注射の上手い、下手がようやく把握できるようになった頃。
足の怪我も大体治ってきたということで、体力をつけるために散歩をしろと医者に言われた。
もともとは怪我が原因で入院したが、今の問題は合併症として引き起こしたウィルス性の肝炎らしい。
そしてこの病気。なんと性質が悪いことに普段は健康体と変わらないのだ。
ベッドの上でただじっとしているなんて、育ち盛りで動き盛りな僕からすれば拷問となんの違いもない。
だから、医者のその言葉は渡りに船だった。
しかし制約が一つ。
病院の敷地から出ないこと。
病院の中なんて面白いものなど何一つ存在していないし、そもそもそんな散歩が出来るほど広い敷地でもない。
敷地外でもしものことがあった場合、医者の責任問題云々とかそういうことなんだろうけど、ある種矛盾に近いような気がする。
なので結局、散歩はほとんどせずにナースステーションにお邪魔して、患者からの差し入れを雪奈さんと一緒に食べるなんて生活が続いていた。
だが今日は、雪奈さんは非番だった。
そういう時はしかたないので、言われたとおりに病院の敷地内を散歩するか、部屋でまったりと漫画でも読むか。そうやって一日を消費していた。
もちろん今日もそのつもりだったのに、何がどう間違ったのか。
「……雄一郎、ここどこなのよ」
「知らないよ。僕だって聞きたい」
まったく見ず知らずの場所を二人並んで歩く僕と椛。
周囲の景色は一面畑。どこまで歩いても景色の変化はなく、樹海にでも迷い込んだ気分だった。
Tシャツもジャージも汗でじっとりと湿り、ハンカチは汗を吸い込みすぎてもう随分と前からハンカチとしての機能を果たさなくなっていた。
僕も椛も額には大きな汗の粒を浮かべ、髪の毛は濡れ大きな束を作っている。
僕は言われたとおり、病院の敷地内を散歩していただけだった。
建物の周囲をぐるりと回り、盛夏の暑さに耐えかねて病院の中に戻ろうとしたところに、ちょうど椛と遭遇した。
よう、お前も散歩か?
そう聞いて僕は病室に戻るはずだったのに、なぜか椛は
『どうせ暇でしょ。来なさいよ』
有無も言わせぬ口調でそう言って、僕の腕をがっしりつかみずんずんと病院の外へ歩いていったのだった。
最初は抵抗もしたが、久しく見ていない病院の外の世界に、僕の意思とは無関係に連れて行かれるというのは魅力的だった。
後で怒られても責任は僕じゃなく椛にあるのだから。
何か目的があって病院を抜け出したのかと思っていたのだが、どうやらそうでもなかったらしく、彼女はただあてもなく似たような道をぶらぶらと歩き、僕もその横に続いた。
仲良くおしゃべりをしながら散歩。というわけでもなく、僕が何かを話しかけても彼女は無言。
聞こえてくるのは街の雑踏と蝉の鳴き声。田舎道に入ってからは、蝉の鳴き声がより大きくなり、時折農作業をする人が立てる音やかえるの鳴き声ばかりだった。
いったい僕は何のために連れてこられたのか。
休み休みで歩き続け、街を抜け、郊外の田園地帯へ差し掛かった頃、日が随分と傾いていることに気づき、僕は病院へ戻ろうと提案をした。
だが椛は相変わらず無言のまま、畑を分断する一本の道をゆるゆると歩き続けたのだった。
そして久々に聴いた言葉が
雄一郎、ここどこなのよ。
なんだそりゃ。
こっちが聞きたい。
傍から見ても疲れが著しいのがわかる。おまけに僕も、久々にこんな長距離を歩き正直しんどい。
なのにもかかわらず、彼女は病院に戻るため来た道を引き返す様子はなく、病院とは逆の方向へ歩き続けた。
「ねえ、そろそろ戻ろうよ。日が落ちたら夏って言っても寒くなるし」
「嫌。あんたは私の後を黙ってついてこればいいの」
ぴしゃりと、そういわれる。
こいつが僕の意見なんてお構いなしなのは今に始まったことじゃないけど、それでもこれはいかがなものか。
「じゃあ、せめて少し休まない? 僕、ちょっと疲れちゃってさ」
僕の方はまだ大丈夫だが、椛は本格的に疲れが濃い。
いったい今からどこに行きたいのかとか、そんなことはまったくもってわからないが、少しくらいは休んだほうがいい。
そう思って、そんな提案をする。
「軟弱ね。男のくせに」
振り向いた彼女の顔は夕日を背負い、ほんの少しだけ微笑んだ気がした。
蝉時雨がいつの間にかひぐらしへと移り変わっていた。
「私のお母さんはね、病気だったの」
「ほえ?」
道路脇の草むらに腰掛け、特にすることも無く蝉の鳴き声を聞き流していた頃。
彼女は唐突に、そう切り出した。
「なんだか難しそうな名前で、とにかく難病なんだなぁって小さいながらでもわかるような、そんな病名だったと思う。詳しい名前は覚えてないんだけどね」
夕日に照らされた彼女の顔は寂しげだ。
「だったってことは、今は?」
「治って元気……って言いたいんだけどね。私が11のときに、死んじゃった」
「そっか……ごめん」
「別に謝らなくてもいいよ。本当のことだし」
僕はただ、黙って沈みかける太陽を目を細めて眺めることしかできなかった。
いったいなぜ彼女がこんな話を僕にしているのかはよくわからなかったが、きっと何か話したいことがあるんだろう。
だから僕は、彼女の次の言葉を待った。
「雄一郎はさ、神様っていると思う?」
「神様?」
こくり。と小さく椛はうなずいた。
いきなり話が大きく変わり戸惑ったが、ほんの少しだけ考えて答える。
「たとえば釈迦が神様っていうんなら、それはいたっていえるわけだし、天照大神だってモデルになった人物がいるみたいだし、そう考えれば神様はいないって言い切れないかなぁ……」
「そっか……」
「そういうお前はどうなんだよ? 神様、いると思うか?」
「私は……いないと思ってる」
なんで? と聞き返す前に、彼女は矢継ぎ早に次の言葉を繰り出した。
「だって、神様がいるんなら私のお母さんは、死ななかったはずだから」
長くなりそうだから、2話は二回に分けることにした
2.5話から3話真ん中くらいまで椛の過去編みたいなの入れる予定
ナツイロさんごめむ
時間空いたからちょっと割り込みで続き書くね(;´Д`)
「ショックみたいね、ゆかり。けどね、私はゆかりにも十分チャンスはあると思うんだ。
そのチャンスを生かすも殺すもゆかり次第。」
「…あ、私次第?」
「そう!ゆかり次第!そこで、私に全部任してみない?ゆかりを必ず竹内君の彼女にしてみせるから!」
(↓ゆかりの心にこだまするフレーズ)
竹内君の彼女にしてみせるから!
竹内君の彼女にしてみせるから!
竹内君の〜…
ガッ!
言葉はいらなかった。
ただ、二人の手が固く結ばれた事
それが全てを物語っていた。
この日、はるか発案の下
〜ゆかりを竹内君の彼女にしてみせる作戦〜
が始まったのであった。
前スレでも言われてたと思うんだけどある程度書けてから投下したほうがよくないか?
