女が怖い

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144電車漢
そうした検察の鉄格子の中で、私はこれからどうなるのか不安にさいなまれていました。
下を向き、床を見つめているうちに、思いだしたのは、お袋の事でした。
小学生の頃、かけっこでいつもビリだった俺をなぐさめてくれたお袋。
クラスで1人だけ100点をとったとき、嬉しそうに喜んでくれたお袋。
俺が入院した時、毎日のように遠くから見舞いにきてくれたお袋。

俺はそんなお袋の為に、たばこも、賭け事も、悪いことには一切、手を出そうとせずに学生時代をすごした。

こんな俺でも、お袋にとっては自慢の息子だったらしい・・・。


かあちゃん、ごめんな、俺、犯罪者になっちまったよ。
かあちゃん、ごめんな、俺、会社首になっちまうよ。
かあちゃん、ごめんな、俺、もう結婚できないよ。
かあちゃん、ごめんな、もう、孫の顔を見せてやれないよ。
かあちゃん、ごめんな、俺、もう親戚に顔をみせられないよ。
かあちゃん、ごめんな。
かあちゃん、ごめんな。
かあちゃん、ごめんな。

私は何度も頭の中で、お袋に謝り続けました。
涙がとめどなく流れ、床に点々としみが出来ていきました。

床の涙が乾いても、私の順番はまだきませんでした。