1レス程度で終わるようなのなら気にならないけど、長いのをちまちま出されても困る。
どっちでもいいから続きwktk
保守
スレがツン期
ほ
し
ほしゅ
自分も書いてみる|A`)
。
――だから、これは夢だと思った。
走る事さえ困難な自転車に乗った学生の群れ。
近づいてくる色褪せた校舎。
妹の姿が見えた。
智香「―――っ!!」
こっちに向かって元気に手を振っている。声は雑音と距離の為、届かなかった。
草一「ははは……」
一緒に登校すればよかったのに。変なとこで照れる奴だ。
そうだ。こんな日が続くはずだったんだ。
当然の、幸せになる為の権利。
もう一度掴む為に――
俺は手を振り返した。
。
昼休み。体育館裏。
智香「でね。その子が好きな人っていうのがね、」
妹のお喋りは続く。俺はうんうん相槌を打ちながら、妹の弁当のウィンナーを狙い続けていた。
同じ弁当なんだから自分のにも入っているが人のは美味そうに見える。うずうず。
智香「だから言ってあげたの。あっ―」
箸を落とした。チャンスだ。
草一「ほら、すぐそこに水道あるから行ってこいよ」
妹の後方を指差す。
智香「ちょっと待っててね。中身取っちゃやだよ。」
そして俺の後方に走っていった。
草一「あらら」
後ろにあるの気付けよ。
そして、俺はニンジン(花形の)とウィンナーの交換作業をした。物々交換だ。取ってない。
でも、未遂に終わる。
妹と自分のクラスに帰る途中、女子が二人、こっちを見て何か話していた。
「ほら、あれ噂の…」
……正直、こういうのは馴れっこだ。
昔から、人付き合いが悪くいつも無愛想なので俺は孤立がデフォ。
"あーいう奴って一生結婚は出来なそう"
"ツマンねえからあいつシカトな"
"uzeeeeeeeee!!"
そんな会話が耳に入ったことがある。でも、そんなガキっぽい仕打ちなんて別に俺は気に――――
智香「醜いですね」
女子「は?え?」
――――する妹。
智香「人の悪口を言う位しか能の無い貴女達に言ってるんですよ?豚共!!」
数分間、我が妹は思いつく限り罵った。
相手の特徴を身体・精神かつ論理的にどれだけ醜いかを事細かに説明し、自分が言われたら死にたくなるような言葉を羅列した。
自分が言われてる訳じゃないのに、止まらない震えと涙。
美人ではあるけれど、冷たさを感じさせる容姿が拍車を掛けている…多分。
俺と接する時の、少し幼い雰囲気は微塵も感じさせない。
他人は敵。それが智香の基本姿勢だった。
女子二人は気絶した。マジで。
>>81 人少ないけど、書いてってみる(′A`)
大丈夫。俺は居る
俺もいる
草一「あそこまで言う事なかったんじゃないかな」
智香「あれ位言って当然。兄さんは甘いよ」
草一「あの子達、同級生じゃないの?」
智香「…自分に言われてるみたいで嫌だったから。あくまで私の為!勘違いしないでよ」
草一「うん、会話になってないよね?」
智香「兄さん、授業は寝ちゃ駄目だよ」
草一「5分が限界かな」
智香「うん。じゃあまた放課後ね。お兄ちゃん」
草一「…」
こんな何気ないやり取りが地味に堪える。
俺も自分の教室に帰る。
草一「相変わらずだなぁ」
いつもツン。でも時々デレ。
8:2。
黄金率。
妹も自分と同じように孤立していた。
どちらかというと孤高。
自分は周囲の人間に嫌われていたが、妹の場合ははっきりした物言い・毅然とした態度に起因する周囲との距離。
しっかりものの妹だったが、兄としてそれだけが残念だった。
教師「川崎」
草一「はい」
教師「…」 草一「…」
教師「…川崎は欠席と」
草一「…はい」
代返は失敗。
毎回、期待しているが、成果は芳しくない。川崎の席に移動する。
草一「はぁ…」
この前の春休み。
自宅。2階。
妹、柏木 智香は、高校に入ったら俺に対する呼び方を変えると宣言した。
"人前では兄さん、二人っきり・自分の家ではお兄ちゃん"
……どうでも良かった。
本人としては周囲の目が気になるようになったらしく、恥ずかしいらしい。
そんな初々しい成長に嬉しさ半分、寂しさ半分。苦笑。
草一「でも、ずっと”お兄ちゃん”だったから”ニイサン”って言われると、血の繋がってない”義兄さん”の方が思い浮かぶな」
智香「義兄…」
草一「何?」
智香「ん…別に。もう出てって!」
蹴り出された。俺の部屋から。
――10秒後。頬を赤らめ、顔背けつつ部屋から出てきた。
智香「…」
凝視して楽しんだ。
蹴り。
そんな事を思い出して、時間を潰していた。
それでも時間を持て余した俺は、教室を出て図書室に向かった。
話の前半終了。後半に入ります|A`)
i ◆bc7EvPRE8M 師GJ!
後半も楽しみにしてますよん
智香「今日もお母さんたち遅くなるみたいだし、私料理作るね。」
草一「手伝うよ」
帰宅後。家の中は相変わらず静かだ。
智香「今日は天ぷらだから…遅い方が玉ねぎ担当ね!!」
台所に向かって、急ぎ足。
草一「ちょっ、靴そろえっ!……智香っ!!」
智香「お兄ちゃん、玉ねぎお願いね」
草一「あいよ」
洗い場から離れ、後方にあるテーブルにある椅子に逆に座り、背もたれに顎を乗せて智香の調理している姿を眺める。
表情は見えないが、窓から差す夕日に照らされる妹を見ていると、ふと以前の光景が――
――お兄ちゃんも手伝って〜――
――草一、ちょっと買いもの行って来てくれる?――
――えー?――
――ただいま…お、チャーハンか――
――あら、早かったのね――
――よーし、パパも頑張っちゃうぞ――
――ちょっ、それ塩じゃなくて――
草一「さて」
妹は時折横を向いたりしながら、楽しそうに笑いながら調理している。俺と話しているんだろう。
泣きながら、玉ねぎを切っていた。
草一「メガネ掛けても意味無いぞ」
一声掛けて、俺は2階の自分の部屋に向かった。
午後8時半ごろ、K県S市の県道で、大型ダンプ(12トン)とワゴン車が正面衝突し、県警S署によると、ワゴン車に乗っていた4人のうち2人が即死、1人が重症
、1人が軽症――
>>87 マジでサンクス。ショボイ伏線回収です|A`)
春休みが終わる直前。温泉旅行からの帰り道からの事故。
最初は自分が生き返ったのだと思った。
原因は分からない。奇跡が起こった。
妹は自分は自分の名前を呼び、会話した。
何よりも笑顔。大切な人間を失ったらそんな風に笑えるだろうか。
安直だったと思う。
すぐに違和感に気付いた。
智香は、俺の死を認めなかった。
俺は未練がましく、妹が見る自分の影をなぞった。
会話。
妹の、一方通行の語り掛けだった。俺の声は一度も届いたことが無い。
昼食。
二つの弁当。空になるのは、いつも一つ。
噂。
"柏木 智香"を見る周囲の目は、冷たくなった。
教室。
俺の席は、もう無い。
そうきたか……('A`)
せつねいねぇ
・゚・(つД`)・゚・ i ◆bc7EvPRE8M 師GJ・・
せつないよぉ・・
>>89 GJ!!
欝っぽい話が多いのは毒男のサガか・・・('A`)
ほす
草一「えがお…見たい」
智香「え。」
困惑。
草一「皆に囲まれて笑ってるお前が見たい」
見届けるのは不可能な願い。俺も混乱してたんだと思う。
でも、だからこそ本当に思ってることを吐露したのだろう。
草一「1人だった俺を支え続けてきたお前の笑顔が、これからは他の人にとってもそう―」
智香「やだ!!」
智香「お兄ちゃんがいなくなったらもう笑わないんだからっ!!ずっと!!」
智香「笑わな…いん…だ…から」
草一「智香…」
苦笑。
草一「他人の為だけじゃない」
草一「…お前って周りに人がいると、本当…嬉しい時しか笑わないから」
草一「笑わないお前が笑ってるって、…智香が幸せ だってわか…から」
草一「それはおれの…しあわせ…んだ――」
智香「!」
絶叫にも似た悲鳴が聞こえた――様な気がした。
激痛に耐えながら、手紙の続きを書き始めた。
この状態になってからまず初めにした事は何が出来るかの確認だった。
会話は不可。ただし、物を掴む事は出来る事がわかった。
それでもほんの少しの動作だけだ。しかも、厄介なことにペナルティ付き。
腕がつった状態でヤスリがけ(荒目)をかけられるような激痛が走る。されたことは無いが。
耐えに耐えて手紙を書いてきた。よく考えればもっといい方法があったかもしれない。
徐々に力が失われている感覚がある。
俺に依存はして欲しくない。でも、心の隅にでも覚えていて欲しい。
そんな気持ちを糧に今日までやってきた。
「ん?」
もう後2・3レス程度。あと少しだけお付き合いを('A`)
i ◆bc7EvPRE8M 師GJ!
2,3と言わずもっともっとお付き合いしたいよ
GJ!
いつの間にか復活してたですね、このスレ
ほしゅ
99 :
Mr.名無しさん:2007/06/14(木) 19:48:31
保守
暗い。
照明が点いてないので元々暗いが、それとは違う不自然な暗さ。
草一「まさか――」
生きていれば、煙を吸って倒れていたかもしれない。
火事!
草一「そんな…」
台所に飛び込む。原因は直ぐに分かった。油を入れた鍋だ。
草一「蓋は…蓋はどこだ!!」
見つけた。水なんて間違っても掛けちゃいけない。持って――
カラン……カラン…カランカランカラン!!
草一「ぐ…ぁ…」
駄目だ、こんな軽いものでも耐え難い苦痛。じゃあ、じゃあ他に出来る事は…!!
草一「え」
ない。
何も出来ないことに気付き、呆然としてしまった。
蓋を被せる事も、通報も。
ただ家が燃えていくのを見ることしか、できない。
智香はいなかった。”俺”に任せて、買い物に行ってしまったのか。
もし、ここにいたとしたら…想像するのも恐ろしい。
外に出ると、人だかりと、
智香「あ…あぁ…」
買い物袋を持ち呆然と立ちつくす智香。
そして、周囲の静止の声を振り切り、火中へ飛び込もうとする。
まずい!!
草一「智香ぁ!!ぐ…!!」 智香「!?」
服を掴もうと手を伸ばすも、弱すぎた。
何か引っ掛かった程度にしか思わなかったのか、一瞬しか引き止められなかった。
うずくまりながらも周囲に呼びかける。
草一「ぁああ…!あんたら、何見てるんだ!!!早く…早く智香を止めに行ってくれよ!通報してくれよ!!」
草一「たすけて…くれ…よ」
届くはずも無い。
幸いな事に、消防車は直ぐに到着した。
手紙は燃えた。
火事から一月過ぎた。
入院。
特に大した症状や怪我は見られなかったものの、家が無くなった事も関係して退院はまだ先になりそうだった。
智香は現実を正しく認識するようになった。病室に俺を見出せなかった。
俺と過ごした日常には、病室が関係するようになものはなかったからだと思われる。
智香「やく…そく」
ただ一度を除いて――
退院前日。夕方。
こっそり病室から抜け出す智香。
おいおい。
あんまりいい予感がしなかった。
途中で花を買った。
予想以上に遠くまで行こうとしているようだ。
「一体どこまで…」
墓地に着き、ある墓の前で止まりしゃがみこむ。
稲足神社仏道霊園。
――柏木家の墓がある霊園だった。
智香「遅れてごめんね…」
智香「…」
智香「近況報告です」
智香「学校生活はなかなか楽しくやってます」
智香「友達も出来ました」
草一「…」
智香「大失敗が一つ。家、焼いちゃいました」
智香「お父さん、お母さんごめんね。お兄ちゃんも、秘蔵コレクションとか焼けちゃった。あはは…」
智香「はは…」
智香「でも、私頑張っていつかまた建てちゃうから。きっと。だから、許してね」
智香「色々無くなっちゃったけど、私強いから」
智香「全然大丈夫です」
智香「ほら、お兄ちゃんとの約束、今だって守ってるよ?だから」
そうか。
智香がそう言うんなら信じる。
智香「…安心して、ここでまってて…ね…」
今は嘘だとしても、お前ならきっと変われるって信じる。
学校のことも。家の事も。
お前の笑顔も。
……。
頭をかく。
こういう真面目な雰囲気は正直苦手。
両手を見る。
草一「これがきっと智香に触れられる、最後の機会……!」
両手を2,3度開閉させ動作に問題が無いことを確認。
やがて決意し、俺は手紙を書く為にほとんど失われた力を振り絞った。
手は、優しく智香を抱きしめ――
草一「よっこらセック…ぐぁあああああああああ!!」
――ないで、胸揉んだ。
激痛の中、絶叫にも似た悲鳴が聞こえた――様な気がした
デジャブ。
後日、墓にある俺の名前の下に”の墓゛”と書き足された。
「かしわぎ そういち の ばか」
ひどい。
結論から話すと、結局俺の日々はずっとは続かなかった。
その代わり、面白い変化があった。
智香「みんな…」
智香「…」
智香「おはよう」
慣れない笑顔で。
ざわ… ざわ…
それは教室に留まらず、全学年での噂になった。
それからの日々は、毎日がお祭り騒ぎだった。
例を挙げれば、
校内新聞に載った。(妹が休憩時間10分で全ての記事を剥がし、処分した)
毎年秘密裏に行われる、第78回全校男子アンケート彼女にしたい娘1位になった。(Mばかりだ。ここの学校は)
智香の下駄箱が、ラブレター専用ポストになった(でも、ゴミ箱直行ではなく一つ一つ丁寧にお断りの手紙を書いていた!)
時折、誰もいないところで胸をガードするようになった。(原因不明)
こんな感じだ。
智香は変わり始めた。良い方向に。
社交的とまではいかないものの、人見知りの分、一度仲良くなった人間は特に大切にするようになった。
時折、影口を叩く女子に以前の黒い智香を垣間見たが、割愛。
――そんな日々を過ごす妹を見ているうちに時間がきた。
消える直前まで、見守っていた。
綺麗な物を眺めるように。
刹那。
智香「…」
ふと、何か感じるものでもあったのか。不意に振り返った。
智香「べ、」
俺が、見える筈も無いだろうに。
智香「べつに、お兄ちゃんの為に頑張った訳じゃないんだからね!私がそうしたかったんだから!!」
そんなつぶやきを聞いた後、俺は――
後2・3レス程度とか書いときながら、全然終わらなかったです('A`)
全部書き終わってから投下すれば良かった…。
感想レスなど頂けたら今後の励みになります。
※107で、完です。
i ◆bc7EvPRE8M 師GJ!
お疲れ様でした
導入部切なかったけど
ラストが明るくてよかったですよ。
次回作も期待してます
保守
ほしゅ
読んでないけど、抜けるのか?
ほしゅ
ホッシュ
116 :
Mr.名無しさん:2007/06/26(火) 21:01:49
作家こねえ
保守
俺はもうすでに待ちくたびれて全裸
hosyu
半裸保守
120 :
Mr.名無しさん:2007/07/02(月) 17:08:38
勃起継続
投下が来るまで守り続ける!
好きなキャラがエヴァのアスカとVガンダムのカテジナさん
最近ではひぐらしの詩音な俺は明らかにヤンデレ好き
最近の乗りに便乗してあえてかがみん。
でも遠坂も神ツンデレ
124 :
Mr.名無しさん:2007/07/08(日) 07:43:50
書籍化されるんだって?
ルイズもまた人気出てきそう
カールルイズ
オラオラオラオラァ!君がっ!投下するまでっ!保守るのをっ!やめないっ!!
キミの意見を聞こうっ!
ほす
ほs
もう一月以上ほしゅのみ…
132 :
Mr.名無しさん:2007/07/19(木) 07:12:56
書籍化狙ってるんだろ
ほしゅだ
待つ
七夕に飾られた短冊って、他の人の願い事をついつい見ちゃうよね
で、ふと目に留まった短冊に
「○○くんと結ばれますように」
なんて書いてあったらちょっと気になっちゃうよね。
なのに私がちょっとその短冊に見とれてたからって
「お前も好きな人の名前書いてお願いしてみたら?」
なんて笑われた。
だから書いてみたよ。
本人の前で。
好きな人と私が結ばれますようにってね
表向きはふざけて書いてみせたけど
叶うといいな
139 :
Mr.名無しさん:2007/07/26(木) 16:16:29
age
sage
ほす
まだまだ作家としては無能ですが、
それでよかったらうp
更新は遅れるんでそれでよかったら何か書きます
どうすか?
能書きは良い
書かなきゃ何も始まらん
座して待つ。wktk(AAry
ちょっぴり寒くも気持ちいい秋晴れの日。
俺は休日ということもあって。昼まで爆睡していた。
居間に下りて昼飯を食べる。朝食ではない。昼飯だ。
飯を食べているときに親が隣にだれか引っ越してくるとか言っていた気がする。
なんかあなたと同じくらいの女の子だっけ。もいるらしい
なんせ眠いものでうろおぼえだ。
でも隣は空き家なんでありえないことはない。とりあえずパジャマから私服に着替えて
二階の自室に行くことにした。
少しするとやはり隣の家が気になり隣の家に向いている窓を開けてみた。
隣の家の窓は今日は開いていた。誰かがあけたのだ。
いつもは閉まっている窓が開いてることが暗示することを俺はすぐに気づいた。
だれか引っ越してきたんだ。
俺は少しうれしくなり窓からしばらく隣の家の部屋を眺めていた。
なにも置いてない和室。そこに太陽の光が注ぎ込まれて神秘的な感じをかもし出している。
ぼーっと眺めていると隣の家で階段を上がる音が聞こえる。誰かが来る。
俺は少しテンションを上げつつさらに見入った。
トントントントン
だんだん近くなる音。
トントントントン
来る!!
「ふぅ」
現れたのはとても可愛い顔をした。やさしそうな少女であった。
俺は偶然を装うため窓から目をはずし。漫画をよんだ。
そう。隣から俺がよく見えるように。まったくこんなことをしてしまうのが恥ずかしい。
「こんにちは。」
透き通るような声が聞こえた。
俺のテンションはMAXになった。
「こっ……こんにちは」
横を見ると先ほどの少女が窓に体を乗り出しこちらに向かって微笑んでいる。
まぁこの微笑で俺のテンションは完全に限界点を突破してしまった。
「名前なんて言うの?」
「えっ…※満月 想一」※みちづき そういち
「ふぅ〜ん。あなたも月が付くんだ。私 ※水無月 巫癒菜 って言うの。」※みなづき ふゆな
「いい名前だね。」
「そうかな?面白い名前だけどね。あなたの名前はなんかありきたりね。」
「あははははは」
前言撤回。可愛い顔だがやさしくはない、どこかグサっと来ることを言う。
でもこの可愛さならぜんぜんプラスマイナスでもプラスが残る。
「私、いそがしいからまたね。」
「あぁ。また」
巫癒菜と言う少女は、走って階段を降りて行ってしまった。
うん……
これがいわゆる世界で言う一目惚れって奴か。
悪いものじゃないな。
俺はちょっとニヤニヤしながらそんなことを考えていた。
その後俺はずっとゲームに勤しんでいたが、
頭の中は不健全なことに妄想に勤しんでいた。
まぁ男としては普通だろ。。
GJGJ
GJGJGJ
wktk
waiting
学生の頃に好きな奴がいてさ。
何をやらせても中途半端で、いつも友達とばかばっかやってて、あたしはそれを眺めてた。
特別顔が良かったわけじゃないし、すごい特技があったわけでもないし、成績だってどっちかっていうと悪いほうでさ、
もう、こんなこと言ってるとなんでそいつのこと好きだったんだって言われそうだけど、なんでかな。
とにかくすごく好きでさ、授業中そいつの間抜けな横顔見つめてため息なんてついちゃってさ、あとで友達にからかわれんの。
でも、結局想いを伝えることはできなかったんだよね。ばかだったから。
素直じゃなくてさ、あいつと話してるとついついひどいこと言っちゃってさ、家で後悔するんだけど次の日にはまた繰り返し。
あいつもよく愛想つかさなかったなぁ・・・・・・。今思えばどう考えたって両想いだったんだろうけど、そのときは全然気づきもしなかった。
でも、やっぱりあいつ、なんだかんだで優しかったし、なぜかあの笑顔を見ると胸がドキドキしてさ、今でも、やっぱり、すき・・・・・・。
昨日町で偶然会ったんだよね。いっちょまえにスーツなんて着ちゃってさ。
「似合わないぞー」jなんて笑っちゃってんの、あたし。自分だって似合わないスーツ着てるくせにね。
あいつは「うるせー」だなんて言ってさ、それで例の笑顔を浮かべるの。なんで笑うのよ、ばか。
待ち合わせがあるからって急いで行っちゃったけど、女の人じゃ、ないよね・・・・・・? 仕事だよね・・・・・・?
また今度会えるかな・・・・・・。今度こそ、今度こそ自分に素直になって、それで心から笑え合えたらいいな・・・・・・。
151 :
後日談:2007/08/08(水) 01:49:09
「よう、また会ったな! これってやっぱり運命なんかね」
「ばーか、あんたと運命だなんてぞっとするわ」
「あいかわらずキビシーのなw それじゃ恋人の一人もまだいないんだろ」
「ふん、大きなお世話よ。あたしくらいになればその気になればいつだって彼氏の一人や二人つくれるんですからね。あんたなんかと違って」
「ははは、お前は確かに外見だけはいいからなぁw」
「外見だけって何よ! 外見だけって!!」
「あははは! どうだ、この後。久しぶりに一緒に飯でも食わないか?」
「良いけど、何、またあそこの定食屋?」
「そうだけど、なんかまずいか?」
「まずくはないけどさ、年頃の女性誘う先が下町の定食屋ってのはどうなのよ」
「ああ、それなら問題ないさ。あそこに誘うのはお前くらいだからなっ」
「何よそれ! あたしは他の人とくらべてどうでもいいってこと?!」
「そうじゃないって。おまえならさ、そういうことに気を使わないで一緒に過ごせるだろ? やっぱりその方が居心地がいいんだよな、特に食事中は」
「うっ・・・・・・、だからって、たまにはあたしだっておしゃれなところで食べたいなって思うんだけどさ」
「その時はその時。ちゃんとデートとして誘うよ」
「デデデデデデートって! だれが、あんたなんかとデートするって、」
「ほらほら、早くしないと混んじまうぜ。とにかく行こうぜ。文句は食いながらでも聞くからさ」
「ちょっ、なに手つかんでんのよ、離しなさいよ! 離せってばかぁ! ・・・・・・もう!」
まだまだ、素直になれる日まで遠そうだけど、でも、しばらくはこんな関係でもいいか・・・・・・な。
くそう
萌えると同時に男の余裕っぷりに鬱('A`)
な、ナツイロの続きはまだですか・・・・・・・・・・
待つ毒男
話の構想自体はあるんだけどなー
ちょっち長編だけど
タイプする時間がない・・・
完結させる気がある人だけ投稿してほしいよ
か、完結させる気はあるのよっ!
で、でも…やっぱり、その……
ばっばか!(///)分かったわよ!完結させてやるわよ!
べ、別にアンタの為なんかじゃないんだからねっ
って事でこのお盆中に集中連載してみようと思います
久しぶりだから緊張(・∀・)
wktk
160 :
◆vG1opWSo7E :2007/08/14(火) 21:59:00
161 :
『T&E』第八話 ◆vG1opWSo7E :2007/08/14(火) 22:02:25
最近、彼女の様子が変なんだ。いったいどうしちゃったんだろう。俺、何か灯ちゃんの気に障ることしちゃったのかなぁ……
一番初めに彼女の異変に気づいたのは、やはり、かつみだった。
曰く、いつもの元気が無い。深刻な顔をして黙り込むことが多くなった。みんなといる時でもいつの間にか居なくなっていたりする。何より他人との接触を積極的に避けようとするようになった。という。彼女も十分に皆と打ち解け合って来たと思っていた矢先の事だった。
そして、かつみはそれが自身のせいであると思っている。
「どーしよー! どーすんだよ! 今日なんか朝から一言も口聞いてもらえないどころか目も合わせてもらえなかったんだぞ!うわぁぁ! もう駄目だ。何でかわかんね−けど完全に嫌われたんだぁ!」
「朝っぱらからうっさいわね! 男がピーピー泣き喚くんじゃないわよっ!!」
『T&E』
第八話『異変』
162 :
『T&E』第八話 ◆vG1opWSo7E :2007/08/14(火) 22:03:12
私とかつみの所属する2年E組の教室は朝のHR直前特有の雑然とした喧騒の中にあった。その中でも私の席周辺の一角は今、さらに騒がしい状況にあった。
かつみは朝から私の傍で泣き言を吐きつづけた。半ばやけになり今にも泣き出しそうなかつみと、めんどくさそうに舌打ちをする私の周りには好奇の目を向けている。揃いも揃って暇人どもめ。クラスメイトが数名集まっていた。
かつみが一年生の女の子に入れあげているという話はうちのクラスでは割と有名な話で、かつみの一喜一憂を面白がりながら応援しているものも何人か居た。彼らはそんな軽薄な野次馬たちだった。
クラスメイトの中の一人が、かつみに言う。
「ねぇねぇ、かっつん、今まで結構仲良くやってたんでしょ? ただのかっつんの勘違いとかじゃないの? ほら、女の子って定期的に機嫌が悪い日ってあるしさぁ」
「いーや、絶対そんなんじゃないって! 灯ちゃんそういうので人に当たったりしない子だし、それにその日はちょい前に終わったとこなはずだし!」
何でアンタ、そんなことまで知ってるのよ……かつみのさりげない発言に呆れる。
クラスメイト達はかつみを囲んでやいのやいのと議論を交わしていた。
ただ単にちょっとだけ機嫌が悪いだけだ、かつみの馬鹿っぷりに愛想をつかしたのではないか、ほかに好きな人ができたんだ、いやいや、きっとレズに目覚めたのさ! などなどさまざまな馬鹿らしい憶測が乱れ飛んでいた。
しかしどれも所詮想像に過ぎず、何一つ確証は無いように思えた。かつみはその度に頭を抱え、顔を赤くし、時に青ざめながら反論していた。
「で、ゆっきーとしてはどう思うわけよ?」
「……あたしが知るわけ無いでしょそんなの」
「あーあ、ゆっきーは冷たいねぇ。ねぇ、きっと大丈夫だよ、かっつん。元気だしなよー」
クラスメイトに慰められるかつみを眺める。メンドクサイ事この上ないのに、私はまた首を突っ込むことを考えている。私は監督。彼女は大事なキャスト。そんなことを言い訳にしてまた世話を焼くのだろう。
議論はHRが始まるまで続いた。結局、確かな正解というものは出ない。
163 :
『T&E』第八話 ◆vG1opWSo7E :2007/08/14(火) 22:04:11
「ココ、いい?」
放課後の図書室は本当に静かで人の気配なんか少しもしなかったけれど、確かに彼女はそこにいた。
彼女は私の姿を認めると黙ってうなずいた。
彼女が座っていたのは図書館の最奥、校舎裏の林が一望できる窓際にひっそりと置かれた古い二人がけの机だった。彼女のこの場所での指定席がココであるということは事前にアイツから聞いていた。
窓から外を眺める。空は暗く、荒れていた。木々が強風に煽られて大きく揺れていた。風が校舎を叩き、ガラスの軋む音がどこか遠く、聞えた。
正面に座っている彼女は、無表情で静かにページをめくった所だった。
「この調子だと明日も撮影出来なさそうだわね」
「日曜日には良くなるみたいですよ」
彼女の目線は手元に置かれた文庫本から少しも動くことは無かった。
「あの馬鹿と、喧嘩でもした?」
私は苦笑しながら言う。今ごろかつみは教室で戦々恐々としていることだろう。直に見た彼女の様子は確かに何かが違っているように感じた。言ってしまってから『ただの喧嘩じゃこうはならないか』と嘆息した。
「先輩に、頼まれたんですか?」
『先輩』という声の冷ややかさがやけに印象に残る。
「……ん、まぁそんなところ」
否定しても仕方ないので正直に答えることにした。どうせ勘の鋭いこの子にはすぐにばれてしまうだろう。
「撮影、きつくない?」
私は話題を変える。
「別に……」
彼女はそっけなく答えた。
164 :
『T&E』第八話 ◆vG1opWSo7E :2007/08/14(火) 22:05:43
正直ついでに私は切り出す。
「私は綿見さんがこの話オーケイしてくれてすごく助かった。感謝してるの。ばらばらになってた部員のみんなも戻ってきたし、今すごく充実してる」
彼女は私の目を見ない。私は主役にかつみとあなたを据えたのも私だしね、と付け加えた。
「だから、もしそれがあなたの重荷になってるんだとしたら、放っておく気は無いの。もし悩みがあるんなら話して欲しい」
監督として、先輩として、何より友達として。彼女は黙ったまま聞いている。
「あの馬鹿が気に障ることしたんなら私からも叱っとくから」
「……そんなんじゃないですよ」
「何か、あったんじゃないの?」
「別に。何も」
彼女は決して目を見ない。それが嘘だとはすぐに知れる。
「……あったとしても――」
――先輩やみんなには関係ないです。そういって彼女は黙ってしまった。
165 :
『T&E』第八話 ◆vG1opWSo7E :2007/08/14(火) 22:06:19
「で、どうだった!?」
「てんで駄目。アンタ本当になにもしてないんでしょうね?」
「なにって何だよ」
「大場、あれだ。無理やりはどうかと思う」
「断じてしてねーよっ!!」
いつの間にか映研の部室は私と圭とかつみの溜まり場になっていた。時代を感じさせる床のしみの数々。古びたカビ臭い木材の匂い。歴代の私達のような学生達の残していったガラクタともつかない品々が彼らの気配を残している。
轟々と風が壁をたたく。あの子の居た図書室よりもここは壁が薄いのか建物自体が悲鳴をあげているようだった。
「しっかし、厭な天気……」
外の荒れ具合はますます酷くなっていく一方である。
「俺と灯ちゃんの恋の行く末みたいだ……」
「……アンタ馬鹿?」
窓の外を見ながら真顔でつぶやくかつみをとりあえず貶しておく。
「まぁ、兎に角だ。灯ちゃんの事もまぁ問題だけどそれ以上に問題なのはお前なんだ。これが」
圭が言う。その通りだ。
「アンタ一人のシーンが撮り終らないことには先に進めないのよ。と、いう訳で今から下校時刻まで練習するから」
かつみがとっても厭な顔をする。
「仕方ないでしょ? 確かに彼女のこと気になるのはわかるけど。ほら、ぶつくさ言ってないでさっさと台本出す出すっ!」
166 :
『T&E』第八話 ◆vG1opWSo7E :2007/08/14(火) 22:07:00
シーン『47』テイク『11』『アゲハの病室にて』
『ケシ』のシーン
白い病室には光が差し込んでいる。ベッドに横たわる『アゲハ』とその傍で語りかける『ケシ』
『ケシ』逆光のせいで表情までは伺えない―――
―――ねぇ、こんな日は思い出さないかな? 小さいころからこんな天気のいい日はよく一緒に外に遊びに行ったよな。学校が終わったらさ、他の友達とかも誘ってさ。このあたりは田舎だからあんまり遊べるところも無かったけれど。
あの頃は世の中がこんな風に変わってくなんて思いもよらなくて、僕らは不自由だけど大人や街に守られた幸せな子供で、毎日毎日代わり映えのしないつまらない毎日だなんて愚痴ったりしてさ―――
ベッドサイドに置かれたテレビからは遠い異国の政府が崩壊したことが報道されていた。
世界に蔓延していく奇病。治療法は見つからず、ただ人だけが死んでいった。感染経路さえ見つからず、まるで気まぐれな神様のルーレットで選ばれたかのように無作為に犠牲者だけが増えていった。
―――君が行っちゃってからさ。毎日考えてたんだ。何が駄目だったのかな。どこがいけなかったのかな。誰が悪かったのかなって。僕達の町は平和で代わり映えしなくて、周りの人間は馬鹿ばっかりで、こんな世の中滅びてしまえって、君は冗談みたいに言ってたけれど―――
世界の終末なんて物語の世界だけのお話だ。確かに世界中は大混乱に陥り、いくつかの経済と政府と国は崩壊していったけれど、人間自体は残るだろう。壊れた国の後には違う国ができ、廃墟となった街の後にはまた違う人が住み着くのだ。
―――でも僕にとって、君が居なくなってからさ、本当にどんな悲惨なニュース聞いてもさ、どんな身近な人が死のうとさ、まるで実感が無かったよ。駄目だったよ。みんな絶望して憤って嘆き悲しんでるのに、僕にはなんとも思えなかったよ。
世界で病は徐々に沈静化の方向に進みつつあるようだという。世界中で猛威を振るった病はすでに世界中で全人口の約四割もの人間を死に至らしめた。傷跡は深く、まだ少しの間、犠牲者は増えていくだろう。
167 :
『T&E』第八話 ◆vG1opWSo7E :2007/08/14(火) 22:09:43
【『ケシ』『アゲハ』の手を握り懇願するように言う】
―――ねぇ、アゲハ。起きてよ。
もういいじゃないか。世の中は変わったよ。戦争も起こったよ。街の人も半分以上死んじゃったよ。もう平和で退屈なだけの世界じゃなくなったよ。
ごめん、ごめん、ごめん、ごめんよ。もういいじゃないか。君の言うとおりだよ。僕は君が居なきゃ何にも出来ない駄目なやつだったよ。
『くっ……』
ねぇ、起きてよ。怒ってよ。生意気そうに笑ってよ。手紙、嬉しかったけど辛かったよ。見たく無かったよ。全部捨てて出てった癖に何であんな手紙書いたんだよ? 忘れられないじゃないか……
『ぷっ……くくくく………』
どうにかしろよ! こんなのあんまりじゃないか! 『ケシはあたしのものだから裏切っちゃだめだよ』なんて言った癖にこのまま置いて行っちゃうなんて酷いじゃないか!!
【『ケシ』顔を伏せる】
ねぇ、ねぇ。頼むよ、お願いだからさ、もう一度だけ、もう一度だけでいいからさ、目を開けて、笑って、喋って、名前を呼んでくれよっ―――
168 :
『T&E』第八話 ◆vG1opWSo7E :2007/08/14(火) 22:10:20
「―――っく、あっははははっははは!!!!」
「ちょ、おまっwwww笑うなよっwwwwww」
顔を赤くしたかつみが、アゲハの代用である裸のマネキンを抱えた間抜けな格好のまま怒鳴る。
「む、無理無理っ!うくっくっくっく、あっはっはっはっは!」
いい感じに笑いのツボを刺激された私の横隔膜はなかなか痙攣を止めてくれない。腹が捩れるかと思った。見ると圭も後ろを向いて肩を震わせている。かつみは真っ赤になって喚いていた。
「あー、笑った笑った! あれだね、かっちゃん演技うまくなったねぇー。すっごく感情こもってたよ!」
「まさに名演技。大場、お前役者になれるよ本当に」
―――そんなことを次々と言う私達の口元はまだぴくぴくと痙攣を繰り返していて―――
「だぁーー! もう!好きでやってるんじゃ無いんだよっ笑うなってーーっ!!」
―――かつみは本当に馬鹿だ。そんなかつみが愛らしくもあり更なる笑いを誘うのだ。
窓の外は厚く陰鬱な暗雲が垂れ込めていて、まるで世界の終わりのように真っ暗だ。それでも私達の居る部室からは明るい蛍光灯の光と陽気な私達の笑い声が漏れ出ていた。
世の中にはいろいろあるけれど、私達はきっとこれで大丈夫だ。そう思えるだけの楽しい時間を過ごしている。こんな馬鹿馬鹿しくも楽しい時間を愛していて。後から後からこみ上げる笑いに耐えながら、確かにそのとき私は幸せだと思ったのだ―――
169 :
『T&E』第八話 ◆vG1opWSo7E :2007/08/14(火) 22:11:31
◆
暗くなってしまった室内に携帯電話の幽かな光が瞬いていた。窓の外にも月影は無い。ただ着信を知らせるREDライトの点滅だけが辺りを淡くを照らしていた。
どうも眠ってしまったらしい。いつもは図書館管理の先生が見回ってくれるのに今日に限って私に気がつかないまま閉めてしまったらしい。いったい今は何時だろうか。まさかもう学校に誰も居ないということは無いだろう。もし、もしそうなら少しだけ面倒なことになる。
そう思いながら時間を確認した。
愛用の、白い私の性格にも似た、味気の無いそっけなく何の飾りも無い携帯を開く。
思いのほかまだ早い時間のようだった。下校時刻にはとっくに過ぎているがいつもなら運動部の生徒などはまだ残っている時間だ。ただ今日のような天気の日はもはや誰も居ないだろう。
例えば、不真面目でだらしなくて、部室を自分達の秘密基地か何かと勘違いしているような不良文化部生以外は。
着信とメールが十数件あった。友達付き合いの苦手な私に連絡を取りたがるものなどあまり多くは無い。案の定そのほとんどがよく見知った家族の名前だった。
私の事を心配しているのだろう。十分単位で着信履歴が並んでいた。すぐにかけ直した方が良いのだろうけれど、なぜかその気になれなかった。
ふと、連なった同じ名前の中に一つだけ違う名前を見つける。
『大場 かつみ』
そのたった一件だけの着信に心が揺らぐ。もう決めたはずなのに。
ふらふらと廊下に出る。風は止んでいて窓の外には淡い星空があった。
無人の廊下を歩く。無人の廊下に上履きのパタパタという情けない音が反響する。ここを歩くことも、もう無いのだろう。
170 :
『T&E』第八話 ◆vG1opWSo7E :2007/08/14(火) 22:12:03
さようなら
『それでもまだ、私は迷っている』
撮影、最後まで出来なくてごめんなさい
『最後に、たとえこれっきりになってしまったとしても』
先輩、ありがとうございました
『透明に澄んでいたように見えた私の心も結局は何も無いだけで』
勝手に居なくなってごめんなさい
『そこに少しでも温かみを与えてくれたのはきっと』
そして好きになってくれてありがとう。先輩の気持ちに応えられなくてごめんなさい
『痛いような気がする。悲しいような気がする』
もう会うことも無いだろうけれど元気で居てください
『そうして結局私は……』
さようなら、先輩の事、割と好きでした。それじゃ、ばいばい―――
『結局、裏切るのだ』
◆
綿見灯の突然の転校が知らされたのは翌朝のHRことである。かつみたち映研部員がそれを知るのはさらにその放課後の事であった。教師はただ静かに首を振るばかりで彼女の行き先を知りはしなかった。
綿見灯はかつみたちの前から忽然と消えてしまったのだった……
久しぶり過ぎて全部sage忘れた上に、後書き書く段になって規制食らった(´・ω・`)
覚えててくれた人居て嬉しい
第九話は今晩か明日中を目指します!(`・ω・´)
おっと久々に大量投下
ほしゅ
久々に投稿。
間が空いてすまなかったと思う。
駄文だが、見ていただけるとうれしい
その後の彼女はというと――
パタパタ、パタパタ
と急がしそうに荷物を運んでいる姿を何度かチラ見した。
あえてチラ見である。
ずっと見てたら気持ち悪がられるだろうと思ったからである。
最初の印象くらい最低でも普通であってほしいからだ。
そのうちゲームも飽きてきて、漫画も何度も読む気にはならず。
ただ窓に突っ伏してボーッとしていた。
秋ということもあって、心地よいさわやかな風が窓から入ってくる。
しかし俺は、いまだにさわやかではなかった。
男というものは、大概は暇になるとすぐ妄想に耽るものだと思う。
少なくても俺はそうだ。
アホな顔をしてると思う。いかにも何も考えてませんよ、見たいな顔。
そんな俺を妄想から覚ます声があった。
「ねぇ」
俺は、くにょくにょとあいつの声に反応した。
「ん?んぁあ?何か用?」
あいつは、俺が反応したのを見て、
「うん。ねぇ…もしかして今、暇?」
すかさず。率直な意見を申してみた。
「まぁ……確かに暇だけど」
「じゃぁ引越し手伝ってよ!!
「えっ!?ん〜あぁ〜それは〜」
「いいでしょ!!」
「どうしようかな……」
「も〜!!するならする!!しないならしないでハッキリしなさいよ!!」
「じゃぁする!!するよ!!すればいいんだろ!!」
「よしっ!!じゃぁすぐ家に来て!!」
「はいはい。わかりました。」
「はいは一回でいいの!!わかった?」
「はい、わかりましたよ。」
「よしよしいい子だ。」
彼女は、俺を完全に上から見下していると思う。
いやっ…見下しているに違いない!!
でも、まぁ話せればいい、と開き直って外に出る。
向かう先は徒歩10秒の家だ。
178 :
Mr.名無しさん:2007/08/17(金) 18:43:03
age
ho
守
181 :
Mr.名無しさん:2007/08/20(月) 22:46:46
age
agu
183 :
Mr.名無しさん:2007/08/24(金) 09:53:21
あげとく
―――よし!着いたぞ!!
と着いた家は、少し古ぼけた木造の家、
木造の家は、どこと無く好きなので自分的にはいつか住んでみたいと思っていた。
とりあえずインターフォンを押すことにした。
――ピンポーン
お決まりの間の抜けた音がして、
ドタドタドタ
とこれまたお決まりな音がした。
ガララ
「いらっしゃ〜い」
ニコニコとした笑顔で彼女は出迎えてくれた。
よくよく見てくると、彼女は黒みがかったジーンズを履いていて
長袖の白いTシャツを着ていた。なぜか無地。
「あぁ。おじゃまします。」
「どぞどぞ〜」
家に入れてもらいそのまま部屋へ誘導される
途中彼女の母親と思われる人にあいさつをした。会釈だけだが
ふすまを開けて彼女の部屋に入る
「じゃぁまずそのダンボールの中にある本を全部そこの本棚にいれて」
「はいはい、了解」
「だからはいは一回。」
「はい、わかりました〜」
「それでよし。」
彼女はどこか満足そうな顔をしている。
たぶん俺をこき使えるのがうれしいんだろうと思う。
一瞬だけ俺の馬鹿な思考が働き、
もしかして俺と居れてうれしいんだろう
と言う、可能性の微塵も無い考えをしたが
すぐさま冷静になって
ありえない。と自分の本能に深く言い聞かせた。
ところで彼女は何をしてるかと思えば、
なんかもう部屋にはいなくなっており
一人でさみしく作業をする以外の選択肢は無かった。
せっかく話せると思ってたのに……
しかし俺はやはり馬鹿らしく
今ここでがんばれば……
「すごい!!これ全部やったの!?」
と言ってくれるかもしれないと思い!!!!
必死に労働にいそしむことにした
本の内容は様々で、
絵本 漫画 小説 辞書 図鑑 などがあった
かなり読書家のようだ。これはやばいな。
結構難易度高くなったぞ、このフラグ
俺はとりあえず目の前のことに没頭することにした
先のことを考える前に今すべきことをしよう!!
と俺の本能が言ってきたからである。
ほ
ほほ
保守
ほす
た
保守
ほしゅ
193 :
Mr.名無しさん:2007/09/07(金) 15:18:24
age
sage
hage
gegege
noki
1up
7up
cola!!!
ほしゅ
しゅしゅしゅ
ぴっ・・・!
204 :
Mr.名無しさん:2007/09/17(月) 18:05:27
小説刷れって流行らないのかなage
ツンデレってなんなんだろ……
過去何作かここで書いてたんだが最近分からなくなってきた
二年前、他所に投下したやつでもよければ投下できるけど
需要とかある?
ぜひ
それじゃ、投下しようか。
今、見返すと題名を筆頭に直したいとこばかりだけど。
題名「桃咲里美の雨模様」
使用レス数「8」
209 :
1:2007/09/19(水) 09:57:14
校門の前で一人、佇む私。
誰かを待ってるわけじゃない。
友達の都合が悪いから。
一緒に帰る相手が居ないから。
だから仕方なくこうしているだけ。
他に一緒に帰れる相手は居ないかって。
そう、別に深い意味は無い。
「何してるんだ? こんな所で」
帰りはどうしようかな?なんて考えてたら、ふいにアイツが話しかけてきた。
「別に。友達を待ってるの」
そう言ってやったら、「そうか。それじゃ、またな」だって。
……ちぇ。
いつまでもここに居たって仕方が無い。
不本意だけど一人で校門を出る。
数歩進んだ後、鼻先に水滴。
空を見ると不機嫌な雲が少し泣きだしていた。
――そういや、アイツも傘持ってたっけ。
仕方ない。ちょっとメンドクサイけど傘を取りに戻るか。
校内へと戻る私の足取りが重いのは、単に二度手間だから。
……別に落ち込んでるわけじゃない。
210 :
2:2007/09/19(水) 09:58:26
結局、一人で帰ることになった。それも雨の中を一人で。
いつもなら、友達と騒いで帰るのに。
話し合える誰かが居て、ふざけあえる誰かが居るはずの。
なのに、今は私一人。隣に誰も居ない寂しい帰り道。
ひとりぼっちの帰り道は退屈で、それにとても長く感じる。
アイツでも居れば、そんなことも無いのに。
時間なんかあっという間に過ぎて―――
って、別にアイツじゃなくても良いんだけどね。
なんとなくイラついて道端の小石をコツン!と蹴飛ばす。
蹴飛ばした小石は綺麗な放物線を描いて
「痛っ!」
その先にアイツが居た。
211 :
3:2007/09/19(水) 09:59:54
「何してるの?」
さっさと帰ったくせに。
「雨宿り」
「傘、どうしたのよ」
さっきは持ってたくせに。
「傘が無くて困ってる奴が居たから、そいつにあげた」
ふーん。で、
「女の子?」
「ん? ああ、そうだけど?」
へぇ〜。で、
「いくつぐらいだった?」
「確か、小学生くらいだった」
「なんだ。子供か……」
「? 子供じゃ悪いのか?」
あ〜、ホント嫌な奴。
「別に。ただ、小学生相手にカッコイイとこ見せようとするなんて変態かな?って思っただけ」
「……善意でやったんだ」
「偽善の間違いでしょ」
その言葉に、アイツは眉を顰めて押し黙る。
……はぁ、またやっちゃったな。
212 :
4:2007/09/19(水) 10:01:21
アイツはあれから一言も話さない。
私からずっと顔を背けたまま。
それはアイツなりの「謝れ」っていうサイン。
冗談じゃない。誰が謝ってなんかやるもんか。
嫌われたって平気だ。あんな、どうでもいい奴。
――けど、無視されるのはなんとなく気に入らない。
顔色を伺うわけつもりは毛頭無い。
でも、少し気になる。
横目でちらっとアイツを盗み見る。
相変わらずのムスッとした顔。
腕を組んで偉そうにしてる。感じの悪い奴。
だから、嫌いだ。そ、大嫌い。
こんな奴、放っといて帰ってしまおう。
そう思って視線を外そうとして………
その時、初めてアイツの指が震えているのに気がついた。
213 :
5:2007/09/19(水) 10:03:03
これは気まぐれ。単なる同情。
自分にそう言い聞かせてから傘を突き出す。
「入って」
目は合わせない。
「…いいのか?」
良くない。全然良くない。でも、
「そのままじゃ、風邪ひくでしょ」
そうだ。そうじゃなかったら、誘ったりするもんか。
それも私から。
「でも、狭くないか?」
ちょっとイラついた。
「いいから入って」
袖を掴んで引きずり込む。
握った手から冷たい感触。これも気に入らない。
「ほら、帰るわよ」
煮え切らないアイツを引っ張って歩き出す。
まったく。
なんで、私から誘わなきゃいけないのだろう。
214 :
6:2007/09/19(水) 10:05:56
アイツと一緒に帰ること。
それは別に大したことじゃない。
同じマンションの、それも隣の部屋に住んでいるのだから。
だから、一緒に帰ることぐらい、誘いさえすればいつでも出来る。
ううん、別に誘ったりしなくたって、偶然帰りが一緒になったことくらい今までに何度もある。
でも、1つだけ。たったひとつだけ、いつもと違うことがある。
それは、アイツが私のすぐ側に、それも吐息のかかるほど近くに居るということ。
不思議な気分だった。自分でも形容できないくらいに。
私の隣にアイツが居る。
「傘、小さかったな」
道路を行きかう車の騒音の中でさえ、アイツの呟きはハッキリと私の耳に届く。
「入れてもらってるくせに文句言わないの」
「単なる独り言だよ」
ふて腐れた様にアイツが言う。
「だったらもっと、小さな声で話したら?」
「聞き流したらいいだろ」
「耳障りなのよ。一人でブツブツと文句ばかり言って」
「ったく、細かなことでグチグチと」
煩わしさを乗せて見下ろしてくるアイツを
苛立ちを込めて見上げ返す。
「嫌な女」
「女々しい奴」
いつもと同じやり取り。
いつもと同じ口喧嘩。
だけど、アイツへの文句や不満で一杯になるはずの私の意識は
もう少しだけアイツの方に寄れないかな。なんて
そんなことばかり、気にしていた。
215 :
7:2007/09/19(水) 10:14:21
終わらないはずの口喧嘩が、今日に限って途切れた。
無言の時間を誤魔化すように、アイツは明後日の方を見つめていて。
私は赤信号の長さにイラついた振りをしながら、足元の水溜りに視線を逃がしてる。
どうしてだろう? 何だか、ちょっとだけ気まずい。
いつもよりずっと近くに居るのに。肩が触れそうなほど側に居るのに。
何かを言おうとするたびに言葉に詰まって。視線が絡まるたびに居心地の悪さを感じる。
……気に入らない。またいつもの口喧嘩に戻りたいのに。もっと近くに歩み寄りたいのに。
「ねぇ、こっちに寄ったら?」
たったそれだけの言葉を出すのに苦労する。
「ん?」
「そのままじゃ濡れるでしょ」
「いいのか? 俺は濡れてるぞ」
「大した事じゃないわよ」
この距離が埋まることに比べれば。
「じゃ、ちょっとだけ」
ほんの少しだけ、距離が縮まる。
肩から伝わる冷たい感触……でも、まだ遠い。
「このぐらいしないと濡れるでしょ」
後ろからそっとアイツの腕を組む。
「でも、これじゃまるで………」
「まるで?」
「いや、なんでもない」
そう言うと、アイツはまたそっぽを向いてしまう。
ひょっとして、気にしてたのかな? 私がアイツを気にしていたように。アイツも私を……。
そうならいいな。そうだといいな。
なぜだか、その時は素直にそう感じる事が出来て。
すこしだけなら――
そう、ほんの少しだけなら素直になるのも悪くはないかな?
そんな事を思いながら、濡れたアイツの腕にそっと頬を沈めた。
216 :
8:2007/09/19(水) 10:19:34
マンションに着くまでのことは、ぼんやりしていてよく覚えてない。
気が付いたら、私は自分の部屋の前に立っていて
アイツは自分のドアに鍵を差し込んでいるところだった。
「それじゃ、また明日な」
そんな言葉を残して、ドアの向こうへと消えていこうとするアイツ。
その背中に自然と声がこぼれる。
「家、寄ってく?」
「は?」
「大丈夫よ。今日は私一人だけだから」
「え、あ、、いや、、でも……それはさ。その……」
あわあわと慌てふためいて、家の鍵を落すさまを
しっかりと目に焼き付けておいてから言う。
「嘘よ。バカ」
呆気にとられた顔したアイツを残して家に飛び込む。
してやった。思いっきりしてやった。
背中をドアに預ける。
目を閉じてもまだアイツの姿が残ってる。
いつもは憮然としてるアイツの……
焦る姿がおかしくて。
戸惑う姿がおかしくて。
次々と浮かんでくる笑みを両手でこらえる。
バカみたい。あんなこと本気にしちゃって。
そう、今のは嘘。あれは嘘。ただちょっとアイツをからかうための、ささいな嘘。
本気の言葉じゃない。ホントの思いじゃない。素直になったわけでもなんでもない。
そう、あれは嘘。
だから―――
この胸の熱さも嘘にしなくちゃ。
洗面所へ向かう私の足取りが軽いのはきっと気のせい。
なんか切ない感じとかすきだな…GJです!
GJhosyu
イイネイイネ!
ニマニマしちゃったよ
220 :
Mr.名無しさん:2007/09/21(金) 21:11:28
クソスレ〜
soudane
222 :
Mr.名無しさん:
アタイ阻止